『シュガシュガルーン』は魔法使いの少女2人が、魔界の女王となるために奮闘する物語です。真反対な性格をしている彼女たちが、恋、アイデンティティ、そして魔界の危機など数々のトラブルを乗り越えて成長していく姿から、目が離せません。
『シュガシュガルーン』は魔法使いのショコラとバニラが、魔界の女王になるための試練として人間界で修行する物語です。恋する女の子ならではの心情や行動を描いており、また使われる魔法もキラキラしていてキレイなものばかりです。
作者は『さくらん』や『働きマン』など、ドラマ化や映画化された人気作を生み出している安野モヨコ。彼女が少女漫画「なかよし」で連載していた作品で、彼女の可愛らしいキャラクターとキラキラした世界観になっています。
しかし本作の魅力はそんなキラキラな世界観だけでなく、大人も楽しめるというところ。恋というものの不確かさに悩み、アイデンティティに揺れ、と大人も、そして男性にもおすすめできる心理描写に引き込まれる作品なのです。
この記事では登場キャラの魅力を、最終回までのストーリーと合わせて紹介します!ネタバレを含みますので未読の方はご注意ください。
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- 著者
- 安野 モヨコ
- 出版日
- 2004-03-26
魔界で暮らしているショコラとバニラという2人の少女が本作の主人公です。彼女たちは、次期女王を選抜するための試験として、人間界に降り立ちました。
好意を持った人間からハートをいくつ奪えるかを競い、より多く、より質の高いハートを集めたほうが勝利となるのです。
魔女はハートを取られると死んでしまうため、容易に恋をできないのですが、ショコラは対立しているオグル一族の末裔、ピエールに恋をしてしまいました。
またバニラは、自らのアイデンティティに悩み、1度はオグル側に寝返ってしまいます。
数々の試練を乗り越え、女王となるのは果たしてどちらなのでしょうか。まさかの結末に驚くこと間違いなしです。
ショコラ=メイユールは、勝気で活発な女の子です。その性格から魔界ではモテていたものの、人間界ではそうはいかず、ハートの獲得に苦戦します。
彼女の母親は、同じように試験を受けていたシナモンという凄腕の魔女でしたが、魔界から追放されていました。そんな母に代わってなんとしても女王になりたいショコラは、試行錯誤を重ねながら、ハートの獲得へ向けて日々邁進していきます。
ショコラの何よりの魅力は、1度決めたことを必ずやり遂げ、守りとおすという意志の強さです。物語の序盤から、彼女たちが通っている萌黄学園中等部の人気者、ピエールのことが気になりはじめるのですが、勝気な性格ゆえに自分が恋に落ちていることを認めようとしません。
しかし自分の気持ちを自覚してからは、禁断の恋であってもピエールへの気持ちを終始貫きます。
また、親友でライバルでもあるバニラがオグル側につき、敵対関係になってしまった際は、傷つけられても最後まで諦めずに救おうとします。
物語の後半では、ショコラの驚きのアイデンティティが明らかになり、最後は魔界全体を救うための戦いに挑むことになります。
どんな困難な状況に陥っても強気で心の折れないショコラは、まさに主人公にピッタリの女の子です。
バニラは、ショコラとともに次期女王候補に選ばれた少女のひとりです。ショコラの親友でありライバルでもあるバニラは、小さいときからショコラに助けられっぱなしだったため、彼女には敵わないと思い続けていました。
ショコラと同様、人間界へハート獲得のための修行に赴きます。すると人間界ではショコラよりも異性にモテて、順調にハートを獲得していきました。
バニラの一族は魔界に代々続く名門で、母親は現女王のキャンディです。しかし彼女が反勢力であるオグルとの関わりを疑われて、魔界でも仲間はずれにされることが多かったため、自らの立ち位置やアイデンティティに不安を抱えていました。
そんな状態でいたとことを、オグルのリーダーであるピエールにつけ込まれ、オグル陣営に入ってしまいます。
バニラはとても優しいキャラクターとして描かれており、いつもショコラのことを気遣っています。しかしその性格ゆえ周りに悩みを打ち明けることができず、ひとりで抱えてしまう彼女は、ショコラと離れるととても不安定な存在でした。
そんな彼女がオグル陣営に入ったことで性格や能力が変わり、強気のショコラと敵対するさまは、本作の見どころのひとつになっています。
最終的にはショコラとの友情を取り戻すのですが、悩みぬいたうえで正気に戻った彼女は、自分の意志を強く持って行動できるようになっていて、さらに魅力が増しています。
優しさと強さを兼ね備えた、ショコラのよきパートナーです。
ロッキンロビンは魔界でも指折りの実力者であり、ショコラとバニラのお目付け役として人間界に滞在しているキャラクターです。
その端正なルックスから人間界でも大人気で、タレント活動もしています。
ショコラとバニラのことをとても大切に思っており、時々厳しい言葉を投げかけながらもその確かな実力と知識で2人を支える、縁の下の力持ち的存在です。
彼の1番の見せどころは、最後の敵であるグラースとの戦闘シーン。いつもは飄々としているロビンですが、誰も敵わないグラース相手に、その身を犠牲にしてひとり戦います。その見た目からは考えられないほど献身的な姿です。
最初から最後まで、誰よりも2人と魔界のことを思い尽力する彼から、目を離さないでくださいね。
ウ―とソールは、魔界に住む2人の男の子。どちらも強くて活発なショコラのことが大好きです。
冷静沈着なウ―と感情的でまっすぐなソールのコンビは、魔界でも上位の実力を持っていて、有名な存在でした。
そんな2人はショコラを守るために、彼女の騎士として人間界に降りてきます。
- 著者
- 安野 モヨコ
- 出版日
- 2005-10-12
ショコラの騎士としてさまざまな試練に挑む彼らはとても頼もしく、また彼女への一途な愛も、物語を進めていくうえで欠かせない要素となっています。
はたしてショコラは、身を粉にして尽くしてくれる健気な少年の想いに振り向くのでしょうか。2人の恋の行方にも要注目です。
ピエールは、ショコラとバニラが通う萌黄学園の中等部に在籍する、モテモテの美男子です。魔界の住人と敵対するオグルのリーダーであり、物語の当初はショコラやバニラと敵対関係にありました。
しかし、魔界の宮殿内にある「氷雪の貴公子」と呼ばれる肖像画の男性ととてもそっくりで、ショコラは心惹かれてしまいます。彼はとても強力な魔法を使って女性を虜にすることができ、彼女は命を奪われかけてしまいました。
しかし物語が進むにつれて、彼の気持ちもショコラに傾き、両想いになっていきます。
元々はとても優しい人間だったピエールですが、自ら優しさを捨てる訓練をおこない、感情をコントロールしていました。その成果もあってかリーダーとしても慕われている彼は、オグルの復活という目的と、ショコラとの恋の板挟みになります。
仲間を裏切るか、ショコラと戦うか……組織のルールと私情に挟まれ苦悩する彼の姿は、責任感の強さを感じさせます。
そんな彼がショコラと距離を縮めていく場面は、物語のなかでも最高潮に盛り上がるシーンです。彼女と関わることで、どんどん変わっていくピエールに要注目です。
グラースは、最強の魔法使いとして一時魔界に君臨したものの、その独善的な性格と支配体制から追放されてしまいました。
自分を封印した魔界を憎み、虎視眈々と復活のときを狙っています。
そして驚くべきことに、ショコラの実の父親だったのです。
性格は非常に冷徹で狡猾、彼の元を訪れたショコラを利用して、自らにかけられた封印を解きました。物語のラスボスとして描かれ、とても冷たい印象のあるキャラクターですが、どこか憂いを帯びた表情で寂しさを感じさせます。
最終巻では、復活した後に魔界を襲撃するのですが、噂に違わぬ圧倒的な力で蹂躙します。魔界の面々との最終決戦を、ぜひ確認してみてください。
- 著者
- 安野 モヨコ
- 出版日
- 2006-02-13
- 著者
- 安野 モヨコ
- 出版日
- 2007-09-13
今回キャラクターの最終回までのストーリー上の見所をご紹介させていただきましたが、彼女たちの魅力はまだまだ語りきれていません。魔界の女王になるためにできるだけ多くの男性を惚れさせるという設定で美少女ふたりがそれぞれのチャームポイントを最大限に活かすストーリーなので、当然のごとくふたりともとても魅力的なのです。
キャラクターも可愛らしいですが、本作は20代、30代女性をターゲットにして作品を描くことの多い安野モヨコが作者ということもあり、心理描写も卓越しています。少女漫画らしい魔法少女のストーリーではありますが、年齢に関係なく共通する心の動きが描かれていることが大人が読んでも面白いと感じられる秘訣なのでしょう。
ぜひ詳しい最終回までのストーリー展開、驚きの結末をご自身の目でお確かめください!大人も楽しめるおすすめ少女漫画です!
『シュガシュガルーン』の魅力は、ショコラとバニラの2人の成長はもちろんのこと、綺麗な魔法の数々です。女性らしいキラキラした描写が作品を彩ります。8巻と短い作品ながらしっかりと作りこまれたストーリーとなっており、最後まで驚きを与えてくれる作品ですので、ぜひ読んでみてください。