本当に面白いラブコメラノベおすすめランキングベスト27!

更新:2021.12.22

ライトノベルでラブコメというと、どのようなイメージをするでしょうか?恋愛?ハーレム?そんな偏ったイメージを覆す上質なラブコメをご紹介したいと思います。願わくは、人生の箸休めになりますことを。

ブックカルテ リンク

27位:進行系で中二病な少女と、元・中二病の少年のラブコメラノベ!

虎虎(とらこ)作の学園ラブコメディ作品。元・中二病の主人公と、現役中二病の少女を中心にして描かれるラブストーリーです。ふたりを、というより中二病を軸に、物語は進んでいきます。

中学時代、重度の中二病を患っていた主人公の富樫勇太は、ある日現役で中二病まっしぐらの少女小鳥遊六花(たかなしりっか)と出会います。六花は片目に眼帯を付け、自分を「邪王真眼の使い手」だと言い、さらには勇太のことを「ダークフレイムマスター」と呼ぶような中二病のお手本のような少女でした。

元々中二病だった勇太はそんな六花に共感する部分もあり、彼女のことが放おっておけず、何かと面倒を見るようになります。そしてふたりはお互いの事を理解しあい親密になっていくのです。

著者
虎虎
出版日

六花が中二病になったのは、幼い頃のある出来事を受け入れられない彼女の心が原因なのですが、それと向き合い絆を深めていく勇太と六花の姿は感動的で、ちょっとシリアスな要素も含んだ感慨深い物語となっています。とはいえ、この作品で一番に味わってもらいたいのは、やはりなんといっても彼女と周囲の人間が描く中二病の世界です。

「爆ぜろリアル!弾けろシナプス!バニッシュメント・ディス・ワールド!!」(『中二病でも恋がしたい』より引用。)

これぞ中二病!この病の症状の一つである現実世界を否定する意味そのままの単語を羅列するこのセリフは、六花の決め台詞であるとともに、心の叫びでもあります。

六花はこのセリフとともに、自身が思い描くイメージ(妄想)の世界へ飛び込みます。同じように中二病を患う人物とイメージの中で掛け合う様が秀逸。そしてそんな六花にツッコミを入れつつも、自分の中二病的な部分を拭いきれない勇太の姿もまた微笑ましかったりします。

勇太と六花の周りに集まる登場人物は、やはり元・中二病だったり、中二病真っ最中の人物たちばかりです。そんな人物たちが集まる本作品では、思う存分中二病要素が味わえること間違いなしです。

アニメ版ではこの妄想シーンの作画に非常に力が入っており、かなりの見応えとなっていますので、そちらも必見です。

26位:ゲームと同じようにいかないのが恋愛です

恋愛ゲームを楽しんでいたはずの男が、恋に翻弄されていく様子が赤裸々に描かれています。

爽やか系イケメンで自他ともに認めるモテ男の主人公・長瀬恭の持論は、「恋愛なんて、ゲームと同じ」。そんな長瀬が気になる同僚の女性・羽村澪をオトすために奮闘するラブコメディ作品です。 

著者
青海間 司
出版日
2013-09-30

「女なんて面倒くさい生き物」と豪語する、女性の敵ともいえる長瀬の次なるターゲットである澪は、「胡散臭い」「気持ち悪い」と評して距離を取ろうとする、長瀬からすると「変な女」です。

「変な女」だからこそ、退屈しないでゲームを楽しめると喜ぶ長瀬ですが、なかなかオチない澪に、次第に翻弄されている自分に気づいていきます。

果たしてオチるのは澪か、それとも長瀬なのでしょうか? 巧みな心理描写で描く、一筋縄ではいかない恋模様の行方が気になってグイグイ読み進めてしまうストーリー展開は、必見ですよ。

25位:農業ラブコメディの決定版!

舞台となるのは岐阜県の農業高校、主人公はそこで通称「のうりん」と呼ばれる生産科学科2年A組栽培専攻に所属する高校生です。そして彼はアイドル、草壁ゆかに熱を上げるアイドルオタクでもあります。幼なじみの中沢農や、親友の過真鳥継とともに、日本農業を担うべく騒がしく日々を過ごしていました。

そんなある日のこと、彼が愛する草壁ゆかが電撃引退、彼はショックのあまり寮の自室に引きこもってしまいます。農たちに引きずられるように学校に登校すると、そこにはゆかにそっくりな転校生木下林檎の姿があったのです。

著者
白鳥 士郎
出版日
2011-08-12

超ハイテンションで展開される農業学園ラブコメディです。若干変態なアイドルオタクな主人公、ちょっと発言が過激な女教師、などの要素が散見されるため、それなりの割合で下ネタが投下されたり、パロディネタが多発していたりするのが特徴です。しかし、実は農業をしている描写はしっかりとしているなどギャップのある作品になっています。

木下林檎はなぜこの学校にやってきたのか、二人の関係はどうなるのか。典型的なラブコメのようでどこか違う物語を楽しんでみてはどうでしょうか。

24位:毒舌生徒会長が働いていたのは、アイドル喫茶!?

主人公はネガティブ思考になりがちな男子高校生、成田祐介。

彼がバイトすることになった「秋葉原ディアステージ」は少し変わったお店でした。そこはアイドルを目指すタマゴの少女たちがライブも給仕もする、メイド喫茶にステージを合体させた変わり種の喫茶店だったのです。

著者
鴨志田 一
出版日
2011-06-17

そこで祐介は衝撃の事実を知ってしまいます。彼が通う高校の毒舌生徒会長で、氷の女王と呼ばれる真帆が、なんとその「秋葉原ディアステージ」で給仕するアイドルユニット「コスモス」のメンバーだったということを。

そしてそれ以上に驚愕するのは彼女のギャップ。普段の学校では突きさすような言葉を吐き、冷ややかな視線を浴びせる生徒会長です。しかしお店ではお客様を楽しませるために「小悪魔」のように時に意地悪に、時に甘えてみせ、男性を甘く翻弄し、その姿はまるで別人すぎて……。

生徒会長であることを知っている主人公に、真帆は店のスタッフには言わないよう脅してきます。それをきっかけに彼女の秘密の共犯者として、段々と主人公は彼女の事情、夢を知っていきます。夢に実直な姿勢、人を魅了する惑わすような仕草、時にのぞかせる弱音、いままで知らなかった彼女の「本当の魅力」を、主人公は目にし、魅せられていくのです。

怖い、冷酷、そんなイメージの裏にある、ただ1人のアイドルである自分を必死に磨く女の子の顔。それが、真帆の本質でした。

アイドルという仕事に持つ誇りと、純粋に可愛いと言えるアイドルとしての要素とのギャップに翻弄されながら、その魅力に振り回されてみたいと思える作品です。

23位:美少女吸血鬼と共同生活。ドタバタラブコメラノベの傑作

阿智太郎が描く、ドタバタ系ラブコメ作品『僕の血を吸わないで』。ある日突然、部屋に飛び込んできた美少女吸血鬼と、彼女と同居生活をすることになった主人公が繰り広げる底抜けに明るい物語ですよ。

主人公「森写歩朗」の部屋に、突然飛び込んできた吸血鬼「ジル」。出会い頭に歩朗の鼻血を吸い始めたその美少女は、追手に追われる身であると語り、おまけに怪我も負っています。お人好しの歩朗は彼女に同居を申し込み、代わりに一つの条件を出します。それは「僕の血を吸わないで」ということで……。こうして2人の共同生活、ドタバタ劇が幕を開けるのです。

著者
阿智 太郎
出版日

痛快なストーリーと主人公の周りに集う様々な登場人物によるドタバタ劇は、活字だけでこんなに笑わせてくれるのか!と驚愕したほどです。人によっては文章が子どもっぽいなどの評価をしますが、逆にいえば、難しく考えずにさらっと読めるということでもあります。

あえていいますが、この作品には小説における文章技術などはそれほど盛り込まれていません。本作の最大の魅力は、底抜けの明るさと作者のギャグセンスなのです。その部分を楽しめる人になら、ハマること間違いなしの作品でしょう。何も考えず大笑いしてもらいたい作品です。

22位:「絶対に負けない!」言葉が熱い三角関係恋愛ラノベ!

非日常の世界へと突然引きずり込まれた普通の少年が、異能力者「フレイムヘイズ」の少女シャナと出会うところから始まるのが『灼眼のシャナ』です。図らずしも、その身に敵が狙う宝具を宿してしまった坂井悠二は、敵である「紅世の徒」から狙われることになります。

著者
高橋 弥七郎
出版日


突然現れたシャナは戦闘となると凛々しく戦う一方、大好物のメロンパンには目がないなどの可愛い一面もあります。シャナが悠二とともに過ごす中で徐々に恋心を自覚していく様子は、もどかしい気持ちになってしまいます。

一方クラスメイトの吉田一美は内気で大人しい少女です。周りの友人たちに応援されて悠二にアプローチしようとしますが、なかなか一歩を踏み出せません。そんな彼女がシャナというライバルの出現によって勇気を出して積極的に行動する姿はつい応援したくなります。

異世界から現れた勝気で凛々しいシャナと同じクラスの大人しく家庭的な一美。対照的なふたりですが恋心をきっかけに強く成長していく姿がとても眩しく、読んでいて胸が熱くなります。2人から向けられる恋心にまったく気づいていない悠二をよそに、シャナと一美は互いの気持ちをきっぱりと宣言します。

「私も、坂井君が好きだから」(『灼眼のシャナ Ⅲ』より)

思ったことをなかなか口に出せない一美ですが、この時ばかりはシャナに向かってはっきりと悠二への恋心を告げます。

「おまえなんかに、絶対に負けない!!」(『灼眼のシャナ Ⅲ』より)

シャナも自分の内にある恋愛感情に戸惑いつつも、一美と戦うことを決めます。

シャナと一美の真っ直ぐな姿にどちらを応援しようかと迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。それほどどちらも魅力的なヒロイン。目移りしてしまうヒロインとの三角関係を描いた恋愛ラノベに仕上がっています。

21位:日常と戦場、2人のヒロイン。パラレル恋愛ラノベ!

「ブラック・テクノロジー」によって異様に軍事技術が発達した世界。秘密の傭兵部隊「ミスリル」の一員である相良宗介は日本のごく普通の女子高生千鳥かなめを護衛するため陣代高校に編入してきます。しかし宗介は戦場育ちで平和な日本の常識には疎く様々なトラブルを起こします。そんな宗介とかなめを中心にしたドタバタコメディと宗介の所属する「ミスリル」とテロリストたちとの熾烈な戦い、その両方を楽しめるのが『フルメタル・パニック』です。

著者
賀東 招二
出版日
1998-09-18


ヒロインであるかなめとテッサが、それぞれに恰好よくて可愛いところがこの作品の魅力です。

かなめは普通の少女ですが、どんな困難にも諦めず、立ち向かう勇気を持っています。

「あたしは絶対あきらめないわ」(『戦うボーイ・ミーツ・ガール』より)

この台詞に象徴されるように宗介に希望の光を与える存在です。彼女の明るさと時折見せるしおらしい女の子らしさのギャップがたまりません。

テッサは宗介の所属する傭兵部隊「ミスリル」の上官です。弱冠17歳でありながら責任ある立場にいる彼女は職務と恋心の間で揺れています。普段は部隊の指揮官とて凛々しい顔を見せるテッサですが、休日には宗介に料理を振舞ったり、長期休暇を利用して宗介とかなめの通う高校に留学したりと、健気にアタックを続ける姿は年相応の可愛らしさがあります。

かなめもテッサも「自分の知らない宗介の姿」を知るお互いのことを意識していきます。それはお互いが尊敬できる友人であり、魅力的な女の子だとわかっているからこその不安感や対抗心です。そんなかなめとテッサの関係にも是非ご注目ください。

最初は分かたれていた日常と戦場は物語を進むにつれて少しずつ交差していきます。その中で宗介がどちらを選ぶのか、ハラハラします。女性同士の微妙な関係性が楽しめる三角関係を描いた恋愛ラノベ作品です。

20位:電波系VSツンドラ系の三角関係恋愛ラノベ!

進路調査票に「故郷の星へ帰る」と書き続ける電波系女子松澤小巻と、友達も作らず常に厳しい物言いのツンドラ系女子相馬広香。このふたりの間で揺れ動く田村雪貞の青春を追ったラブコメディーが『わたしたちの田村くん』です。

著者
竹宮 ゆゆこ
出版日


田村の前に現れたふたりの少女はそれぞれにめんどくさそうな、美少女とはいえちょっと近づきがたいオーラがあります。そんな2人に対して田村は一切遠慮をしません。田村の遠慮のなさによって見えてくるヒロインたちのいじらしさ、可愛らしさがこの作品の魅力です。

中学3年の夏に田村が一目惚れした小巻は電波系、不思議ちゃんと呼ばれ敬遠されている少女。しかし田村が積極的に彼女に関わることで小巻の孤独や本当の想いが明かされます。「故郷の星へ帰る」と進路調査票に書いた理由がわかった時、田村と同じように小巻を心の底から守ってあげたくなるでしょう。気持ちが通じ合った直後、離れ離れになってしまったふたりですが、それでも文通を続ける様子には甘酸っぱさが漂います。

そして高校生になり、小巻との文通が途切れた頃に出会ったのが広香です。彼女はかつて田村の兄にバレンタインのチョコを渡すため、投石をして田村家の窓を粉砕し、チョコレートを田村の部屋に誤爆するというとんでもない美少女でした。

常にツンツンとしている広香ですが、田村からバレンタインの一件を告げられると、突然翌朝から田村を迎えにきたりお弁当を作ってきたりと積極的に行動し始めます。過去の弱い自分を隠すためわざと強気に振舞う広香に、田村は小巻への罪悪感を覚えつつ気になってしまいます。

「仲良くなりたかったの。それだけなの。困らせるつもりじゃなかったの」(『わたしたちの田村くん』より)

広香は自分が今までしてきた行動の理由を田村に明かします。こんな台詞を言われたら思わず惚れてしまっても無理はないと思ってしまいませんか?

小巻も広香も自分を押し隠し、一生懸命強がって生きている女の子です。そんな彼女たちの力になりたいという田村の気持ちには共感できるのではないでしょうか。同時にふたりとも魅力的な分、どちらかひとりを選べないという気持ちにもなります。そんな悩ましい気持ちになれるのもこの作品の良さです。田村少年がどんな選択をするのかもお楽しみに。

19位:大人と女子高生のタブーラブコメラノベ!

『29とJK』は世間では大人が女子高生と付き合うことがタブーとされる風潮に疑問を投げかけた作品です。

29歳のオーバーワーク気味の槍羽鋭二は大好きなネットカフェでの休日を過ごしていました。そんなある日、「あること」により説教した女子高生・南里花恋に惚れられ告白されてしまいます。告白自体はきっぱりと断ったものの、後日会社社長に呼び出され「孫の花恋との交際を命ずる」という業務命令を受け女子高生と交際をスタートすることに。

著者
裕時 悠示
出版日
2016-06-14

と、そんな物語は妄想するだけなら楽しいものですが、実際問題として考えると様々な問題が浮かび上がってきます。花恋は社長の孫娘ということが判明した上に、交際の強制。一回り以上も歳の離れた女子高生とは付き合うといういうのは世間の目が気になるものですが、社長の命令には逆らえません。恋愛に年齢は関係ないという理想論はありますが、一般的にはそれを許してくれないという葛藤もありますよね。

20代、30代といった現代の若者の社会との向き合い方を描いている作品でもあり、その年代の人には共感できる内容もあるのではないでしょうか?現代の奴隷とも言われる社畜に焦点を当て、フィクションのラブコメという形で心の癒やしと問題提起をした物語です。

ラブコメのおすすめ作品でもありますが、社会人奮闘ものとしても楽しめるため、ラブコメ好き以外にもおすすめできる稀有な作品です。

18位:庶民のサンプルとしてお嬢様学校に!?

このラブコメラノベの舞台である清華院女学校は名家の令嬢のみが通うお嬢様学校で、社会から隔てるように建てられていました。生徒は敷地から全く出ることがないため、一般常識や肉親以外の男性を知らないまま学校生活を送ります。その結果、世間や男性への耐性が付いておらず、卒業後引きこもりが多くなってしまいました。

著者
七月 隆文
出版日
2011-11-19

平凡な高校生、神楽坂公人は突然拉致され、問題を解決するため庶民のサンプルとして清華院女学校に転校させられました。孤立している同級生、天空橋愛佳は目立つことを目的に公人と「庶民部」を創部します。「超絶箱入り娘」相手に公人はどうしていくのか、必見です!

世間知らずのお嬢様にとって、携帯電話やファーストフードなどを知っている庶民はもはや憧れの存在。そんな一般常識を珍しそうに扱うお嬢様に笑いを誘われます。

メインヒロインは、愛佳と理想のお嬢様有栖川麗子、天才少女汐留白亜、なぜか帯刀している神領可憐の4人です。この4人は庶民部で公人から庶民について学んでいきます。それぞれ個性が強いため、部活のトークも面白いです!

17位:オタク×リア充のリアルなラブコメ

高校生活の初日に路上で見かけた美少女・長谷川翠に一目惚れした隠れオタクの柏田直輝。彼はその初日に翠とは正反対の見た目ビッチの美少女・恋ヶ崎桃にオタクであることを知られてしまいます。

弱みを握られてしまった直輝は、桃にオタク美少年・鈴木爽太に片思いしていることをカミングアウトされ「あたしをオタクにしなさいよ!」と言われてしまいます。秘密をバラさないとの交換条件に、爽太との仲を深めるための協力を求められ、2人はお互いの恋のために連携し合うことに。

著者
村上 凛
出版日
2011-07-20

そしてこの本のタイトル通り『おまえをオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ!』という物語が始まります。

主人公の直輝はビッチの桃をオタクに、桃はオタクの直樹をリア充にするため協力という物語なのですが、案の定ただお互いがなりたい属性になって恋が成就するだけという安直な展開にはなりません。果たしてその協力関係を通して物語がどのように変化していくのか、というのが見所です。

ライトノベル特有の記号的なキャラクターがあまり出てこず、リアルな人間が描かれていることが特徴。挿絵の萌え萌えなイラストからは想像できないような濃い内容になっています。タイトルと表紙のギャップが大きい作品とも言えるかもしれません。ぜひその見応えのある物語を読んでみてください。

16位:攻略対象は200人以上!女の子だけの帆船に拾われた少年のラブコメラノベ!

紅帝国の第二皇子であるシューフェン。彼は政変により国にはいられなくなり、逃亡生活の末、アラミス海軍の帆船に拾われることになります。だがそこは男子禁制で、正体が露見すれば間違いなく処刑されてしまい……というストーリーです。

自身の正体が露見した際、軍艦ビシャスホースの女艦長である、セネカ・ヴァイトリングに女装を勧められますが、セネカは大のセクハラ魔神でありシューフェンは後々まで、彼女のセクハラに思い悩まされます。彼女を中心とした女子クルーたちのセクハラシーンが話の肝にもなっています。
 

著者
白鳥 士郎
出版日
2009-08-15


性別は男なのに女の子のように見える男子のことを「男の娘」といいますが、シューフェンは女子の中にいても見分けがつかないほどの美貌を持つ男の娘なのでした。

女性の集団生活の中に男が舞い込むという、ハーレム系のライトノベルにはよくある設定と思う方もいるかもしれませんが、本作の主人公シューフェンは剣の腕は抜群、しかも王子様という、まさしくヒーローと言ってもいい存在です。カッコかわいいシューフェンの魅力にあなたもハマってみませんか?

15位:フィギュアスケート×幽霊?ラブコメありの傑作!

銀盤というタイトルの通り、フィギュアスケートを題材とした作品『銀盤カレイドスコープ』。アニメ化もされ、人気は高いです。

主人公の桜野タズサは16歳の現役女子高生にして、日本屈指の実力を持つフィギュアスケート選手であり、オリンピック日本代表候補の1人です。その美貌と高飛車な態度、毒舌ぶりも一流なため、マスコミからは「氷上の悪夢」などと陰口を言われるほど嫌われ者でもあります。

著者
海原 零
出版日

そんな彼女ですが、ある日国際大会で惨敗し、意気消沈していると、誰もいないはずなのに突然少年の声が聞こえてくるのです。声の主は、ピート・パンプスというカナダ人の少年で、なんと彼はタズサが試合に出た日に亡くなり、そのまま彼女に憑依してしまったというのです。彼が成仏するのは、トリノオリンピックのフィギュアスケート女子シングルの競技が行われる日。はたしてタズサは、幽霊の少年と共同生活を送りながらも五輪で優勝できるのでしょうか。

フィギュアスケートというと、どちらかといえば目で見て楽しむ競技と考えられる方もいると思います。しかしその考えを覆すほどに想像力を掻き立てられる文章が、本作の魅力の一つといえるでしょう。ほかにも破天荒で毒舌、だけど実はプレッシャーに弱いというタズサのキャラクター性が魅力的で、そんな彼女とピートのドキドキなラブコメ要素も楽しめます。ラノベのテンプレートを見事に抑えつつ、フィギュアスケートの魅力を詰め込んだスポーツラノベの傑作です。

14位:西尾維新の独特の作風が生んだヒット作

「講談社BOX」創刊から一貫して続く、西尾維新の作品「物語」シリーズ。第1作目『化物語』のタイトルをもってシリーズ全体で呼称されることが多いこの著作は、「100パーセント趣味で書かれた小説です。」が売り文句であることが有名です。

このシリーズにも妖怪は登場しますが、作中では「怪異」という呼び方をつけられており、人間の噂や信仰によって生まれる「怪現象」のような存在です。ちなみにキョンシーや吸血鬼、レイニー・デヴィル(ヨーロッパに古くから伝わる猿の悪魔)といった外国の怪物も登場します。

主人公の阿良々木暦は、高校二年生の春休み、死にかけていたひとりの吸血鬼を助けてしまったことで、「吸血鬼もどき」という不死身に近い体となってしまいます。しかし、不死身になっても、暦は根っからのお人好しで、戦場ヶ原ひたぎ、八九寺真宵、神原駿河、羽川翼ら少女たちが出会った怪異の事件を解決することで助けるために奔走していきます。

そんな一風変わった妖怪モノとしてのストーリーも楽しめますが、その一方、

「失礼、噛みました」 
「違う、わざとだ……」 
「噛みまみた」 
わざとじゃないっ!? 
「垣間見た」 
「僕の才能の一端をか!?」(『化物語』から引用)

と、真宵が暦の名前を呼ぼうとして噛んだ際の会話のように、少女たちのボケに対して暦がツッコミを入れる、まさに夫婦漫才のような会話シーンが多いという、コメディ要素も強いのが見所です。しかし、注目すべきもうひとつの見所は、「物語」シリーズのすべてに活かされている、言葉遊びと掛け合いを得意とする西尾維新の独特な作風にあります。

著者
西尾 維新
出版日
2006-11-01

「誰かを頼ればいいなんて、酷い言葉だ。自分自身がそんな存在だなんて。おかしいのが自分だなんて。そんなこと、言えるわけがないのに。」(阿良々木暦のセリフ『化物語』から引用) 

「ずっと一人でいると、自分が特別なんじゃないかって思っちゃうわよね。一人でいると、確かに、その他大勢にはならないもの。でも、それはなれないだけ。笑っちゃうわ。」(戦場ヶ原ひたぎのセリフ『化物語』から引用)

怪異という非日常との隣り合わせの今を生きる中、暦やひたぎをはじめとした登場人物の言葉の数々。これらもまた読んでいるだけで、人として今を生きることの重さが伝わってくるような気がします。

そうしたコメディとシリアスの両方を併せ持った作風で生まれ、活かされている物語とその登場人物たちだからこそ、「趣味」で書いた作品とはいえ、多くの人気を集めているのも頷けるのではないでしょうか。

第1巻『化物語』から確かめてみる価値のある作品です。

13位:三角形より複雑な形を描いた恋愛ラノベ

同じ部活に所属する高校生の男女5人組が不思議な出来事に立ち向かうのが『ココロコネクト』です。ある日突然5人の人格がアトランダムに入れ替わるようになり、それをきっかけに互いに隠していた想い、秘めていた過去に触れることになります。

著者
庵田 定夏
出版日
2010-01-30


自己犠牲の精神が染みついてしまっている主人公の八重樫太一、ムードメーカーでいろいろな顔を見せる永瀬伊織、クールで頭脳明晰な稲葉姫子、この3人の三角関係はそれぞれが仲の良い友人であるがゆえに切なさが漂います。

この作品の魅力は繊細な筆致で描かれる登場人物の心理描写です。稲葉は恋心を隠しながら太一と伊織が上手くいくように仕向けます。それはこれまでの友情関係を維持したいがため、5人で過ごす日々を守るためでした。友情が壊れるなら今のままでいいという稲葉の気持ちが痛いほど切々と語られます。

「そうすればずっと五人でいられる。大切な空間を守っていられる。

 自分は五人でいることが、あの空間のことが、大好きで大好きで仕方ないのだ。」(『ココロコネクト キズランダム』より)

しかしこの物語は苦しいだけではありません。恋心に背を向ける稲葉に対して伊織ははっきりと告げます。

「永瀬伊織と稲葉姫子の友情は、好きな男を取り合ったぐらいで壊れないよっっっ!」(『ココロコネクト キズランダム』より)

友達だからこそ苦しい思いもすれば、救われるような気持ちにもなります。恋と友情、そのどちらに対しても真摯に向き合う彼女たちのやりとりに胸が熱くなりました。

そんな眩しくて、時々痛い青春ストーリーが楽しめるのがこの作品です。

12位:恋愛対象は目立たない少女?丸戸史明が送るオタと普通の恋愛模様

安芸倫也は桜が舞い散るなか出会った少女に感化され、同人ギャルゲーを作ろうと決意します。しかし彼は絵も描けなければ、文章も書けません。ないないづくしの彼が取った選択肢は、自分が知りうる、有能なクリエイターたちにゲーム作りを手伝ってもらうということ、そして彼自身はそのプロデューサーとして世間を席巻するような伝説のギャルゲーを作るということを決意します。
 

著者
丸戸史明
出版日
2012-07-20


メインヒロイン加藤恵(桜の下で出会った少女)との再会以後は、ツンデレ幼なじみ兼新進気鋭の同人イラストレーターこと澤村・スペンサー・英梨々と、腹黒先輩こと新人の際に発表したライトノベル『恋するメトロノーム』が累計50万部を売り上げたライトノベル作家霞ヶ丘詩羽が物語を引っ掻き回し、メインヒロインの存在感は回を追うごとにどんどんと小さくなります。

しかし、さらに巻を追うと、その加藤恵よりも存在感がない波島出海というヒロインが登場するので、いつも二番手三番手にいるけど、実は恵は魅力的なメインヒロインなのではないかと思えてくるのが不思議です。

なお、七巻でキチンと逆襲をしますので加藤恵可愛いな、この物語読んでも大丈夫かな、と思う方でも安心です。

11位:丹念な描写。もどかしさで悶える上質ラブコメ

舞台となる高校は私立央生高校。新進気鋭の新設校で部活動が盛んであり、必ず部活動に所属しなければいけない、という決まりがありました。しかし、主人公の三並英太は運動系の部活に入るのも、文化系の部活に入るのも億劫で仕方がありません。

全体的に無気力で、やるせない気持ちを毎日抱えたままの英太は、図書委員になれば、部活に参加するのと同じ扱いになると知り、「どう考えても一番楽だった」図書委員になることにします。そこで出会ったのが東雲侑子という少女。彼の運命を変えることになる東雲侑子には、ある秘密があって……。
 

著者
["森橋ビンゴ", "Nardack"]
出版日


このラノベで得られるのは共感です。特に思春期の男子女子にはぜひ読んでもらいたいです。鬱屈とした感情を抱えながら、ちっぽけな自分と思い悩んでいる方に向けた、優しい世界が確かに存在すると思い描けるライトノベルとなっています。

ヒロインの東雲侑子は西園幽子というペンネームで、短編小説を書いている小説家です。中学生の頃にデビューをした彼女は、ある悩みを抱えていました。それは長編小説が書けないということ、そこで彼女は才気が溢れるわけでもない、ごくごく平凡な主人公に対し、とあるきっかけから長編小説が書きたいから付き合って欲しいと言います。

トリッキーな美少女が何かを知るために、主人公と付き合い始めるという展開はありがちだと言ってもいいかもしれません。しかしこの作品に登場するのはアニメ的ではない等身大の少年少女たち。背伸びをすることもなく、平凡な二人は本当に普通に付き合い、仲を深めていきます。その過程も丁寧に描写をされていて惹きつけられること受け合いです。

10位:パロディネタ多しの丁寧な文体で送るラブコメ作品

特殊な口調、磨呂眉毛が個性的な、未来からやって来たカマタリさんは、将来日本を文字通り壊滅させる蘇我野三姉妹を、どうにかこうにかして陥れたいと考えていました。目的は未来の日本を救うため……。
 

著者
["石川博品", "一真"]
出版日


主人公の中野太一は、カマタリさんに親友を人質に取られ、ヒロインである蘇我野三姉妹を攻略することを命じられます。しかし自称クズ、そして最弱の主人公は「恋愛なんて……ムリ」と言うどころか、人質を取った相手に向かって、「それくらいで俺を自由にできると思うなよ!」とのたまいます。

ハーレムラノベにありがちな、最初から主人公に好意を抱いているキャラクターはいません。主人公が努力をし、自らの存在価値を認め、成長していく過程が丁寧に描かれています。

9位:妹のペンネームは「エロマンガ先生」

累計発行部数は500万部超えの『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』コンビ、伏見つかさ&かんざきひろの話題作です!

高校生ライトノベル作家マサムネは、1年間の引きこもりをしている12歳の妹が自作のイラストレーター「エロマンガ先生」であることを知り、どうにかして妹を家から出そうとするものの……。

著者
伏見 つかさ
出版日
2013-12-10

主人公マサムネは高校生でありながらライトノベル作家をしています。そして引きこもりの紗霧は「エロマンガ先生」なるペンネームでイラストレーターとして活動中。プロの世界で巡りあった兄と妹の日常が動いていくことになります。

ラノベ作家が主人公ということもあり、物語の作り方へのこだわり、作家のみぞ知る小ネタが登場し思わず感心してしまいます。作家仲間と語り合ったり罵り合ったり、アニメや漫画などのパロディネタが散りばめられたりしているのも、同じ趣味を抱いた読者の中にはグッとくる人もいるでしょう。

それ以上に目が離せない本作の要はマサムネと妙霧の間柄にあります。兄と妹、ラノベ作家とイラストレーター、切っても切れない関係を持った2人の心躍るラブコメディーなのです!

8位:探偵学園ラブコメ

生徒数8000人の超巨大学園・白樹台学園の生徒会を牛耳るのは、女好きの女暴君「生徒会長・天王寺狐徹」、校内のマドンナ的存在「副会長・竹内美園」、そして生徒会予算8億円を握っているという不登校児「会計・聖橋キリカ」。

生徒会長である狐徹に生徒会へ無理やり入会させられた主人公・牧村ひかげは、キリカに任されているもう一つの役職・探偵業を手伝うことになります。そして生徒会室にやってくるトラブルを解決する日々が始まるのです。

著者
杉井 光
出版日
2011-12-02

この作品はそんな白樹台学園内で繰り広げられる学園探偵ラブコメです。メインヒロインだけでなく周囲の個性豊かな女の子たちが魅力的で王道のラブコメ作品だと言えます。学園探偵ものでありながら探偵としての要素は薄くシリアスな内容は控えめ。どちらかと言えばギャグと萌え要素が多いので、あまり難しく考えずに読むことができます。

『神様のメモ帳』や『さよならピアノソナタ』で有名な杉井光と、人気絵師・ぽんかん(8)のタッグによって生まれた人気作です。文章力と企画力で定評のある杉井とぽんかん(8)のコラボレーションはまさに必見の名作となっています。

7位:天才と凡才。そんな2人の恋の行方は……

鴨志田一による『さくら荘のペットな彼女』。1人の男子高校生が、さくら荘と呼ばれる学生寮で、芸術以外にはまるで無頓着で非常識な少女と出会い、お世話をするお話です。あ、いえ、それだけじゃなく、共に生活するうちにやがて惹かれ合っていくという青春ストーリーでもありますよ。

著者
鴨志田 一
出版日
2010-01-10

学生寮で無断で猫を飼っていたペナルティとして、悪い噂の絶えないさくら荘への入居を迫られた主人公の神田空太。そこで世界的な天才画家椎名ましろという少女と出会います。しかし、世界的に認められた画家でありながら、現在は漫画を描く彼女は、芸術や漫画のこと以外には全く興味がなく、自分の身の回りのこともできないような残念な少女だったのでした。

そんな彼女の世話を押し付けられた空太は、世話を焼くうちに、彼女の漫画へのひたむきな姿に、芸術家としての才能と、女の子としての魅力の両方を感じていくようになります。はじめは世話が必要であったましろのことを、ただただ残念な少女だと思っていた空太は、話が進むにつれ、彼女の才能という絶対に超えられない壁を感じるようになっていきます。

空太自身も、ゲーム企画を企業に送るなどしてクリエイティブな夢を実現しようと努力している人間です。しかし凡才な彼にとっては、好きなことを他者に認められるということは難しいことで、そんなことに劣等感を覚えて声を荒げてしまうこともしばしば。

恋と夢、そしてその狭間で葛藤する2人を描くこの物語は、ゆるめのタイトルの割には人物の悩みや葛藤をリアルに表現しています。空太の挫折や劣等感による憤りなど、率直な感情を文章から見て取れる決して甘くはない青春ストーリーを楽しめますよ。

ましろ以外にも非凡な才能を持った人物が集まるさくら荘で、空太が凡才な自分と向き合いながらも成長していく姿は、悩み多き高校生の姿をまっすぐに映し出しているといえるでしょう。そんな平凡な少年と特別な少女の恋を描く物語の行方がどうなっていくのか、その先が気になる作品ともなっていますので、ぜひご一読を。

6位:馬車の荷台で眠っていたのは狼の神様!?

行商人の青年と、豊穣を司る狼の神を名乗る、狼の耳と尻尾を持った少女の旅を描く、支倉凍砂のラノベ『狼と香辛料』。

「わっちは神と呼ばれていたがよ。わっちゃあホロ以外の何者でもない」(『狼と香辛料』から引用)

旅の途中、馬車の荷台の中に潜り込んで眠っていたところを、主人公の行商人・ロレンスに見つけられた少女はそう名乗った後、彼と共に故郷であるヨイツを目指して旅をすることになります。

著者
支倉 凍砂
出版日
2006-02-10

行商人が主人公なだけあって、彼の旅先で出会うほとんどの登場人物が商人とその他関係者である為、一見、主人公が行く先々で彼らと商売のやり取りをしながら旅をするだけという平凡な物語に感じられます。しかし、その主人公の道連れとなる狼の少女という存在が、その物語を引き立たせるのがこのラノベの見所でもあります。

花魁みたいな喋り方が特徴的で、マイペースで自由気ままな性格の持ち主である少女・ホロ。彼女はロレンスに自分のことを尋ねられてものらりくらりとはぐらかしたり、さらに商売に口を挟んだり茶々を入れたりしてきては騒動や衝突を引き起こします。おまけにその細身からは想像できないほどの大食いの大酒飲みで、なんとひとりで子豚の丸焼きを平らげてしまうほどです。

しかし一方で彼女は、相手の声から嘘を見抜くほどの洞察力と、触れ合った硬貨の音から純度の差を聞き分けられる耳の良さと、何より麦を成長させるという不思議な力でロレンスを助けることがあります。こうした所から、ホロは良い意味と悪い意味の両方でロレンスと物語にも刺激と影響を与えているのです。

題名にもある、そんな「香辛料」のきいた旅を続ける行商人と狼の少女は、果たしてヨイツに辿り着くことができるのでしょうか。気になりましたら、皆さんも一緒に確かめに行ってみてはみませんか?

5位:実写映画化もされたラブコメラノベ作品!

主人公の羽瀬川小鷹は、三日月夜空の勢いに飲まれ、隣人部という部活に所属することになりました。彼が隣人部に所属した途端に、運命の歯車は回り始め数多くの一癖も二癖もある生徒たちが部に所属するようになります。

隣人部とは名目上『キリスト教の精神に則り、同じ学校通う仲間の善き隣人となり友誼(友情)を深めるべく、誠心誠意、臨機応変に切磋琢磨する』という夜空のでっち上げにより生まれた部活動であり、簡単に言えば友達作りを目的とした部活動です。
 

著者
["平坂 読", "ブリキ"]
出版日


部長である三日月夜空は誰もが羨むほどの美貌を持ちながら学園内で孤立しており、口が悪く、自分勝手で、恥ずかしがり屋でシャイな女の子。

羽瀬川小鷹は目付きが悪くコミュ障で人と外れた視点を持ち、何かと世間と相容れない主人公。

小鷹の次に入部をした柏崎星奈は神々しい美貌、神に愛された美少女と自称するちょっと痛い女の子。成績優秀運動神経抜群でも、人の支持は得られずクラスでも下心を持つ男子くらいにしか相手にされない悲しい美少女です。

その次に入部をした楠幸村は、自称いじめを受けている男子生徒。女子のような外見を持ちそれが原因で嫌がらせを受けていると告白します。そのせいか友達が少ないです。

志熊理科は有名な科学者であり、たまに新製品を開発しては小鷹にスルーされるかわいそうな女の子。変態で腐女子という仮面をかぶった友だちがいない美少女です。

最後に入部をすることになる羽瀬川小鳩は、主人公の妹にしてブラコン、さらに中二病をこじらせた美少女で……と、面白いキャラクターが沢山登場し、小鷹のツッコミも冴えに冴えてストーリーは展開していきます。

羽瀬川小鷹が成長を見せるのは最後の最後、しかもほんの少しです。ただ彼は、最後に生きている証を見せるのです。不器用でもいい、正直であれ、そんなけして優しくない世界の中で巻き起こるハーレムストーリーです。

4位:これぞ、学園ラブコメ

科学とオカルトと偶然によって出来た「試験召喚システム」。それは振り分け試験の成績で、厳しくクラスがわけられるシステムです。成績が悪ければ最悪の環境に追いやられてしまうのです。

著者
["井上 堅二", "ファミ通文庫編集部", "葉賀 ユイ"]
出版日

主人公吉井明久は自他ともに認める「バカ」。もちろん最低クラスであるFクラスに振り分けられます。明久はしかし、自分のクラスに憧れの女子姫路瑞希がいることに気づきます。彼女は成績優秀にも関わらず、試験中に体調不良を起こしFクラスに振り分けられてしまっていたのでした。明久は瑞希をFクラスの環境から救い、最高設備を手に入れるべく、「試験召喚戦争」を勃発させ、Aクラスとの対戦に臨み……。

学力試験の点数を競うという、ちょっと変わったテーマの本作。はたして「バカ」が「召喚獣」を使い、最高ランクのAクラスに勝つことはできるのか? ハラハラドキドキが楽しめるラノベです。

3位:ぼっちを極める男。彼の青春は間違いだらけだった

渡航(わたりわたる)によるライトノベル。いわゆる残念系ラブコメに分類される作品です。ひねくれた孤独な高校生ライフを送る主人公が、それを見かねた教師によって強引に「奉仕部」に入れられることから、非常に残念な青春ストーリーが展開されていきます。

主人公の比企谷八幡(ひきがやはちまん)は頭も良く運動神経も良いかなりスペックの高い高校2年生。しかし彼は入学時に事故に遭ったせいもあって友達ができず、そのうち「ぼっち」を極めようと考え始めるのです。そんなひねくれた八幡は、奉仕部で校内一の美少女雪ノ下雪乃と出会います。

著者
["渡 航", "ぽんかん8"]
出版日

どう考えてもラブコメ展開を予感させる出会い方なのですが、彼らの場合は違いました。ふたりとも性格がひねくれてますので、間違いだらけの青春模様が展開されていくのです。

ひねくれた考え方で、一人ではない人間をすべて敵視するかのような彼の言動は、まさに一人ぼっちを哲学するとも言える内容ばかりです。

「おそらく、非モテぼっちほどのリアリストはいないだろう。非モテ三原則【(希望を)持たず、(心の隙を)作らず、(甘い話を)持ち込ませず】を心に刻んで生きているのだ。」(『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』3巻より引用。)

「俺と会話するなんて、こいつも実はいい奴なのだろうか。だが、いい奴なのだとしたら話を広げてやれなかったのが申し訳ない。あまりにも申し訳ないので今後は迷惑をかけないように二度と話をしないことにした。」(『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』4巻より引用。)

「みんなでやることが素晴らしくて、みんなでやることがいいことで、じゃあ、一人でやることは悪いことなのか?どうして、今まで一人でも頑張ってきていた人間が否定されなきゃいけないんだ。そのことが俺は許せない。」(『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』6巻より引用。)

このように自虐要素も強い迷言、名言のオンパレードなのです。しかし、彼が語る言葉には時にガツンと心に響くものがあったりもします。人は誰しも一人になってしまう事があるもの。そんな時の心の敏感な部分を突いてくる彼の言葉は、人によっては共感を覚える言葉であり、救われる言葉だったりもするのです。

そんな彼の言葉は、この作品の大きな魅力の一つとなっているとも言えます。ここに紹介した八幡の迷言、名言はほんの一部です。是非作品の中で、みなさんの共感できるセリフをさがしてみてください。

主人公八幡のひねくれた性格が災いして中々すんなりとはラブコメ展開にならない本作品ではありますが、それだけに、現実にそう簡単には恋愛に発展するわけないだろう!という人の心理をくすぐる展開です。その焦らされるような展開は切なくもあり、非常に楽しめる要素でもあります。

2位:プールで出会った不思議な少女との恋が泣ける

中学二年の夏休み、主人公の浅羽直之は「園原電波新聞部」という非公式の部活の部長である水前寺邦弘と共に、UFOを探してずっと山籠もりをしていまいた。直之達の暮らす町には、UFOの噂が付きまとう空軍基地があったのです。

著者
["秋山 瑞人", "駒都 えーじ"]
出版日

しかし、夏休みの間にUFOを見つけることはできず、せめてもの夏の思い出作りに直之は夜の学校のプールへ忍び込みました。

「めちゃくちゃ気持ちいいぞ、と誰かが言っていた。だから自分もやろうと決めた」(『イリヤの空、UFOの夏 その1』より引用)

そこで直之は、ひとりの不思議な少女と出会いました。それは伊里野加奈という少女で、学校が始まった後、転校生として再び直之の前に現れます。プールで泳ぎ方を教えたこともあり、直之は彼女と親しくなっていきますが、彼女は大量の薬を飲んだり鼻血を出したりするちょっと変わった子。しかも手首には銀色の玉まで埋め込まれていました。これらは後に、伊里野の秘密、そして世界の秘密へと繋がっていきます。

世界の秘密である軍隊の描写と日常の描写という正反対の物語の要素が、お互いをさらに強調し合って物語に深みを与えています。少年少女の出会いから始まる、いわゆるボーイ・ミーツ・ガールものとしても人気の作品ですが、一方で、軍隊の専門知識も盛り込まれており、完成度の高い作品です。

1位:互いの恋を応援する「だけ」の関係?泣ける名作ラブコメラノベ!

主人公の高須竜児は、その目つきの悪さから周りの人からいつも「ヤンキー」と誤解されてしまう高校2年生。2年に進級した春、親友の北村祐作や、片思い相手の櫛枝実乃梨と同じクラスになったまでは良かったのですが、また他の生徒の誤解を解かなければならないと思うと憂鬱な気持ちでした。

著者
竹宮 ゆゆこ
出版日
2006-03-25

しかしそんな竜児の前に現れたのは、実乃梨の親友である逢坂大河という小柄な少女。一見すると美少女の大河ですが、実は彼女は「手乗りタイガー」との異名すら持つ凶暴で残忍な性格。彼女のおかげで新しいクラスメイトの誤解は解くことができましたが、その後、竜児は大河の秘密を知ってしまうことになるのです。

ある日、大河は祐作へ渡すはずのラブレターを間違って竜児に渡してしまいます。竜児は大河が親友の祐作を好きなことを知ってしまったのです。そのことをきっかけに、竜児と大河は「お互いの恋を応援する共同戦線」を張ることにしたのですが、行動を共にするうちにだんだんとふたりの気持ちに変化が現れていき……。

主人公の竜児とヒロインの大河は、それぞれ好きな人がいます。お互いの好きな人に自分の気持ちを伝えられるように、お互いに協力をするのがこの物語のメインです。とにかくラブコメ要素がたくさん詰め込んであるので、ラブコメを読みたい! と思っている方にはぜひ手に取ってもらいたい1冊。

一方で、ラブコメだけではなく、主人公たちを含めた登場人物達のキャラクターを活かした青春ストーリーも丁寧に描かれており、その切なさや甘酸っぱさが読者の気持ちを揺り動かしてくれます。特に物語冒頭の文章はそんな甘酸っぱさが詰まったもの。

「そう簡単には手に入らないように、世界はそれを隠したのだ。だけどいつかは、誰かが見つける。手に入れるべきたった一人が、ちゃんとそれを見つけられる。そういうふうになっている」(『とらドラ!』より引用)

派手な出来事があるわけではありませんが、1つ1つの気持ちやエピソードが丁寧。しかしライトノベルらしいハイテンションとスピード感のあるテンポで進んでいくので、飽きることなく最後まで一気に楽しめる作品です。

いかがでしたでしょうか。ハーレム、ラブコメと聞くとくだらないとか、中高生向けというイメージが強いかもしれません。たしかに、パロディの元ネタがわからないと大変な作品もありますが、丁寧なストーリーと恋愛模様で楽しませる作品ばかりです。ぜひ一度読んでみてください。このたびは記事をご覧いただきまして誠にありがとうございました。

  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena
もっと見る もっと見る