『鬼灯の冷徹』好きにおすすめの漫画5選!

更新:2021.1.7

アニメ第2期も好評な『鬼灯の冷徹』は、ひと味違ったブラックユーモアに特徴があります。地獄ならではの超越的視点の風刺がたまりません。今回は時にシニカルに、時におかしく、俗世離れした人々を描いた漫画5作品をご紹介します。

  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena

その面白さ、まさに神! 神罰仏罰上等、聖人の日常コメディ

世紀末を何年か過ぎた日本。東京は立川のアパートの一室には、2人のただならぬ男性が住んでいました。慎ましく暮らす2人でしたが、気を抜くとうっかり奇跡を起こしてしまいます。

彼らの正体は覚醒者ブッダ、神の子イエス。人類に救済をもたらす2大聖人本人なのでした。ところが今は休暇中。世界に名だたる聖人達が、ちょっと風変わりなお兄さんとして下町の庶民生活を大いに満喫しています。

著者
中村 光
出版日
2008-01-23

本作は2006年から「モーニング・ツー」で連載されている中村光の作品。

わざわざ説明するまでもないでしょうが、ブッダとイエスは仏教とキリスト教で信仰される聖人です。2人は聖人だけに「聖」の苗字を名乗って、Tシャツにジーパンなどのラフな格好で日々過ごしています。

そんな2人の日常は、コンビニに買い物に行って女子高生の視線を気にしたり、ゲームを遊んでみたり、ネットに興じてみたり、バラエティ番組好きが高じてお笑いコンビを結成してみたり。バカンス中だからなのでしょうか、とても聖人とは思えません。

その一方で、突然神秘的な後光が差したり、感情が昂ぶって水を葡萄酒に変えたり、言い伝えにあるような奇跡をコミカルに起こしてしまいます。

ブッダ、イエスの人となりやエピソードにその生涯や聖典が反映されており、ギャグ漫画なのにところどころ宗教色が出ています。若干やり過ぎなところもあって、本家本元から怒られるのではないかと心配になってしまいますが、宗教を茶化しているわけではないので恐らく大丈夫でしょう。

あくまでも聖人としての存在を感じさせつつ、宗教的な文脈とは距離を置いています。それに地上に降りた彼らは休暇中。神様ですら、6日働いてから休む1日はきっと羽根を伸ばすことでしょうし、宗教家も寛容に見てくれるはずです。たぶん。

仏教やキリスト教に詳しければクスリと笑えるネタも多く、そうでない方もこれをきっかけに各宗教を調べてみるのも面白いと思います。

念動力でお腹が捩れる!? 爆笑必至サイキック学園コメディ!

主人公の斉木楠雄(さいきくすお)は平凡な男子高校生……を装った超能力者です。ほとんど万能の力を持っていながら、目立つことを避けて平穏な暮らしを望んでいます。ところが彼の周りには、何かと厄介な人物が揃っていて、どうしても騒動が巻き起こります。

楠雄は自身の力が露見しないよう、苦労しながらそれらのトラブルに対処していくのでした。

著者
麻生 周一
出版日
2012-09-04

本作は「週刊少年ジャンプ」で連載されている麻生周一の作品。

登場人物はそれぞれが、超能力に由来する名前を持っているという共通点があります。しかし、基本的に超能力を使えるのは主人公の楠雄のみです。

その力は多岐に渡り、文字通りなんでもこなせる万能さ。『ドラえもん』で言えばのび太ではなくドラえもんで、RPGで例えるなら主人公ではなくラスボスと言ったところでしょうか。

では楠雄が人並み外れた人格かというと、そうではないのが本作の面白いところ。作中で1番かつ、当初は唯一の超能力者なのに1番まともなのが主人公なのです。脇役がとにかく個性的。一般人なのに非常にキャラが濃いのです。おかげで、特殊で特別な主人公が常識人枠のツッコミ役となっていて、普通に考えるとあべこべな現象が起きています。

バカでケツ顎の燃堂力(ねんどうりき)は、外見からはわからないお人好しの善人。海藤瞬(かいどうしゅん)は高校デビューに失敗した中二病です。学校でも有名な美人の照橋心美(てるはしここみ)はヒロイン格なのですが、実は物凄く腹黒な性格をしています。

こういったクラスメイトに加えて、底抜けに脳天気で天然の両親、國春と楠子が楠雄の平穏な日常を引っかき回していくのです。楠雄が能力のせいでグレなかったのは、ひとえに天然両親の奇跡的な教育方針があったればこそなので、鬱陶しくても憎めないのが彼にとって困ったところ。

シュールな一般人の周囲に対して、超能力者の楠雄がクールに常識的に対処していくという、ギャップのある日常ギャグコメディ。一度読めば病みつきになります。ひょっとするとそれは楠雄の催眠術かも知れません。

美味にして甘美なる謎、謎、謎の数々!

「謎」を糧に生きる魔人の脳噛(のうがみ)ネウロ。魔界の「謎」を食べ尽くした彼は、新たな食料を求めて人間界へと渡ります。

ネウロが地上で見つけた最初の「謎」が、後に彼の相棒となる桂木弥子(かつらぎやこ)の事件でした。弥子の父親、誠一の殺人事件を解決したネウロ。次に彼は、人間界での便利のために弥子を探偵役にして、「魔界探偵事務所」を立ち上げて自分はその助手に収まりました。

そして彼らは、数々の難事件へと挑んでいくことになります。

著者
松井 優征
出版日
2005-07-04

本作は2005年から「週刊少年ジャンプ」で連載されていた松井優征の作品。

探偵モノということで、一応は推理漫画ということになるでしょう。特徴的なのは、人外の魔人にして事件そのものよりも「謎」に執着するネウロの存在です。「謎」とは犯人に隠された悪意のエネルギーとでも言いましょうか。ネウロはこれが大好物。

最初は無理矢理探偵役にされた弥子でしたが、幾度も事件を経験するうちに、人の心を理解する能力が芽生えていきます。

一見すると謎解き推理モノのようですが、実際には謎解きはあまり重視されていません。それよりももっと単純にエンターテインメントに振り切っています。通常ではあり得ないような仕掛けや、無茶苦茶なトリック、それらを仕込んだ犯人の異常性。そしてそんな荒唐無稽なネタをネウロが斜め上の方法で暴いてみせる、痛快な娯楽作品となっています。

ある種の時代劇的勧善懲悪というか、荒唐無稽な犯人を荒唐無稽な主人公が、荒唐無稽にばっさりやり込める様を楽しむのが本作の正しいたしなみ方です。主人公側も犯人側も、誰も彼もがバラエティに富んだ濃いキャラで、飽きさせません。一応ヒロイン格である弥子ですら酷い扱い。各所にちりばめられたブラックユーモアも魅力の1つ。

総じてジャンプ作品として邪道ですが、エンターテインメントとしては王道を貫いた怪作です。

魔界の実力者、美貌の公爵アスタロト!

恋人の死に思い悩んだ少年が、禁断の書を用いてある悪魔を呼び出しました。それは魔界でも最高位に当たる4大実力者の1柱、大公爵アスタロトだったのです。

悪魔でありながら慈悲深いアスタロトは、彼なりの方法で人間に目こぼしをしてやりますが、やがてそれが権謀術数渦巻く魔界の陰謀へと発展していくのでした。

著者
魔夜 峰央
出版日

本作は1991年から「別冊プリンセス」で連載されていた魔夜峰央の作品。悪魔アスタロトを主人公とした一連の短編連作シリーズですが、掲載誌が休載したことにより残念ながら未完となっています。

大抵のキリスト教の悪魔の原型になったのは土着の神様や精霊です。アスタロトも例外ではなく、地中海地域で崇められたウガリット神話の豊穣の女神アスタルトにその起源があります。そうだからかは不明ですが、アスタロトは怪しい美貌の持ち主です。魔夜作品の主要人物はだいたいそうかも知れませんが。

魔夜と言えばギャグ漫画『パタリロ!』が有名ですが、本作ではコメディ要素はやや控えめ。他作品でも時々見られる耽美的な要素が強く、そこにシリアスやグロテスクなネタが挟まれていきます。

短編では様々な物語が紡がれますが、軸となっているのはアスタロトを中心とした魔界の権力闘争。アスタロトは高位の悪魔らしく、冷酷で残忍、そして何よりも強いです。悪魔に対しては容赦しませんが、人間には気まぐれに優しさを覗かせ、慈悲心を見せてくれるのがなんとも魅力的なキャラクターです。

独自のエキゾチックな雰囲気や、哲学的な思想もあって、未完なのが非常に惜しい作品。いつか何かの形で再開してくれることを望まずにいられません。


『鬼灯の冷徹』についておさらいしたい方は<漫画『鬼灯の冷徹』のキャラ魅力紹介!白澤との過去も【25巻ネタバレ注意】>をご覧ください。

現代のダークヒーロー岸京一郎。偏屈病理医が生命を繋ぐ!

総合病院の病理医の主人公岸京一郎(きしけいいちろう)は極めて優秀ながら、偏屈さが災いして同僚から距離を置かれています。

ある時、患者の症例検討会で、岸は診断に疑問を差し挟みます。その姿を見た神経内科の新人女医宮崎は、自身も疑問に思っていたことから、岸の力を借りて改めて原因を究明しました。

病理医は病院の縁の下の力持ち。この一件から宮崎も病理部へと転科しました。岸は人知れず患者を救っていきます。

著者
恵 三朗
出版日
2014-11-21

本作は2014年から「月刊アフタヌーン」で連載されている草水敏原作、恵三朗作画の作品です。

病理医とはなかなか聞き慣れない職業かと思います。患者が病気に罹った際、直接応対して診断するのが臨床医。普段我々が行く内科や外科の先生がそうです。病理医は解剖や生体組織の検査によって、病気の原因を診断する専門医のこと。予測や推測ではなく、確たるデータとして病気を特定する、治療の上では欠かせない重要な仕事です。

現実世界にはブラックジャックのような天才医師はいません。そこで大切となってくるのがデータの積み重ねなのです。

岸は優秀な手腕で、見過ごされてしまいそうな病気を特定し、人知れず患者を救う日陰のヒーローなのです。病理医は原則として患者を受け持たない裏方の仕事なので、直接感謝されることはありません。それでも彼は救い続けます。

では岸がヒロイックな正義感の持ち主かというと、そうではないのです。非常に偏屈で口が悪く、常に斜に構えたような悪人面。自ら性格が悪いとうそぶき、「面白い人だけど近くにいると面倒な親戚」と評されるような人物です。

そんな飄々とした変人がトラブルを起こさないはずがなく、何かと問題を起こしてはおしかりを受けるのがお決まりのパターンです。同じ病理部に属する宮崎と、検査技師の森井も呆れることしきり。

キレ者で信頼も篤いのに、変人として一定の距離を置かれている。どこかにそんな鬼神がいましたね。作品のジャンルも方向性もまるで違いますが、こんなキャラを堪能したい方にはおすすめ。ストーリーも骨太な医療モノとして読み応え抜群となっています。


いかがでしたか? 一風変わった作品ばかりをお送りしました。これらを読めば、見慣れた日常が少し目新しく感じるようになるかも知れません。

もっと見る もっと見る