愛くるしい姿で多くの人を魅了するカピバラですが、意外とその詳細を知らない人は多いかもしれません。今回は彼らの生態と、可愛さに触れることのできる3冊の本をご紹介していきます。
基本情報
カピバラの体長は106センチ~134センチ。体重はオスで34キロ~64キロ、メスで37キロ~66キロです。体自体も大きいのですが、体を覆う毛が5センチ以上と長く、非常に硬いのが特徴。この毛は水をはじきやすく、さらに乾きやすくできているので、温泉に入っても湯冷めすることはありません。
野生のカピバラは、南米東部のアマゾン川流域を中心とした温暖な水辺やジャングルに生息しています。基本的に水の近くで生活することを好むので、、熱帯雨林などに生息することも。
南米原産のため、暖かい場所を好み、寒さには弱いです。原産国の一部では家畜用や食用として捕獲されることもありましたが、現在ではすべての国で捕獲を禁止されています。
食性
植物食で、水辺に生えているイネ科の植物を食べています。昼間は水中で休んでおり、午後から夕方にかけて採食をします。夜間は休むことと採食をすることを交互におこなっているので、主な活動時間は夕方といえるでしょう。
性格
非常に穏やかな性格で、人間にもよく懐く人気者。家族を大切にすることでも知られており、子供が敵に襲われそうになると大人が率先して子供を守ります。基本的には穏やかな性格ですが、身の危険を感じると狂暴になる一面も。鋭い前歯で噛みついてくることもあるので、注意が必要です。
飼育の条件
温水プールを用意し、1日に3キロほどの餌を用意すること。この条件を満たすことができれば、一般の人でもカピバラを飼うことは可能です。
彼らは水中で過ごす時間が多いため、家で飼う場合でもプールを用意しなくてはいけません。寒さに弱いので、1日中お湯を沸かす器具も必要です。飼育をする際は、生活する水場を作ることが必須条件だといえるでしょう。
値段
1頭の値段は、およそ70万円程度です。体が丈夫なので、赤ちゃんを購入すれば10年~12年は生きることができます。
餌
植物食なので、基本的には野菜をあげましょう。キャベツ、サツマイモ、ニンジン、トウモロコシ、干し草などを好んで食べます。
体が大きいため、食べる量も1日3キロほどと多いです。ミネラルが不足すると身体が弱ってしまうので、食塩の塊をなめさせてあげることも必要です。
月の餌代は3万円ほどかかります。
注意点
飼育をする際は、歯のケアをしっかりしてあげましょう。カピバラの歯は一生伸び続けます。そのため適切な長さを保てるように、固いものを噛んで歯を削らなくてはいけないのです。
歯を放置して伸ばしてしまうとかみ合わせが悪くなり、物をうまく食べることができなくなります。その状態が続くと栄養失調になってしまうので、家で飼う際はかじる専用の木などを用意し、きちんと歯のケアをできる環境を整えてあげましょう。
また、カピバラは雨が苦手です。普段水中で生活しているため気にしないように思いがちですが、雨が降ってくると葉っぱの傘で水滴をしのぐほど。雨に濡れて体が冷えるのを防いでいます。飼育をする際は、雨宿りできる場所を確保してあげるとよいでしょう。
彼らを温泉に入れる試みを始めたのは、「伊豆シャボテン動物公園」だといわれています。1982年の冬、飼育員がお湯を使って展示場を掃除していたところ、お湯がたまった場所にカピバラが集まっていたんだとか。
そこで飼育員たちは、「寒さに弱いカピバラに冬は温泉であたたまってもらおう」と、温泉を設置したそうです。
しかしその試みは簡単なものではありませんでした。当時カピバラは、水状のものは冷たいものだと体で覚えていて、なかなか温泉に入りたがらなかったそう。飼育員たちが温泉に餌を浮かべたり、誘導したりと創意工夫を重ねて、やっと温泉に馴染んでいきました。
ちなみにお気に入りの温度は、40度~42度。中年のカピバラほど温泉が好きで、長い時は2時間ぐらい入っているそうです。
また彼らの肌は乾燥するとカサカサになってひび割れをしてしまうので、温泉はリラックスできるだけでなく、乾燥対策にも役立っているといえるでしょう。
カピバラのさまざまな表情が楽しめるフォトブックです。家族団らんしている姿、食事をしている姿、同居人のリスと戯れている姿など、貴重な彼らの姿を84ページにわたって紹介しています。
- 著者
- 渡辺克仁
- 出版日
- 2009-05-01
彼らのリラックスしている表情を見ていると、いつの間にか時間がゆっくり流れていることを感じることができるでしょう。食べたいときに食べて、のんびりしたいときにのんびりする。そんなありのままの姿を眺めていると、読者もいつの間にか彼らの時間軸に入り込んでしまいます。
表情豊かな写真だけでなく、基本的な情報もしっかり載っていて、合間にはコラムも挿入されています。カピバラの本を初めて手に取る人にぴったりの一冊だといえるでしょう。
持ち運びに便利なコンパクトサイズなので、動物園に持っていって、実際のカピバラと比べてみるのも面白いかもしれません。
本書は、カピバラを取りあげた初の写真集です。さまざまな角度から撮られた写真は、毛並みまでじっくり見ることができる精巧さ。読みながら思わず撫でたくなってしまうような、リアルで可愛らしい彼らを楽しむことができます。
- 著者
- 渡辺 克仁
- 出版日
- 2008-06-01
本書は写真集ですが、特筆すべきは「カピバラに会える動物園ガイド」です。飼育している動物園を紹介するだけでなく、触れることが可能かどうか、もっとも接近できる距離はどれくらいか、餌やりができるのか、触るときのコツ……など、なかなか手に入れることのできない情報をしっかりカバーしています。
本書をきっかけにファンになったという人も少なくなく、カピバラを知るうえでのバイブルだといえるでしょう。外せない一冊です。
本書は、読者の気持ちに合わせて写真をセレクトした、新しい視点のフォトブック。たとえば餌を食べている写真には
「ダイエット中、でもバクバク食べたい!そんなときは・・・『食いしん坊カピバラ!』」(『カピバラでぽっかぽか~癒しのカピバラフォトガイド~』より引用)
このような言葉が添えられているのです。
- 著者
- 渡辺克仁
- 出版日
- 2011-01-29
「ファイティングカピバラ」「逃亡カピバラ」「ラブラブカピバラ」「集団カピバラ」……思わず顔がにやけてしまうような、可愛らしい姿が満載です。
我々と同じ世界に、こんなにものんびりと暮らしている彼らがいると知るだけでも、読者の心は深く癒されるはず。見ているだけで心が豊かになるフォトブックです。
いかがでしたでしょうか?今回はカピバラの生態と、彼らの可愛さに触れたい人におすすめの本をご紹介しました。最後までお読みいただきありがとうございました。