この記事では、猫好きおすすめしたい漫画『ねこ、はじめました』をご紹介します!事故に遭い、ネコの体に乗り移ってしまった男子高校生の、危機感のないゆるいネコライフが、笑いと癒しをとどけてくれます。
- 著者
- 環方 このみ
- 出版日
- 2016-07-22
事故に遭ってしまった男子高校生が、どういうわけかネコとなり、さらに女子高生のペットになってしまうコメディ漫画『ねこ、はじめました』。
著者の環方このみは、2006年に『ちゃおDX冬号』で掲載された『レンズごしのホント』でデビューし、その後も同雑誌上で多数の作品を発表しました。はっきりとした線で描かれる可愛い登場人物たちが特徴です。
リアルに描かれたねこの習性と、ノリノリでねこ生活を満喫する主人公の姿が楽しい本作。この記事ではその魅力と見どころについてご紹介します。
主人公の和代尚(かずしろなお)は、交通事故にあった自分が救急車で運ばれていく様子を見送り、ふと違和感を覚えました。そばにあったガラスを覗き込むと、目があったのはネコ。どうやら彼はネコに乗り移ってしまったようなのです。
「なんだ、夢か」と気を取り直した尚は、予定があるからといって早く起きようとしますが、どうやってもうまくいきません。それどころか、ネコとしての自分の身体能力の高さに感動して、しばらくネコの体を満喫してしまうのでした。
高いところから飛び降りても華麗に着地できたり、狭い柵をするりと抜けられたり、鋭い爪を使って木に登れたり。ネコの体の柔軟さに感動してしまった尚は目を輝かせます。「ネコすげぇ!」「ネコ楽しい!」「ネコやべぇ!」など語彙力が乏しいところからは、彼がどんな男子高校生であるかが想像できるでしょう。
見かけたネコたちに不用意に近づいてしまった尚は野良ネコの怒りを買ってコテンパンにされてしまいますが、その痛みでやっと「夢にしてはリアルだな?」と、自分の状況を疑い始めます。この時点で少し遅いです。
さらにヒロインの野山チカ(のやまちか)に出会い、彼女が落としていった生徒手帳を届けに学校へ向かうと、見知らぬ2人の生徒の会話から「2組の和代という生徒が事故にあった」「今も意識不明」というのを耳にしてしまいます。
ここでようやく、彼は自分がネコになってしまった事実と向き合うこととなりますが……。「これについては後で考えるとして、今はあの子に生徒手帳を届けよう!」と能天気に切り替えてチカを探したのでした。
ネコになってしまったかもしれない、という可能性が限りなく強くなっても、一度として慌てることなくネコであり続ける尚は、肝が据わっているのか、それとも危機感が無いだけなのか。事故の噂をしていた生徒たちが尚を「あのアホっぽいやつ」といっていた理由もわかります。
事故に遭った尚の体はどうなってしまうのか、もしかしたらこのままずっとネコなのか。尚があまりに気にしない性格のため、心配になってしまうのは読者の方かもしれません。
野山チカは尚と同じ高校に火曜女子生徒です。野良ネコにボコボコにされて倒れる尚のお腹につまずき、転んでパンツが丸見えになってしまうという激しい登場シーンを見せました。
その時チカは、尚がお腹を空かせていることに気づくと、持っていたおにぎりを惜しげもなく割って尚に食べさせました。笑顔が可愛くて動物にやさしいという魅力溢れる女の子。おにぎりの半分こに失敗したり、生徒手帳を何度も落としてなくしたりと、少し抜けたところも見せますが、それすらチャームポイントです。
チカはわけあって一人暮らしをしており、隙のある彼女を心配した友人が様子を見に彼女の部屋に訪れます。その友人はなんとチカにストーカーがいると睨み、その言葉を耳にした尚は「人間のままだったなら守ってあげられるのに……」と悔やみ、そしてこう思ったのでした。
「そうか…俺がネコの姿をしてるのは あの子を危険から守る……なんかの任務なのでは⁉」(『ねこ、はじめました』1巻から引用)
チカを危険から救ったあとには、呪いが解けて人間の姿に戻り、ハッピーエンド。そんな幸せな妄想が尚の頭を埋め尽くします。しかし結局、熱い視線でストーカーと勘違いされていたのは尚だったのです。
チカはそんな尚を抱き上げると、「この子は私が飼う!」と宣言します。以前におにぎりを分けあったことを覚えていた彼女は、尚に運命を感じたというのです。尚にもあらためて「ニャオ」という名前をつけ、笑顔いっぱいで抱きしめる姿はまるで天使のよう。こんなに可愛い女の子のペットになれたのなら、尚もネコになったかいがあったかもしれません。
ネコとなり、チカのペットとしての生活をある程度楽しんでいた尚でしたが、やはり人間に戻ることを諦めたわけではありませんでした。はやく元の姿に戻らないとと思いつつ、なんとなく体調不良に悩まされる日々が続きます。
肉球でスマートフォンが操作できることを知った尚は、チカの目を盗んで自分の不調について調べてみました。すると「命に関わる場合もある」という、衝撃的な文章を目にしてしまうのです。
人間の体で事故にあっただけでなく、ネコの体でも病気になっているかもしれないという状況に焦る尚は、チカがこのネコのことを、自分が乗り移る前から知っていたのだと知りました。
もし自分が死んでしまったら、このネコも死んでしまうのだろうか、そうなってしまったらチカは悲しむだろうか。不安に悩まされた尚は、一か八かの一手としてある行動に出ます。
チカの一人暮らしにどんな理由があるかはまだ明かされていませんが、せっかく出会えたペットが苦しむ姿は彼女の心配をあおります。またペットを失った飼い主の心には、ぽっかりと穴が空いてしまうのです。チカの笑顔を守るために尚が取った行動とは……。ぜひ実際に確かめてみてください。
- 著者
- 環方 このみ
- 出版日
- 2017-03-31
尚は、たまたま通りかかった病院の中に、車椅子に乗った人間の姿の自分を見つけていました。意識を取り戻したとわかってよかったものの、もし自分がネコに乗り移ったのではなく、ネコと入れ替わってしまっていたのだとしたら、今人間の尚の体にはネコが入っているということになります。
真相を突き止め、人間に戻れるヒントを得ようとした尚は病院に乗り込もうとしますが、ネコのままでは入れてもらえません。どうしたらよいのかと考えていると、たくさんのネコたちが同じ方向に向かって歩いていくのを目撃します。
好奇心から、ネコたちにまざって歩き出した尚。その先で見たものは……?
激しい事故のようでしたが、人間の尚の体は目立った傷などなく、車椅子に乗っているのも怪我が完治するまでの一時的なもののようです。しかし、自分の中にネコが入っているかもしれないと疑い始めてしまってからは、尚も気が気じゃありません。
チカとの生活の中でも少しずつボロが出始めてしまった尚。このままネコを演じ続け、人間に戻るためのヒントを得ることはできるのでしょうか?
ほのぼのとしたストーリーの中にあるたくさんの笑いと、少しのスリルが楽しい『ねこ、はじめました』。今後の展開に期待大です。
- 著者
- 環方 このみ
- 出版日
- 2017-11-29
いかがでしたか?ニャオとチカのゆるい2人によるほのぼのライフは読者を癒してくれます。ぜひ読んでみてください。