美人だった妻が不運な事故で化け物のような顔に。醜くなった妻を愛せるのか?人は心だというあなた、『愚者の皮』を読んでも同じことが言えますか?
- 著者
- 草野 誼
- 出版日
- 2015-11-17
美人で評判だった妻が不運な事故によって醜い化け物のような顔になってしまうという悲劇を全力で振り切って書いた快作『愚者の皮』。作者は傑作嫁姑漫画『かんかん橋をわたって』でも知られる草野誼です。
今回は、読んだ人の多くが衝撃を受けたと語る本作の魅力をご紹介させていただきます。
英馬とあよは周囲がうらやむ美男美女夫婦。ふたりは容姿だけでなく性格も良く、夫の英馬はホームレスにコートをあげてしまうような善人で、妻のあよも献身的に介護のボランティアをしています。
あよの妊娠も発覚し、幸せの絶頂に思えましたが、あよは車に轢かれ、顔の半分に大きな傷がついてしまいました。その傷を見た英馬の愛情が冷めていくのを感じたあよは焦って怪しげな美容整形に手をだしてしまい……。
手術前の面影がまったくない顔になってしまったあよ。それだけでもショックなのですが、さらなる悲劇があよを襲います。
家に帰ったあよは部屋に引きこもりますが、夫の英馬が部屋に入ってきて……。
「近寄るな!おぞましい!」そんな心ない言葉の後、英馬は離婚届を用意します。
あよは、私の姿が見たくないなら、裏庭に小屋を立ててそこで一生暮らすから捨てないで、とすがりつきます。一度は「君の望むとおりにするよ」と言った英馬でしたが、あよが外出している隙に、別れも告げず引っ越してしまいます。
英馬への憎しみをつのらせたあよは、復讐を計画し……。
新天地で活躍する英馬をあよは追いかけます。
レストランのイケメン店員として話題になっていた英馬の元に向かったあよでしたが、英馬はあよの顔を見て嘔吐し、仕事を辞めてしまいます。
次に英馬が向かったのは介護事務所。あよは探偵事務所を使って、英馬の居場所を調べ上げ、配達される花瓶の中に隠れて事務所に侵入します。もうほとんどギャグです。怖すぎます。
そして英馬に捨てられたと事務所で騒ぎを起こし、英馬は事務所を去らざるをえなくなります。
英馬はあよから逃げるため偽名で働きますが……。
- 著者
- 草野 誼
- 出版日
- 2015-11-17
衝撃的な展開が連続する『愚者の皮』。昼ドラもかくやというドロドロぶりですが、ただのドロドロ復讐劇ではなく、救いを求め悩むあよと英馬の姿を通して、本当に大切なものは何なのかを描き出す感動的な物語でもあります。上下巻でしっかりとまとまっているのも魅力と言えるでしょう。
怖いもの見たさ、興味本位で読み始めていただいて大丈夫。上巻を読み終える頃には下巻を読まずにはいられなくなっているはずです。