アニメでは聞き取れなかったあのセリフも、漫画を読めば大丈夫!!女子高生4人の日常を描いた『てーきゅう』の魅力を、全巻のネタバレを交えながらご紹介していきます。
『てーきゅう』はルーツ原作、Piyo作画による、テニス部に所属している女子高生4人の日常を描いたギャグ漫画です。
「コミックアース・スター」で2012年から連載されていて、同年10月にはアニメ第1期、翌2013年には第2期・第3期と、怒涛の勢いで人気を伸ばしています。
アニメ版の最大の魅力は、何といってもスピード感。3分程度の映像にこれでもかというほどストーリーを詰め込み、聞きとるだけでも苦労するほどの早口なセリフは、これまでのアニメに類を見ない独特な仕上がりになっています。
- 著者
- ["ルーツ/原作", "Piyo/作画"]
- 出版日
- 2012-08-11
主人公でありツッコミを担当しているのが、1年生の押本ユリ(おしもとゆり)。そして残りの3人は、2年生の新庄かなえ(しんじょうかなえ)、高宮なすの(たかみやなすの)、板東まりも(ばんどうまりも)。全員ボケです。
この記事では、個性が強すぎる先輩たちとの、あまりテニスに関係ない波乱万丈な日常を描いた学園ギャグ漫画『てーきゅう』の魅力について、各巻のネタバレを交えながら紹介していきます。
1巻では、主人公のユリをはじめとする主要メンバーが順番に登場。各キャラクターの個性やポジションの解説がメインになっています。
特に見どころのストーリーは、「第4面 先輩とグーニーズ」。
4人のなかでももっとも珍妙な性格をしているかなえの家に、テニス部の面々は遊びに行くことになりました。しかしその家の様子は想像を絶するもの。
ツッコミどころ満載のお宅訪問をし、最後は衝撃の事実が明らかになります。
とにかく明るくて元気なかなえ。彼女から放たれるボケの数々はあまりにも変化球すぎて、笑いが止まらなくなること間違いなしです。また彼女の代名詞にもなりつつある夜叉の構えをはじめ、数々の奇行から目が離せません。
- 著者
- ["ルーツ", "Piyo"]
- 出版日
- 2012-10-12
2巻ではみんなでお祭りに参加したり、幼稚園のお手伝いで節分の鬼役をさせられたり、テニス合宿に来たはずなのに温泉卓球にのめり込んでしまったりと、部活動からは完全にかけ離れたとんでもないエピソードが盛りだくさんになっています。
ここで注目するのは「【おまけ漫画10】先輩とチョコレート工場」です。なぜか突然歯並びが悪くなってしまったまりもは、矯正のために歯医者に通うことになるのですが、そこにタンクトップの歯医者さんが現れて、ナナメ上をいく数々のボケを仕掛けてきます。
普段はユリを困らせているボケ担当のまりもですが、歯医者さんの奇怪な行動に対しては完全にツッコミ役。普段のメンバーとの絡みでは見られない一面が多々あり、見どころになっています。
- 著者
- ["ルーツ", "Piyo"]
- 出版日
- 2012-12-12
3巻では体育祭や、テニスコートの所有権を争って野球部と対決するなど、運動に関する多彩なストーリーが描かれています。
そんななかで明らかに異彩を放っているのが、「第23面 先輩とE.T.」です。
とある日の夜、まりもの家に謎の飛行物体が不時着しました。彼女が目を覚ますと、そこには眩しくて目が開けられないほど輝いている宇宙人がいたのです。
突然現れた宇宙人というポジションに、またしてもまりもがボケからツッコミに回るのかと思った人も多いかもしれませんが、ここでは彼女と宇宙人のボケとツッコミが頻繁に入れ替わる「ダブルボケ」を堪能することができます。
明らかに収集が付かなそうな異色の組み合わせは、一体どんな展開を巻き起こすのでしょうか。またこの宇宙人は、今後もたびたび登場することになる重要なキャラクターのひとりなので、要チェックです。
- 著者
- ["ルーツ", "Piyo"]
- 出版日
- 2013-06-12
4巻ではみんなでスキー場へと足を運んだり、なすのの知り合いのケーキ屋の経営を手伝ったりする物語が描かれます。
「第33面 先輩とコンスタンティン」では、押本家の誰かの葬儀がおこなわれているのですが、やって来たお坊さんは明らかにギャルでした……。
ギャル坊さんの登場に違和感を抱くユリ。しかしなぜか周りは普通に接しているので、最初は様子をうかがっていました。しかし、明らかにギャル語のお経を流していたり、電話で仏陀と話したりなど、ツッコミを入れなければ収まらない状況になってしまいます。
そんななか、気が付くと除霊されていたはずの幽霊がユリにだけ見える展開に。そのことに気が付いた幽霊は、彼女に体を貸してほしいとお願いしてきました。しぶしぶながらユリが了承すると、そのせいでとんでもないことが起こってしまいます……!
本巻では新キャラとして、ギャル坊さんが登場。いつもは気の知れた先輩たちだからこそ全力でツッコミを入れることができるユリですが、明らかに異常な坊さんでも初対面の相手にはさすがに遠慮が見られます。
また、幽霊に体を貸してしまった彼女は一体どうなってしまうのでしょうか?新たな要素を巻き込んだ4巻も、見どころ満載になっています。
- 著者
- ["ルーツ", "Piyo"]
- 出版日
- 2013-08-12
5巻は部活動らしい題材として「第35面 先輩とトゥモロー・ネバー・ダイ」全国大会が始まります。
かなえから全国大会の1回戦の相手を聞いて、奮闘する4人。しかし試合はなんと明日に迫っているという絶望的な状況です。
練習もまともにできずに迎えた大会でしたが、所々にボケを挟みつつ、最初のシングルはなすのが勝利をあげます。このまま勢いに乗りたいところでしたが、まりもはプレーシーンが描かれることも無くボロ負け。ユリとかなえのダブルスに運命が託されますが、いったいどうなってしまうのか……。
本巻では、これまでほとんど見ることのできなかった、テニス部としてまともにテニスをする場面が描かれます。特にまりも以外のキャラクターはプレーも手抜きなく、タイトルからテニス要素を期待していた読者にとっては1番の見どころではないでしょうか。
全国大会の1回戦は無事に勝つことができるのか、目が離せません。
- 著者
- ["ルーツ", "Piyo"]
- 出版日
- 2013-10-12
6巻では、かなえのおばあちゃんや、なすのと徐々に親しくなっていくユリの弟・陽太のエピソードが描かれています。特に目を引く物語としては、かなえが商店街の福引で当てた景品でカンボジア旅行に行くことになる「第49面 先輩とターミナル」です。
ついにテニス部4人が海を越えることになりました。まずは必需品のパスポートを作りに行くのですが、かなえの驚きの事実が判明したり、まりもが取り押さえられてしまったりと、相変わらずの破天荒なテニス部です。
なんとかパスポートを発行できた彼女たちでしたが、カンボジアに行くまでにはさらなる試練が待ち受けていました。
このエピソードはなぜか必要以上に江戸時代を絡めたつくりとなっており、いつも以上にシュールな内容になっています。また、先輩以外にもボケ担当の登場人物が目白押しで、かなえたちが他の物語よりも静かに見えてしまう面白さです。
- 著者
- ["ルーツ", "Piyo"]
- 出版日
- 2013-12-12
7巻では文化祭や校内の清掃活動、かなえの事故やクリスパーティーといったエピソードが収録されています。
そのひとつである「第53面 先輩とダイ・ハード3」では、テニス部4人でたこ焼きパーティーをすることになります。徐々に登場人物が増えていくなかで、このエピソードは4人だけの構成になっているため、より彼女たちの面白さを感じることができるでしょう。
作品当初からのセオリーであるボケ3人にツッコミ1人という、怒涛の勢いを感じられるエピソードになっています。たこ焼きを作るだけのはずなのに、誰にも予想できないボケを発してくる彼女たちに、読者の方がユリよりも先にツッコミを入れてしまうかもしれません。
またたこ焼き作りのなかで、なすのが意味深なことを言っているのですが、そのあたりもしっかりとフラグが回収されており、まさかの結果に……。
- 著者
- ルーツ
- 出版日
- 2014-07-11
8巻ではまりもの家に住みついている宇宙人や、かなえのおばあちゃんがラッパーとして再登場。さらには新たなキャラクターも続々登場し、さらなる盛り上がりを見せるエピソードが満載です。
なかでも特に注目するべきは「第65面 先輩とトレマーズ」でしょう。
まりもはとある女子高生に声をかけられます。どこかで顔を合わせたことがあるという彼女は、なんと5巻の全国大会で対戦相手だった兎亀高校の田中きなこでした。見た目は大人しそうな女の子なのですが、完全にボケ担当のSF妄想好き。トンデモ女子高生だったのです。
この2人で展開されるエピソードは、基本的にまりもがツッコミに回ることが多くなっているようです。新キャラの田中は、まりもやかなえとは違った意味で頭のおかしいボケを物静かに放ってきます。
彼女は今後も要所で活躍する人物なので、注目していきましょう。
- 著者
- ルーツ
- 出版日
- 2015-03-12
9巻ではテニス部のはずなのにバンド活動が始まってしまったり、1年に1度のスーパー真面目に練習する日がやってきたり、田中と宇宙人が出会ってしまったりと、気の休まる暇がない展開が詰め込まれています。
見どころは、「第76面 先輩とデンジャラス・ビューティー」です。
いつものように、お風呂あがりに体重を計っていたユリですが、若干太っていることに気が付きます。そこへ、人の家であることなどお構いなしに、かなえとまりもが現れました。
ユリが太ってしまったことを知り、テニス部でダイエットをすることになるのですが、果たしてうまくいくのでしょうか。
後輩のピンチに一瞬で駆けつける姿はまさに先輩といえるかもしれませんが、神出鬼没な2人には本当に驚きます。ユリが太ってしまったことを知った先輩たちは、彼女を痩せさせるためにさまざまな方法を試すのですが、そこにテニス部らしさはまったくありませんでした。
一緒にダイエットに挑んだ、かなえとまりもにも注目です。
- 著者
- ルーツ
- 出版日
- 2015-09-12
10巻では、ボーリングをしたり、キャンプに行ったりとレジャーなエピソードが多めになっています。そんななかで注目したいのは「第82面 先輩と桐島、部活やめるってよ」です。
久しぶりに登場した兎亀高校の女子高生たちと一緒に、テニスの練習をすることになるのですが、相変わらずまともなプレイシーンは皆無。しかしこれまで触れらてこなかった田中きなこ以外のキャラクターたちについて詳しく描かれており、2回目の全国大会の両校の成績についてもセリフのみで語られています。
いつもどおりテニスをする気がまったくない彼女たち。ユリの「サーブ練習」という言葉に対して、誰ひとりとしてサーブの意味を知らないという状況には、さすがに笑ってしまいます。
本当にテニス部に所属しているのかすら疑わしいですが、バトル展開については、田中の特技でもあるSF的な妄想が広範囲にわたって描かれていて、見どころになっています。
- 著者
- ["ルーツ", "Piyo"]
- 出版日
- 2016-04-12
11巻では、よくわからないラーメン屋に入ってしまったり、みんなで海に行ったり、なぜかお寿司を握ることになったりと、巻末にも書いてあるとおり全体的によくわからないエピソードが盛りだくさんになっています。
そのなかでも特によくわからないのは「第92面 先輩とフェイス/オフ」でしょう。
ある日ユリが目を覚ますと、目の前には宇宙人の姿。鏡を見てみると、そこにはまりもの姿をした自分が映っていました。
驚いたユリは急いで学校へと向かいます。するとそこに現れたユリの体の中にも、ユリが入っていたのです。
ユリが2人になってしまったことと、まりもの意識がどこかに消えてしまったことにみんながパニックになっているところへ、宇宙人と謎のおっさんが助けに来てくれました。
11巻ともなれば、まりもの体にユリの意識が入っていること自体には大した驚きを感じません。しかし入れ替わっていたのかと思いきや、ユリの意識が2人になっていた状況にはさすがに驚きです。
さも当然のように現れた謎のおっさんの正体についても、見逃せませんよ。
- 著者
- ["ルーツ", "Piyo"]
- 出版日
- 2016-10-12
12巻ではテニス部のネットが破損してしまい、みんなでアルバイトをしてお金を貯めることになります。アルバイト先はなすのの計らいで、父親の会社の系列店であるチキンのお店に1日限定で雇ってもらうことになりました。
しかしその店の店長は、神出鬼没な元ケーキ屋の店長ではなく、いつぞやにまりもがアルバイトをしていた豚丼店の店長。ただ以前の面影はなく、何かが抜け落ちたような、抜け殻のような状態になっていました。
数々のボケに対しても淡々とスルーする店長に、徐々にかなえたちのペースが乱れていきます。いつものギャグストーリーとはひと味違ったシュールな絡みに、目が離せません。
決してボケを無視しているわけではないのですが、淡々と、そして軽快にボケをスルーする姿はもはや新たなツッコミの形なのではないのかと思わせるほど、店長の対応には新しい何かを感じてしまいます。
またなすのが、父の系列店なのに自分に媚びを売ってこない店長に対し怒っている姿は、微笑ましく見えるでしょう。
- 著者
- ["ルーツ", "Piyo"]
- 出版日
- 2017-04-12
13巻では動物園に行ったり植物館に行ったり、仮装パーティーに参加したりと、相変わらず四方八方に広がるストーリーが読者を飽きさせることなく楽しませてくれます。見どころになっているエピソードは、「第112面 先輩とマスク」です。
普段はボケ3人のまとめ役としてツッコミを担当しているユリですが、この日は少し様子が変。少し頬を赤らめ、普段からは想像できないようなテンションの上がり方です。
その原因は、家にあったウイスキーボンボンを食べてしまったことでした。いつもとは違うちょっと可愛らしい彼女の姿は見逃せません。
また、ユリの弟である陽太もウイスキーボンボンを食べてしまい、完全に酔っ払いと化しています。ツッコミ役がボケになったとき、かなえやまりもがどんな行動に出るのかにも注目です。
- 著者
- ルーツ
- 出版日
- 2017-08-10
14巻の1番の見どころとなっているエピソードは、「第117面先輩とビッグ」です。
ある日、目が覚めるとなすのの体は子供の姿になっていました。母親からは高宮家特有の現象だと言い聞かせられ、体のサイズに合った服を買いに行くことに。
そこで陽太に出会うのですが、体が小さくなっていることは他言するべきではないと母親から説得され、なすのの妹だと説明することになります。それを利用して、陽太がなすののことをどう思っているのか尋ねるのですが……。
常にお金のことしか考えていない天然お嬢様のようななすの。しかし小さくなってしまった状況を利用して陽太の気持ちを確かめるシーンは、まるで恋愛映画のワンシーンのように描かれています。珍しい展開に読者も思わずドキドキしてしまうこと間違いなし。
一体陽太はどんな答えを出すのでしょうか?気になる方はぜひ原作をご覧ください。
- 著者
- ["ルーツ/原作", "Piyo/作画"]
- 出版日
- 2012-08-11
テニス部に所属している可愛らしい女子高生たちの日常が描かれた本作。メインキャラクターである4人は全員ボケ役で、ゆるいながらもスピード感のあるギャグが満載の物語です。
テニス部のはずなのにバンド活動をしたり、たこ焼きパーティーをしたり、とにかく自由。プレーしている様子はほとんど描かれていません。しかし、「それでもいいよね」と思わせてくれるような癒しがあるのです。
アニメ化もされているので、原作とストーリーを見比べてみるのもよいでしょう。
この記事では紹介できなかったストーリーや、個性豊かな人物たちもまだまだ登場するので、アニメを見たことがある人も無い人も、ぜひこの機会に原作を読んでみてはいかがでしょうか。