ナルシスト、ビッチ、腐女子な3人組の日常生活を描いた漫画『乙女哲学』が現在(2017年11月)スマホアプリで無料公開中です!この記事では、主要キャラクターと、作品の魅力について説明しています。
可愛い系、セクシー系、美人系と、突出した魅力を持つ女子高生の3人組はそれぞれ「ナルシスト」、「ビッチ」、「腐女子」という強烈な個性の持ち主たちでもありました。『乙女哲学』は、そんな残念女子たちの日常風景を描いた作品です。女子高生が持つ華やかなイメージをぶち壊してくれるエピソードが満載の漫画となっています。
この記事では主要キャラクターと、作品の魅力についてご紹介しましょう。
- 著者
- 凌
- 出版日
- 2015-11-21
ぱっちりと開いた目と太陽のような笑顔が特徴の瀬名あいか。文武両道で料理もできる完璧女子です。それゆえ彼女は正真正銘のナルシストで、事あるごとに自分の美貌に惚れ惚れしています。友人から「今日も可愛いね」と言われると「わかる⁉私もそう思う!」と、迷ったり恥ずかしがったりすることなく賛同します。
「私は今日も可愛いな 可愛すぎてもう 逆に不安すら覚える」(『乙女哲学』1巻から引用)
通常、ナルシスト系のキャラクターに感じるのは、自慢気な態度へのイラつきやうざったさかと思いますが、あいかにはそれがありません。その理由は「詰めが甘い」から。ある日も絶好調で自分を褒め称えるあいかは、片足で上履きを履き、もう片足でトイレスリッパを履くというおっちょこちょいな姿を見せました。
作中ではしっかり者の部類に入り、メインキャラクターとなる3人組のまとめ役を担うあいかがいなければ、この物語は成り立ちません。愛すべきナルシストなあいかの奮闘に注目です。
髪も体つきもふわふわと女の子らしく、さらに生まれ持ったアンニュイな表情がミステリアスな印象を作り、異性からモテてモテてきりがない美少女の日向美野里(ひなたみのり)。おっとりした喋り方で相手を癒し、とことん夢中にさせていってしまう魔性の女で、ビッチです。
彼氏がいない期間の方が短いのは、来るものを拒まないからでしょう。電話は男からの連絡で鳴り止まず、「夏」と聞けばまず「ナンパ待ち」が浮かんできてしまうほど男遊びが大好きです。少々毒舌な部分もありますが、それすら魅力になっているのかもしれません。
ある日美野里が電話をとった時、電話の相手に向かって「高橋くん」と呼んだのがあいかは気になりました。美野里が男の名前を覚えているなんて珍しかったのです。しかし、そのことを指摘された美野里はこんな驚きの答えを返します。
「え?全然覚えてないよ さっきのも多分高橋くんじゃない」(『乙女哲学』1巻から引用)
彼女にとって自分に言い寄る男は皆同類で、個々の特徴や人柄などは特に重要ではないのです。電話の向こうの高橋くん(仮)が不憫でなりません。美野里は今後己の欲望のままに、いったい何人の男たちを泣かせるのか。小悪魔、ここに極まれりです。
サラサラの黒髪に整った顔立ち、モデルのようなプロポーションなど、目を奪われるような魅力を持って生まれた辻本恵令奈(つじもとえれな)。社交的な方ではないため交友関係は広くありませんが、密かに憧れる男子も少なくありません。そんな高嶺の花な恵令奈は、実は腐女子です。
腐女子を簡単に説明すると、BL(ボーイズラブ)が好きな女性のこと。恵令奈の趣味はホモゲーで、授業中に暇を感じると先生をネタにBLの妄想をします。メガネで目立たない感じの初老の先生相手でも妄想を膨らますことができていたので、どうやら好みの範囲は広い様子。
「腐るのに理由はいるか?」(『乙女哲学』1巻から引用)
上記はあいかの「なんで腐ったの?」という質問に、恵令奈が返した答えです。キメ顔で答えていますが、特に名言でもなんでもありません。さらに「腐女子をやめろ」と言われた時も「こればっかりは不治の病だから……」という理由で断っています。どこまでも我が道を行く腐女子、それが恵令奈です。
気兼ねない関係、とはいっても、ある程度大人になれば多少は相手の都合を考えて遠慮する場合もありますよね。どれだけ親しくなっても、一切気遣いしないというのは難しい事です。それでもお互いに深く理解しあって、尊重しあえるような友達がほしいと思う人がいるのも事実。そんな方々は、この3人組を見ていると羨ましくなってしまうでしょう。
あいか、美野里、恵令奈の3人にはそれぞれ協調性がありません。極度の自分好き、男好き、BL好きな各自は、まずは自分の一番好きなものに関することが最優先です。学校にいる時も遊んでいる時も、誰かに無理に合わせたり、合わせさせたりすることがありません。
趣味や好みが違っても、「相手は相手、自分は自分」という同じ考えが根底にあるからこそ、ここまで気を許しあえるのではないでしょうか。一人一人が自立し、自分らしくいられる場所があるというのは、とても素敵なことです。
「女子高生」と聞くとなんとなく華があり、恋愛のことやトレンドのファッション、美味しいスイーツの話に花を咲かせているイメージがありませんか?もちろんイメージ通りの華やかな女子高生たちもいます。『乙女哲学』の3人を見ていると、それぞれタイプの違う女子高生のリアルを覗くことができるでしょう。
本編にはお弁当にまつわるエピソードが取り上げられていますが、早起きして可愛い手作り弁当を作って来るあいか、毎日カップ麺などのジャンクフードで済ませる恵令奈、お菓子しか食べない美野里。これらの違いは非常にリアルです。現実の女子高生たちの昼食風景でも、きっと同じ景色が広がっているはず。
他にも、体育の時間は生理だと嘘をついて見学する様子や、オシャレなカフェより牛丼に惹かれる様子、皆そろってスマートフォンをいじる様子など、気を許しあった女子たちのあるあるが満載です。女子高生の実態を知りたい!そんな方はぜひ読んでみてください。
ナルシスト、ビッチ、腐女子という強烈な個性で作品を盛り上げる3人ですが、それぞれには意外なギャップが存在しました。思わず感心したり、キュンとしたりしてしまいそうな様子についてご紹介します。
- 著者
- 凌
- 出版日
- 2016-04-23
まずはあいか。3人組唯一のしっかり者で、たびたび美野里と恵令奈の不真面目さに手を焼く彼女は、すっかり2人の保護者です。もう次はない!という最終宣告を何度もしますが、けっきょく見捨てられずに手を貸します。その保護本能に火が付いてしまったのか、ある日恵令奈が「恋愛とか興味ないし、結婚もどうでもいい」という旨の発言をした時は、孤独に生きて行こうとする恵令奈を心配して「孫の顔を見るまで安心できない!」と訴えました。もはや母親です。
次に美野里。大の男好きで、3人で遊んでいても突然「高橋くんから連絡きたから」といってどこかへ消えてしまうような自由奔放な女子です。しかし、将来の結婚に関する話になり、恵令奈が「最悪の場合あいかと結婚するから」といって彼女の肩を抱くと、「許さない」と目の色を変えて恵令奈に迫りました。どうやら仲間はずれにされるのが嫌な様子。男も好きですが、同じくらいあいかと恵令奈のことも好きだということがわかるシーンです。
最後に恵令奈。独りでいることが割と好きなクール系女子で、BL以外には対して興味を示さない彼女ですが、ある日自分が紹介した後輩と美野里が2人で楽しそうにしている様子をじっと眺めていると、「ねえ、どっちに嫉妬してるの?」とあいかに聞かれ、思わず顔を赤らめてしまいます。本人は慌てて弁解していましたが、説得力は皆無。恵令奈が実は嫉妬深いという意外な一面が明らかになりました。
女子高生たちの楽しい日常風景が詰まった本作、ぜひ手にとってみてください。