あこがれのバンドマンが事故死するという、衝撃ので物語が動き出す『バンギャループ』!この記事では、個性的な登場人物たちの魅力と見どころについてご紹介しましょう。
憧れのバンドマンの事故死を回避すべく、過去に渡ったバンドギャルが奮闘する物語『バンギャループ』。バンド、恋愛、タイムスリップと、さまざまな要素を盛り込んだ読みごたえ抜群の物語となっています。バンドマンの死や、主人公のタイムスリップの真相など、気になる謎も満載です。
この記事では、物語で活躍する主人公と、キーパーソンとなるビジュアル系バンド「squall」のメンバーたちをご紹介します。
- 著者
- マキボロス
- 出版日
- 2015-11-21
ある日、バンドギャルの芽衣子は大好きなビジュアル系バンド「squall(スコール)」のライブに訪れていましたが、メインボーカルの霧(きり)の突然の事故死により、ライブは中止になってしまいます。大好きな人を失ってしまった芽衣子は、喪失感に苛まれていました。
そんなある日、芽衣子の大切な「時計」が謎の男に奪われます。必死に追いかけた彼女はなんとかその男に追いつきますが、勢い余って高所から転落してしまいます。走馬灯のようなものを見ながら、自分の命を諦めた芽衣子でしたが、落ちた先は柔らかなベッドの上。状況を理解しきれない芽衣子は、物音で飛び起きた男の顔を見て驚愕しました。なんと、死んだはずの霧だったのです。
その後続々と現れるメンバーたちの様子を見て芽衣子は気づきます。目の前にいるのは、まだインディーズだった頃のsquall。芽衣子は5年前の世界にタイムスリップしてしまったのです。
女子大生の椎名芽衣子(しいなめいこ)は、ビジュアル系バンド「squall」を追いかけるバンドギャルです。彼女の情熱のほとんどはsquallに捧げられているため、当然のように彼氏はいません。興奮するとヘッドバンギングをしてしまったり、ショックな事があるとデスボイスをあげてしまったりするのは、バンドギャルの性です。
彼女が初めてsquallと出会ったのは高校に入学したての頃。後ろの席でsquallのメジャーデビューに嬉し泣きする友人を見てもらい泣きし、初めてライブに連れて行ってもらった日から、その迫力に圧倒されてすっかり虜になりました。芽衣子の推しはボーカルの「霧(きり)」です。
その霧の突然の死に打ちひしがれていた彼女に、追い打ちをかけるようにして襲ってきたひったくり。奪われた時計は、以前参加したライブで霧から投げ渡されたもので、その時の衝撃で壊れてしまいましたが、以来彼女の宝物となっていました。憧れの人との大切な思い出を失いたくない一心で走り、なんとか男に追いついた芽衣子でしたが、まるで計算されていたかのように高所から落とされて、5年前、まだインディーズだったsquallがルームシェアをしていた家にタイムスリップしてしまったのです。
「自分なら霧の死を防げるかもしれない」。そう思いついた芽衣子は悲しい未来を阻止知るべく行動を起こします。憧れの霧を死なせたくないという気持ちはもちろんですが、それよりも、自分たちの音楽と向き合い、葛藤を続けて成長していくsquallを見て「メンバーの努力の結晶であるsquallを、悲しい理由で解散させたくない」という強い気持ちが働いたのでした。
タイムスリップ、という信じがたい状況をなんとか受け止め、芽衣子はsquallのために奔走します。時に厳しく、時に優しくsquallを支えてくれる芽衣子の存在は、いつしかメンバーたちにとってかけがえのないものになっていくのです。
芽衣子は、メジャーデビューを目指すsquallの背中を押し、霧の未来を変えることができるのでしょうか?
霧は芽衣子が訪れていたライブの直前、事故によって命を落としてしまったsquallのボーカルです。ただ「事故」だと発表されているたけで、本当の死因は明かされていません。生前は大迫力の歌唱力と、キツい言葉での煽りでファンたちを盛り上げていました。
芽衣子が見た5年前の霧は、ステージにいる時の様子とは違って覇気もオーラもなく、哀愁すら感じさせる青年でした。ナーバスな雰囲気を醸し出す霧には、歌っている姿からは感じられない色気があります。
注目していただきたいのは「椎名芽衣子」との関係。霧をはじめ、squallのメンバーは芽衣子の名前を聞いて驚いた表情を見せます。「椎名芽衣子」とは、その時霧が付き合っていた彼女の名前でもあったのです。しかし、どうやら彼女との間に何か事件があったようで、その話題については語ることを嫌がります。
次に、霧の「時計」について。Squallのメンバーが住む家に落ちていた時計は芽衣子が持っていたものとまったく同じで、おそらくは未来の芽衣子に渡るはずの時計です。時計はまだ傷のない綺麗な状態ですが、なぜか針だけは動いていません。この時計が意味することとは、一体……?
はじめは芽衣子を不審者扱いしていた霧も、自分を思う彼女のひたむきな様子に惹かれ、徐々に心を開くようになります。彼が、もう1人の「椎名芽衣子」について語る日は来るのか、5年後の死は回避できるのか、ドキドキの展開から目が離せません。
squallの紅一点であるローサはドラマー。女性とは思えないほど力強いパフォーマンスでバックからバンドを盛り上げる、縁の下の力持ち的な役割を担っています。美しく整った顔立ちと魅惑のプロポーションはステージの上で際立ち、男だらけのsquallに花を添えています。
家では家事全般を引き受けているようで、掃除も洗濯も完璧。特に料理はいつもクオリティーが高く、ローサの細やかな性格が伺えます。そんなローサの秘密は、元男ということ。本名は武雄(たけお)ですが、その名前で呼ばれることは極端に嫌がります。メンバーからふざけ半分で本名を口にされた時に怒り狂う彼女は、まるで人が変わったようです。
さらに気になるのは、霧の彼女だという「椎名芽衣子」との関係。なんと彼女はローサの妹だというのです。一層複雑となった「椎名芽衣子」をめぐる人間関係。いったい彼らの過去には何があったのでしょうか。
squallのギタリストであり、リーダーの遥(はるか)。ステージ上では派手なギターパフォーマンスで観客の視線を集める彼は、どうやら無類の女好きの様子。突然squallが住む家を訪れて動揺する芽衣子肩を当たり前のように抱き、追い出されそうになると「なら俺の部屋においでよ」と、プレイボーイな言動を見せます。
固定ファンが少なかったインディーズ時代、自分に言い寄ってきた女性ファンと体の関係を持ちながら資金援助をさせていましたが、相手を思う気持ちはないようです。バンドを成り立たせていくための手段として割り切っているような様子からは、とてもドライな印象を感じられます。
しかし、バンド内で問題が発生したり、メンバーが喧嘩をしたりすると「リーダー権限」といいながら仲裁に入るなど、きちんとsquallをまとめている姿も見せます。squallの中では最も二面性の際立ち、今後の行動の予測ができない人物だといえるでしょう。
ステージの上ではフードを深く被り、眼帯をし、衣装で口元まで覆いながらベースを奏でる奏太(かなた)。霧に似た冷たくてキツい雰囲気を持っており、ファンたちからは「カナタ様」と呼ばれ親しまれています。
しかし、その正体はオタク男子。「俺の嫁」と書かれた謎のTシャツをまとい、「保存用」と「観覧用」のアニメ雑誌を所持し、「魔女っこれくしょんのDVD BOX」を欲しがります。突然家に現れた芽衣子を見た時も「なんで三次元の女の子がいるの⁉」と特殊なリアクションを見せました。
「未来からやってきた」というにわかには信じられない芽衣子の説明に、最も食いつきのよい姿勢を見せたのは奏太です。もしかするとこの先、一番先に芽衣子の事情を理解してくれるのは彼かもしれません。意外性ナンバーワンの奏太との展開も要チェックです。
- 著者
- マキボロス
- 出版日
- 2015-11-21
いくつもの謎が散りばめられ、読みごたえ抜群となっている本作。霧の命にもかかわる行動の一つ一つから目が離せません。気になるからは、ぜひ読んでみてください。