以前は考えられませんでしたが、今は注目作から往年の名作まで、全て無料のスマホアプリで楽しむことが出来ます。今回は多岐のジャンルからチョイスした、おすすめ漫画を5作品ご紹介したいと思います。
主人公の片桐真実(かたぎりまこと)は、妹の真彩(まあや)2人暮らしをしています。彼は真彩のために中卒で働いていましたが、妹の進学を機に、自分も学校へ通うことを決めました。就業しながら通えるように、行くのは通信制高校です。真彩の進学先もそこでした。
幅広い年代層が通ってくる通信制高校は、同級生なのに年代がバラバラなのは当たり前。そこには、中卒労働者とは正反対のお嬢様、逢澤莉央(あいざわりお)もいました。2人は誤解から当初反目しますが、徐々に惹かれ合っていきます。
- 著者
- 佐々木ミノル
- 出版日
- 2013-05-29
大抵の人は、中学からストレートに高校へと進学するでしょう。そういった学校を全日制高校と言います。何らかの事情で全日制に進学出来なかった人たちが、それでも高校卒業を目指して通うのが、通信制や定時制の高校です。定時制はいわゆる夜間学校ですね。
本作の舞台となる通信制高校は、決められた登校日以外は、自宅等で自習するシステム。よって時間の融通が利くため、より多くの様々な事情を抱えた生徒が集まりやすくなっています。主人公からして中卒の労働者ですし、働きながら通う生徒は他にもいます。あるいは赤ん坊の育児をしながら勉強する生徒も。
基本的には真実と莉央の関係が軸になっています。どちらも素直になれないツンデレで、彼らの初々しい姿は実にラブコメチック。その一方で、同級生の育児問題や老人との関わりが描かれるなど、それぞれが主役級の思いがけない青春群像劇も見られます。
社会問題にも言及する、他ではちょっと見られない特異な作品です。
主人公は27歳の海崎新太(かいざきあらた)。大学院まで卒業し、一時は就職するもののある事件をきっかけに離職して以来、再就職かなわずニート生活を送っています。そんなある時、彼の前に夜明了(よあけりょう)と名乗る男が現れ、新太はリライフ実験への参加を持ちかけられました。
リライフとは、見た目が若返る薬を使って、ニートの社会復帰を行うプログラム。若返ったニートを高校に1年間送り込み、どんな影響が出るのか見るのが目的です。
人生の崖っぷちに立たされた新太は、その怪しげな実験に参加し、2度目の高校生活を始めて行きます。
- 著者
- 夜宵草
- 出版日
- 2014-08-12
人生をやり直す、というテーマの作品が近年増えていますが、本作は期限付きかつ条件付きで高校生活を送る内容となっています。あらすじにもあるように、リライフ実験は1年間です。しかも、実験終了後は関係者の記憶が消されてしまいます。実験についても秘匿義務があり、もし漏れた場合は実験中止の上、記憶の消去も行われるのです。
リライフ実施側の思惑が不透明ですが、とにもかくにも、被験者はこれによって高校生活を再び送ることになります。
なお、主人公の新太を含むリライフ関係者は、一般の学校である青葉高等学校に編入あるいは入学します。そこにいるほとんどの生徒は普通の学生達。そうと意識さえしなければ、普通の学園生活となんら変わりません。
若返った新太はそこに生徒として通うのですが、大学院まで卒業しているのになぜか勉強はからっきし。運動もてんで駄目です。1度目の高校生活よりも酷い状態でのスタートとなります。
彼はそこで様々なクラスメイトと出会いますが、その中の1人であるヒロインの日代千鶴(ひしろちづる)。実は彼女もリライフ被験者の1人。実験は被験者であってもお互いについて知らされておらず、また秘匿義務も有効なので、2人は互いに素性を知りません。
運動と勉強は駄目でも、コミュニケーション能力が高い新太。それに対して、千鶴は学年1の秀才なのに極度のコミュ症なのです。2人は互いの素性を知らないまま、正反対の名コンビとして数々のトラブルを解決していきます。
ぱっと見は甘酸っぱい高校生の淡い恋愛関係になっていくのですが、若返っているという後ろめたさから、2人ともなかなか一歩を踏み出せません。高校生の青臭さを感じさせつつ、大人の恋愛の駆け引きにも通じる要素です。
小松正男はこれといって取り柄のない地味な男子高校生です。しかし彼にはモテたいという欲求があり、ついにはそれを実現するべく、メンズエステ「美男ワールド」へ足を踏み入れました。
そこには驚くほどの美女エステティシャンや、オネエ系の濃い店員がいました。彼女達にエキセントリックな助言を受けて悪戦苦闘する小松。彼は失敗しながらも、徐々にモテ道を歩んでいきます。
- 著者
- 安野 モヨコ
- 出版日
- 2014-10-23
小松の勘違いっぷりと暴走を楽しむラブコメディとなっています。モテたい一心であれやこれやを試し、ファッション誌を参考にしたり、髪型を変えたり。そのことごとくが裏目に出てしまいます。恋愛漫画で最初はモテないというのはよくある設定ですが、ここまで徹底して失敗するともはやギャグ。
あまりにも酷すぎて、モテるどころか学校の女子からバカにされる始末です。ただ、そんな女子グループの中で異彩を放つのがギャルの太田サクラ。思ったことをストレートに口に出すので、良い変化を見つけて言葉にすると、それが小松の原動力にも繋がるのです。
そしてメンズエステの関係者がとにかくキャラが濃い。ドSの美女にオネエ系。アドバイス自体はなるほどと頷けるものもあれば、かなりの力業まで多種多様の助言が小松に授けられます。モテはまず自信から。メンズエステの先駆者がアドバイスを基にモテるシーンもあるので、(小松には)かなり説得力があります。
後は実践あるのみ。幾人もの女性に当たって砕け、時に上手く行く。その一方で、小松は太田といい雰囲気にもなっていきます。
締留(しめる)ふたばは、中学1年生のある時まで普通の少年として暮らしていました。ところが彼は、緊張したり興奮したりすると、性別が変わって女の子になってしまう特異体質の持ち主だったのです。にわかにはどうしようもない体質。苦肉の策で、彼は自身の学校に同姓同名の女子として転校手続きを取り、男子と女子の2重に在籍することにしました。
ふたばはクラスメイトの島美咲姫(しまみさき)に好意を抱きつつも、突然変身することもあって、その仲はなかなか進展していきません。
- 著者
- あろ ひろし
- 出版日
2016年の大ヒット映画『君の名は。』でもお馴染みですが、別人の性別が入れ替わるというのはよくあります。本作では少し違って、1人の少年が男性と女性、どちらにもなるというお話です。
元は健康な男子として生きてきたのに、突然性別が入れ替わるようになったら大変ですね。これはふたばだけの体質ではなく、実は遺伝。彼の一族は伝統的に思春期を迎えると興奮によって変態、性転換を起こすのです。
ちなみに変態とは、変質者の意で使われがちですが、本来は虫などの形態変化を表す言葉です。興奮状態で変わることからわかるように、本作ではどちらの意味にもかかっていますが。
こんな体質でも、気になる異性は出来ます。ところが、異性を前に緊張や興奮すると変態してしまうため、どうしても告白がためらわれるのです。ここが通常のラブコメの煮え切らない展開と違って、展開が進まない理由付けともなっています。好きなのに近付けないという、まさにジレンマ。
気をつけてはいても、うっかり変態してしまっては、てんやわんやのお色気トラブルに発展してしまいます。
30年前の漫画ということで、絵柄は古くさく感じるかも知れませんが、その面白さが色褪せることはありません。
舞台となるのは県立幕張南高校の野球部。当時のジャンプ誌面ラインナップの事情で、バスケ部(「スラムダンク」のこと)ではなく、渋々野球部に入部した塩田鉄人(しおだ てつひと)と奈良重雄(ならしげお)の2人が主人公です。
彼らはやる気のない野球部面々とともに、おバカでゲスな高校生活を送っていきます。そしてそれとは特に関係なく、作中でネタにされていく実在の人物や作品達。なぜ訴えられなかったのか不思議です。
- 著者
- 木多 康昭
- 出版日
基本的にクズの塩田とヘンタイの奈良を中心にします。ストーリーはあってなようなもの。というか基本的にありません。野球部が舞台なのに野球を一際しない、日常ギャグ漫画となっています。
メインキャラでは奈良のヘンタイロリコンっぷりが極まっていますが、本作の特徴は他にあります。『幕張』と言えばなんと言っても、掟破りというか掟がそもそも存在しない、ジャンプ連載作品のパロディや実在する人物をモデルとしたキャラの目白押しでしょう。「スラムダンク」だけでなく、『魁!!男塾』や「ジョジョ」などのパロディには事欠きません。
そして最大の問題は実在の人物ネタ。業界の裏話から担当編集者の不倫まで、アウトのラインを大幅に超えた危険球が満載です。そのため作者の木多は連載当時の作家や編集者から大層煙たがられていたそうな。
業界に縁遠い読者としては、他では絶対に見られない危ないネタを拝める貴重な作品。下ネタお下劣に耐性があるなら、ぜひとも読んでみるべきでしょう。
いかがでしたか? 全て無料で楽しめるので、気になった作品は気軽にチェックしてみてください。