『お化けのメリーと夏休み』は、お化けなのにご飯を食べ、服を買い、異様にテンションが高い……そんな金食い虫の少女・メリーと同居することになった男の物語。社会人になって初めての夏休みに起きた、少し切ない日常漫画です。
夏休みの初日に、都市伝説の「メリーさん」から電話をもらう……という少々ホラーな設定から始まる本作。
しかし「怖い」「不気味」などということはまったくなく、幽霊とはいえ美少女なメリーに鋭くツッコむ朔夜と、ハイテンションでネットスラングを駆使するメリーの小気味よい掛け合いが魅力になっています。
基本的には4コマで展開されていき、大事な場面は大割のコマで表現されるので、スラスラと読みやすいのが特徴です。
この記事では、そんな『お化けのメリーと夏休み』の魅力についてご紹介していきましょう。
- 著者
- ["やるら", "谷仲 ツナ"]
- 出版日
- 2015-07-10
社会人初の夏休み初日に、突然かかってきた非通知の電話。
「あたしメリー 今あなたのマンションの側にいるの」
(『お化けのメリーと夏休み』より引用)
たしかこれは、なんか後ろに来ちゃうヤツ……。
成りゆきで、朔夜とメリーは奇妙な共同生活を始めることになりました。
家に美少女がいるのも悪くないかと考えた朔夜ですが、作ってもらった初めての朝ごはんはカップラーメン。さらに彼女の洋服代に食事代……と、何かとお金のかかる生活です。
さらにやっと慣れてきたかと思いきや、彼女が幽霊であるとあらためて思い知らされる事態もあり……。
新社会人の主人公・山田朔夜は、メガネをかけた細身の冴えない青年です。夏休みの初日に非通知でかかってきた電話は、「メリーさん」からでした。
ついに朔夜の後ろまでやってきたメリーですが、何やら瀕死の状態。そんな彼女を気味悪がる素振りも見せず、水を飲ませてあげた朔夜は、根っからの苦労性なのかもしれません。
突然やってきて、成仏するまで世話になるというメリーのことを朔夜が「まあいいか」と受け入れたことで、2人の同居生活が始まりました。
彼女がネットスラングを使うテンション高めの少女ということもあるかもしれませんが、突然やってきた幽霊に同居を許すあたり、朔夜はなかなか肝が据わっています。
ほぼ無理矢理高い洋服を買わされたり、遠出させられたりと、3日間で約10万もの出費をした朔夜。振り回され体質が存分に発揮されています。メリーに鋭くツッコむことも多いですが、なんだかんだ付き合ってあげる優しさが彼の最大の魅力でしょう。
ワガママに振り回されてはいますが、メリーがいるからこそ、朔夜は外に出歩く生活をしているともいえます。彼女がいなければおそらくたまに食料を買いに外出するくらいで、ずっとゴロゴロして夏休みを終えたのではないでしょうか。
しかし社会人にとってはそのような休日もある意味貴重なので、突然やってきた幽霊に文句も言わずに付き合ってあげる彼からは、もともとの性格の良さがうかがえます。
地味で平凡な主人公ですが、誰かに寄り添える優しさをもっている魅力的な人物だといえるでしょう。
都市伝説の「メリーさん」に習い、電話をかけながら徐々に朔夜に近づいていくメリー。見た目は愛らしく、ロングヘア―が美しい少女です。足もちゃんとあり、触ることもできます。
しかし途中でご飯を食べたり、犬に追いかけられたりと、何かと障害の多い様子。さらに「ウハwwww担々麵テラウマスwwww」などネットスラングをリアルで使う異様っぷりです。
冒頭の行動は「メリーさん」を真似してみただけだそうですが、彼女自身がお化けであることは紛れもない事実。しかし、どうして死んだのかは覚えていませんでした。
朔夜の夏休みも4日目になったある日の午後、2人は花火大会に出かけます。それまではメリーが半ば強引に外に連れ出していましたが、今回は珍しく朔夜から誘われました。
「出不精の朔夜さんが自ら外出の意思を見せたんですよ!?」(『お化けのメリーと夏休み』より引用)
朔夜は基本的にずっと家にいるので、彼女の目には引きこもりのニートのように映っていたのかもしれません。だからこそ連日朔夜を引っ張りまわしていたのであって、そこに「ワガママ」で片づけることはできない奥深さを感じます。
花火の打ち上げが始まり、周りの人たちが写真を撮っているのを見て、朔夜もスマホを取り出しますがすぐにしまってしまいました。
メリーの姿が、写らなかったのです。本作で初めて見られる切ない描写かもしれません。普通の人間のように暮らし、当たり前のようにそばにいるから忘れてしまいがちですが、彼女は間違いなくお化けなのです。
理由はさておき、メリーが若くして亡くなったことに違いはありません。自由奔放っぷりはお化けだからこそ許されている部分もありますが、もし生きていればもっと違う人生を歩んでいただろうと想像すると、悲しくなってしまいます。
ギャグテイストの作品と、彼女のお化けという存在のギャップが魅力の本作で、明るい彼女がどういう最期を迎えるのか、目が離せません。
- 著者
- ["やるら", "谷仲 ツナ"]
- 出版日
- 2015-07-10
『お化けのメリーと夏休み』は、夏休みの1週間に起こったメリーと朔夜の物語。海に行ったり花火大会に行ったりと夏のイベントを満喫し、一緒にご飯を食べたり景色のよい場所へ出かけたりするなど、やっていることは本当に普通の恋人と変わりません。
日常が描かれているなか、「夏休み」というある種期間限定の要素があいまって、読者を爽やかな気持ちにさせてくれます。
1週間が経ち、社会人である朔夜の夏休みもいよいよ終わり。彼はメリーに翌日からの留守番を頼みますが、彼女にはタイムリミットが迫っていました。
2人の生活はこれで終わってしまうのか、それともまだ一緒に生活することができるのか、最後の最後まで目を離すことができません。
成仏していないお化けがヒロインの本作ですが、怖い印象はまったくなく、ギャグテイストの物語のなかに爽やかな風が吹いています。かわいいメリーとのひと夏の思い出を、皆さんも一緒に体験してみてはいかがでしょうか。