押切蓮介作『焔の眼』全6巻の壮大な歴史をネタバレ紹介!

更新:2020.12.14

世界を手にかけた国家を揺るがしたのは、たった2人の存在だった!?この記事では『焔の眼』の魅力や見どころについて全6巻のネタバレを含めてご紹介していきます。

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押切蓮介作『焔の眼』の壮大な歴史を6巻まで全巻ネタバレ紹介!

本作は漫画家・押切蓮介によって2011年からおよそ3年間にわたり、「漫画アクション」で連載されていた、歴史フィクション漫画です。

押切蓮介といえば『ミスミソウ』に代表されるホラー漫画、格闘漫画とも思える『ゆうやみ特攻隊』、『ハイスコアガール』のようなラブコメ漫画、『ピコピコ少年』のような自伝的日常&ゲーム漫画など、様々なジャンルでヒットを飛ばしている売れっ子漫画家です。

著者
押切 蓮介
出版日
2012-02-28

そんな彼は当時複数連載を抱えており、そのうちのひとつが本作『焔の眼(ほむらのめ)』でした。

『ゆうやみ特攻隊』のようなスピード感溢れるアクションシーンに、『ミスミソウ』のような後味の悪さ、理不尽さ、『ハイスコアガール』でも見られるヒロイン少女の可愛らしさなど、様々な作品に見られる著者の良さが詰め込まれた内容となっています。

そんな押切蓮介の特長がこれでもかと濃密に詰め込まれたストーリーは、全6巻ながらかなり濃密。読み終えた後には何かしら達成感のようなものを感じさせられます。

この記事ではそんな本作の見所を全巻ご紹介!ネタバレを含むので未読の方はご注意ください。

 


押切蓮介のおすすめ作品を紹介した<押切蓮介おすすめ漫画ランキング10作!ホラーでも感動漫画でも人の底を映す>の記事もおすすめです。

『焔の眼』に読む、最強格闘家とひとりの少女の物語【あらすじ】

『焔の眼』に読む、最強格闘家とひとりの少女の物語【あらすじ】
出典:『焔の眼』1巻

時は1929年。中央アジアの小国「ショルゴール」は世界50ヶ国に宣戦布告をおこないます。欧米列強が猛威をふるう裏で、密かに蓄えていた圧倒的な武力により、連戦連勝。勢いはとどまることを知らず、ソ連やドイツ、アメリカまでも支配下に置いてしまいました。

1941年には日本も戦火となり、虚しくも敗戦。

ショルゴールに敗れた他の国々は服従を余儀なくされていますが、日本人は自ら命を絶つという道を選びます。誇りを胸に、敗れてなお抗う姿勢を見せたのです。

本作の舞台は、そんな破滅してしまった日本。ショルゴールと日本人のハーフである沙羅(さら)という少女と、人間離れした肉体と戦闘力を誇る自称日本人の陀大膳黒(だたいぜんくろ)による、ショルゴールへの一矢報いる姿を描いたバトルアクション漫画となっています。

一撃……必滅拳!!【『焔の眼』1巻ネタバレ注意】

一撃……必滅拳!!【『焔の眼』1巻ネタバレ注意】
出典:『焔の眼』1巻

 

本作の主人公である沙羅は、詳細な生い立ちについては不明ですが、日本人とショルゴールのハーフとして描かれています。見た目は細々とした少女ですが、ショルゴール人特有の赤い眼を宿していることから、同じ地に暮らす日本人からも忌み嫌われることが多い不憫な女の子です。

1巻では、ショルゴールが他の国々を退け頂点へと君臨したその歴史から物語が始まり、沙羅の人生を大きく変えることになるクロこと陀大膳黒との出会いが描かれています。

ショルゴールとの戦争で身寄りを無くした沙羅は、同じく戦火で娘を亡くした恭子に拾われていました。恭子が営んでいる菖屋で生活をしています。そこには慰安婦として活動している女性がたくさんいましたが、恭子は沙羅を売りに出すことはしませんでした。

しかしある日、ショルゴールの兵のひとりに無理やり言い寄られ、沙羅が襲われかけてしまいます。純潔を奪われそうになったその時、大きな拳を携えた男が、彼女を助けてくれたのです……。

敗戦国や慰安婦などが登場し、健気な少女の残酷ながらも懸命な人生を描いたストーリーが展開されるのかと思いきや、実際はバトルシーン満載のアクション漫画であることがクロの登場で明らかになります。

武器の数や高い知力をもとに勢力をのばしているショルゴールに対し、クロが使うのは己の拳のみ。そのことが、彼の圧倒的な力強さと存在感を打ち出しています。

 

赤目の女【『焔の眼』2巻ネタバレ注意】

1946年、ショルゴール軍の最高司令官総司令部は、日本人の強制移行を発令しました。それにともない、沙羅たちも菖屋の地を出ることに。慰安婦の活動も困難になってしまいます。

2巻で注目したいのは、菖屋で誰よりも明るく振る舞い、沙羅に対しても良くしてくれた房子(ふさこ)が、妊娠していたため妊婦専用の収容施設に移送されてしまった場面です。

房子を助け出そうと施設へ乗り込んだ沙羅は、移送先で仲間になった千蔵(せんぞう)の強力もあり、彼女を助け出すことに成功しました。

しかし、沙羅のことを心配して町へ出ていた恭子が、ショルゴール神衛隊に見つかってしまい、銃口を向けられてしまうのです。

そこへまたしてもクロが姿を現しました。

著者
押切 蓮介
出版日
2012-09-28

移送先で仲間になった千蔵ですが、もともとは恭子が正当防衛のすえに殺してしまった父親の敵を討つために、沙羅のもとへとやってきていました。

しかし彼女に返り討ちにあったことで、それ以降「親分」と慕うようになります。

沙羅にはショルゴールの血が流れているということもあり、千蔵との一戦ではまるでクロを彷彿とさせるような武術を披露するのです。ただの幼い少女で会ったはずの彼女が武道家として片鱗を見せた場面で、見逃せない展開になっています。

絶望的な新世界【『焔の眼』3巻ネタバレ注意】

房子を助け出し、恭子たちと合流した沙羅は、移送先から元の町へ帰還することになります。ショルゴールへの対抗勢力のアシストもあり、無事に塀の外へと飛び出ることができましたが、そこにあったのは見慣れない建造物が立ち並ぶ、新世界とでも呼ぶべきショルゴールの町だったのです。

房子と恭子はすぐさま銃殺され、千蔵とも離ればなれになってしまいました。沙羅はショルゴール人に捕らえられ、人身売買にかけられることになります。

ショルゴール軍神衛隊少将のひとり娘であるエレノアに目を付けられ、奴隷として飼われることになりました。
 

著者
押切 蓮介
出版日
2013-02-27

紙一重のように生にしがみつく沙羅。読んでいてもひやひやしてしまいます。微かな希望を持って塀の外に出ると、そこが敵地のど真ん中ともいえる場所になっているとは、誰が予想できたでしょうか。一気に絶望に突き落とされるのです。

ギリギリ生き延びた彼女が行きついたのが、奴隷でした。今後の沙羅はどうなってしまうのか、そして1度は塀の中に現れたクロは、一体どこに行ってしまったのでしょうか。この先の展開から目が離せません。

ショルゴールへ宣戦布告【『焔の眼』4巻ネタバレ注意】

再びクロと出会った沙羅は、涙を流して再会を喜びました。そこでクロは、日本を代表してショルゴールに宣戦布告をすることを明かします。

すると彼の強い思いを知った沙羅は、ショルゴール軍の最高司令官総司令部のオセ・アラートガームを、クロとともに倒すことを決意するのです。

しかし、事はそううまくはいきません。奴隷でありながらたびたびクロと接触していることをエレノアに気づかれ、沙羅はお仕置き部屋に連れていかれてしまうのです。男数人が無理やり沙羅を襲おうとするのですが、それを見ていたエレノアは、すんでのところで彼らを止めます。

どうやら奴隷として扱っていた沙羅に対して、情が沸いてしまったようで、守ってくれたのでした。

一方のクロは、宣戦布告どおり次々とショルゴールの軍隊を蹴散らしていました。一見順調に思われましたが、ショルゴール軍にも彼と渡りあう腕をもった強者が身を潜めていて、快進撃を止められてしまいます。

著者
押切 蓮介
出版日
2013-07-12

特に見どころになっているのは、暴君のようにも見えるクロのショルゴール軍への快進撃です。凄まじい迫力を感じるバトルシーンは必見。

圧倒的な武力の前に、銃やナイフなどは無意味なのではないかと痛感してしまいます。

さて、再び離ればなれになってしまった沙羅とクロ。力を合わせてアラートガームを倒すことはできるのでしょうか。また沙羅をかばったことでショルゴールの民から反感を買うことになってしまったエレノアの運命は、いったいどうなってしまうのでしょう。

男同士の戦い【『焔の眼』5巻ネタバレ注意】

エレノアとともに屋敷を逃げ出そうとした沙羅。間一髪のところで、エレノアの側近であるゼノに救われました。しかし彼は、エレノアには絶対的な忠誠を誓っていましたが、沙羅には敵対心や殺意をもっていたため、ここで一戦交えることになります。

クロから学んだ技術を持ってしても、プロの暗殺者でもあるゼノに、彼女は敗れてしまいます。その命が奪われようとしたその時、なんとクロが助けに来てくれたのです。
 

著者
押切 蓮介
出版日
2013-11-28

ゼノと沙羅の戦い、そしてゼノとクロの戦いは、これまでにない迫力を秘めています。また武力だけではなく、強者としての「在り方」を示すクロの姿は圧巻でしょう。

巻末では衝撃の展開が。最後まで見逃さないでください。

ついに決着、日本対ショルゴール【『焔の眼』6巻ネタバレ注意】

ゼノとの闘いに決着がついたのも束の間、クロが突然怒涛の襲撃を受けてしまいます。体全体を血に染めながらも、決して歩みを止めることなく軍隊を蹴散らしていくその姿は、もはや破壊という言葉では生ぬるく感じるかもしれません。

最後の悪あがきをつづけるクロ。勝利をつかむことができるのでしょうか。そして彼の意志を受け継いでいる沙羅とショルゴール軍との総力戦も注目です。

著者
押切 蓮介
出版日
2014-04-26

最終巻はとにかく圧倒的なクロの破壊力が目立ちます。彼が歩みを止めない姿は、涙なしでは読めません。

そしてそんな彼とともに地獄を見てきた沙羅が一矢報いる場面も描かれており、誰も予想できなかったであろうその結末は、絶対に見逃せない内容になっています。

陀大膳黒、魂の一撃……。五臓六腑にしみこませながら望み通り空へ飛ぶがいい。一撃必滅(『焔の眼』6巻より引用)

 

『焔の眼』で鬱展開だらけの「もしも」の日本を覗いてみよう!

著者
押切 蓮介
出版日
2012-02-28

大戦でもし日本が負けていたら……。

そんなifの世界をすさまじい胸糞の悪さ、えげつなさで描き切った本作。押切蓮介の特徴がまざまざと表れた内容となっています。

しかし世界の描写が鬱的であればあるほど、沙羅の正しさ、強さが際立ちます。彼女の特徴はこれもまた過酷な生い立ちからあるものなので、その様子は美しいながらも涙を誘うものがあります。

理不尽な世界に少女はどう立ち向かって行くのか。迫力満点のバトルシーンとともにお楽しみください。


『焔の眼』の各巻の見どころをご紹介してきました。世界を蹂躙したショルゴールという国家を揺らしたのは、幼い少女とひとりの日本人でした。彼と彼女の物語を見ないのはもったいない!ぜひ1巻から読むことをおすすめします。

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