同性同士の大人な恋愛物語?『オハナホロホロ』の魅力や見どころについて、全6巻のネタバレを交えながらご紹介していきます。スマホの漫画アプリで無料で読むことができるので、気になった方はぜひチェックしてみてください。
『オハナホロホロ』は、『ハチミツとクローバー』や『3月のライオン』を描いた羽海野チカのアシスタントをしていた鳥野しのの作品です。
主人公の南雲麻耶(なぐもまや)は翻訳家で、恋人の雨宮みちる(あまみやみちる)と同棲していました。しかしある日、みちるは突然失踪してしまいます。
それから5年後、彼女は、息子のゆうたを連れてシングルマザーとなり、再び麻耶のもとへと戻って来たのです。
「同棲」から「同居」に変わった2人の関係を描いた『オハナホロホロ』の魅力を、全6巻のネタバレを交えながらご紹介していきます。
- 著者
- 鳥野しの
- 出版日
- 2010-01-07
以前は恋人として付き合っていたみちるが、息子のゆうたを連れてシングルマザーになって帰ってきました。かつては同棲という形でしたが、もう恋愛関係は終わり。今度は同居生活が始まります。
彼女たちの部屋には、亡くなったゆうたの父親と恋人関係にあった日下ニコ(くさかにこ)も入り浸るようになり、ゆうたを溺愛します。家族のようで家族ではない、ちょっといびつな関係です。
そんななか麻耶は、中学時代に同級生だった桑原英資(くわばらえいすけ)と再会しました。昔と変わらずにかっこいい彼に、麻耶はしだいに惹かれていきます。
麻耶とみちるの関係は「元」恋人ですが、ふとした時の2人は普通の友人以上の関係であるように見えてしまいます。
またニコは若手俳優という多忙な職に就いているのですが、ゆうたの父親と恋人だった過去があるからか、自分の子どもではないゆうたのことを常に気にかけ可愛がっています。
英資からプロポーズを受けた麻耶でしたが、今はみちるやゆうたとの生活を守ることを優先させたいと気持ちを伝えました。英資は麻耶の気持ちが変わるまで待っていることを決め、その一部始終をみちるにも話します。
一方のみちるは、職場でスーパーバイザーという役職に就かないかと誘われていましたが、その責任の重さから悩んでいます。
同時に、ゆうたの保育園の先生である望月からは、もう少し子どものこと考えろと半ば説教のような指導を受けてしまい、対立してしまいました。
さらにゆうたが突然熱を出してしまい……。
- 著者
- 鳥野 しの
- 出版日
- 2011-01-08
1巻でも麻耶に対して、それらしい雰囲気をほのめかしていた英資ですが、麻耶にはっきりとプロポーズする場面からは男らしさを感じます。
女性同士の元恋人と、異性同士の恋人が顔を合わす場面は、設定だけ聞くとかなり複雑なように思えますが、本作ではその違和感はあまりありません。「男」だとか「女」という性別を超えて、「個」として相手のことを好きになっている彼らが魅力的です。
またみちるは、仕事と子育ての両立について悩みます。シングルマザーとしての苦しみはすべての読者が理解できるわけではありませんが、「とにかく頑張るしかない」と彼女が奮闘する姿には、つい手を差し伸べたくなる方も多いのではないでしょうか。
本巻から登場する、保育士の望月との絡みにも注目です。
スーパーバイザーとしてこれまで以上に頑張ることを決めたみちる。しかし休憩中に、職場の人たちが彼女の仕事に対して愚痴をこぼしているのを聞いてしまいます。
これをきっかけに体調を崩してしまうのですが、そこにたまたま通りかかった望月が助けてくれました。
しかしそのころ、保育園ではゆうたが友達と喧嘩をし、園を飛び出してしまっていたのです。
- 著者
- 鳥野 しの
- 出版日
- 2011-11-08
3巻ではみちると望月の関係を中心に描かれます。はじめはゆうたのことを気遣い、保護者としての責任をみちるに諭していた望月でしたが、彼女のことを知っていくうちに、徐々に助けてあげたいという気持ちが芽生えたようです。
連絡先も交換し、今後の2人がどのように進展していくのか楽しみになってきました。
さらに、2人の関係を知った麻耶がどんな行動に出るのか、そしていつもは聞き分けのよいゆうたがなぜ友達と喧嘩をしてしまったのかなども見どころです。
保育園の先生たちや、ニコの仕事仲間を集めて盛大に開かれたバーベキュー。楽しいものになるはずでしたが、麻耶が英資のプロポーズを受けることを聞かされたみちるは、ショックを受けてしまいます。
麻耶自身もまだみちるに好意を抱いていることは間違いないのですが、同性カップルの同居に周囲の理解を得にくいことや、その噂が原因でゆうたを苦しめてしまうことを考え、これ以上一緒にいるべきではないと判断したのです。
本音と建て前がアベコベな彼女たちを見た英資は、ホテルで2人きりの時間をつくり、しっかりと話し合いをさせました。そして麻耶とみちるは、最後のデートをした後に、別々の道に進むことを決意したのです。
- 著者
- 鳥野 しの
- 出版日
- 2012-09-07
同性同士の恋愛というのはまだ認知度が低く、理解されないことのほうが多い世の中です。さらに自分たち当事者だけでなく、子どもなど家族にも影響することから、本当の気持ちに素直になることができない麻耶を見ていると、切ない気持ちになってしまいます。
彼女たちの決断にはどんな結末が待っているのか、ぜひ皆さんの目で確かめてください。
みちるとゆうたは、亡くなったゆうたの父親のお墓参りに来ました。そこで、ゆうたの叔母にあたる温子(あつこ)と再会します。外で一緒に食事をしていた際、転びそうになったゆうたをかばい、温子が手首を骨折してしまいました。
彼女が働いていたパン屋を手伝わなくてはならなくなったみちるは、これをきっかけに温子のもとで暮らそうかと考えはじめていました。
そんな時、ゆうたが忽然といなくなってしまいます。ひとりで電車に乗り、麻耶のところへ行ったのではないかと、一同は捜索を始めました……。
- 著者
- 鳥野 しの
- 出版日
- 2013-06-07
本巻では、みちるが望月からプロポーズを受けるのですが、彼女は答えを保留してしまいました。
それぞれの関係が煮え切らず、むず痒い展開が続きます。
また3巻で保育園を飛び出した時のように、突発的に姿をくらましてしまうゆうた。彼の行動にはどんな理由があるのでしょうか。今回はひとりで電車に乗ったこともあり、無事にみんなと再会できるのかも気になるところです。
最終巻である6巻の見どころは、麻耶とみちるの関係がどのように決着がつくのかと、ニコの突然の失踪です。
ゆうたの父親であり、ニコの元恋人だった圭。ニコは、彼が死んだ理由が自分にあったことを知り、パニックになってしまいます。ゆうたを連れ、青森へと失踪してしまいました。
この時の彼の姿は本当に絶望的で、我々読者の心も揺さぶられてしまいます。
2人の関係が終わるきっかけにもなったゆうたを殺し、自分も命を絶とうとしたニコ。しかし、変わらずに微笑んでくれるゆうたに手をかけることはできません。ひとりで死ぬことを決意しました。
一方の麻耶やみちる、望月たちは、懸命に2人のことを探すのですが……。
- 著者
- 鳥野しの
- 出版日
- 2014-02-08
またみちるは望月からのプロポーズを断り、自分が麻耶のことを好きだということも伝えました。このことを知った麻耶は、いったいどのような選択をするのか、2人の恋の行方も見逃せません。
巻末にはアフターストーリーも描かれているので、ぜひ最後までご覧になってください。
女性同の恋愛関係から始まる、優しすぎて辛すぎる物語『オハナホロホロ』の魅力をご紹介しました。それぞれの事情を抱える大人たちの恋愛は見どころ満載ですが、ゆうたの尋常ではない可愛らしさにもぜひ注目してください。