「戦国最強の一族」として名を馳せた真田家。その歴史を漫画に書き起こした漫画『真田魂』。この記事では、2017年12月現在スマホアプリ「マンガPark」で無料公開中の本作の、見どころと魅力についてご紹介いたします。
日本の歴史において「武田」と言われれば「真田」を思い浮かべるように、武田軍において真田一族は戦力の要ともいえる存在であります。しかし、そんな真田家ももともとは一国の主として、武田や上杉と戦う一族でした。
その真田一族が、どういう経緯で武田軍に仕えるようになり、どんな道を辿って「最強の一族」と呼ばれるようになったのか。本作はそんな歴史の深い部分を4コマ漫画で知ることができる作品です。
この記事では作品の見どころ、魅力についてご紹介いたします。
- 著者
- 重野なおき
- 出版日
- 2016-04-28
村上・武田・諏訪の連合軍を相手に大敗し、領地の全てを失った真田幸隆(さなだゆきたか)は、そこから5年後に武田家に仕え、村上家を破ったことで領地を返還させることに成功しました。
領地を取り返したはいいものの、武田家に仕える身となってしまった真田家は、忠誠の証として武田に人質を出さなければなりません。そこで武田に向かうことになったのが、当時7歳だった昌幸(まさゆき)です。
戦国最強の一族と謳われた真田家の、「家」と「土地」を守るための命がけの戦いが幕をあけます。
中心人物となるのは、幸隆をはじめとした真田一族。史実通りの勇猛さで力強く乱世を生き抜いていきますが、本作で描かれる姿はキュートでコミカル。その魅力を一人一人簡単にご説明しましょう。
まずは幸隆。武田の連合軍に領地を奪われるも戦意を失わず、「いつか必ず取り戻してやる」という強い野心に燃えていた男です。決断や行動が早く、主人として非常に頼りになる人物ですが、その性格はやや現金です。
武田に仕えろという打診がきた時も、最初は「絶対に仕えん!」とハッキリ拒否しましたが、領地返還の話をもちかけた途端「よろしくお願いしまーす‼」と、意見を180度変えて武田に仕えることを決めました。このくらいがめつい方が、事はよい方に転ぶのかもしれません。
次に昌幸。真面目で一直線なタイプの彼は武田に渡った後も、武田に仕官してくる者の見定め役を任せられるほどに信頼されていました。見込まれた通り、「鷹の目」と呼ばれた昌幸の目には単に視力がよいだけでなく、相手の内側を見透かす力もあります。
真面目すぎて嘘がつけず、後に正妻となる山手殿(やまてどの)を見透かしては「胸とくびれと腰の規格が素晴らしい」と体の感想を述べてしまう、オープンなスケベであるあたりは玉に瑕です。
そして、昌幸と山手の間に生まれた村松(むらまつ)、信幸(のぶゆき)、そして後に「日本一の兵・真田幸村」となる信繁(のぶしげ)の三人の子供たちは、両親に似た素直なよい子たち。父を尊敬し、母を愛する子供たちの姿は見るものを和ませます。
しかしイタズラ好きな一面が、周囲の大人たちを困らせることも。幸隆が三人の元を訪れた時はまんまと落とし穴に落とされ、「本当に落ちちゃったの?」「それでも智謀の武将なの?」と痛いところを突かれてしまいました。
このように親と子供とそのまた子供まで、個性豊かな人物たちが揃った真田一族の様子はとても賑やか。乱世を忘れさせてくれるかのような平和に溢れています。物語が進むにつれて荒々しくなっていく歴史の波に揉まれながら、彼らはどんな道を進んでいくのでしょうか。どのキャラクターからも目が離せません。
昌幸の正妻・山手殿は、「京の御前」とも呼ばれる気品溢れる女性。昌幸との出会いは武田信玄の仲介によるものです。はじめて結婚の話を言い渡された山手殿は「まさか武勇の誉れ高い信綱様⁉」、「それとも勇猛な昌輝様⁉」と、まるでアイドル好きの女子のようにキャッキャと喜びますが、「昌幸」といわれて誰のことかわからず、呆然とします。
しかし姿を現した昌幸に一目惚れし、昌幸もまた山手殿の人柄に惹かれ、相思相愛で結婚することとなりました。
昌幸は山手殿が大好きで、とても大切です。普段からの優しい態度はもちろん、山手殿の近くに蜂が飛んでいただけでも全力で退治するなどします。また昌幸は子だくさんだったことでも有名で、隣で眠る山手殿を揺すり起こしては甘えたがるのでした。
昌幸が自分にゾッコンなのと同じように、山手殿もまた昌幸のことが大好きです。自分の目指す武士の姿を語る昌幸には「私にも、その夢を叶えるお手伝いをさせてください」と寄り添う姿勢を見せ、心から昌幸を支えようとしています。
戦国一のおしどり夫婦といっても過言ではない昌幸と山手殿のラブラブな様子は、見ていて照れてしまうほど。そんな両親のもとに生まれた子供たちは幸せです。襲いくる乱世を愛の力で乗り切る2人に大注目です!
幸隆が微塵のプライドも見せず土下座したり、昌幸が山手殿の色気にあてられて鼻血を出したりと、本作の真田一族の愉快でコミカルに描かれています。
しかし、物語のベースはきちんとした史実です。戦の動きや人の生き死にもほぼ史実通りで、4コマ漫画の形を取った歴史書としても楽しむことができます。
作品を彩る登場人物たちの設定に関しても、すべてが空想ではなく、実際に言い伝えられている性格を元に描かれています。学校の授業では教えてくれない小話もたくさん含まれていますので、歴史を好きな方、さらに詳細なことを知りたい方は必見です!
- 著者
- 重野 なおき
- 出版日
- 2009-06-29
著者の重野なおきは本作の他にも、歴史上の人物を題材にした4コマ漫画を多数手がけていることで有名です。男前な織田信長と、それに従える凄腕のくノ一の物語を描いた代表作『信長の忍び』は、二度に渡るアニメ化も果たした人気作となっています。
実はご紹介中の『真田魂』にも、織田信長をはじめとする『信長の忍び』で活躍したキャラクターたちが登場するのです。
男前なのにお茶目で可愛い織田信長が本作でも見られるとなると、ファンにとっては嬉しいことでしょう。また、ここで見られるのは昌幸や山手殿の目線から見た『信長の忍び』のキャラクターたちになりますので、新鮮な角度から見ることができます。
2作品とも読めばさらに深く作品を楽しめることでしょう。どちらの作品も無料スマホアプリ「マンガPark」で公開されています。気になる方はぜひ読んでみてください。
いかがでしたか?歴史好きには嬉しい、史実に忠実なギャグ4コマとして、知識を得るためにも楽しむためにも役立つ作品となっています。気になったかたはぜひ読んでみてください。