『酩酊!怪獣酒場』は、ウルトラ怪獣たちが働く居酒屋を舞台にしたマンガです。原作のパロディギャグはもちろん、少しウルっとしてしまう話もあります。笑いあり・涙ありの『酩酊!怪獣酒場』は、全てのウルトラマンファンに読んでもらいたい一作です!
- 著者
- 青木 U平
- 出版日
- 2015-10-05
皆さんは「怪獣酒場」をご存知でしょうか? 怪獣酒場はかつてウルトラマンに倒された怪獣たちが夜な夜な集まるお店として、実際に出店されている居酒屋です。要するに、ウルトラ怪獣と飲食店のコラボカフェのようなものですね。
そんな怪獣酒場の様子をコミカライズしたのが、今回ご紹介する『酩酊!怪獣酒場』。ケム―ル星人がチーフを務め、ダダやゼットンがバイトをしている小さな居酒屋で起こる出来事を描いた作品です。なんだか妙に人間くさいウルトラ怪獣たちと、ごくごく普通の人間が共存する世界がシュールで笑えます。
基本的にはギャグテイストのマンガなのですが、時折ウルっとくるようないい話を展開してくれるのもこの作品の良いところ。子供の頃にウルトラマンを観ていた全ての大人にオススメしたい良作です。
今回は、そんな『酩酊!怪獣酒場』を全巻通しての魅力を徹底解説していきたいと思います!
- 著者
- 青木 U平
- 出版日
- 2015-10-05
ごく普通の青年・うるまは、ウルトラ怪獣たちが経営する怪獣酒場でバイトを始めます。従業員もお客様も怪獣だらけという不思議な店ですが、怪獣たちは意外なほどにフレンドリーでした。
従業員同士で他愛もない会話をしたり、ヤケ酒をあおるお客さんの愚痴を聞いてあげたり…… 種族こそ違えど、この店は人間向けの飲食店とほとんど変わらない平和な居酒屋です。いろいろトラブルもありますが、怪獣酒場は今日もなんとか営業を続けています。
『酩酊!怪獣酒場』は、ごくごく普通の居酒屋にウルトラ怪獣が働いているというシュールな光景が笑える作品です。従業員の見た目こそ異形ですが、店のサービス内容や料理におかしなところはまったくありませんし、登場するウルトラ怪獣たちはびっくりするほど常識人ばかり。
- 著者
- 青木 U平
- 出版日
- 2015-10-05
とはいえ、やはり彼らは怪獣なので会話の内容が少し物騒。バイト仲間同士の和やかな飲み会で「そういやこないだある惑星を侵略しようとしたらさー」だとか、「そうそう、先日ある生命体を異次元に送り込んだのですが」なんて会話が飛び出すのです。怪獣たちは普通に現代社会を生きているだけなのに、会話の節々に強烈な個性がにじみ出ていてつい笑ってしまいます。
また、普通の居酒屋なら「酔っ払いが暴れている」というだけで済むケースも、怪獣酒場では「怪獣が暴れている」ということになってしまうのが笑えます。怪獣たちがときどき繰り出す特殊能力でどんなトラブルが起こるのか……というのも注意して見てもらいたいポイントです!
モブを除けば、1巻に登場した人間のキャラクターは主人公のうるま一人でした。しかし2巻からは、怪獣酒場で働く新しい従業員として与謝野 ハルという人物が登場します。男臭い……というよりも怪獣臭いこの作品において、唯一の清涼剤となる女性キャラクターです。
- 著者
- 青木 U平
- 出版日
- 2016-04-05
ハルはメインヒロイン的な立ち位置のキャラクターですが、恋のお相手は主人公のうるまではありません。 意外なことに、ハルと恋物語を繰り広げるのは怪獣酒場の古株・ダダ先輩です。
顔立ちの整ったハルに一目惚れしてしまったダダは、少しでもいいところを見せようと試行錯誤します。 ところが恋愛沙汰に慣れていないダダが取った行動は、壁抜けの能力を使って着替えを覗いたり、ミクロ化の能力を使って弾道ミサイルを盗んできたりと散々なものでした。
空回りを続けるダダの恋は、果たして上手くいくのでしょうか!?……ってぶっちゃけそう簡単に上手くはいかないんですが、ダダの失敗ぶりが毎度豪快すぎて笑えるのでぜひ楽しみにしておいてください。
ギャグテイストの話が多い『酩酊!怪獣酒場』ですが、ときどき感動系のお話も混ざってきます。とは言っても、せっかくの泣ける話もオチで台無しにされてしまうことが多いんですが、3巻に収録されている「あの頃のスキャンダル」というエピソードは珍しくちゃんとしたイイお話でした。
- 著者
- 青木 U平
- 出版日
- 2016-10-05
物語は、いつも通り怪獣酒場で働きながら店のテレビを眺めているうるまのシーンから始まりました。 うるまが有名人の謝罪会見を観ていると、ゼットンが大慌てで飛んできてテレビを消すように注意します。
実は、その日怪獣酒場に来ていたお客さんのなかに、とある不祥事で引退を余儀なくされた元ボクサー・レンボラーがいたのです。「一度の失敗でも、世間というやつは有名人を徹底的に叩きたがる」と悲しそうに話すレンボラーに、ケムール星人はなぜかオニギリを渡して語り始めます…… 。
というところで、このあたりのネタバレはこのくらいにしておきます! このエピソードは本当に完成度が高くていい話なので、下手に文字で説明するよりもぜひ皆さんに読んでもらいたいのです。
感動的なストーリーでありながら、SNSやメディアで特定の人物を批判したがる我々日本人が考え直すべきことが詰まった社会風刺的なメッセージにもなっています。ケム―ルがオニギリを差し出した真意とは?そしてレンボラーの決意とは?というところにも注目して読んでみてください!
『酩酊!怪獣酒場』は全4巻となので、物語は一旦この巻でおしまいということになってしまいます。最初は怪獣だらけの店に戸惑っていたうるまもすっかり成長し、従業員からも常連客からも好かれる立派な店員になっていました。
- 著者
- 青木 U平
- 出版日
- 2017-04-05
物語の締めくくりは、うるまが挑戦する怪獣酒場の昇格試験です。実は怪獣酒場のアルバイト従業員はSランク~Dランクに分けられており、これまでうるまはCランクに分類されていました。「人間の従業員がBランク以上に分類された前例は無い」とされる中、うるまの昇格試験が始まります。
というところで最終回を迎えます。……が、その後すぐに『酩酊!怪獣酒場2nd』という続編が始まっているのでご安心ください。うるまが昇格試験に合格したのかどうかは本編を読んでのお楽しみということにしておきますが、少なくとも怪獣酒場の物語はもう少し続いていくようです。
- 著者
- 青木 U平
- 出版日
- 2015-10-05
仕事にバイトに恋にと、怪獣基準で日常が進められていく本作。ディテールはやはり怪獣なのでやばいところもありますが、本質的な悩みは私たち人間と変わらず、ツッコミつつも共感してしまう内容です。
そんな本作の魅力は共感度抜群?の日常がゆるーく送られていくこと。酒場がメインの舞台ということもあり、だらーんと日々のグチやくだらないおしゃべりが垂れ流されていくのです。
その雰囲気は何だかほっとできるもの。一緒に一杯やっているのかのような錯覚に陥ります。まぁ。怪獣なんですがね。
ぜひそんな怪獣と仲良くなれそうな酒場の様子をご覧ください。このゆるゆるな空気が癖になること間違いなし!サクッと読めるので1日の終わりに読む、なんていうのもおすすめです。
というわけで今回は『酩酊!怪獣酒場』をご紹介させていただきました!本当はもっとご紹介したかった見どころがいくつもあるのですが、あまりネタバレしすぎると楽しみが半減してしまいそうなので今日はこんなところにしておきますね。笑いながらサクサク読める良作なので、ウルトラマンファンもそうでない方もぜひ一度読んでみてください!