『ヒーローカンパニー』の魅力を最新10巻までネタバレ紹介!面白い!

更新:2021.12.3

正義よりも利益を優先するシビアなヒーローたちを描いた『ヒーローカンパニー』。もしも現代日本にヒーローがいたら……という妄想を徹底的に具現化したリアルな設定です。

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『ヒーローカンパニー』の魅力を最新10巻までネタバレ紹介!ヒーローのオンオフを覗き見!?

 

『ヒーローカンパニー』は、ヒーローと悪の組織の闘いを「ビジネス」の視点から描いた斬新な設定の作品。登場するヒーローたちは全員がしがない会社員で、「正義のため」ではなく「仕事だから」悪の組織と戦います。

妙に現実的でドライな彼らは、街の平和と人々を守りながら、なんとか利益を出していくのです。

この記事ではそんな本作の魅力を徹底解説。最新巻の見どころも紹介するので、ネタバレにはご注意ください。

 

著者
島本 和彦
出版日
2012-09-05

『ヒーローカンパニー』の月給制で働く正義の味方たち!【あらすじ】

『ヒーローカンパニー』の月給制で働く正義の味方たち!【あらすじ】
出典:『ヒーローカンパニー』1巻

本作の主人公は、正義の心を持つ男アマノギンガ。街の平和と人々を守る企業「ヒーローカンパニー」に入社したばかりの見習いです。

正義が大好きで高い志をもって働きはじめましたが、いざヒーローカンパニーに所属してみると、周りにいるのは「仕事だから働いている」だけのただの社員。正義を貫こうとするギンガは、何度も会社の方針に背いてしまいます。

さらに、ヒーローどころか悪の組織もビジネスの一環にすぎないと知り、混乱しつつも一人前のヒーロー社員になるべく戦い続けるのです……。

『ヒーローカンパニー』の魅力1:ありえない社訓に定時で帰るヒーロー!?

『ヒーローカンパニー』の魅力1:ありえない社訓に定時で帰るヒーロー!?
出典:『ヒーローカンパニー』1巻

ギンガが入社した「ヒーローカンパニー」は、街に現れる悪の組織や怪人などを倒して平和を守るための企業です。

社訓である「街を守れ・人の命を守れ・自分の命も守れ・弱い者から守れ・会社の利益も守れ・自分の生活を守れ・正義を守れ・できれば平和も守れ」という8ヶ条からもわかるとおり、実にシビアな考えのもと営業しています。

所属しているヒーローたちは、正義の味方というより一介の会社員。人助けをした後はサインをもらい、料金を徴収。営業時間外に悪人と出くわしても、見て見ぬふりです。

利益にならない犯罪は見過ごすというヒーローらしからぬ先輩たちに困惑しつつ、ギンガだけが己の正義観に従ってヒーロー道を突き進んでいきます……が、彼の行動は「正義」として正しくても「社会人」としては最低。毎回空回りしてしまうのです。

「もしも現実世界にヒーローがいたら?」という妄想を極限まで追及した本作。最初は無茶苦茶に聞こえる社訓や礼儀作法も、実は社会人らしい合理性が隠されていることに気づくと、さらに面白くなります。

『ヒーローカンパニー』の魅力2:バカらしいのに熱量がすごい!

『ヒーローカンパニー』の魅力2:バカらしいのに熱量がすごい!
出典:『ヒーローカンパニー』2巻

本作の魅力は、なんといってもその「バカバカしさ」ではないでしょうか。クローズアップされるのは、悪の組織との戦いよりも、「企業戦士としての在り方」ばかり。それなのになぜか本格的な特撮作品に勝るとも劣らない熱量を感じることができるから不思議です。

普通、ヒーローが戦いを続ける理由には「強くなりたい」だとか「愛する人を守りたい」なんてものが挙げられますよね。しかし本作に登場するヒーローたちは、給料と移動費や武器購入費を計算し、費用対効果を考慮しながら社会人としてのルールの中で戦い続けます。 

「これは戦争じゃない…!正義側の会社組織と悪の組織との商戦なのだ…!ルールを破ればとめどがなくなる…」(『ヒーローカンパニー』2巻より引用)

悪の組織が街を荒らすのもあくまで仕事である以上、ヒーローが守るべきは「正義」ではなく「社会人としてのルール」なのだという、非常に現実的な考え方を持っていることがこのセリフからわかります。

『ヒーローカンパニー』の魅力3:毎巻変わる主人公たち!

著者
島本和彦
出版日
2012-12-27

 

メインの主人公はアマノギンガですが、本作では彼だけが活躍するのではなく、毎巻のように中心となるキャラクターが変わっていきます。

2巻でピックアップされるのは、ギンガとともに入社試験を乗り越えたハドウ。彼は同期のなかでイチ早く「デザートファイブ」のメンバーに選ばれるのですが、先輩たちとうまく息を合わせることができずに悪戦苦闘します。

ギンガに負けず劣らず正義観が強い彼は、まるで昭和の特撮ヒーローのようなアツい男なのです。

3巻では本作におけるヒロインのひとり、サキが大活躍。彼女もデザートファイブの一員になりますが、それまで大人しかった彼女の本当の力がここから発揮されるのです。豹変ぶりに度肝を抜かれてしまうはず。

登場するキャラクターたち全員が主人公を担えるほど濃い存在感を放っているのが、本作の魅力のひとつです。あまりにも強烈なため、ギンガの影が薄くなってしまうこともあるのですが……そんな本末転倒なところも魅力なのでしょう。

 

ラスボスもまた企業戦士!【10巻ネタバレ注意】

最終巻となる10巻には、本作のラスボス的な存在である「ダークヒーローカンパニー」の社長が登場します。

通常のヒーローマンガならクライマックスとも言うべき展開ですが、そこは『ヒーローカンパニー』、相変わらず想像のナナメ上を行く展開が待っていました。

著者
島本 和彦
出版日
2017-03-04

ダークヒーローカンパニー社長とギンガたちの対面は劇画タッチで描かれ、あたかもシリアスなシーンのよう。しかし彼は戦いに来たわけではなく、ヒーローカンパニーに所属している「ミルクるナース」をヘッドハンティングしに来ただけでした。

「給料は最初から手取り20万を保証するぞ!」(『ヒーローカンパニー』10巻より引用)

妙にリアルな金額を提示するあたりに笑ってしまいます。

しかもその結末は、「社長ひとりの権限でカワイイ女子社員の給料を上げたりしたら社員のモチベーションに影響が……」というバカバカしいものでした。

一見シリアスに見えるシーンもすべてビジネスの話にすり変えてしまうところに、本作らしさが存分に出ています。
 

『ヒーローカンパニー』の熱くてドライな魅力を体感してみよう!

本作は結局ヒーローマンガなのか、ビジネスマンガなのか、ギャグマンガなのか……その真相は、実際に読んでいただいた方のみがわかるものなのでしょう。

何にせよ、設定のリアルさ、キャラクターの濃さ、展開のハチャメチャさは秀逸です。少しでも気になった方はぜひ読んでみてください。

著者
島本 和彦
出版日
2014-11-05
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