幕末に生きた、坂本龍馬。歴史の大きな動きに関わった彼は若くして暗殺されてしまいました。しかし、もしも彼が生き延びていたら……?どのような行動をとり、歴史はどう変わったでしょう。 そんな本作が、スマホで無料で読むことができます!
- 著者
- ["橋本エイジ", "梅村真也"]
- 出版日
- 2017-05-20
幕末の改革に大きな役割を果たしながらも、坂本龍馬は近江屋事件で暗殺されてしまいます。
もしも彼が事件の後も生き延びていたら、討幕から維新への歴史の流れの中でどんなことを成し遂げたでしょうか。
彼を取り巻く朝廷、幕府、薩摩、長州、土佐らの群雄も登場して、歴史の「もしも」を豊富な史料と大胆な発想で描いています。
ここでは、主な登場人物とあらすじをご紹介していきましょう。
- 著者
- ["橋本エイジ", "梅村真也"]
- 出版日
- 2017-05-20
1867年11月、近江屋事件を生き延びた坂本龍馬は、日本史上最悪の内戦となる戊辰戦争を防ぎ、日本を自分の住みたい国にしようと動きます。
一方で岩倉具視一派は、大政奉還をした徳川家を完全に滅ぼすために王政復古の大号令を画策していました。龍馬はその陰謀を阻止しなければなりません。
天下の奇策をいだいた彼は幕府や朝廷に働きかけ、助かった命を平和革命のために捧げようと決意するのでした。
彼は土佐脱藩の志士です。貿易会社と政治結社を兼ねた亀山社中(海援隊の前身)を結成して、薩長同盟や大政奉還の実現に力を尽くしました。これは史実通りです。
1867年に志半ばにして暗殺されるのですが、この作品では暗殺事件は起こるものの一命を取り留め、さらなる理想の実現に向けて邁進する姿が描かれます。
暗殺事件までの彼は、まさに誰もが知る坂本龍馬です。
しかし、近江屋事件で助かって以降の彼はショックのためか髪も白くなっています。まさにここからはフィクション、というメッセージのようです。漫画ならではですね。
史実では接触のなかった新撰組の土方歳三を拳銃で挑発しながらも、いつしか友と呼べる関係になっていくのは、歴史好きにはたまらないロマンにあふれた発想です。
生き延びた彼は外国人とも息の詰まるような交渉をして、諸外国から日本を守ろうと奔走します。徳川家を最大の出資者とするコンペニー(株式会社)を作り、その利益で日本を列強の侵略から防ごうとするのです。彼が生きていたら、本当にこういうことをやったかもしれません。
彼は京都の土佐藩邸に出入りし、龍馬を慕う若き写真家として登場。史実でも日本の写真家の草分けで、長崎に日本初の写真館を開いています。
この写真館で龍馬が肖像写真を撮ったのは事実ですが、実際に撮影したのは彦馬の弟子の井上俊三と言われています。この漫画で描かれるほどの深いつながりは持たなかったようです。
しかし本作では、京都でも龍馬とともに行動しています。近江屋事件の後、瀕死の中岡慎太郎から、龍馬の生存を知らされて救援に向かうのも彼の役割。
傷の癒えた龍馬から長崎に帰れと言われますが、彼は龍馬の死顔は自分が撮ると決意します。
2人は再び一緒に行動するようになり、フランス公使の説得にも同行するなど、ちょっとした子分のような位置にいるのです。
彼は龍馬より8つ年下の紀州藩士です。亀山社中から発展した海援隊に加わり、龍馬と行動をともにしています。これは史実通り。
さらに史実では、紀州藩士三浦休太郎を龍馬暗殺犯と見て天満屋に襲撃をかけて、同席していた新撰組の斎藤一らを襲ってしまいます。
こちらでは、紀州藩がその黒幕と思いこむのは同じですが、襲撃を試みた時に逆に新撰組に発見されて窮地に陥ることに。その時、死んだはずの龍馬が現れて、危機一髪のところを救われるのでした。
龍馬が生き延びた先のフィクション部分では、彼のコンペニー構想を実現するために動くことになります。公武合体派の大名家の説得にあたって、天皇の外祖父である中山忠能卿に詔勅を出させるシーンは、陸奥の覚悟が際立つ見所となっています。
そしてその詔勅を届ける途中で、陸奥にとっての最大の事件が起こるのでした。
彼は新撰組副長です。斬られた相手が気づかないほどの剣の達人として描かれます。
新撰組という組織や近藤勇、沖田総司などの人物は史実通りですが、史実では龍馬との出会いはありません。
それでも、この面々が出会っていたらどうなっていただろうという、もしもの世界は魅力的です。ともに剣の道を極めた者として、わかり合えたでしょうか、それとも、生きる道のあまりの違いに背を向けることになるのでしょうか。
本作で、土方はその剣の腕を見込まれて、将軍慶喜から龍馬の護衛を命じられました。2人は似ているところもあり、違うところもあり、それゆえに友情と対立を繰り返していくところが見所です。
主人公をさしおいてこの作品1番のイケメンとして描かれているだけに、かっこいいシーンも盛りだくさんです。
1867年、土佐を脱藩した浪士、坂本龍馬は平和革命のために奔走していました。史実通り近江屋で何者たちかに襲われますが、史実とは違い、その場を逃げて生き延びます。
暗殺者の黒幕については現在でもいろいろな説がありますが、本作では意外な人物が背後で糸を引いていたのでした。
- 著者
- ["橋本エイジ", "梅村真也"]
- 出版日
- 2017-05-20
龍馬は、盟友である陸奥らと合流。そこで彼は未来の展望を語ります。薩長が討幕して新政府を創っても、権力が幕府から薩長に移るだけとして反対するのです。実際の明治時代の否定です。そして、武士も百姓もなく、すべての人を入れる大きな器のような国をめざすというのです。
本当に彼が生きていてくれたら、と思わずにはいられません。
そんななかでも歴史は動いています。将軍に官位と領地の返上を命じる、王政復古の大号令が出されようとしていたのです。大政奉還に応じて権力を朝廷に委譲していても、今なお400万石という日本最大の領地を持つ徳川家がこれを承諾するはずはなく、内戦は必至の情勢です。
これを阻止する秘策が、龍馬にはありました。徳川幕府を最大の出資者とする株式会社(コンペニー)を作るのです。日本中の藩から資金を集めて海外貿易をおこない、その利益を配当するシステムを作れば、徳川家を滅ぼすわけにはいかなくなる、という目論見です。
しかし一方で、彼の暗殺を企てた人物も、彼が生きていることを知り、このまま見過ごしてくれるはずもないのでした。
コンペニー計画を実現させるため、龍馬は単身二条城に乗り込んで、将軍徳川慶喜に直談判します。冷静に話し合っていた2人は、いつしか拳を交えて真情を語り合うように。慶喜の想いもまた、胸に響くものでした。
この談判で徳川幕府の承認を得て、ついにコンペニー計画を推し進めるのです。
- 著者
- ["橋本エイジ", "梅村真也"]
- 出版日
- 2017-06-20
1867年12月4日、龍馬は上野彦馬を連れ京都から大坂へ向かっていました。
徳川幕府に加担しているフランスをコンペニーの貿易相手国とするために、フランス公使ロッシュと会見しようというのです。その護衛として、新撰組の土方歳三も一緒にいました。
ロッシュが指定した会見の場は海上。フランス東洋艦隊旗艦のセミラミス艦上でした。彼は徳川幕府に協力していたのですが、フランスの本音は日本の植民地化だったのです。
コンペニー構想に難色を示したロッシュは、騎士と組みたいなら勇気を示せ、とロシアンルーレットを提案します。龍馬はどのように対応するのでしょう。この巻の1番の見所となっていますので、ぜひ読んでみてください。
その結果、ロッシュも龍馬を、正式な貿易相手として認めることになるのです。
ロッシュ公使は実在の人物で、徳川幕府に肩入れしたことも史実です。
また、この巻の後半では人斬り半次郎をめぐって、龍馬、土方の想いが複雑に交錯します。描く夢がどのようなものであれ、襲ってくる敵とは戦わなければならないことに、龍馬はつらい気持ちを抱くのでした。
この巻の前半は、陸奥陽之助が大活躍します。
徳川幕府を廃する王政復古に対するために、慶喜を朝議に招く詔勅を出させようというのが龍馬の計画でした。
それを実現させるために、陸奥は1人、中山忠能卿との密談に臨みます。中山忠能卿とは、若き天皇の外祖父で後見人でもある、影の実力者です。
この息詰まるやりとりは、読んでいても手に汗握ります。ようやく手に入れた詔勅を届ける陸奥。彼には彼の覚悟がありました。
彼の覚悟が龍馬に伝わる時、陸奥は果たして……。
- 著者
- ["橋本エイジ", "梅村真也"]
- 出版日
- 2017-06-20
後半は徳川幕府を巡ってさまざまな思惑が入り乱れることになります。
二条城の面々は徳川慶喜、小栗上野介、勝海舟。
龍馬は、なんとしても詔勅を慶喜に届けなければなりません。しかしそこには、彼を阻止しようという組織が100人もの武士を差し向けていたのです。
その人数を相手に「アレは全てオレの獲物だ」と言い放つ土方。孤軍奮闘する彼の元に現れた救援とは?そして詔勅を手に、朝議の席で慶喜が新政府に対して向ける言葉とは?
戊辰戦争は回避されたかに見えたのですが、龍馬の予測を超えた出来事が起こってしまいます。歴史という大海のうねりのなか生き延びた彼といえども、小舟のようにも見えるスケールの大きな作品です。
ラストに待ち受ける「予感」こそが、歴史をフィクションとして楽しむ醍醐味かもしれません。
ラミレス号の会見により、フランスからの支持を得た龍馬たち。討伐派に対抗するための材料が揃ってきた、注目の第4巻。
- 著者
- 梅村 真也
- 出版日
- 2010-08-09
土方が、薩摩藩の中村半次郎の首をはねる衝撃的なシーンから始まる本巻。
今回の見所は何と言っても、陸奥の活躍です。彼は命がけで詔勅を手に入れます。しかし、そのことをきっかけに、田中顕助に殺害されてしまうのです。
そうとも知らず、彼が手に入れた詔勅を手に「王政復古の大号令」が可決されようとしている朝議に出向くことになる龍馬。果たして薩長と徳川の衝突を回避することはできるのでしょうか。
王政復古編も、ついに終盤です。
陸奥の活躍により、詔勅を手に入れた龍馬。彼は陸奥と会うために約束の場所へ向かいますが、その時、彼がどうなっているかは知らず……。
- 著者
- 梅村 真也
- 出版日
- 2010-11-09
彼らが到着すると陸奥はおらず、代わりに手紙を持った子供が立っていました。その手紙は、陸奥からのものだったのです。
そこには陸奥の、龍馬に対する想いが書かれていました。彼は龍馬が大阪に下った時から、すでに死を覚悟していたのです。
陸奥の命がけの努力、龍馬の奔走の結果、慶喜はついに全藩の領地返上を決めます。これで日本の内乱が回避される。そう思った矢先、慶喜が殺害され……。最後まで目が話せない展開は、ぜひ実際に読んでお確かめください。
本作は打ち切りのような形で第一部の最終回を迎えてしまいましたが、あとがきを読む限り作者サイドは続編を書く意志がある様子。読者としては、ぜひ今後を期待したいところです!
幕末、それは動乱の時代。多くの男たちが自らの生き方に殉じていきます。生き延びた龍馬が見た世界は、どのように動いていくのでしょう。熱い男たちのドラマがここにあります。