切ない恋愛ラノベおすすめランキングベスト19!

更新:2017.6.26

泣くことはストレス解消に多分の効果があります。ストレス社会に生きる我々としてはなくてはならないのが泣くことです。涙を気軽に流せるのが切ないライトノベル。涙でストレス解消をしてみませんか?

  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena

19位:魅力的な悪女と秘密の謎『月光』

主人公、野々村は退屈な日常から抜け出したい高校生です。シニカルに毎日を過ごす彼ですが、教室で「殺しのレシピ」と書かれたノートを見つけます。それは教室のアイドル、月森葉子のものでした。

月森のイメージと合わないノートに疑問を感じていると、彼女の父親が事故で亡くなります。その事故はノートに書かれていた内容と似ており、野々村は月森が父親殺しの犯人ではと疑い始めました。葬式や教室での姿に疑念を強めていく中、突然彼女から告白されるのです。

著者
間宮 夏生
出版日
2010-09-10

本作は魅力的な月森とあいまいな謎に絡めとられていく作品です。「殺しのレシピ」という刺激的な謎に飛びついた野々村は月森と彼女の謎に挑みます。彼女の真意を知るため、告白はかわしながらも彼女と行動するのです。一緒に帰ったり、同じバイトをしたり、デートをしたり。彼女に恋人の既成事実を作られながらも、野々村は彼女の想いに触れていきます。その様子はコミカルで、楽しく読み進めることができるでしょう。

そして月森の母親の死が重なり、警察が介入してきます。野々村は月森の家族が亡くなった状況の不自然さを知りました。自身の疑念に核心を持ちながら、彼は月森と真相を天秤にかけ、自分の本心に気付くのです。

野々村らしい不器用な想いと「殺しのレシピ」で繋がった2人の不自然な関係。蠱惑的で絡み取られるような恋愛模様をぜひ見ていただければ幸いです。

18位:携帯電話が繋ぐ、想い人との会話とすれ違い『パララバ』

主人公、遠野綾は廃部寸前の合気道部に所属する高校2年生。彼女は部活を通して村瀬一哉と知り合います。メッセージのやり取りをし、2人は意気投合していきました。電話番号を交換し、たわいもない話にお互いの想いを強めていくのです。

しかし村瀬との会話が毎晩の楽しみになった頃、村瀬が突然、事故死してしまいます。悲しみに暮れる中、彼からの電話がかかってきました。困惑しつつ電話に出ると、彼は亡くなったのは遠野だと告げるのです。

著者
静月 遠火
出版日

本作はすれ違いを描いているSF作品です。村瀬が亡くなった世界と遠野が亡くなった世界が携帯電話を通して繋がっています。声は届くのにどこにもいない、そんな2人の距離感が絶妙です。それぞれが亡くなる前も風邪等で会うことができず、携帯電話で繋がってもお互いを見つけられません。電話越しにはいるはずなのに、お互いの姿が見えない。確認し合うほどに、その喪失感が強まります。あまりにもいじらしく、切ない関係です。

そして2つの世界での違いを確認していくうちに、2人は大きな事件へと巻き込まれていきます。村瀬の事故が事件となり、死の原因に遠野が近づいていくのです。

章の使い方も魅力的な本作は1巻完結です。ぜひ2人の微妙な関係や淡い想い、そして大きくなっていく事件をぜひ楽しんでください。

17位:陰謀渦巻く世界で出会ったふたりの少女との三角関係『空ノ鐘の響く惑星で』

歪な月を持つ世界を舞台にした異世界ファンタジーライトノベル。主人公フェリオはアルセイフという王国の第四王子。権力も後ろ盾もなく、神殿の親善大使として平穏な日常を過ごすフェリオの前にふたりの少女が現れます。

著者
渡瀬 草一郎
出版日


神殿の象徴である御柱から現れた少女リセリナは「来訪者(ビジター)」と呼ばれる別の世界の住人です。人間を超えた身体能力を持ち、何かから追われている素振りを見せる彼女をフェリオは助けようとします。

そしてフェリオの元に現れたもう一人の少女、神官のウルク。一時期アルセイフの宮殿に滞在していた彼女はフェリオの幼馴染です。しかし、フェリオはウルクのことを少年だと思っており、数年ぶりに再会した美しい少女の姿に驚きます。

リセリナとウルクは戦場と王宮それぞれの舞台でフェリオを支えます。『空ノ鐘の響く惑星で』はどのキャラクターも個性豊かで、それぞれに活躍の場があります。例えばウルクは政争に巻き込まれていくフェリオを助けようとします。

「ならば、私の存在を存分に利用なさってください。私はそのために、自分の意思で、フェリオ様についていくことを望んでいるのです」(『空ノ鐘の響く惑星で』②より)

聡明なウルクは神官として王宮の中で、一方リセリナは自らの戦闘能力を活かして戦場の中でフェリオを助けます。フェリオと彼女たちの間にある信頼や絆は単なる恋人を通り越え、人生の伴侶とさえいえるのではないでしょうか。ただの恋愛関係ではない強い絆を感じさせる三角関係です。

16位:1日に10文字しか話せない彼女とのラブストーリー『その10文字を、僕は忘れない』

主人公島崎蒼は、高校二年生が始まってから数週間たったある日、初めてサボタージュをしました。その日に宮崎菫と出会い、交流を深めていくことになります。

1日に10文字しか話せない菫は基本的にスケッチブックでコンタクトを取ります。筆談による交流によって、蒼と菫は仲を深めていくのです。

メインヒロインである菫には心の傷が存在します。彼女はもともとよく喋る少女でした。しかし、小学校四年生の時に彼女は運命の歯車が狂います。両親とともに動物園に行った帰り、横転してきたトラックに車が巻き込まれ、両親は死亡、菫のみが生き残ることになってしまったのです。これだけでも不幸ですが、本当の不幸はその後にあって……。
 

著者
持崎 湯葉
出版日
2016-07-22


また、主人公である蒼には、高千穂弥生という腐れ縁の友人がいます。粗野な性格で性別を感じない交流をしているキャラクターですが、そんな彼女は蒼に好意を持っています。

メインヒロインである菫の近くにいることで、心に重いものを感じる弥生がいるというのは、とても切ないです。

15位:突然遠い親戚の彼女と同居することに!?『近すぎる彼らの、十七歳の遠い関係』

ある日突然、美少女和泉里奈と同居することになるストーリーです。主人公の健一は、里奈と、腐れ縁の幼なじみ森由梨子に好意を寄せられ、三角関係に発展していきます。メインヒロインは女子校育ち、その設定にもくすぐられる方もいるのではないでしょうか。
 

著者
久遠 侑
出版日
2016-04-30


他人との距離を思い悩んでいた健一の生活圏に、突然他人が入って来る、しかも異性。思春期の健一は無防備な彼女に平静を保てません。ただ、そういった心情がバレてしまうと生活もしにくいので、表面上は普通に接します。

そんな葛藤を持つ彼には幼なじみがいて、バレると面倒なことになりそうだと黙っていますが、結局バレます。健一に好意を持つ幼なじみは気が気でありません。そんなふたりの思いがすれ違う部分もお話の注目点です。

同居モノと聞いてピンときた方ならぜひお読みになられると良いのではないでしょうか。

14位:亜流恋愛ハーレムラノベ『豚は飛んでもただの豚?』

主人公の真宮逢人は恋愛経験全くゼロ、恋人はおろか友達すらほとんどいない状況下に置かれています。ある日、逢人はバイト先で食い逃げ犯を追っていると、ひとりの少女に出会います。

食い逃げ犯をハイキックで蹴り倒して昏倒させた少女藤宮綾。逢人はそんな彼女が気になり始め、高校入学と同時に同じクラスになったことをきっかけに交流を深めていき……。
 

著者
涼木行
出版日
2011-12-21


主人公が複数人の異性に好意を向けられるハーレムものは多く存在しますが、主人公がある特定の人物を気になるという冒頭はとても少数派です。稀にある、メインヒロインが一人でほかは賑やかしというライトノベルでもありません。藤宮綾は三つ子の長女であり、どの少女も魅力的でしかも主人公に好意を寄せていきます。

結局両思いなんだからハッピーエンドになるんじゃ?と思う方もいるかもしれませんが、恋愛はそう簡単には行かないのが現実です。3巻まで読了した際に切ないけど爽やかな気持ちにさせる、そんなライトノベルです。

13位:世界で一番パパが好き『パパのいうことを聞きなさい!』

小学生で両親を亡くしてしまった瀬川祐太は、当時まだ高校生だった姉・祐理に育てられます。しかし祐太が中学生になったとき、祐理はバツ2でふたりの子持ち男性小鳥遊信吾と結婚します。

姉を奪われたことに対する嫉妬で、姉夫婦と距離を置いてしまう信吾。でも、女手一つで育ててくれた姉のことを想い、関係修復をしようとしていた矢先、姉夫婦は飛行機事故で行方不明となってしまいます。

著者
松 智洋
出版日
2009-12-01

親族会議の結果、残された3人の娘たちはバラバラに育てられることに決まりそうになります。しかし大切なものが一瞬で崩れてしまう体験をした生い立ちから、全員を自分で育てると宣言してしまいます。

そしていきなり、三姉妹の世話をすることになってしまった祐太。三姉妹の親族からの反対や、なかなかうまくいかない生活。しかし、三姉妹と絆を深めることで次第に周囲の理解も得てきます。

血のつながった家族でも、生活していく中で軋轢が生まれ、うまく生活していくことができなくなってしまうこともあります。それが他人同士であれば、ますます難しくなるでしょう。

しかし、祐太は一生懸命「家族」であろうと努力します。大切なのは、相手を思う気持ち、相手を気遣う気持ちなのだということを、改めて気づかせてくれる優しい物語です。

そして成長するにつれて3姉妹の長女である空が裕太に恋心を抱くようになります。実は裕太は密かに同じ研究会の莱香に憧れを抱いていたのですが、3姉妹を育てるうちに心境に変化が出てきます。

裕太が日々の生活の中で得た自分の気持ちへのけじめは、彼が苦労していることをずっと追っていた身としてとても感情移入してしまうものとなっています。

果たして彼は家族や大学での人間関係で、自分にとって1番大切なものとは?という問いにどんな答えを出すのでしょうか?

12位:記憶を失った彼女とリセットされた関係『夏の終わりとリセット彼女』

桜間友里は交通事故に遭い、記憶を失ってしまいます。風紀委員で、“正義の人”と呼ばれる彼女は、彼氏である主人公、峰康のことも忘れてしまいました。正義感の強い彼女は峰康と行動をともにしますが、彼の適当な性格に一番嫌いなタイプであると結論付けます。そして桜間は峰康と付き合っていた事実が受け入れられず、彼を拒絶し始めてしまうのです。

一方、峰康も付き合っていた桜間の本心が分からず、疑問を持ち始めていました。そして2人は記憶を探りながら、桜間の想いや考えを知っていくのです。

著者
境田 吉孝
出版日
2014-05-20

失った記憶を探りながら2人の想いを探していく恋物語です。付き合っていたという事実と相性の悪さはかみ合いません。しかし、その不自然さから2人の本当の想いに気付いていくのです。そして失ってしまった関係をお互いに歩み寄っていきます。記憶を失う前とはまた違った2人になるのです。

一度失ってしまった恋物語をやり直す素敵な物語です。切ない想いと甘い2人の過去と未来をぜひ読んでみてください。

11位:幻想的な詠と色に染まる過去と現在の物語『イヴは夜明けに微笑んで』

“Keinez(赤)”“Ruguz(青)”“Surisuz(黄)”“Beorc(緑)”“Arzus(白)”。5色を媒介とし、精霊を呼ぶ呪文、名詠式が確立された世界が舞台の作品です。

名詠式を学ぶ学園に通う、主人公クルーエルは、年下の転校生ネイルと出会います。ネイルは夜色名詠というまだ確立されていない名詠式を使う異端児です。行動をともにしていく中、5色の名詠式を使いこなす虹色名詠士カインツがネイルを訪ねました。そしてネイルは夜色名詠がネイルの母親とカインツとの約束に繋がっていると知るのです。

著者
細音 啓
出版日

本作は名詠式という技術が確立されているファンタジー作品です。まず目を引くのは名詠式の呪文です。英語でもなく、他の外国語でもない、作者が作り出した単語と文章は幻想的で、ファンタジー世界であることを抒情的に示していました。

クローエルとネイト、姉と弟とも感じられる2人ですが、それぞれの名詠式を勉強しながら仲を深めていきます。その姿は過去のカインツとネイルの母親に重なるのです。過去の物語と現在のクローエル、ネイトの物語。それらが淡い色と名詠式によって、幻想的に語られます。

全10巻の長編ですが、2人の成長と変わっていく関係、名詠式や世界の真相が美しく描かれています。ぜひ手に取ってみてください。

10位:叙述トリックが光る!本格派ハイファンタジー『12月のベロニカ』

この1冊で物語が完結しており、名作の呼び声も高い作品です。ベロニカと呼ばれる、女神の巫女に選ばれた少女と、そのベロニカの騎士となるべく生きてきた主人公の、淡い恋心をつづるラブストーリー。

クラウディア大陸では、女神ファウゼルに仕える巫女のことをベロニカと呼んでいました。若き騎士フレイルの幼なじみの少女は、14歳のころベロニカとして選ばれ、都会に連れて行かれてしまいました。しかし10年の後、彼女の側に仕える不死の戦士、ベロニカの騎士となるため生きてきたフレイルは、ついにその候補に選ばれます。そしてそんな時、運命はふたりをあざわらうかのように彼らを翻弄していくのです。

著者
貴子 潤一郎
出版日

本作品の魅力を伝えるための大きな要素は次の3つです。「巧みな叙述トリック」「高い文章構成力」「ストイックな世界観」。これらの要素を順を追って解説することで、きっと本作品の面白さが伝わるはずです。

叙述トリックとは、作者が読者に対してしかける文章によるトラップです。あえて事実を曖昧にすることで読者を誤った方向へ導き、読後に衝撃を与える展開を用意したりします。

もともと本格ミステリー作品に使うテクニックとしては邪道だという意見も多かったのですが、ミスリードされることに快感を覚える読者が多いのは周知の事実です。この作品にも、2度3度読んで初めて気づくような細かな伏線や仕掛けが張り巡らされているのです。きっとあなたも巧みな文章にミスリードされ、衝撃的な展開に一杯食わされてしまうに違いありません。

また、本作品の読者からは、構成が素晴らしいという声が多々あがっています。話の継ぎ目に違和感がなく、過去や未来の出来事を語る際にも、どこのどういう場面を示しているのかがはっきりと分かるのです。こういった文章の美しい組み合わせによる読みやすさも評価できるポイントと言えます。

そして世界観はというと、巫女や不死の騎士などといったものも存在する、いわゆるファンタジー世界です。ライトノベルにおけるファンタジーを題材とした作品には、大抵の場合モンスターなどの異形の怪物が出てくるものですが、この作品にはそういった類のものは一切登場しません。終始シリアスで真面目な展開が物語に深みを与え、儚げなストーリーと相まって感動を覚えることは間違いない作品として読者を楽しませる作品なのです。

いかがでしょうか、ファンタジア大賞を受賞した本作品は、この3つの要素が高い評価を受けファンを増やし続けています。たった1冊で大きな充足感を得られる可能性を秘めた1作です。是非読んでみてください。

9位:懐かしさと切なさ。高校生4人が描く純愛物語『恋の話を、しようか』

予備校を舞台に、名前も知らない高校生の男女4人が惹かれ合っていく純愛ストーリー。テスト中に偶然起こった停電をきっかけに、4人の想いは交錯していきます。

学校も、住んでる場所も違う、予備校でたまたま同じクラスとなった4人の高校生たち。そんな彼らがテストを受けている最中に停電騒動が起き、静まり返る中、ひとりの少年が沈黙を破りこう言い放ちます。

「恋の話を、しようか」

彼の名は桧山ミツル。気まずい沈黙に決まりきった会話をするのがなんとなく嫌だと感じ、発作的に口走ってしまったその言葉によって、彼ら4人のそれぞれの想いは動き出すのです。

著者
三上 康明
出版日
2009-06-18

物語の主軸となる4人は、この恋の話をきっかけに秘めた想いを語り始めるのです。作中ではそれぞれの想いをそれぞれの視点で丁寧に描いてあり、高校生らしい純粋な恋心が語られていきます。この物語で描かれるのは、それぞれが片想いをしている4角関係の恋愛模様。予備校という舞台らしく、それぞれが抱える学生としての悩みもしっかりと描写されています。高校生という時代を生きた人ならば、誰もが共感できる内容です。

用意されたレールを進むだけの人生に疑問を感じているもの、学生最後の親善試合に賭けているもの、自分の進むべき道に迷うもの、そして悩むべきことが特に何もないもの、彼らそれぞれが抱える悩みは四者四様です。しかし、物語が動き始めたときから彼らは互いにぶつかり合い、影響を与え合うことで徐々に変わっていきます。なかでも、何も特筆するものがなかったミツルが悩める仲間たちを変えるきっかけになっていくエピソードは感動的です。

高校生という多感な世代を描くこの物語は、人物の行動や考え方が妙にリアル。それというのも、ラノベ作品に代表される恋愛作品には、少なからずご都合主義というものが見え隠れするものですが、この作品にはその要素が少ないのです。彼らの悩みは決して安易な解決や奇抜な展開を迎えるわけではありません。それぞれが現実に折り合いを付けながら答えを出していきます。そうやって最後までしっかりと若者の葛藤をリアルに描く物語は、むしろすがすがしく好感が持てるストーリーに仕上がっているのです。

冬の季節の予備校が舞台の本作品、誰もが一度は通る、一度しか経験できない青春の時代を小説を通して振り返ることができるこのお話は、この時代にしか感じることができないような淡い恋心を味あわせてくれる作品です。そんな懐かしさを感じながら読み進められるノスタルジックな青春ラブストーリーをぜひお試しください。

8位:昼と夜に分かたれた、人と吸血鬼の恋を描く傑作『ヴァンパイア・サマータイム』

石川博品による傑作ライトノベル。人と吸血鬼が昼と夜に分かれて生活する街で、人である主人公と吸血鬼の少女が出会い、恋をするこの物語は、吸血鬼特有の性質を巧みに物語に絡めることで、2人の恋を官能的に、そして切なく描き出す作品です。

著者
石川博品
出版日
2013-07-29

昼には人が、そして夜には吸血鬼たちが学校へ通っている街。ここで人間の少年と、吸血鬼の少女が出会います。少年の名は、山森頼雅。少女の名は、冴原綾萌。同じ街に住んでいながら、お互いの種族のことをよく知らない彼らは、はじめは妄想をふくらませ、お互いを美化したりしながら甘い恋物語を展開していきます。しかし次第に、種族の違いによる「壁」を感じていくことになるのです。

ここで描かれる吸血鬼は、ごくごく平凡な存在です。種族としての性質の違いなどはありますが、他の吸血鬼作品にありがちな特殊能力や超常的な力などはありません。そして彼らは人を怖れているのです。なぜならそれは、自分たちであれば日に当たると灰になってしまうところを、人は太陽が輝く時間にも平気で活動できるから。そしてこれが、前述した種族の違いによる「壁」でもあるのです。

ラブストーリーに障害はつきものです。両親の反対や身分の違いなど作品によって様々な理由がありますが、本作では覆しようのない種族としての特性が障害となってしまいます。物語が進む中で徐々にそれに気付いていく2人の心情や、それでも相手のことが好きな気持ちなどを文章から感じ取ると、なんとも切ない気持ちがこみ上げてくることでしょう。さらには吸血鬼特有の血やその匂いなどを表現に盛り込むことで、官能的でもあり、切なくもあるような不思議な世界観が作中に表現されているのです。

そんな昼と夜を分かつ彼らが出会い恋をするのは全く救いのないことなのか、それともなんらかの形で救われていくのか、それを見守っていきたいと思わせてくれる本作。不思議で官能的なラブストーリーを、ぜひ体験してみてくださいね。

7位:大切なものをなくした彼女とロックバンド『さよならピアノソナタ』

主人公、桧川ナオは機械いじりが得意で、豊富な音楽知識を持つ高校生です。彼はジャンク品が多く捨てられている場所を“世界の果ての百貨店”と呼び、通っていました。高校に入学直前の日、その場所でピアノを弾いている少女と出会います。別れ際、彼女が音楽業界から消えていた天才ピアニスト、蛯沢真冬だと気づきました。

その後、桧川は転校してきた真冬と高校で再会します。しかし真冬はつんけんとし、教室にも馴染まず、“世界の果ての百貨店”で出会った桧川のことを敵視してしまうのです。

なぜか真冬はギターを持ち、桧川が隠れて音楽を聴くのに使っていた空き部屋を奪っていきました。静かに音楽を聴いていたい桧川は、空き部屋を賭けて、真冬にギター早弾きの勝負を持ちかけるのです。

著者
杉井 光
出版日

本作は音楽を通して、お互いを理解していく作品です。ロックバンドでのセッションや真冬との勝負、臨場感のある文章はあるはずのない音楽が聞こえてくるよう。びりびりと震える空気を感じ、登場人物たちの想いに感情移入していきます。

大きな喪失や一人で震えている真冬の本心は、薄暗く、すんと切なくなってしまいました。ギターを抱えている理由もそこにあります。高校生にはあまりにも重すぎる悲しみに、2人は抗っていくのです。

臨場感のある音楽とほの暗い喪失が抒情的に描かれている作品です。シリーズは全5巻、桧川と真冬、そしてバンドメンバーの行く末をぜひ確かめてみてください。

6位:そこに自由はあるか『とある飛空士への追憶』

主人公は、東方大陸のサン・マルティリアで、最高の飛空士といわれるシャルル。彼はある日、サン・マルティリア統治者の一人娘である美姫ファナと、海猫作戦のため、空の旅を共にすることとなりました。

著者
犬村 小六
出版日
2008-02-20

身分が天と地ほど違う、決して交わることのなかった二人の人生が重なり合い、同じ時間を過ごすうちに次第に近づいていく二人の心。彼らは身分や立場を超えて寄り添うことはできるのでしょうか……。切なくてもどかしい恋と空戦を描いた物語です。

「空の上では身分も関係ない、自由でいられる」(『とある飛空士への追憶』より引用)

身分に縛られ、虐げられ、見下されるシャルルと、その身分ゆえに自分の殻に閉じこもり、望まぬ結婚を迫られるファナ。そんな二人がしがらみから自由でいられる空の上で、心を寄り添わせます。

限られた時間、限られた場所で出会ったからこそ、余計に互いのことが愛おしくなるのかもしれません。制約のある中での恋を描いた、ちょっと切なく美しい空の上での恋物語です。

5位:いつかは終わりの来る日常『半分の月がのぼる空』

病院での入院生活が退屈で、病院を抜け出しては看護師に叱れられる日々を送る戎崎裕一。そんな裕一は、看護師から秋庭里香という少女の話し相手を頼まれます。里香は不治の病で入院している少女で、長くは生きられないと、生きることを諦めていたのです。

いつまで生きることができるのか。それは普通に生活している私たちはあまり意識しないことでしょう。しかし、不治の病に冒されている人は、その時間こそが生きると言うことであり、不安や希望を普通に生きているよりもずっと強く感じるのではないでしょうか。

著者
橋本 紡
出版日

今日は大丈夫だった。明日は目覚めることができるだろうか。そんな瞬間瞬間に怯えるような不安を抱えながら生きている里香。人生に疲れ、諦め、生きる希望を失ったときに出会った希望のような存在・裕一。

里香は、裕一と触れ合うことで生きたいという希望を持ち始めます。裕一も、里香に惹かれつつある自分を意識していて、一緒にいたいと願います。

ある日、裕一は里香の願いを叶えるために砲台山へと、里香を連れていきます。そこは里香が父親と一緒に出かけた思い出の場所でした。

裕一に思い出の場所へ連れて行ってもらった里香は、空にのぼった月のような光が心に差します。生きたいという気持ち。それが二人を強くしていくのです。

終わりがあるからこそ、今を大切にする。でも、終わりがあるから切ない。そんな日常のこわれやすさを改めて実感することのできる物語となっています。

4位:残念系青春ラブコメ『僕は友達が少ない』

転校初日に遅刻し、中途半端な金髪という風貌のせいで勝手に周囲に「ヤンキー」だと思われてしまう、羽瀬川小鷹。クラスで浮いた存在になってしまい、友達ができません。そんな彼ですが、ひょんなことから同級生の夜空が作った「隣人部」に入部させられることになります。

友達を作るという、簡単そうで実は難しい行為。それが上手にできない人たちが集まる「隣人部」。小鷹たちはそんな人間が集まる「隣人部」の中で人間関係に悩み、考えながらも成長していきます。

著者
平坂 読
出版日
2009-08-20

他の人はスムーズに出来ているのに、自分だけなんだかうまく行かない。そんな「残念」な日々を過ごす「隣人部」のメンバー。だけど、彼らはその不器用さを見つめ直し、隣人部の中でしっかりとした関係を築いていこうともがき始めます。

「自分は好かれてなどいないのだと、自分の心にさえ嘘をつく」(『僕は友達が少ない』より引用)

小鷹と同じ、隣人部の部員である理科のその言葉に、ドキッとしてしまう人は、少なくないのではないでしょうか。傷つくことを恐れて、人は無意識のうちに他人と自分との間に壁を作ってしまうことがあります。

確かに自分で壁を作って諦めてしまえば、傷つかなくて済む。だけど、どこか寂しくてつまらない。誰かと深く繋がろうとするなら、その壁を壊さなくてはいけないのだということを、この物語では教えてくれます。

本を読みながら、もう一度自分のことを振り返る機会を与えてくれる。人間関係の築き方のヒントを知ることができる。そんな物語です。

3位:これぞ王道のラブコメラノベ『とらドラ!』

ラブコメラノベと言ったらこの作品!2007年にライトノベルアワードでラブコメ部門賞を受賞し、2008年にアニメ化しています。

目つきが鋭くヤンキーと勘違いされる主人公高須竜児と、誰にでも噛みつく凶暴なヒロイン逢坂大河の出会いから物語が始まります。竜児は大河の親友である櫛枝実乃梨に、大河は竜児の親友である北村祐作に好意を寄せていました。

著者
竹宮 ゆゆこ
出版日
2006-03-25


最初、大河は実乃梨を取られないようにしていましたが、最終的にはお互い協力することに。不器用ながらもお互いサポートする2人の恋路は……?

家事のプロの竜児は、私生活が悪い大河をお母さんのように面倒を見ています。喧嘩が多く一見相性の悪い2人ですが、実は噛み合っていて仲が良いです。後に大河の過去が明らかになっていき、竜児は乗り越えるため友達としてサポートしていきます。

『とらドラ!』のヒロインは、不器用な大河と明るいムードメーカーの実乃梨、性格に裏がある川嶋亜美です。竜児と大河のそれぞれの恋路が基本的に描かれていますが、大河は竜児と付き合っているという噂にまんざらでもないといった様子です。亜美は4人の関係を乱そうとしますが、4人のことを考えた結果かもしれません。

このラブコメラノベは、思春期特有の恋愛の心理描写が魅力です。気持ちに対して素直になれなかったり、遊びに誘えて舞い上がってしまったり、そんな学生時代の甘酸っぱいラブコメを是非読んでみてください。

2位:セカイ系を代表する切ないライトノベル『イリヤの空、UFOの夏』

少年と少女が出会うストーリーですが、このお話はただのボーイミーツガールではありません。SF要素を含んだ物語であり、心理描写が、情景描写が切なさを増強します。
 

著者
["秋山 瑞人", "駒都 えーじ"]
出版日


一番印象深いのは不思議なヒロイン、伊里野加奈が三巻で見せる人間らしさです。今までクールで主人公以外とはほとんど関わりを持たなかった伊里野ですが、浅羽に好意を寄せていていて、伊里野が気に入らない浅羽のクラスメイト晶穂と大食いで争います。そして最後には友情に目覚めます。伊里野が単なるクールな少女ではなくなった瞬間でした。

主人公が所属する新聞部部長の水前寺は奇天烈な言動と行動で、暗くなりがちな物語のコメディリリーフを担当。彼の最終巻での台詞「おっくれてるぅーーーーーー!」は、作中内でUFOの日とされる6月24日にツイートされているのを今でもチラホラと見かけます。

1位:ふと気がつけば、けして恋をしてはいけない相手に恋をしていた『この恋と、その未来。』

著者の森橋ビンゴは『ナナヲチートイツ』や『三月、七日。』『東雲侑子シリーズ』などのお話を書いています。

横暴すぎる家族に嫌気が差し、広島の全寮制の高校へやって来た松永四郎。ようやく安寧とした日々が送れると思いましたが、同居人となった織田未来には重大な秘密があって、その秘密を守らなければいけない状況に置かれます。未来の秘密とは、性同一性障碍の女性であるということでした。
 

著者
["森橋ビンゴ", "Nardack"]
出版日


心は男性でも身体は女性である未来との生活は、四郎の心身に負担をかけます。けれどいつしか、未来のことを意識し始めるのです。自分は未来の友達でいなければならない、好きになったらダメ、と四郎は思います。ですが心はどんどん未来に惹かれていく、そのもどかしさが物語の肝となっていくのです。

本作は売り上げが伸びず打ち切りになっていましたが、各所での高い評判を受け、無事最終巻が刊行されることになった作品。ライトノベルを普段読まないような方にも届く力を秘めています。切ない恋愛小説を読みたい方におすすめです。