受験業界を騒然とさせた受験テクニックの宝庫、『ドラゴン桜』。日本だけではなく韓国でもTVドラマ化され、ブームを巻き起こしました。今回は『ドラゴン桜』に出てくる「古典」と「数学」と「英語」の受験テクニックを紹介します!
- 著者
- 三田 紀房
- 出版日
- 2003-10-22
本作品は落ちこぼれ高校生2人が個性あふれる講師陣に鍛えられ、1年で東大合格を目指すというまるでバラエティー番組の企画のようなあらすじですが、書かれている受験テクニックはなるほどと思わせるものばかりです。
桜木 建二(さくらぎ けんじ)
物語の中心人物の1人です。元暴走族の弁護士という異色の経歴を持っています。見た目はボサボサの髪の毛に口髭で彫の深い顔立ちです。女性や生徒に対しても遠慮なく暴言を吐きます。
バスケットボールが得意なようで、生徒とフリースロー勝負をするシーンもあります。なぜ弁護士になったのか、どうやって司法試験に受かったのか、作中では語られていません。物語中で彼の過去にはあまり触れられていないため、主人公でありながら謎の多い人物です。
本作品は桜木が経営破たんした高校を精算しようとするところから始まります。桜木は元々は高校を精算するつもりでしたが、逆に再建することができればその功績の方が価値があると考えたのでした。高校再建のために桜木が考えた作戦は底辺高校から東大生を輩出することです。そのために特別進学コースを設立し、専門の講師陣を集めました。特別進学コース3年には2人の生徒が集まり、一緒に東大合格を目指していきます。
水野 直美(みずの なおみ)
龍山高校3年生で2人いる特進クラスの生徒のうちの1人です。物語の1話から登場しており、桜木と水野が出会うシーンから物語が始まります。離婚した母と2人で暮らしています。母はカラオケスナックを経営しており、水商売をしている母を軽蔑しているようです。
見た目は髪を染めていてチャラチャラしていますが、根は素直で根気強い性格です。桜木の強引な誘いと話の流れで特進クラスに入り東大を目指すことになりました。本人もこのまま底辺高校を卒業しても落ちぶれていく一方だと自覚しており、東大合格に段々意欲的になっていきます。
物語の中盤で東大理Ⅲ類合格確実と言われている秀才の大沢と知り合いになり、彼の励ましも受けながら勉強に励んでいくのでした。大沢とは一緒に家で勉強する間柄にはなりますが、その先は本編でご確認ください。本作品は水野ともう1人の特進クラスの生徒矢島が東大受験を終えるところで終幕となります。果たして水野は東大に合格することができるのでしょうか。
矢島 勇介(やじま ゆうすけ)
もう1人の龍山高校3年特進クラスの生徒。本作品は矢島と水野が桜木をはじめとする講師陣にしごかれながら東大を目指すストーリーとなっています。矢島は裕福な家庭の三兄弟の末っ子でボンボンです。兄2人は有名大学を出ており、矢島自身も親から期待を寄せられていましたが、中学受験に失敗したことをきっかけに勉強をしなくなり、落ちぶれて底辺高校に入りました。
初めは桜木にも反発しており、着任のあいさつをしている桜木に向かってバスケットボールを投げつけます。矢島の過激な暴力描写は登場シーンのここだけですので、全編通してはそこまで暴力的ではないように見えます。最初は邪魔をするつもりで特進クラス入りましたが、桜木の話に惹きつけられて徐々に東大受験に向けて勉強に勤しんでいくのでした。
曲がったことが嫌いで男らしい性格のように振る舞いますが、中身は子供で親とも桜木ともしばしば衝突します。
水野のことが好きという明確な描写はありませんが、水野と大沢の仲が進展していることに対してやきもちをやいている場面があります。
桜木いわく「本番に弱いタイプ」。矢島の東大合格発表で物語は終幕します。矢島は東大に合格することができるのでしょうか。
『ドラゴン桜』のあらすじや名言を紹介した<『ドラゴン桜』あらすじ、勉強法をまとめてみた。名言にも学びがある【無料】>の記事もおすすめです。
柳 鉄之介(やなぎ てつのすけ)
数学講師。特別進学クラス講師に最初に参加しました。かつては「柳塾」という数学専門の塾の塾長をしていました。当時「高校数学の鬼」と呼ばれており、今でも生徒や桜木を怒鳴りつけることがあります。「つめ込みこそ真の教育である」という思想が彼の絶対的定義です。
川口 洋(かわぐち ひろし)
二番目に登場した英語講師です。見た目はムキムキのインストラクター風。「英語は楽しく勉強しよう」という考えでビートルズの曲の歌詞をエアロビしながら復唱させるなどリズムや音読を重視した指導をします。英語講師の井野からは都度反発を受けていますが、本人は気にしていない様子です。
芥山 龍三郎(あくたやま りゅうざぶろう)
三番目に登場した国語講師です。見た目はモロ芥川龍之介。物事について「なぜ?」と問いかけることが最も重要という指導をしており、この考え方は英語やほかの教科にも共通して役立つものだと作中で示されます。
阿院 修太郎(あいん しゅうたろう)
四番目に登場した理科教師です。見た目はモロアインシュタイン。語尾に「でヒ」を付けるのが口癖です。物理の授業ではイメージが付きやすいように自作の図解教材を使って教えています。地学も担当しています。
高原 浩之(たかはら ひろゆき)
桜木が来る前から在籍していた龍山高校の数学教師。とにかく生徒に楽しく学校生活を送って欲しいという考えをもっており、たびたび桜木と衝突します。ことあるごとに桜木と対立する場面がありますが、桜木に教えられている生徒たちの成長を目の当りにして、桜木のことを認めていくのでした。
宮村 沙知子(みやむら さちこ)
桜木が来る前から在籍していた、龍山高校の国語教師。内気な性格で、井野に振り回されることがしばしばあります。国語講師の芥山の指導方法を見学した際、内心強い反発をしますが指導内容を理解するにつれて芥山の指導方法を認めるようになります。
井野 真々子(いの ままこ)
桜木が来る前から在籍していた 龍山高校の英語教師。ことあるごとに桜木にくってかかったり、一部の生徒をひいきしたりなど問題のある面が目立ちます。何度か桜木と賭けをする場面がありますが、全敗しています。外伝では井野の違う姿が見られますので、そちらも要チェックです。
栗山 祥太(くりやま しょうた)
龍山高校2年特進クラスの一人。龍山高校の中では優等生。来年の東大合格有望株と思われています。いつも西崎に振り回されています。
西崎麻美(にしざき あさみ)
龍山高校2年特進クラスの一人。東大に入ったのちは東大のネームバリューを利用して芸能活動をはじめようと考えています。英語テストで対決した後も水野に一方的に対抗意識を燃やしていますが、特に波乱はありませんでした。栗山とは性格が全然違いますが、一緒に過ごしていることが多いようです。
1巻で桜木が初めに生徒に教えた勉強法です。
古典の内容をあらかじめ現代文で知って頭に入れておけば古文を読んだときも話の筋が想像できます。
東大の場合は問題に出典が明記されているので、出典を確認したら頭の中でどんな内容かを想像してから問題を解きにかかると解きやすくなるのです。
東大の古文と漢文では文法問題はあまりでないので文法問題は直前の勉強でOKです!試験のスピードに慣れるために、読むときは1章を5分で読み、10分で内容を200文字以内でまとめます。
- 著者
- 三田 紀房
- 出版日
- 2004-01-22
2巻で柳が数学の基礎として初めに教えた勉強法です。
出題者の問題に対して口頭で即答する練習をします。
目の前の問題を瞬間的に!自動的に!機械的に!遊び感覚で解く!
卓球の球を打つ真似をしながら応答します。
速く解くことが数学で高得点をとるための基本です。
2巻で中々成績が伸びない生徒2人に対して、柳が奥の手として出した勉強法です。
2人で一組になって15分で数学の文章問題をそれぞれひとつずつ考えます。
そしてそれを互いに交換して解き合います。
問題作りのコツは息づき詰まったときもペンを走らせながら考えることです。それから、回答者に対して公式を正しく使えるか?それを文章に惑わされずきちんと数式に表せるか?を問いかけるようにすることです。
実際に文章問題を解くときも出題者の意図を汲み取って、なにを問いかけてきているかが見えれば問題を攻略できます。
- 著者
- 三田 紀房
- 出版日
- 2004-04-23
3巻で柳が最後の勉強法として伝授したのがこの「柳式問題回答同時プリント」です。
まず問題が書いてあるプリントと解答が書いてあるプリントの一対を用意します。問題が書いてあるプリントを表にし、解答が書いてあるプリントを裏にして伏せます。それから、問題を見て3分以内に頭の中で解き始めてスタートをイメージし、3分たったら伏せてある解答を確認するのです。
回答イメージが答えと一致していれば正解ということにして次の問題に進みます。回答イメージが間違っていれば答えをじっくり読みます。計算したり書いたりせずに短時間でたくさんの問題に触れられるというメリットがあるのです。
3巻で川口が初めに指導した勉強法です。
日本語の文章に対しては辞書を引きながら読む人はまずいません。なんとなく想像できるし、その言葉の意味がわからなくてもその文章の内容がだいたいつかめるからです。ところが英語になるととたんに全部の単語の意味を知ろうとします。その都度辞書を引くのでとても時間がかかります。そして、全然進まなくなり、面倒くさくなり、イヤることが多いのではないでしょうか。
そうならないためにすぐには辞書をひかないようにします。英語も日本語と同じように言葉を変形したり合成させたりしてできている言葉が多いのでをれを素早くイメージできるようにすれば難しくないのです。
東大入試の英語は基礎的な単語が多いので単語帳を辞書替わりに使って進めることが可能です。
- 著者
- 三田 紀房
- 出版日
- 2004-07-23
4巻で川口が英語の勉強の指針として示したのがこの勉強法です。
そもそも、日本における英語教育は英文を訳して内容を理解することに主眼を置いています。単語を覚える、文法を覚える、英文を読んで和訳する、日本語から英文に和訳するの4段階で習得させようとしていますが、これでは途中の過程が多くて混乱し投げ出したくなってしまいます。
読みや文法の学習はどうしても受け身の勉強で気持ちが受け身ではいけません。初めは訳が分からなくても無理やり使って積極的にならざるを得ない勉強法の方がよいです。英語を使うとはすなわち「英作文をする」ということです。
基本的な例文を100個暗記し、単語帳の単語を使った英作文をし、1つの動詞につき10個の文章を作る、これを続けていきます。
今回は『ドラゴン桜』の前半で紹介されている「古典」と「数学」と「英語」の勉強法を一部紹介させていただきました。今回紹介させていただいたのはごく一部で、この他たくさんの勉強法や心構えなどが登場します。受験生の子を持つ親御さんには親の心構えのようなエピソードもありますので、ぜひご一読を。
語学学習など受験以外の分野にも流用できそうな勉強のテクニックもありますので、受験生や受験生の親の方以外にもおすすめです。受験生2人の受験結果がどうなったかは、ぜひご自分の目で確かめてください。