『響~小説家になる方法~』マンガ大賞受賞作の魅力を、全巻ネタバレ紹介!

更新:2021.11.12

圧倒的な才能を持つJK小説家の活躍を描いた漫画。実写映画化も予定されている注目の作品です。今回はそんな本作の魅力を、10巻までの全巻の見どころとあわせてご紹介していきます。

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漫画『響~小説家になる方法~』の魅力を10巻まで全巻ネタバレ紹介!映画化決定の熱い青春漫画!

『響~小説家になる方法~』は、柳本光晴が「ビッグコミックスペリオール」で連載している作品。2017年は「マンガ大賞」で大賞を受賞し、2018年秋には実写映画化も予定されています。

文学界に革命を起こしうる主人公の鮎喰響(あくいひびき)が、天才的な文章力とルール無用のクレイジーな言動で活躍する姿が人気を集めているのです。また彼女の才能に触れた人々が織り成す、リアリティのある人間ドラマも見どころのひとつ。

この記事では、物語の魅力を各巻の内容に触れつつ紹介していきます。ネタバレも含むので未読の方はご注意ください。
 

著者
柳本 光晴
出版日
2015-02-27

漫画『響~小説家になる方法~』あらすじ

漫画『響~小説家になる方法~』あらすじ
出典:『響~小説家になる方法~』1巻

 

文芸誌「木蓮」の編集部に届いた、一編の小説。新人賞への応募かと思われましたが、応募要項を一切満たしていないため、開封もされずにゴミ箱に捨てられてしまいました。

しかしそれを興味本位で読んでみた若手編集者の花井は、革新的なクオリティに驚愕し、この作品をなんとか世に出そうと考えます。

唯一の手がかりは「鮎喰響」という名前。その正体が高校に入学したばかりの15歳の少女であることを、この時の花井は知る由もありませんでした……。

 

主人公・鮎喰響が規格外すぎる!自分に正直な生き方は天才ゆえ?

主人公・鮎喰響が規格外すぎる!自分に正直な生き方は天才ゆえ?
出典:『響~小説家になる方法~』1巻

彼女はまだ弱冠15歳という年齢ながら、文芸誌編集者にその才能を見出されます。恐ろしいほどの才能を持つ彼女ですが、その性格も、まさに規格外。彼女に怖いものはあるのか?と考えさせられてしまうほどです。そんな性格が、彼女のこの一言に表れています。

自分は綺麗なものを綺麗だと
感じることができると信じている。
自分の感性に従ってるだけよ。
(『響~小説家になる方法~』1巻より引用)

そう、彼女は自分の感性に従って生きているのです。その結果、普通だったら「関わらないでおこう」と思う相手に突っかかったり、目上の人に対して失礼だと思われる行動と取ったりしてしまいます。

彼女は幼馴染の椿涼太郎(つばきりょうたろう)とともに、文芸部に入部しようとします。しかし、そこは不良の溜まり場となっていました。そんな状況でも涼太郎は、入部させてもらえるよう彼らに頭を下げます。しかし当然、答えはNO。「殺すぞ」と追い払われる羽目に……。

と、思った矢先、響が動きます。なんと、その不良の指を折ったのです。普通「そこまでするか!?」と思いますが、彼女は「殺す」と言われたのだから、このくらい当然と思ったよう。まさに規格外です。

これも天才ゆえなのでしょうか。彼女のその真っすぐすぎる生き方から、目が離せません。

あらゆる意味で規格外の文学少女‼【1巻ネタバレ注意】

名前以外に一切のプロフィールが記されないまま送られてきた、小説「お伽の庭」。募集要項を守れない時点で落選だ、と1度はゴミ箱に捨てられましたが、若手編集者の花井は宛名の綺麗な字に惹かれて読むことにしました。

そしてその画期的な文章に衝撃を受け、この作品をどうにか世に出すために、新人賞の候補に加えることができないか模索するようになるのです。

その小説を送った人物こそ、本作の主人公である鮎喰響(あくいひびき)。高校に入学したばかりの15歳です。

幼馴染の椿涼太郎とともに文芸部に入部しようと部室を訪れると、なんとそこは不良のたまり場に。しかし先輩に絡まれてもものともしない響は、そのまま力づくで入部してしまうのです。

その後不良は出ていき、部長のリカとともに部員を集めなおすことになった響たち。新入生の関口花代子と、部室にたむろしていた不良グループのひとり塩崎隆也を入部させ、部として必要な人員を確保することができました。

こうして再スタートを切った文芸部ですが、実際の活動は部室で本を読んでばかり。物足りなさを感じた花代子が「部活らしいことをしたい」と言ったことをきっかけに、みんなで部誌を作ることになるのでした。

著者
柳本 光晴
出版日
2015-02-27

本巻の見どころは、何といっても響の驚異的な文才と常識はずれな言動です。

彼女が書いた小説「お伽の庭」の全貌は残念ながらわかりませんが、概要や結末は作中で語られており、深みのある世界観で死生観が描かれていることが伝わってきます。「芥川賞をとってもおかしくない」と編集者に思わせる作品を、弱冠15歳で書くことのできる響の才能が、ここからさまざまなドラマを生み出していくのです。

ただ彼女は自分の考えをけっして曲げず、思ったことをそのまま行動に移してしまう性格をしていて、不良とトラブルになった時は、絡んできた隆也の指をいきなり折ったり、リカと本の位置をめぐって小競り合いなった時は最終的に本棚ごと倒してしまったりと、大暴れすることもしばしば。

また、力だけでなく歯に衣着せぬ物言いで相手を圧倒することもあります。黒髪、メガネ、ノーメイクという地味な見た目との痛快なまでのギャップが、彼女の何よりの魅力でしょう。

そんな彼女に涼太郎は想いを寄せていて、響自身も少なからず受け止めている様子。「世界一カワイイ」と言われて照れたり、小説を褒められて上機嫌になったりと、年相応のかわいらしさも見せることもありますよ。

プロも舌を巻く響の才能!!【2巻ネタバレ注意】

部員たちが思い思いに書いた短編小説を集め、完成した部誌。なかでも響の作品は際立っており、読む人に強い印象を与えていきます。

そんななか、部活中の何気ない雑談からリカの父親が超有名小説家の祖父江秋人であることがわかり、部員たちは彼女の家を訪問することになりました。

しかし響がリカの言いつけを破って祖父江の書斎に入り込んでしまい、そこでちょうど祖父江の原稿を取りに来た花井と鉢合わせに。一時取っ組み合いのケンカになりますが、花井は「お伽の庭」の作者に出会うことができたのでした。

著者
柳本 光晴
出版日
2015-07-30

本巻では、ついに花井が響と出会います。初対面なのに暴力を振るわれるなど散々な目にあいますが、彼女の才能にほれ込んでいる花井はなんとか新人賞に正式に応募させようと尽力するのです。響の連絡先を手に入れるために、とんでもない行動に出るので、ご注目……。

また当の「お伽の庭」ですが、プロフィールを偽ったまま出した新人賞では選考委員を務めるプロの作家から大絶賛。すさまじい反響で、この作品がこれからどこまで評価されていくのか期待が膨らみます。

一方で、有名作家の娘であるリカは、自身と響の才能の差を痛感。人知れず思い悩む彼女の姿も印象的です。

天才VS優等生!!【3巻ネタバレ注意】

はれて「木蓮」の新人賞にエントリーすることとなった響。担当になった花井に「暴力沙汰は起こすな」と言われたのに、トラブルを起こしてしまいます。しかもその相手は芥川賞作家で、新人賞の選考委員でもある鬼島仁(きじまひとし)でした。リカと一緒に花井のアパートに泊まった響は、さっそく説教されてしまいます。

その夜、こっそり彼女が向かった先は、なんと鬼島の行きつけのバーで……。

また後日、花井とリカとともに原宿に出掛けた響。もうひとりの選考委員である女流作家の吉野桔梗(よしのききょう)と出会います。響が小説家になった理由を尋ねると、吉野は「私に付き合えばわかる」と誘うのでした。

著者
柳本 光晴
出版日
2015-12-28

本巻の冒頭では、響が新人賞に応募した理由が明らかに。彼女が胸の内に抱えていたものがわかります。また人付き合いの苦手な彼女ですが、友達思いの一面も見せるので、あわせて注目してみてください。

これまでは小説家になることを想像すらしていなかった響ですが、鬼島や吉野とのやりとりをとおして、小説家としての生き方を考えるようになります。彼女が何を感じ取るのか必見です。

そしてラストでは新人賞を受賞した響にリカが宣戦布告!「天才」の響と「優等生」のリカの勝負の行方が気になるところです。

響とリカの間に生じる確執……【4巻ネタバレ注意】

 

「木蓮」新人賞を受賞した響は、授賞式に出席することに。しかし控え室で、同時受賞をした田中康平に言いがかりをつけられたことに腹を立て、あろうことか式の最中に彼を殴ってメチャクチャにしてしまうのです……。

後日、リカが「四季降る塔」という作品で小説家デビュー。「祖父江2世の現役女子高生作家」とメディアに注目されたこともあって、大ヒットします。しかし響はそんな彼女の作品を、「つまらない」と酷評。大喧嘩になってしまいました。

ギクシャクしたまま月日は流れ、ついに芥川賞候補作の発表の日に……。

 

著者
柳本 光晴
出版日
2016-06-30

本巻では、一流小説家の祖父江秋人が響たちの前に姿を現します。作家デビューした娘のリカに対して、大先輩として厳しく接するシーンも。一流の風格を感じられ、必見です。

また響とリカが喧嘩をするシーンでは、普段は飄々としているリカが珍しく感情的に。彼女がデビュー作にどれほどの想いを込めていたのかが伝わってきます。

スパイスの効いた緊張感のある展開をぜひ楽しんでみてください。

響VSメディア!!【5巻ネタバレ注意】

 

「お伽の庭」が芥川賞と直木賞に同時ノミネートされたことを受け、リカは打ちのめされてしまいました。そんな彼女のもとを、仲直りの約束をしていた響が訪れます。ひと悶着はありながらも、2人は元の関係に戻ることができました。

そして話題は「四季降る塔」のことに。響の言う「つまらない作品」になってしまった背景には、リカと花井の過去が関係していたのでした。
 

また、彗星のごとく現れた謎の天才女子高生作家に、マスコミは興味津々です。どのメディアも響に関する情報を得ようと躍起なるなか、週刊誌の記者が彼女の通っている高校を特定しました。そのことに気づいた花井が響に知らせようとするも、時すでに遅し。

響は接触してきた記者と、またもやトラブルを起こしてしまうのでした……。

 

著者
柳本 光晴
出版日
2016-11-30

本巻の見どころは、リカの過去が語られるシーンです。彼女の経験が「四季降る塔」の執筆に影響を与えていたことがわかります。いつも大人びた振る舞いを見せていたリカの純粋な一面を見ることができるので、お見逃しなく。

また、響とメディアの戦いにもご注目。芥川賞と直木賞のダブルノミネートで一躍世間から注目を浴びるようになった彼女に、週刊誌の魔の手が迫ります。

記者とのトラブルを記事にされそうになった響は、驚くべき方法で阻止することに。主人公らしさは皆無ですが、響らしいやり方ですよ。

響の小説がアニメ化⁉【6巻ネタバレ注意】

芥川賞と直木賞をダブルで受賞した響。そして授賞式では大乱闘に……。会場から逃げる途中でもトラブルを起こし、ついに警察のお世話にまでなってしまいました。

季節は巡って新学期。文芸部には響に似た雰囲気を持つ1年生の咲希を筆頭に4人が新たに加わり、にぎやかな雰囲気になります。

ところが、花代子がこっそりライトノベルの出版社に応募していた響の小説が、新人賞を受賞。さらにはアニメ化の話まで浮上したものだから、大問題。受賞を取り消してもらおうと響と花代子で出版社へ向かうのですが、そこで怪しげな雰囲気をまとったテレビ局のプロデューサー、津久井と出会います。

著者
柳本 光晴
出版日
2017-04-12

 

本巻の見どころのは、芥川賞候補者のひとり、山本とのシーンです。

過去に何度もノミネートされながらも受賞を逃し、今回も受賞できなかったことから、自殺を図る山本。そこに偶然とおりかかった響の言動で、彼を思いとどまらせます。この時彼女が放った言葉は間違いなく名言なので、要チェックです。

また、響の父親も登場。娘の小説が売れに売れ、1億を超える印税が入ると花井から知らされるのですが、彼はそれを頑なに拒否するのです。「この親にしてこの娘あり」と感じさせる芯の強さを見ることができますよ。

 

響に忍び寄る津久井の陰謀【7巻ネタバレ注意】

 

テレビ局のプロデューサーである津久井は、花代子と一緒にいた少女が「お伽の庭」の鮎喰響なのではないかと推測していました。探りを入れ、花井と話をするところを目撃し、推測が確信に変わります。彼女を題材にした特番を製作し、アニメのPRに利用しようと企てるのでした。

一方文芸部では、昨年に続いて合宿を開催。部員たちは部誌に載せる作品を書くなど、思い思いに満喫します。そんななか、3年生のリカは、受験勉強のため引退することを発表するのでした……。

 

著者
柳本 光晴
出版日
2017-08-10

本巻では、響の正体に気づいた津久井の陰謀が動き出します。視聴率をとることができる番組を作るためなら法すらも無視する彼の執念は強烈なインパクトがあり、見どころのひとつだといえるでしょう。これまで向かうところ敵なし状態だった響に、強敵出現の予感です。

また、響が書いたライトノベルの出版準備が進むなかで、イラストレーターの手抜きに彼女が制裁を下すシーンも。響がいかに自分の作品を大切に思っているかが伝わってくる、ほほえましいシーンです。

響、初の敗北!そしてリベンジへ【8巻ネタバレ注意】

何者かに盗撮されていると感づく響。盗撮犯を捕獲したところに津久井が姿を現し、彼の差し金であることがわかりました。津久井の目的を知り、響は力ずくでやめさせようとしますが、返り討ちにあってしまいます。

修学旅行を経て迎えた番組の収録日。テレビ局には響の姿がありました。果たして彼女は、津久井の暴挙を止めることができるのでしょうか……。

著者
柳本 光晴
出版日
2017-12-27

本巻の見どころは、やはり響の敗北シーンです。これまでは敵と認識した者たちを力ずくで成敗してきた彼女ですが、初めて力負けしてしまいます。作中で最大のピンチに緊張感が高まることでしょう。

しかし、それで終わらないのが響です。津久井へのリベンジを果たすべく捨て身の行動を見せ、その場にいる全員を驚かせます。津久井に負けない執念を見せる彼女の姿に、心を揺さぶられること間違いなしです!

さらなる大物が登場!!【9巻ネタバレ注意】

新部長・花代子の提案により、「高校文芸コンクール」に参加することになった文芸部。乗り気でない響も、「部長命令」によってしぶしぶ参加します。

一方、卒業後にフィンランドへの留学が決まった凛夏。彼女の2作目がデビュー作を上回る好評を集めます。そんななか、再び芥川賞・直木賞候補作の発表がおこなわれるのでした。

著者
柳本 光晴
出版日
2018-04-27

本巻の見どころは、高校文芸コンクールです。

文芸部員、とくに沙希は賞をとって憧れの響に一歩でも近づくべく、執筆に打ち込みます。対照的に響は、あまり乗り気でないせいか、2時間で作品を書き上げてしまいます。

ところが、その作品が最優秀賞を受賞。沙希の作品は入選すらできませんでした。しかし、話はそこで終わりません。

コンクールの授賞式には、ある大物が出席することになっていました。しかもその人物は響の名を聞くや否や、彼女の知名度を利用しようと目論むのです。

津久井との一件をはるかに越える、大きな波乱の予感です!

ついに響の素性がバレる!?【10巻ネタバレ注意】

映画化されることも決定した話題作の『響〜小説家になる方法〜』。ついに節目となる10巻で何と響の素性がバレてしまいます。

それは、高校文芸コンクールでの表彰式でのこと。文部大臣の加賀美はそこで響を取り込むことによって自分の株を上げて、次期総裁選に勝利しようとしていました。

しかし彼の汚い手法にキレた響は……。

著者
柳本 光晴
出版日
2018-08-30

もはや響の暴力がお家芸となり、読者としてもバトル漫画のような爽快感を感じることができる本作。特に今回のエピソードは汚い政治家のやり方を正すという、巨悪を倒す?勧善懲悪だったのでさらにスッキリですが、響の素性を明かすきっかけになってしまったのは加賀美ではなく、ある人物でした……。

そして響は今までの平穏な日常を過ごすことができなくなり、それから学校にも来なくなってしまいます。

そこからはまさかの展開。リカとタカヤが卒業しても学校に姿を見せない彼女は、ある国にいたのです。しかもそこからいつもどおり、読者を振り回す予想外の発言をしてくるのです!

小説家という、ともすれば地味になってしまいそうな題材でここまでハラハラして、先の読めない展開の物語になるのは、響という主人公の性格が遺憾無く発揮されているからですね。ここからどうなるのか、11巻が待ち切れません!

いかがでしたか?派手なアクションあり、緻密なヒューマンドラマありの漫画『響~小説家になる方法~』。本記事で紹介した見どころ以外にも面白いシーンがたくさんあるので、ぜひ実際に読んでみてください。

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