口は悪いけど相談者の心の奥を覗かせると超一流の、恋愛心理学・伊武マリア。彼女のもとには今日も悩める仔羊たちが集まってきて、さまざまな恋愛相談を持ちかけます。ぜひチェックしてみてください!
『イヴ 恋を科学する麗しき女神』は「週刊漫画サンデー」にて2008年から連載された、原作・鍋島雅治、作画・花小路ゆみの作品。
主人公の伊武マリアが恋愛心理学を用いて見事なカウンセリングテクニックを披露し、時には現場に出て大胆な「愛の実験」をおこないます。
登場する女性はみな可愛く、どこかセクシー。物語と一緒にイラストも楽しんでみてください。
- 著者
- 鍋島 雅治
- 出版日
- 2008-10-29
若くして天才的な才能を持つ伊武マリア。行動心理学の新分野である「恋愛学」の研究をしている教授です。政府の少子化対策の一環として設立された機関で、ここにはさまざまな悩みを抱えた相談者がやってきます。
片想い、二股、セックスレス、DV、草食系男子……どんな悩みにも、マリアは心理学をもとにした視点から論理的に説明し、恋愛術のヒントを与えてくれるのです。
東都大学恋愛研究所(通称恋研)を仕切っているのが、恋愛心理学の教授である伊武マリア。巨乳で一目惚れ体質のアシスタント、大川由衣と一緒に日夜問題解決に奮闘しています。
1巻では、スタートダッシュとばかりにマリアの毒舌が冴えわたり、相談者を唖然とさせるセリフを連発。
「あなたは、言わば私の研究のためのモルモット」
「そんあタナボタ狙いで口を開けて待っているからちょっと餌が投げられたらすぅぐに食らいついてまんまとだまされて吊り上げられてしまう!」
「あなたは恋愛をなめてる!」(『イヴ 恋を科学する麗しき女神』1巻より引用)
威圧的なキャラクターとセリフで、物語を盛り上げるのです。
また、本作の主要人物となるレオンも登場。大手広告代理店「博通堂」の敏腕プロデューサーである彼は、金も仕事もルックスもあり女性に不自由しませんが、ただひとり自分のことを振ったある人のことが気になって仕方ありません。
ここまでに研究所にやってきた相談者たちは、みな弱そうでいかにも女性に騙されやすいタイプでしたが、レオンはそんな心配もなさそう。しかしマリアは、彼を取りまく真実を即座に見抜きました。
レオンは今後もたびたび登場し、愛すべきキャラクターになっていくので注目です。
イヴ 恋を科学する麗しき女神2
2013年11月27日
2巻では、マリアのライバル的存在である山本撫子教授が登場。フランスからやってきた彼女は、マリアの「一生恋愛説」や「幸せの方程式」など褒めちぎりますが、専門分野は「性科学」なので、問題解決へのアプローチがそもそも相容れませんでした。
そんな2人が、初対決をします。
相談者は、半年間付き合っている彼氏と肉体関係にならないことで悩んでいる女性。撫子はセックスレスの原因が真面目な男性の性格にあると結論付け、相手の男性をホテルに連れ込んで誘惑するという、荒療治で問題を解決しようとします。
一方のマリアは、根本的な原因はむしろ女性側にあると考え、カウンセリングで真実を探ろうとするのでした。
果たして本当に相談者を救えるのは、どちらなのでしょうか。両極端な2人のキャラクターが、ストーリーを濃いものにしていきます。
イヴ 恋を科学する麗しき女神4
2013年11月27日
4巻の相談者は男性ばかり。運命のいたずらで二股をすることになってしまった男、高齢になっても純愛をする男、憧れの人と結ばれても幸せな気分になれない男など、ますますストーリーに磨きがかかります。
なかでもおすすめは、高齢の学者と、バーテンダーをしている若い女性のお話です。
東都大学の予算会議に出席したマリアは、恋愛学に否定的な国文学教授の山南と対立してしまいました。このままでは研究の予算にも影響しかねません。
そんな時彼女は、山南が通っているバーに勝機を見出すのです。
実は山南、バーの若いバーテンダーに惚れていました。マリアは彼女に告白してもらうことができたら恋愛学を認めるよう、交換条件を提示します。
しかしこの話には最後にどんでん返しが待ち受けていて……。
「老いらくの恋」という言葉がありますが、人を好きになる事に年齢は関係ないということを実感させてくれるエピソード。作中に出てくるマリアの代表的な論文「一生恋愛説」にも注目です。
イヴ 恋を科学する麗しき女神5
2013年11月27日
5巻のテーマは「生き方」。草食系男子の生き方や、新しい自分に変わろうとする女性の生き方などが描かれます。
キャバクラ嬢をしている美麗は、彼氏が草食系男子なことに悩んでいました。一見ラブラブで幸せそうに見えますが、彼と結婚することを考えるとさまざまな不安が生じてしまうようです。
草食系男子の生態、モテる理由、結婚相手としての適性などを鋭く考察していきます。
また、マリアの父で恋愛小説家の鳴海清司郎が初登場!しかし彼女は、気づかれないように父を避けるのです。この親子に何があったのかは、もう少し先のお話……。
イヴ 恋を科学する麗しき女神7
2013年11月27日
最終巻である7巻の注目は、マリアと父・鳴海のエピソード。
実はマリアの母は病気で亡くなっているのですが、そのすぐ後に新しい母親候補を売れてきた父のことが許せず、高校を卒業してからは家を出て自力で生活していました。鳴海が彼女の居場所を突き止めると、すぐに引っ越しをする拒絶っぷりです。
そのためか今回の鳴海は、彼女を見つけても無理やり会おうとはせず、研究所に花束を送り続けていました。
不器用な父娘のすれ違いは、マリアを恋愛下手にしてしまいます。父のように異性にだらしなくなりたくないという気持ちと、人をきちんと愛してみたいという気持ちが複雑に絡み合い、彼女の恋愛心理学は「机上の空論」と言われてしまうのです。
その様子を見かねたレオンは、2人のためにある作戦を立てるのですが、果たしてうまくいくのでしょうか?最終話では、登場人物それぞれの運命が動き出し、新しい明日に向かうようなラストになっています。
相談者だけでなく、マリア自身もけっして完璧な人間ではありません。嫉妬、コンプレックス、トラウマなどに左右させられる姿が人間らしく、親しみをもてるのです。
セクシーな描写も多めですがけっして下品には見えない、絶妙なセンスで女性の魅力を保っています。そこに練りこまれたストーリーが展開し、読み手を夢中にする要素がたっぷりでしょう。読めばあなたもきっと恋がしたくなる作品です。