主人公の少女が転校した先は、地元では有名な不良校。しかも全校生徒のなかで女子は彼女のみ……。そんななか、彼女は偶然が重なって番長になってしまい……⁉思わず主人公を応援してくなっちゃう本作は、スマホの漫画アプリで無料で読めます。ぜひチェックしてみてください。
家庭の経済的な理由と将来を考えて、工業高校に転入した主人公の平山そうか。しかし実はここ、有名な不良高校で、いまは連日3年対1年の「戦争」が起きているとのことでした。さらに、全校生徒のなかで女子はそうかだけという衝撃的事実も発覚……。
日常的に窓ガラスが割れることや、今どき「番長」が存在することにカルチャーショックを受けつつも、クラスメイトの加藤に恋をするなど青春を謳歌するドタバタ学園コメディです。
本作の舞台となっている工業高校は、なんと作者の藤方まゆの弟が通っていた学校がモデルだそう。目を疑いたくなるようなことが実話という展開もあり、その点でも楽しめるでしょう。
今回はそんな本作の魅力と見どころをご紹介していきます。ネタバレを含むので、未読の方はご注意ください。
- 著者
- 藤方 まゆ
- 出版日
- 2006-11-04
両親が離婚したことをきっかけに、徳川工業高校に転校したそうか。しかしそこは地元で有名な不良校で、彼女以外に女子生徒はいませんでした。
そんななか、偶然が続きそうかは転校後すぐに番長の座まで登りつめることに……!他校の番長や暴走族のリーダーを味方につけ、校外にも子分を増やしていくのです。
ドタバタギャグと胸キュンと喧嘩の日々を送るうち、そうかは仲間たちと絆を深めていきます。
突然荒れ果てた高校に転入したのにも関わらず、順応力の高さを見せつけるそうか。すぐにクラスメイトに馴染んでしまいました。それもこれも、彼女の天然っぷりがなせる技なのかもしれません。
徳川工業高校と近隣の高校が「そうか争奪戦」をおこなっている時も、自分をめぐって争っていることに気が付かなかったり、好意を丸出しにしている加藤の発言の意味に気が付かなかったりと、その鈍さで周りの男子を手中におさめておきます。
加藤は1代前の番長と戦っても引けを取らないほどの不良ですが、そうかのリボンが曲がっていることを注意したり、仲間の腰パンをだらしないと言ったりと、まるでお母さんのような一面を持っています。世話焼きな彼と親しくなるうちに、彼女の天然にも拍車がかかってしまうのかもしれません。
- 著者
- 藤方 まゆ
- 出版日
- 2008-01-04
離婚して女手一つで自分を育てることを決めてくれた母に苦労をかけないようにと、自ら工業高校を選んで転校したそうか。実は徳川工業高校にはこれまでも女子がいたのですが、彼女が転校する直前にみな辞めてしまったため、そうかの転入時には男子生徒850人に女子生徒1人という状況になっていたのです。
しかも番長になってからは、全校の男子から慕われる存在に。ちょっとピンチな状況になると生徒全員が駆けつけてくる異常事態です。
最初は慣れない環境に戸惑う様子を見せていましたが、話してみると意外とみんな優しいことがわかり、時間が経つにつれて男子に囲まれる生活にも慣れていきます。
周りの男子たちも、女子がいる生活に大興奮。ハロウィンのクッキーをもらっただけで大喜びし、球技大会などの行事ではそうかの手作り弁当と頬へのキスがMVPの賞品になることもありました。
徳川工業高校には、現番長を倒した者が次の番長になる、というしきたりがあります。そうかがしっかり者で強い女の子であればこんなこともなかったかもしれませんが、偶然番長になった彼女はいつものんびりニコニコ。不良校に似合わぬ雰囲気なため、誰も彼女に手出しをできません。つまり、彼女はずっと番長のままなのです。
そうかが倒した元番長の3年生や、2年生のボスなどを含め全員が彼女を守る側にまわり、自然と壮大な逆ハーレム状態に。ある意味最強の番長なのかもしれません。
- 著者
- 藤方 まゆ
- 出版日
- 2008-08-05
工業高校に女子ひとり、偶然で番長、という要素からもわかるように、本作はギャグテイストが強め。とくに怒った時に火事場の馬鹿力を発揮するそうかは見どころです。
体格のいい男性を放り投げるのは当たり前、固く閉ざされた扉を素手で殴り開けるなんてこともやってのけます。また周りの男子にお説教をするときは、他校生を含め男子全員を正座させるなど女王っぷりを見せたりもしました。
そしてもうひとつの見どころが、そうかと加藤のラブラブっぷり。本人たちは無自覚なのですが、周りからは「バカップル」「夫婦」などと言われていて、そのやり取りは見ているほうが赤面してしまうようなピンクオーラがあふれています。
特に加藤は男前な性格をしており、自分の気持ちに正直。恋敵が現れ、「そうかは他の男にあげればいい」と言われた時は、
「あんたには普通の子でも 俺には世界一なんだよ」(『あぁ愛しの番長さま』4巻より引用)
とまっすぐ自分の気持ちを表しました。普段はワルですが、要所要所で加藤が口にするそうかへの想いに、キュンキュンしてしまうこと間違いなしです。
加藤の親友でありながら、いつの間にかそうかに惹かれた駿。そうかのことも、加藤のことも好きな彼にとって、自分の感情は許しがたいものでした。
加藤への義理、そうかへの好意、いろいろな想いを抱きどうしようもない想いが募った末、爆発をした駿ですが、その時に加藤の頭突きを受けてなにやらすっきりとしたよう。もちろん、すぐに失恋の痛みを忘れて全てを受け入れるのは難しいことですが、彼にとって大事なのは自分の気持ちよりも、2人との関係を壊さないことだったようです。
駿は2人の恋を応援することに。加藤やそうかの知らないところで、駿が失恋の虚しさをどうしようか悩んでいる時、彼に手を差し伸べたのは、加藤・そうか・駿といつも一緒にいる未来とレイチでした。
- 著者
- 藤方まゆ
- 出版日
- 2018-04-05
未来とレイチは駿の気持ちに気づいていたのです。気づいたうえで何も言わず、彼が爆発した時に、しっかりとその悲しみに寄り添ったのです。そうかたちの周りは優しい子ばかりですね。加藤とそうかに駿の気持ちが知られれば、彼女たちは駿以上に傷つくかもしれません。
そうさせないために、駿は気持ちを隠し、未来とレイチは1人傷つく友に寄り添うのです。徳工生が魅力的に見えるのは、こういうところもあるからかもしれませんね。ただ、作中には駿のことを好きな女子もいます。それは加藤の幼馴染である春日。
7巻では春日の話もあり、今までとは違う駿の様子に、もしかしたらもしかするかもしれない可能性を感じることができるので、この2人が好きな人は必見ですね。
駿が目立つ巻ではありますが、7巻では珍しく、加藤とそうかが少々険悪で、加藤がそうかに強めの口調で注意する話があります。2人が衝突することは今までほとんどなかったので、なかなか貴重なシーンですね。
ただ険悪と言っても、夫婦間によくある日常の衝突のようなものなので、特に深刻になるほどのすれ違いや喧嘩が起きたわけではありません。加藤の妹と一緒に3人で買い物に出かけたときの話なのですが、その様子は間違いなく親子のそれです。
この話の最後にも注意書きのようにありますが、この2人はこれで付き合っていないのです。お互いパパ、ママと呼び合っているにも関わらず。一体、この2人はどういうきっかけで付き合うことになるのかが、今後の展開が気になりますね。
- 著者
- 藤方まゆ
- 出版日
- 2017-06-05
加藤の家庭の事情やクラスメイトの暗い過去など切ない話もありますが、基本的には笑ってキュンとするドタバタラブコメディです。工業高校×不良からイメージする、血で血を洗う勢力争いなどはありません。
また学校の名前や、ライバル校の登場人物の名前が戦国武将や歴史上の偉人をもじっているなど、いたるところに遊び心が隠されているのも魅力のひとつでしょう。
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作者の長い病気療養を経て、2017年に8年ぶりに連載が再開された本作。まだまだ物語は続いていくので、今後の展開が楽しみです。