「週刊少年マガジン」で連載中のバスケ漫画『あひるの空』をネタバレ紹介! 臨場感あふれる試合の描写に加え、部活動に打ち込む仲間との絆や指導者との軋轢なども取り入れ、どうしても感情移入させられてしまう作品になっています。 この記事では、2019年10月からテレビアニメ化も決定した本作を、個性豊かなキャラクターに注目してご紹介します。彼らのバスケに対するそれぞれの思いを知れば、さらに作品が面白くなること間違いなし!
バスケットボール部での活動を中心に、登場人物たちの高校生活を描いたスポーツ漫画『あひるの空』。迫力のある試合はもちろんのこと、日頃の練習の様子や恋愛などが丁寧に描かれています。
そんな本作は、第50巻で一度『あひるの空』というタイトルでの刊行を区切り、第51巻からは『あひるの空 THE DAY』のタイトルで単行本が発売されています。
2019年10月には、待望のテレビアニメ化!キャストには梶裕貴、内田雄馬、小西克幸、宮野真守ら人気声優を迎え、総監督は草川啓造が務めます。 OP主題歌を、原作者・日向武史も大ファンだというthe pillows(ピロウズ)が担当することでも話題になっています。
- 著者
- 日向 武史
- 出版日
- 2004-05-15
物語の舞台は、神奈川県川崎市。作者の日向武史の家が近所のため、資料集めが楽だという理由から決められました。
そんな本作の魅力として挙げられるのが、登場人物たちの心理描写です。そのおかげで彼らひとりひとりにしっかりと感情移入することができる作品になっています。
今回は、そんなキャラクターたちを、主に「強さ」に焦点をあてて10人紹介していきます。ネタバレを含むのでご注意ください。
通称「クズ高」と呼ばれる、神奈川県立九頭龍高校に入学した主人公の車谷空(くるまたにそら)。身長149センチとかなりの小柄ですが、バスケットへの情熱はすさまじく、「高校最初の大会で優勝する」という母との約束を実現するため、バスケ部へ入部しようとしました。
しかし当時のバスケ部は、校内でも恐れられている花園兄弟をはじめとした不良の巣窟と化していました。バスケどころか、ちゃんとした部活動をする環境になっていなかったのです。
それでも情熱を失わない空のひたむきさが、かつてバスケをしていた花園兄弟の心に再び火を灯します。
そして彼らは、さまざまな困難に直面しながらも、高校生活をバスケットに捧げていくのです。
車谷空は本作の主人公。初登場時は身長が149センチでした。しかしまだ成長は止まっておらず、2年生へ進級時は153センチになっています。ポジションは、シューティングガード、またはポイントガード。
シュートセンスに長けていて、特に3ポイントに関しては作中でも屈指の成功率を誇ります。時には1試合で10本以上決めることもありました。
パスやドライブなど、小さい人間が特に努力するべきスキルもしっかりと磨かれています。なかでも後述する蒲地から盗んだストップ&ジャンプシュートのできは、本家も認めるほどです。
そんな彼の内面はというと……「おバカ」のひと言でしょう。学校の成績もそうなのですが、生粋の「バスケバカ」なのです。
友人もそれなりにいるようですが、バスケをしている以外はほとんど食べるか寝るかしかしていません。弱音を吐いているところも見たことが無いので、この生活が幸せなのでしょう。
ただ決して能天気なわけではなく、かなりの闘争心を持ち合わせています。
「日本で最高の 最小プレーヤーになってやる……!!」
(『あひるの空』16巻より引用)
この言葉から、彼のバスケにかける情熱の強さが伝わってくるでしょう。
小さい空だからこそ、最高という言葉が映えます。はたして彼は、クズ高の仲間とともにこの言葉を実現できるのでしょうか。最小プレイヤーの活躍から目を離せません。
クズ高バスケ部のキャプテンを務めている花園百春(はなぞのももはる)。中学校でもバスケ部に所属していましたが途中でドロップアウトし、高校入学当初も、バスケ部に所属していながらもまったく活動はせず、部室でたむろしていたいただけでした。
しかし空と出会ったことでバスケへの情熱を取り戻し、インターハイ出場を目標に掲げるほどになります。
身長は189センチと高めで、ポジションはセンター、もしくはパワーフォワードです。
類稀なるジャンプ力の持ち主で、リバウンドとブロックに関しては強豪校からも認められるほど。しかしシュートセンスが皆無で、レイアップシュートですら外すことがあります。作中での得点のほとんどがダンクシュートによるもの。
- 著者
- 日向 武史
- 出版日
- 2007-03-16
非常に責任感の強い性格で、嘘をつくことが大嫌い。そのためチームメイトからも頼られていて、特に空からは絶大な信頼を寄せられています。しかしその性格ゆえに損をすることもあり、顧問や教師たちから呆れられることも。
「勝ち続けりゃ――最後までずっと居られるよ」
(『あひるの空』31巻より引用)
いつまでも仲間たちとバスケをしたいと願う百春。一見軽くみえる言葉ですが、彼は本気で言っています。これが意味するところはすなわち「全国制覇」。はたしてクズ高はどこまで駆け上がることができるのでしょうか。
アフロが特徴の花園千秋(はなぞのちあき)。百春の双子の兄です。
バスケは百春の影響で始めましたが、実は「天才」と呼べるほどの才能を持っていました。特にパスセンスに秀でていて、身長は194センチと高いですが、ポジションはポイントガード。後にポイントフォワードを目指すようになります。
またテクニックのみならず反射神経や勘にも優れており、俊敏性はないもののディフェンス力もばっちり。
血筋なのか百春と同様にシュートは苦手なようですが、それでもレイアップやゴール下はきちんと決めます。
- 著者
- 日向 武史
- 出版日
- 2005-10-17
性格は百春と違って比較的怠惰。かっこ悪いことを極端に嫌います。そのうえかなり暴力的なのですが、仲間を思う気持ちは人一倍強いです。
本作のギャグ担当でもあり、話のオチによく使われています。そんな扱いを受ける千秋ですが、バスケだけでなくその他の分野にも秀でており、勉強はもちろん、坊主頭の髪の毛を伸ばすことができるなどもはや意味不明なものも……。
お菓子の「カール」が大好きで、千秋の象徴ともいえます。常に持ち歩いているようで、どこからともなく取り出してはむしゃむしゃ。時にはムカつく人のバッシュに詰めるなど小さな復讐に使ったこともありました。
広島出身の夏目健二(なつめけんじ)。愛称は「トビ」です。サウスポーで、類稀なるバスケの才能を持つ点取り屋。
ポジションはスモールフォワード、もしくはシューティングガード。鋭いドライブ、高度なハンドリング、そのうえ3ポイントも打てるという、もはやオフェンスの鬼だといえるでしょう。
身長は179センチですが、体重は58キロとバスケット選手にしては線が細く、パワーが足りていません。さらなる高みへ登るため、知り合いの大学コーチの元で身体を造り変えています。
- 著者
- 日向 武史
- 出版日
- 2005-05-17
その才能ゆえか絶対的な自信を持っており、それに比例してプライドも高い人物でした。当初は攻撃的で協調性に欠ける性格をしていましたが、チームの成長とともに自身も成長し、寛容さを身につけていきます。
乱暴な口調は変わりませんが、チームメイトをフォローしたり後輩を気遣ったりと、意外と面倒見がよい一面を見せています。
そんな彼の仲間を思う気持ちが表れている言葉がこちら。
「1%でも可能性があるなら それにかけたるわ」(『あひるの空』12巻より引用)
強豪校から引き抜きを持ちかけられたトビでしたが、クズ高の仲間とともに上を目指すことを選びます。迷うことなく口にした彼の姿から、想いの強さがうかがえるでしょう。
「モキチ」という愛称の茂吉要(しげよしかなめ)。身長は198センチとクズ高でもっとも高く、ポジションはセンターです。得意技はフックシュートで、得点のほとんどがこれによるもの。
中学生のころから県内では名の知れたプレイヤーでしたが、周囲からの過剰なプレッシャーに耐え切れず2年時にバスケ部を辞めてしまいました。その後は、「バスケも勉強も頑張らなくていい」という理由からクズ高へ進学します。
- 著者
- 日向 武史
- 出版日
- 2005-08-17
当初は化学部に入り、ひっそりとしていた茂吉。しかしクラスマッチで空たちにフックシュートを見られ、バスケ部へ勧誘されます。もちろん断ったものの、熱心な勧誘と空の情熱に心を動かされ、入部を決意しました。
やや病弱で、スタミナ面に不安があります。そのため試合にフル出場することはほとんどありませんが、物語が進むにつれて精神的にもタフになり、出場時間が伸びていきました。
意外と毒舌家で、さらっと嫌味を言うなど、少ない口数ながら強烈な印象を残している人物です。
白石静(しらいしせい)は、横浜大栄高校バスケ部のエース。パス、シュート、ドリブル、ディフェンスとすべてが高次元のオールラウンダーです。現在登場しているプレイヤーのなかで、総合力でいえば文句無しのナンバーワンだといえるでしょう。
ポジションはポイントフォワードという特殊なもの。フォワードの得点力に加え、インサイドでガードの仕事をこなすことを要求されます。先述した千秋が目指すべきこのポジションを、白石はすでにモノにしています。
- 著者
- 日向 武史
- 出版日
- 2006-04-17
「オマエラの現在地を教えてやろうか」(『あひるの空』18巻より引用)
クズ高との練習試合の際、試合時間が残り1分ほどになると千秋にこう告げ、瞬く間に10点以上のポイントをあげました。
口が悪く、非常にストイックな性格で、バスケに関しては誰が相手でも手を抜きません。目標は「NBA選手になること」。実現を期待できる選手です。
不破豹(ふわひょう)は横浜大栄高校所属で、オレンジ色の髪の毛が特徴。1年生のなかで唯一ユニフォームをもらっています。
総合的に見れば実力はまだ白石のほうが上ですが、1on1では作中最強。いまだに彼を止めた人物はいません。
ドライブが得意なトビを相手に赤子の手をひねるように勝ち、こんな選手が高校生にいるのかと戦慄させました。
- 著者
- 日向 武史
- 出版日
- 2007-06-15
個人技は優れているもののチームプレーはからっきし。本人は次のように考えています。
「頼るということは弱いことだ
頼られることは重荷になる
俺は一人で強くなりたい」
(『あひるの空』18巻より引用)
この言葉は不破という人物をまさに具現化していて、実際彼はどのチームに所属しても「ひとりで」バスケをしているのです。
またかなりの気分屋で精神的なムラが激しく、監督はこれを乗り越えることを期待しています。
同じく横浜大栄高校1年生の上木鷹山(かみきようざん)。身長は158センチと小柄ですが、それを苦にせず、むしろ「バスケの定説を崩せる」と感謝しています。
体重も45キロと非常に華奢ながらかなりの根性を持っており、大栄の地獄の練習にも音をあげずについていき、毎日の自主練も欠かしません。
- 著者
- 日向 武史
- 出版日
- 2007-09-14
ポジションはポイントガード。センスにも優れていて、大栄で唯一不破と合わせることができる人物です。また男子では珍しいボスハンドで3ポイントを打ちます。
このボスハンドは、かつてバスケの日本代表だった空の母・由夏から直々に教わったもの。何度も母のシュートを見てきた空から「完成形」と言わしめるほど、由夏に近いフォームでシュートを放ちます。
体格も含め空のライバル的な存在で、何かとお互いに意識しているようです。
クズ高のライバル校である川崎市立新丸子高校に所属する常盤時貴(ときわときたか)。かなりのイケメンで女子のファンが多く、モテない千秋からは嫉妬されています。
また白石も認めるほどの実力も兼ね備えています。
- 著者
- 日向 武史
- 出版日
- 2011-07-15
クズ高のライバル校である川崎市立新丸子高校に所属する常盤時貴(ときわときたか)。かなりのイケメンで女子のファンが多く、モテない千秋からは嫉妬されています。
また白石も認めるほどの実力も兼ね備えています。
ポジションはポイントガード、もしくはシューティングガード。パス、シュート、ドリブル、ディフェンスと白石同様にすべてをこなします。ガードのため得点力は彼に劣るものの、ここぞという時には必ず自ら決める力を持っているので、普段はあえて自身の役目に徹しているのかもしれません。
白石とともに千秋の超えるべき壁として描かれます。
北住吉高校バスケ部のエース、蒲地太郎(かばちたろう)。クズ高のマネージャーをしている七尾奈緒(ななおなお)の従兄弟で、彼女に恋愛感情を持っています。
そのため何かとクズ高メンバーと絡むことが多く、千秋とともに本作のギャグ担当だといえるでしょう。
- 著者
- 日向 武史
- 出版日
- 2012-02-17
「常にカッコよく」をモットーにしているナルシストですが、実力はかなりのもの。鋭いドライブから3ポイントを打つことができ、試合の終盤になってもキレが落ちないスタミナも兼ね備えているバランスのとれたフォワードです。
また身長は174センチながら、ダンクもどきができるほどの身体能力も持っています。このほかストップ&ジャンプシュートが得意で、フォームが崩れてもしっかり決められるほど。陰で血のにじむ努力をしている人物です。
ぜひ実際に作品を読んで、白熱する試合のなかで彼らの活躍する姿を見てみてください。
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