「月刊ヤングマガジン」で連載中のラブコメ漫画『渡くんの××が崩壊寸前』。常にシリアスな雰囲気をまとっている不思議な魅力があります。この記事ではそんな本作の全巻分の見どころをネタバレ有でご紹介していきます。
「月刊ヤングマガジン」にて連載中のラブコメディ。作者は『東京★イノセント』や『ラーメン大好き小泉さん』を手掛けている鳴見なるです。
常にどこかシリアスな雰囲気をまとっている作品で、一筋縄ではいかない恋模様が描かれています。
本作の魅力は、そんな世界観をつくるのにひと役買っているヒロインたち。みな何かしらの「闇」を抱えていて、男性の目を惹きつけるのです。
この記事では各巻の見どころをご紹介していきます。ネタバレを含むのでご注意ください。
- 著者
- 鳴見 なる
- 出版日
- 2016-05-06
両親が他界しているため、2年前から親戚の家を転々としている高校生の渡直人(わたりなおと)。今は叔母の家で暮らしています。
彼の生活はとにかく妹中心で、「シスコン」と揶揄されようとも、友達からのあらゆる誘いを断って毎日一緒に過ごしていました。
しかしそんな彼の日常は、幼馴染の館花紗月(たちばなさつき)が転校してきたことによって崩壊してしまいます。彼女はいきなり渡の家に訪れ、キスをしてきたのです……。
渡直人は妹を溺愛している高校生。部活の勧誘も友達からの遊びの誘いも、すべて10歳の妹の鈴白(すずしろ)を理由に断っていました。鈴白も、兄にべったりのブラコン。2年前に両親が他界し、親戚をたらい回しにされていたため、2人はなかば依存するようにお互いを必要としていました。
叔母の家にやってきてからは、毎日ご飯を食べられることのありがたさを感じながら、幸せな日常が続けばいいと思っています。
しかし、渡の隣のクラスに館花紗月という少女が転校してきたことによって、兄妹の平穏な暮らしは崩壊していくことになるのです。
彼女は、6年前に信州に住んでいたころに幼馴染だった少女。その時はとても親しくしていたのですが……紗月と再会した渡は、「畑荒らし」という言葉と、敵意をむき出しにしました。
本作ではよくあるラブコメのような甘いハプニングは起きません。登場する何人かのヒロインたちはみなどこか危なげな雰囲気を纏っているのです。
1巻では、転校してきた紗月が、自分を無視して下校する渡の後ろを堂々と尾行しています。それだけならまだいいですが、彼がいくら無視を決め込んでも、「直くん」と永遠に名前を呼び続けるのです。吹き出しの数は20個を超え……。
見た目はとってもかわいいですが、感じるのはもはや恐怖でしょう。ただのラブコメではない雰囲気が漂っています。
風邪をひいた渡のもとに、彼が意識しているクラスメイトの石原紫(いしはらゆかり)が訪れました。彼女とは委員会が一緒で、普段は用事があれば話す程度でしたが、お見舞いに来てくれたことに素直に喜びます。
しかし部屋には、紗月がいます。
渡は紫に紗月を見られまいと、自身の布団の中に隠してしまいました。狭い布団にもぐって密着する2人。紫は挙動不審な彼を、心配そうに見ています。
その場はなんとかごまかすことができ、さらにこのお見舞いをきっかけに渡は紫との距離を少し縮めることができました。風邪が治った後は一緒にテスト勉強をすることになり、どうやら紫のほうも彼を意識しているようです。
- 著者
- 鳴見 なる
- 出版日
- 2016-06-17
紫は可愛くて女の子らしい少女。闇を抱えているような紗月とは対照的で、友人との付き合いも悪い自分にも気さくに声をかけてくれることから、渡は強く意識するようになっていきました。
しかし彼女もやはり本作のヒロイン。無害そうに見えてただ者ではありません。
2人が図書館で勉強をしていた時のこと。「なぜこんなに自分に親切にしてくれるのか」と渡が訪ね、その疑問に答える時の彼女の瞳が光を映していないのです……狂気や妄執などの強すぎる想いを感じるでしょう。
彼女は初めて会った時のことを話し、渡が自分のことを性的な目で見ないことに好感を抱いていましたが、彼だって思春期の男子高校生。煩悩が無いわけではないのです。
それでも好きな人に強い感情を向けられれば嫌な気持ちはせず、彼は誠実でいることを誓うのでした。
渡はクスメイトたちと海に旅行へ行くことに。この旅行をきっかけに紫との仲を進展させたいと考えていますが、なかなかチャンスがありません。ちなみに隣のクラスですが紗月も同行しています。
そんな彼を見かねてか、友人の徳井が、2人きりになれるシチュエーションを作ってくれました。ややぎこちないながらも楽しく過ごしていると、そこに「紫ちゃん」と呼ぶ男性が現れます。
どうやら中学時代の先輩で、しかも過去に紫と何かしらの関係があったようなのですが……。
- 著者
- 鳴見 なる
- 出版日
- 2017-01-06
3巻では、紫の中学校時代の元カレと思われる男性が登場。ヒロインたちばかりに目が行きがちですが、彼もかなり危ない人物です。
自意識過剰のナルシストで、女性関係を含めすべてが自分の思いどおりにいくと考えているよう。実際、紫とは付き合っていなかったのですが、彼は勘違いしています。しかも周囲の人間に言いふらしているため、良からぬ噂が広まっていました。
紫がどこかおかしくなってしまったのも、彼との過去が関係しているのでしょうか?
また、紫と渡の関係にも少しずつ変化が起きようとしています。そしてその様子をじっと見ている紗月の表情には……一体どんな意味が込められているのでしょうか。
海への旅行で紫との仲を深めることができた渡でしたが、その一方で紗月とはギクシャクしてしまっています。前巻で「これ以上優しくすると、また大事なものを壊してしまう」と告げられ、一方的に距離を置かれてしまっているのです。
猛烈なストーキング行為には応えられないものの、幼馴染なため渡自身も彼女のことは悪からず思っています。そのため紗月との関係に悩んでしまいましたが、そんな彼の気持ちに気づいていない紫は、このタイミングで告白……!
そして、恥ずかしさからか、逃げるようにその場を去ってしまいました。
- 著者
- 鳴見 なる
- 出版日
- 2017-07-06
なんと渡は、当初紫の告白を受け入れることができませんでした。初めに思ったのは「ウソだ」ということ。小さい頃の出来事や、複雑な家庭環境が関係しているのでしょうか、誰かからの愛情を正面から受け止めることができないようです。
「自分の気持ちがはっきりしていない」と紫に伝えますが、彼女は「お試しでもいい」と懇願し、ひとまず2人は付き合うことになりました。
妹の鈴白も含めて3人で動物園デートをする2人。実に初々しいカップルに見えますが、紫は心のなかで紗月への嫉妬の炎を燃やしていました。
以前紗月が渡にキスをしている場面を目撃していた彼女は、自分はその先へいこうと、薬局である物を購入するのです……。
登場したばかりのころはあんなに清純で女の子らしかった紫が、まさかそんな行動に出るなんて、読者もついていくのに必死です。渡と付き合ったことで、彼女の暴走行為はさらにエスカレートしていくのでしょうか。
動物園でのデート以来特に進展のない2人。季節はもうすぐ夏休みです。渡は紫と遊ぶための資金を調達するために、アルバイトを始めることにしました。
いざ面接へ向かうと、そこでたまたま中学時代の後輩・梅澤真輝奈と出会います。
その日から、真輝奈は何かと渡に付きまとうように。学校では紫と付き合っていることを隠していますが、他校に通っている真輝奈には彼女の存在を告げると、どうやら良からぬことを企てているようで……。
- 著者
- 鳴見 なる
- 出版日
- 2018-01-05
真輝奈は、紗月や紫とはまた違うギャルっぽい見た目の元気っこ。陸上が得意で、高校にはスポーツ推薦で入学していますが、現在は部活をさぼっているようです。
彼女もやはり本作のヒロイン。ふとした時に光を失った瞳をすることがあり、どこか心に闇を抱えているのでしょう。とにかく渡と紫の関係を壊そうと必死になっています。
一方の付き合っている2人は、突然の雨に降られて紫が渡の家に泊まることに……!嫉妬に燃えている紫に押されて、ついに一線を越えてしまうのでしょうか?
新たなヒロインも登場し、今後の展開から目が離せません。
真輝奈という新しいヒロインが登場し、さらに恋模様に波乱の予感がした5巻。6巻では彼女がどれだけ渡のことが好きなのかが描かれます。
そしてその一方で紫は渡との付き合いが「仮」なことに不安を抱き、一線を超えられなかったことで彼に嫌われてしまっているのではないかと不安になっていました……。
- 著者
- 鳴見 なる
- 出版日
- 2018-09-06
6巻では、真輝奈の思いがしっかりと描かれている分、彼女が渡と紫の橋渡しをしてしまう展開が切ないです。彼女は2人の仲を邪魔しようと動くものの、結局渡が彼女のことをまっすぐ思う気持ちにやられ、その場をあとにします。残念可愛い。
そしてそれをきっかけに関係を深めた渡と紫は、彼女の家で以前の「やり直し」をしようとするのですが……。
今までもヤバめのヒロインばかりの本作ですが、今回はまさかの紫のお母さんが怖いという展開も描かれます。彼女が紫にした、「お願いひとつだけ」とは何なのでしょうか?またしても怖い女性が増えそうです……。
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それぞれの少女たちが抱える闇はいったい何なのでしょうか、目を逸らさずに見届けましょう。