漫画『犬神・改』の魅力を全巻ネタバレ紹介!衝撃のSFホラーが面白い!

更新:2021.11.30

新たな生命体として誕生した、とある犬の脳内に送られた信号は「人間を見ろ」……。主人公の少年と犬の絆や、彼らを取り巻く巨大な陰謀などが交錯し、先の読めない展開が魅力です。

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漫画『犬神・改』が面白い!魅力を全巻ネタバレ紹介!

 

1997年から2002年まで「月刊アフタヌーン」で連載されていた『犬神』に、作者の外薗昌也が加筆・修正を施して2017年に再発表された本作。

大量虐殺などグロテスクな描写が多いものの、しっかりと作りこまれた世界観のなかで人間と新生物の関係性が描かれています。

またストーリーには多くの謎が隠れていて、ラストに向けてワクワクさせられる展開もたくさん。この記事では、そんな本作の魅力と見どころを紹介していきます。ネタバレを含むのでご注意ください。

 

著者
出版日
2017-03-28

漫画『犬神・改』あらすじ

漫画『犬神・改』あらすじ
出典:『犬神・改』1巻

 

島崎史樹は、詩を読むのが好きな大人しい高校生。放課後は偶然見つけた廃屋でひとりの時間を過ごしていました。そんな時に、どこからかやってきた野良犬が近くへ寄ってきて、まるで詩を読んでほしそうに訴えかけてくるのです。

不気味に思いつつも、読まないと牙をむかれるため読み上げることをくり返すうちに、その犬は言葉を発するようになりました。やがて史樹も、犬に対して愛情を抱いていきます。名前をつけようと考えていると、耳に「23」と数字が刻まれていたため、23と名付けることにしました。

同じころ、23と同種の黒犬が現れ、人間を次々に殺していきます。23はその存在を感じとり、史樹にとって危険だと判断したため激闘のすえに首をはねて倒すのです。しかし黒犬は死なず、23を求めていた桐生という人物のもとに連れていかれて「ゼロ」と名付けられました。

桐生は永遠の生命を手に入れられるという「23細胞」を研究している男。23の存在を研究すれば、人間を新たな生物に生まれ変わらせ、「常世国」に行くという自身の計画を実行できると考えていました。

こうして史樹は23とともに、壮大な思惑へと巻き込まれていくのです……。

 

『犬神・改』の見どころ1:犬と人間の絆があったかい

著者
出版日
2017-04-28

 

史樹と23との関係は、ただの人間と犬ではなく、心温まるものがたくさん。特に印象深いのは、「倉田製薬」の実験体にされていた犬「ラッキー」との戦いの場面でしょう。

史樹とはぐれて倉田製薬の研究所に連れていかれた23は、ラッキーと戦っている最中、友達の証として彼からもらっていた首輪を無くしてしまうのです。

一方の史樹はいなくなった23のことを心配し、毎日探し歩いているものの、見つけることができずにいました。そんななか、ニュースで倉田製薬が大量の犬を実験体として捕獲していたことを知り、研究所へと向かうのです。

やっと再会できた時、23は首輪を無くしたことを気にする素振りを見せました。しかし史樹は、「いいんだ」と涙を流します。犬の23の一途な気持ちも伝わり、人間の史樹の会えるだけで十分だという愛情も伝わり、たんなる仲良しの2人ではないことがうかがえるでしょう。

また、亡くなったラッキーもかわいそうな犬です。一緒に住んでいた家族から引き離され、強引に実験体にされていました。しかし実験が失敗し、まるでゾンビのような姿になってしまったのです。

そのような状態になっても家族のもとに帰ることだけを考えて、「帰るんだ」「帰るんだ」と自身に言い聞かせながら目の前の者を倒していきますが、「23細胞」の存在が外の世界に漏洩することを恐れた23によって殺されてしまいました。

実験体にされても、どんなに傷つけられても大切な人を一途に想う、犬と人間の絆を感じられるエピソードでしょう。

 

『犬神・改』の見どころ2:グロ描写が止まらない!

著者
出版日
2017-05-29

 

本作には「23細胞」の宿主となった動物の戦闘シーンが数多く描かれています。能力を持たない人間が惨殺されることも多く、彼らが突きさされたり引き裂かれたりして内臓を撒き散らして死んでいく演出は、見どころのひとつといえるでしょう。

たとえば亜種として突如現れた「エイト」は、他生物に擬態することが可能な犬。近隣の村人を皆殺しにした後、自衛隊に救助される際は人間に模していました。そしてヘリコプター内で自衛隊員を惨殺。さらに別の町へ降り立つと、またもや何も関係ない人間たちをバラバラにしていくのです……。

そのほかにも、23とエイト、ラッキー、ゼロなどとの同種対決もグロ盛りだくさん。不死に近い能力を持っているので、頭を切り落とす、身体を分断するなどしないと勝てない戦いばかりです。

グロ描写に耐性が無い方は、注意して読み進めていってください。

 

『犬神・改』の見どころ3:神話をモチーフにした壮大な世界観!

著者
出版日
2017-09-28

 

本作の世界観は、20世紀最大の黒魔術師と呼ばれたアレイスター・クロウリーの「生命の樹宇宙論」が元になっています。23個の元素による科学と宗教の融合した人類補完計画のようなもので、その内容は、聖書に登場するエデンの園に植えられた永遠の生命を得るための鍵「セフィロトの樹」ともいわれているのです。

本作に登場する桐生が信じ、実行しようとしている計画も、この思想を中心としたものでした。彼は、「人間の幸せの形とは何か」を考えぬいたすえ、皆が自分と同じ存在になればいいという答えに行きつき、自身の娘である由梨子を「生命の樹」に取り込ませ、現代のアダムとイブになろうとします。

我が子までもを計画の一部として利用し、そのほか何万人もの人間を「エイト」に殺させ、自らの野望を実現しようとする外道のような男ですが、その壮大な思想は神話に基づくものなのでした。

 

漫画『犬神・改』のオカルトチックな世界を読んでみよう!

著者
出版日
2017-11-29

 

本作のテーマは、「人間を見ろ」。他の動物から見た人間がどのような存在なのか、考えさせられるはずです。23やゼロは、神の遣として地上に下り立ち、我々に裁きをくだそうとしていたのではないでしょうか。

聖書や神話などをもとに作りこまれたストーリーは、かなり壮大なもの。ぜひチェックしてみてくださいね。

 

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