ラブコメの一時代を築いたといっても過言ではない『スクールランブル』。「スクラン」の愛称で親しまれた本作は、今読んでも面白さが色あせることはありません。ここでは、本作の魅力の大半を担うヒロインたちの紹介をしていきましょう。
『スクールランブル』は「スクラン」の愛称で親しまれ、2002~2008年にかけて「週刊少年マガジン」にて連載されていました。まさにラブコメの代表作ともいえるもので、多くの人々に愛された作品です。
作者は本作で連載デビューをはたした小林尽。この他、本作のパラレルワールドを描いた『スクールランブルZ』や『夏のあらし!』といったコメディ作品を描いています。
- 著者
- 小林 尽
- 出版日
- 2003-05-16
本作の魅力は恋愛とコメディが絶妙なバランスで描かれた点です。甘酸っぱい恋愛が作者の高いギャグセンスと合わさることでサクサクと読み進めることができます。
時に笑い、時に胸が苦しくなる……。そんな様子をふんだんに描いた本作こそが「ラブコメ」のあるべき姿なのではないでしょうか。まさに黄金比ともいえるラブとコメディのバランスは、ラブコメ界の見本となるべき。
そして、本作の最大の魅力はなんといっても魅力的なヒロインたちです。多くの魅力溢れる女の子が登場し、ビジュアルも内面もそれぞれ際立った良さがあります。
数多の美少女が登場する「スクラン」ですが、今回はメインヒロインというべき3人の魅力を名シーンなどと交えながらご紹介していきましょう。あなたの好みはいったい誰!?
『スクールランブル』の主人公・塚本天満の1歳下の妹。儚げな雰囲気を持った美少女で、現代風にいえばオタク受けの良さそうな女の子です。
その雰囲気のまま実におとなしい性格をしており、普段は自身の主張を強くできません。しかし、恋愛においては意外と押していくタイプです。また、姉をとても大切に思っており、姉に関することでも頑固な一面をのぞかせます。
幼いころから家事を全面的に任されていたことから、料理・洗濯・裁縫となんでもこなせる女子力の高さを持ちます。あらゆる点からみて「嫁にしたい」と思えるヒロインです。
そんな控えめでおとなしいヒロインである八雲の名シーン、名言をご紹介していきます。
- 著者
- 小林 尽
- 出版日
- 2003-09-17
・播磨拳児との出会い(4巻)
空調整備のバイトをしていた播磨が訪れた家が偶然にも塚本家でした。そこで飼い猫に好かれた播磨をみて、八雲は播磨に興味を抱くようになります。そして、播磨にお礼の意味も籠めて「おにぎり」の差し入れをしたのでした。
おにぎりの差し入れが初めての接触だというのは実に八雲らしい出会い方ですね。このことから、本作の正ヒロイン論争における八雲派は「おにぎり派」と呼ばれるようになります。
・2人の秘密(5巻)
出会いだけでは2人の距離は縮まりません。何かしら2人の間で起こることで親密になっていきます。2人の距離を縮めたものが「漫画」です。
漫画家を目指している播磨が執筆した作品を八雲は偶然読んでしまいいます。それから意見を求められるようになり、さらにはアシスタントとして一緒に作品を描いていくことになるのです。播磨は周囲に漫画を描いていることをひた隠しにしているので、2人のだけの秘密として急速に距離を縮めていきます。
・「あなたが知らない百年という時を共に過ごしてきたのです……」(『スクールランブル』10巻より引用)
あくまで「漫画家」と「アシスタント」という関係で描かれてきた八雲ですが、ついにヒロインとして頭角を現してきたのが10巻の文化祭。
姫である播磨をめぐり、王子を演じる沢近と魔法使いを演じる八雲の激闘が繰り広げられます。その最中、八雲は挑発ともとれる台詞を沢近に告げるのです。
これは八雲なりの自己主張や愛情表現と捉えることができるでしょう。誰もが知らない漫画家とアシスタントという2人だけの秘密を遠まわしに誇示しているのです。普段の主張が少ないからこそ、数少ない彼女の主張は全部本気!
その他多くの名シーン、名言はありますが、播磨との関係の起承転はこちらになります。こう見るとおとなしい性格に反して、恋愛には意外と積極的。ぐいぐいアピールするわけではありませんが、さりげない自己主張をしています。
そのギャップが実に可愛いのが八雲なのです。おとなしい面と積極的な面、反する2面性を楽しめるのが八雲の魅力といえるでしょう。
英国人の父と日本人の母から産まれたハーフで、帰国子女のお金持ちお嬢様。さらには金髪ツインテールで気の強い性格と、まさに「ツンデレ」の代名詞ともいえる女の子です。
非常に負けず嫌いで、高いプライドの持ち主。そのため、勝負事には常に全力で取り組みます。そして、そのプライドに見合うだけの実力を持っており、学力や運動能力は高いです。
また、典型的なツンデレで、なかなか素直になれません。特に嫉妬した時は相手と自分を比べることが多く、その矛先を播磨ではなく友人に向けてしまうこともあります。
嫁にしたい八雲に対し、こちらは「彼女にしたい女の子」といったところでしょうか。類稀なる美貌と時折みせる素直な可愛さは読者の心を激しく揺さぶってきます。
そんなツンデレ可愛い沢近の名シーンと名言とご紹介します。
- 著者
- 小林 尽
- 出版日
- 2003-12-16
・相合傘(2巻)
播磨と沢近が初接近はなんと「相合傘」。独り雨に打たれる沢近を播磨が傘に入れてやるという王道の展開です。まだこの頃の沢近は特にツンケンした態度ではなく、素直な面を見せてくれます。
・「ヤベエ マチガエマシタ イエナイ」(『スクールランブル』3巻より引用)
播磨は人違いの告白を沢近にしてしまいます。間違えたことに唖然とする播磨に対し、沢近の態度は意外にも照れた様子なのです。沢近は非常にモテるので、告白も日常茶飯事。そんな彼女が照れるさまをみせるということは、播磨に悪い印象を持っていないということなのでしょう。
しかし、さすがは「スクラン」。この後、とんでもないどんでん返しが起きるのです。これには沢近にも同情してしまいます。
・「この私と踊るのだから胸を張りなさい」(『スクールランブル』6巻より引用)
こちらは「スクラン」でも屈指のシーンと台詞です。体育祭を約束通り優勝に導いた播磨でしたが、その代償は全校生徒にハゲがばれるといったあまりにも可哀そうなものでした。そんな播磨を沢近は自ら後夜祭のダンスに誘い、共に踊るのです。
沢近らしい強気の台詞でありながら、播磨を気遣う心が感じられます。伝わりづらいですが、実際は素直になれないだけの可愛い女の子なのです。
こちらが沢近と播磨の起承転となります。「おにぎり派」と呼ばれる八雲派に対し、ラブコメの王道展開で数々のフラグを播磨と建てることから、沢近派は「旗派」と呼ばれています。
そんな彼女の魅力はやはり王道の「ツンデレ」なところ。ツン8:デレ2と実に理想的な比率をしています。そのためデレの破壊力がすさまじく、虜にされてしまうのです。
八雲と沢近の2大ヒロインが注目を浴びる「スクラン」ですが、本作を語るうえで欠かせない存在がもう1人います。それが播磨と並ぶ主人公・塚本天満です。
八雲と血のつながった姉ですが、あらゆる面で正反対。天真爛漫なムードメーカーで、周囲を笑顔にすることを得意とします。また、外見も大人びた八雲とは違い、童顔で幼児体型です。発育がよく美人な友人に囲まれているので、そのことを気にしています。
さらに、家事もほとんどできず、勉強も運動も苦手と八雲に頼りきり。しかし、天満の好きな男子・烏丸が絡むと超人的な力を発揮します。
- 著者
- 小林 尽
- 出版日
- 2003-05-16
そんな彼女の魅力はなんといっても純粋で真っ直ぐな恋心。そして、それを最後まで貫いた点でしょう。
播磨や他の男子から寄せられる好意にはまったく目を向けず、最後の最後まで烏丸に愛を捧げます。これほどまでに一途なヒロインはなかなかいないのではないでしょうか。
一途な女の子というのは、男の目線からみると非常に魅力的。一見、2大ヒロインにおくれをとっているかに見えますが、決してそんなことはありません。好意のベクトルの向きは違いますが、しっかりと「スクラン」のヒロインを務めているのです。
また、友達のみならず、読者をも笑顔にしてくれます。彼女の一途さに微笑んだり、ドジな行動に笑ったりと本作における「癒し」が天満なのです。
そして、最後の最後、天満の恋の行く末は涙なしにはみることができません。健気な彼女をぜひとも応援してあげてください。
さて、『スクールランブル』のヒロインたちの魅力は伝わったでしょうか?他にも多くの魅力的な女の子が登場するので、ぜひとも自身の目で確認してください。
『スクールランブル』を含むおすすめの少年漫画の恋愛ものを紹介した<少年向け恋愛漫画おすすめランキングベスト5!【2000年代編】>の記事もおすすめです。気になる方はぜひご覧ください。