『マゲとリボルバー』に学ぶ、「合わないアイツ」との仕事術!

更新:2021.12.3

【AD】東京の一角にいきなり江戸の街が現れたことから、警察官と隠密の侍がパートナーとなって、ともに事件を解決する……。そんなストーリーの漫画『マゲとリボルバー』。生まれ育った背景も、時代も、そして性格まで異なるふたりが協力する様子には、現代の私たちに通じるビジネスコミュニケーションのキモが詰まっていました。

ブックカルテ リンク

『マゲとリボルバー』で、超身近なビジネスコミュニケーションの悩みを解決!?

 

誰しも自分とは合わない相手と仕事をして、苦い思いをした経験があるのではないでしょうか。プライベートでは、自分と合わない人とのコミュニケーションは無理にする必要がありませんが、仕事となれば話は別。

無意識にコミュニケーションを避けてしまったことが原因で大きな問題を見落としてしまったり、今のところ仕事には差し支えないけれど普段からその人と一緒にいなければならずモヤモヤしたりと、あなたも大小関係なくそんな悩みを感じたことがあるのではないでしょうか。

今回おすすめさせていただく漫画は、『マゲとリボルバー』というSF歴史漫画。ソリの合わない人との仕事に悩んでいる方にぴったりな内容なのです。

 

それぞれお互いが外人とバディを組んでいるようなもので、隔たりのあるところからスタートしたふたりの関係。しかし相性が良くないながらも、そんなことも言っていられない状況です。裏社会の事件の解決という危険な仕事は、少しの油断がまさに命取りになってしまうのです。

そんな究極の状況だからこそ見えてくるふたりの仕事への覚悟は、現代の私たちが学ぶべきところが多くあります。

 

©盛田賢司、 高橋遠州/小学館

ふたりがぶつかり合いながらも事件を解決していく様は、ストーリーを面白くするだけでなく、仕事のコミュニケーション術においての本質を突いているのです。日本ならではの陥りやすい問題、その解決方法がこの作品には詰め込まれています。

今回はそんな本作から、合わない相手と仕事をする上でのコミュニケーションを学ぶことにしましょう。

©盛田賢司、 高橋遠州/小学館

実はこのふたりのいざという時に息の合うコミュニケーションが、ストーリーを面白くするだけでなく、仕事のコミュニケーション術においての本質を突いているのです。日本ならではの問題、その解決方法がこの作品には詰め込まれています。

今回はそんな本作から、陥りがちな仕事上でのコミュニケーションを学ぶことにしましょう。

自分と相手の認識に違いがあるということを意識する

主人公の桜田と神保は、かなり優秀です。しかもそれだけでなく、それぞれの正義感を持って動いており、読者としては双方の言動に正しさを感じさせられ、心を動かされます。

しかし頭の良さと理念を持つ様子は共通しているものの、性格が水と油。桜田は柔、神保は剛というところでしょうか、まったく話が合わないのです。それゆえに普段の会話も和気あいあいとなることはありません。そこがふたりのかけあいのコミカルで面白いところでもあるのですが。

それに重ね、時代が違うということでもふたりはぶつかり合います。

現代の選挙制度や、江戸時代の天誅という考え方など、お互いに理解できないことが多く、江戸エリアが東京にきて10年ほど経ち、同じ日本人であるというのに、未だにそのエリアの「中」と「外」という言葉で人々を区切る概念が明確にあるのです。

©盛田賢司、 高橋遠州/小学館

ふたりのやりとりは、私たちの現代を新鮮な目で再度見直すことができるということでも面白い内容となっています。普段はしっかりしている神保が、現代とのギャップによって照れたり、得意げになったりする様子は可愛いとも思えてしまいます。

しかしこのようにお互いの違いを明確に意識していることが、ふたりに効率的なコミュニケーションを可能にしている所以なのです。

おそらく実際のビジネスシーンでも自分とソリの合わない人物とチームを組むのはよくあること。その合わなさゆえに、業務上必要のないところでも、無駄に摩擦が起こるという経験してきた方も多いでしょう。

それはもしかすると、お互いが違う考えを持っているということを、しっかりと意識できていないことにあるかもしれません。

普段、私たちは通じるのが当然という考えを無意識に思っているのではないでしょうか。私たちが生まれ育った日本は、長いこと島国として閉じた社会を発展させてきました。

現在では日本人以外を見かけることが少なくありませんが、それでも当たり前にその相手とご近所づきあいとしたり、友人として週末を過ごしたりする人は少数でしょう。私たちは言葉や文化や慣習が、ほぼ同じ人間でコミュニティを築いてきたのです。

それゆえに言語化せずとも伝わるのが当然という空気があります。むしろそれができない人を空気が読めない、面倒だと思う風潮すらあるのではないでしょうか。

「通じる」ことが当たり前と思っていると、「通じない」ことにかなりストレスを感じてしまいます。あまりにもツーカーの関係に慣れている、ということには危険性もあるのです。

ハイコンテクストな社会はコミュニケーションコストが減るメリットもありますが、誤解や誤認識が生まれる可能性もあります。そして国際的に見ると言外に理解するということはスタンダードではないという事実もあります。

もちろんスタンダードでないことが悪いのではありません。誤認識が起こる可能性があり、あまりにも通じないことにセンシティブだということを意識しておく必要があるというだけのことです。

もし、違うという意識がしっかりと意識できていれば、事前にふたりに起こりそうな摩擦を想像しやすく、たとえ話が通じなくても、それが当然なのでストレスは少なくなるでしょう。

例えば外国の方と常識が違っても、それにいちいちイライラして押し付けようとはしませんよね。それを同じ日本人でも意識することで、無駄な摩擦を防ぐことができるのではないかと、本作からは感じられるのです。

他人が自分と異なる価値観を持っているという考えは当然だ、と思われる方もおられるかもしれません。しかし日々のコミュニケーションで、本当にその意識を持って行動できている人は少ないのではないでしょうか。

©盛田賢司、 高橋遠州/小学館

桜田と神保は、同じ日本人ながらに時代が違うということが明確になっており、自分と正反対の性格ということもあって、相手が「通じない」人物だということが、かなり明確になっています。

それゆえにたとえ「普通」が通じなくとも、毎回毎回派手にぶつかるということはありません。本作ではそんな、同じ日本人でも「普通」が通じない相手だと強く認識することの重要性が描かれているのです。

討論と対話の違いとは?

討論と対話、という似た言葉があります。どちらも「話し合い」という大きな枠組みには入りますが、ビジネスにおいて多くの場面ですべきは対話ではないでしょうか。

討論は、両者の話し合いによって、どちらが正しいかが決まるイメージです。それぞれが持論を補強しあい、比較して、一方の考えに決まります。

それに対して対話は、お互いの意見が混ざり合い、どちらからも出なかったアイディアが生み出されるイメージ。両者が変化し、成長する経験が含まれる場合もあるでしょう。

日本人は、先ほども述べた社会背景から、比較的話し合いに慣れていない傾向があると言われています。最近では学校でもディベートの時間が設けられるなどして改善が図られていますが、討論ではなく対話をすべきだという意識が定着しているというのは、あまり耳にしません。

桜田と神保は、言葉で相手の違うと思うべき部分を指摘しながらも、相手の考えを尊重し、大事なものを侵しません。もちろん、時にはぶつかることもあるのですが、事件を経て、自分にはなかった視点での考え方を獲得し、以前よりも成長している姿が見て取れるのです。

©盛田賢司、 高橋遠州/小学館

ふたりがぶつかりあう様子は、スポ根漫画にも通じる胸熱なものがあります。学ぶべきところも多いですが、何より普通に心を動かされてしまう展開も多いので、そちらも要チェックです。

横道にそれてしまいましたがビジネス的な観点に話を戻しますと、まずは相手に納得できない部分がある場合は冷静に指摘する。ただし、相手の考えも理解し、最終的にお互いが変わっていく。この対話力が、当初にはなかった新しい案を生み出し、イノベーションに繋がる鍵なのではないでしょうか。

まずは議論しないと、何も変化しません。だからといって、どちらか一方が正しいという結論に、新しいものは生まれません。

対話することの大切さを意識することで、パートナーと効果的なコミュニケーションに繋がるかもしれません。

 

コミュニケーション能力は順応力!

最後に、ふたりの最大の魅力であり、コミュニケーションの基幹をなすと思われるのが、順応力です。

正直、登場するふたりの人物にも自分の考えがスタンダードだ、それを相手にも認めてほしいという大人気ない一面や、感情的に話してしまう部分が見えることもあります。

先ほども言いましたが、常識も性格も異なるふたりですので、ぶつかり合うことはしょっちゅうなのです。ここが人間らしくて彼らを好きになってしまう理由でもあるのですが、

しかも一度は、お互いが拳銃と刀に手をかけ、合間見えるという緊迫した場面もありました。

しかしそれほどに熱くなった場面でも、同僚からの落ち着けというひと言でそれぞれ武器を収めるのです。

©盛田賢司、 高橋遠州/小学館

この合わないふたりがコミュニケーション不足に陥らず、成果を出し、対話から変化できているのは、この例に代表されるような順応力のたまものに思えます。コミュニケーション能力とは、順応力なのだな、とも感じられるのです。

よく企業が社員に求めるコミュニケーション能力として「異文化理解力」というものが挙げられます。これは自分とは違う文化、価値観を持った人を理解しながらも、自分の意見を主張できるかどうかということ。

それは先ほど指摘した違うという意識を明確に持つこと、その意識を持ちながらも言葉を使ってすり合わせをすることとも言い換えられるでしょう。

そしてその意識的な対話の結果、お互いの妥協点を見つけ出すことが重要なのです。

しかしただ妥協するだけでは、本当に良い結果は残せません。ここまで合わない神保と桜田が重要な部分で足並みを揃えることができるのは、目的を同じくしているから。そしてその目的を果たすために、相手を信用する覚悟があるからなのです。

神保と桜田は、闇の犯罪を暴く仕事をしているため、生死を分けるような究極の場面に何度も遭遇します。しかし、そこでふたりは必ず、息のあった見事な立ち回りを見せてくれます。

彼らは、バディを組まされた以上、相手を信用しなければならない、という覚悟が骨の髄まで染み込んでいるのです。

ふたりが環境に順応できるのは、実は強い意志があるからこそ。「合わせる」ということがただの我慢にならない秘訣は、より大きな目的なんですね。

桜田と神保のように、話が合わない相手を信用しなければならない場面がビジネスでも出てくるでしょう。そこで重要なのは目的を明確にし、それが同じであれば信用する覚悟を持つこと。

違和感を抱えながらも、覚悟を持ってゴールまで走ることができれば、円満に、とはいかずとも、そのうちにふたりが収まりのいいところも出てくるでしょう。

強い意志で順応力を持つことこそ、目指すべきゴールまでの道のりで重要、かつ一番ストレスのない道なのかもしれません。

『マゲとリボルバー』を読めば、「合わないアイツ」とも仕事が捗る?

 

コミュニケーション能力というと、相手の心象を良くする言い方や、分かりやすい伝え方など、言語にポイントが置かれることが多いですが、意識まで変えなくては、あまり意味がないのではないでしょうか。

よく見かけるのが、笑顔で目配せしながら、分かりやすい話法を使ってい話しているものの、どこか深く伝わってこない、信用できない人。

それはその人がいいと思った話し方を一方的にしているだけという印象があるという原因もあるでしょう。

『マゲとリボルバー』から学ぶべき点は、正反対の相手と変化していく柔軟性の重要さ。相手に感じる疑問点を指摘しながらも、自分本位ではなく、相手を受け入れる余地があることが感じられるコミュニケーションをとっているのです。

 

 

作品を読めば、さらにこの学びが深くなること間違いなし。ストーリー自体も、刑事もののハラハラする展開、絵の綺麗さから、多くの人におすすめできる内容となっています。

なにより主人公ふたりのキャラクターや掛け合いは、ついつい引き込まれてしまうものがあるので、ぜひ彼らの様子をご覧になっていただきたいです。

この作品で、楽しみながら日々の仕事上のコミュニケーションを見直してみるのはいかがでしょうか。

©盛田賢司、 高橋遠州/小学館

 

  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena
もっと見る もっと見る