理不尽な世界に突然飛ばされ、生死を賭けたゲームに参加することになった女子高生の物語『天空侵犯』。さまざまなルールに従わざるを得ない状況で、彼女は生き延びることができるのでしょうか。ハラハラの展開にちょっぴりエッチなシーンも織り込まれていて、常に目が離せません。
2014年から連載をしている本作。原作三浦追儺、作画大羽隆廣のタッグが描くサバイバルホラーです。
舞台となっているのがほぼ高層ビルの屋上で、ビル間の移動は吊り橋のみ。高所恐怖症の人は思わず足がすくんでしまうかもしれません。また仮面を被った人間が武器を用いて襲ってくるという恐怖も、単純ながらやはり怖い。血が飛び散るシーンもあるので苦手な方はご注意ください。
また彼らと戦う際のサバイバルアクションも痛快で魅力的です。主人公は高校の制服で戦っているので、随所でセクシーショットを楽しめるのも嬉しいところです。
この記事では、本作の主要キャラクターの魅力と見どころをご紹介していきます。ネタバレを含むので未読の方はご注意ください。
- 著者
- 大羽 隆廣
- 出版日
- 2014-05-09
主人公の本城ゆりは、16歳の女子高生。いつものように学校で過ごしていたところ、突然高層ビルの中へと飛ばされてしまいます。さらに目の前で、仮面を被った男が斧で人を殺すというショッキングな出来事が……。
周りを見渡してのも他に人はおらず、ひとまず外に出ようと階段へ向かうと、そこには「地上に降りる事はできません」というお知らせが貼られていました。
そうこうするうちに、仮面の男があとを追ってきます。しかたなく屋上へと逃げますが……。
果たしてゆりはこの世界で生き延びることができるのでしょうか。
本作の主人公、本城ゆり。黒髪ロングの女子高生です。
幼い頃から兄が大好きで、仮面の男に追われて屋上に逃げこんだ際、持っていた携帯電話で家族に電話をすると、兄とだけ通話をすることができました。彼もゆりと同じ世界に迷い込んでいることがわかります。
理不尽な殺し合いゲームに巻き込まれてしまいましたが、「必ず無事でいろ」と言われ、大好きな兄に会うことを目標にこの世界を生き延びることを決意するのです。
物語序盤で、彼女は向かいのビルで同じように仮面をつけた男に追われている女性を見つけます。どこかに吊り橋があるからそれを使って逃げてと伝えるものの、その女性はビルの屋上から飛び降りてしまいました……。
その一部始終を見ていたゆりは、仮面は追っている人間が自殺をしようとすると、殺すのを辞めたことに気が付きます。どうやらこの世界にはある一定のルールああるようで……?
さまざまなルールの謎を解明しつつ、なんとか生き延びようと奮闘していきます。
- 著者
- 大羽 隆廣
- 出版日
- 2014-09-09
- 著者
- 大羽 隆廣
- 出版日
- 2016-02-09
ゆりの兄で、高校3年生の本城理火(りか)。彼女同様に不思議な世界に迷い込んでいるようです。
自分の名前にコンプレックスを抱いていて、それゆえか自身でも「性格が歪んでいる」と認めています。ただゆりからはかなり厚い信頼を寄せられており、実際に高校生とは思えないほどの頭脳を持ち合わせています。
彼もなぜ自分がこの世界に来てしまったのか、この世界のルールは何なのかを探っているよう。数人の仲間とチームを結成し、リーダーシップを発揮している姿が見られました。
- 著者
- 大羽 隆廣
- 出版日
- 2015-05-08
ゆりと同じ歳の女子高校生、二瀬真由子(にせまゆこ)。恵まれない環境で育ってきたため、誰のことも信用しておらず、仮面であろうと普通の人間であろうと、冷たい態度で接していました。
ゆりと出会った当初もそのような対応をしていましたが、あることがきっかけで彼女に命を救われてから、行動をともにしています。
「生き延びても幸せになれない?ふふっどうかしらね?私は…今、とても幸せなのだけれど?」(『天空侵犯』4巻より引用)
全身血まみれになりながら、恍惚とした表情でこう発言する彼女の迫力は圧巻。ナイフを用いて仮面を殺していきます。
ただゆりに心酔しすぎている節があり、自分の命に変えても守ると考えているよう。やや突っ走りぎみな真由子の行動が、今後吉と出るのか凶と出るのか、注目です。
白衣を着用し、眼鏡を暗闇できらりと光らせる見るからに怪しい男、青原和馬(あおはらかずま)。まだ若い青年です。
「神に近い人物」と呼ばれる特殊な能力を持っていて、野心家でもあり、そんな自分に酔いしれてるのかたびたび横暴な振る舞いを見せます。
青原を通じてゆりと真由子は「神に近い人物」の特性を知るようになるのですが、これが生き延びる助けになるのかどうかはまだわかりません。
ふわふわとした長い髪が特徴の女子高生、新崎九遠(しんざきくおん)。穏やかな性格をしていて、育ちの良さが表れている一方で、殺伐としたこの世界の雰囲気からはどこか浮いた存在です。
とある仮面の男に近付いて話しかけてしまい、あわや大惨事、殺されてしあうのかと思いましたが、なぜか仮面は九遠を襲わず、むしろその他の敵から守ってくれるようになりました。どうやら相手の脳内に干渉できる能力があり、彼女も「神に近い人物」と呼ばれています。
ゆりと真由子に近付き行動をともにするようになりますが、果たして九遠のことを信頼していいのかどうか……いずれにせよ、今後の物語のキーになることがうかがえます。
本作の見どころは、何といっても不条理な世界でのデスゲームです。わけのわからないうちに殺し合いに参加させられるのですが、そもそも「ルール」が提示されません。
「訳わかんない。私は学校にいたはずなのに…いつの間にかこの場所にいた」(『天空侵犯』1巻より引用)
急に知らない世界に飛ばされ、目の前に武器を持った仮面の男が現れ、襲われる……という状態が続きます。とにかく登場人物たちは、「逃げて生き抜く」か、「諦めて死ぬ」という究極の二択を迫られるのです。
さらに現場となっているのが高層ビルの屋上なため、自由に逃げることはできません。あるのはビルの中へ入る扉か、他の高層ビルに繋がっている吊り橋のみ。
屋上を囲っているフェンスはなぜか一部切り取られており、仮面の男に殺される恐怖に耐えられず、心が壊れて自ら命を投げ出してしまうよう誘導されているのです。
当初は強気だったゆりも、
「ああすればこの世界から出れるから!やっぱりあの切れ目は「出口」だったんだ!」 (『天空侵犯』1巻より引用)
と一時はうつろな目で地上を眺める場面が描かれました。まさにどこを向いても絶望しかないデスゲームなのです。
- 著者
- 大羽 隆廣
- 出版日
- 2015-08-07
本作のもうひとつの見どころが、随所に描かれるお色気シーンです。とくに多いのが、戦闘中のパンチラ!ゆりや真由子は短いスカートのまま敵と戦い、全力で逃げるので、たびたびめくれてしまうのです。
またゆりが真由子を助ける際、上着で足を縛って繋ぎ、上半身はほぼ裸の状態でさかさまになるシーンがあります。チラではなくモロ見え。本人たちは生き延びるために必至な状態で、なりふりかまっていません。
緊迫した場面が多い本作ですが、ついつい目がいってしまうパンチラにも注目してみてください。
パンチらにドキドキする漫画を集めたマニアックな<パンチラにドキドキのおすすめ漫画18選!可愛い女の子は好きですか?>の記事もおすすめです。
本作でキーとなっている人物が「スナイパー仮面」と、ゆりの兄である本条理火です。
仮面を被った男は不特定多数おり、彼らは目と口だけ穴が開いている仮面をつけています。裏側には複雑な「コード」が施されていて、普通の人間がそれを見てしまうと否応なく仮面をつけることになる仕組み。仮面を被ると、高度な「コマンド」によって脳が支配され、普通の人間を襲うようになります。
ただ「スナイパー仮面」はこれらの仮面男とは異なり、理性があって、むやみやたらに人間を殺そうとはしません。自分の考えを持ち、自分の理念に従って動くのです。
最初に出会った九遠を守るようにプログラムされているらしく、
「おまえには関係ない話だが…仮面の命令が脳内で発動された。オレは今からあの男に絶望を与え飛び降り自殺に追い込む。それが…「天使の義務」らしいからなぁ!」(『天空侵犯』4巻より引用)
こう宣言しながら彼女を襲う人物を駆除していました。
そして、この「スナイパー仮面」と理火は、どうやら過去に戦いをくり広げたことがある様子。またそれ以外にもないか引っ掛かるものがありそうで、まだ詳しい関係は描かれていませんが、おそらく元の世界で知り合いであったことがうかがえます。
「スナイパー仮面」の正体がわかると、物語も一歩前進しそうです。
- 著者
- 大羽 隆廣
- 出版日
- 2015-01-09
長い道のりを経て、ゆりはようやく大好きな兄を見つけることができました。しかし彼は、すでに別人のように変わってしまっていたのです。
「残念ながら……『本条理火』という人間は、もう全ての世界から消え去ってしまったということ……」(『天空侵犯』15巻より引用)
理火を変化させたのは、相川守(あいかわまもる)という男。彼も「神に近い人物」です。相川は「アップデートされただけ」と言って笑っています。
変わり果てた兄の姿を見て、ゆりは思わずその場で倒れてしまいました……。
- 著者
- 大羽 隆廣
- 出版日
- 2018-01-09
一方で真由子と「スナイパー仮面」は、「アイドル仮面」3人と彼女たちを操る「執事仮面」と戦っています。こちらも絶体絶命の大ピンチ……。
さらにそこへ、「守護天使」と呼ばれる新たな仮面が現れました。巫女さんの姿にライフルを携えた、とんでもなく強い個体なのですが、守護天使はゆりたちに敵意を見せることはなく、相川とその一味を狙っているとのこと。つまり、相川のもとにいる理火も狙われてしまっています。
「私のお兄ちゃんが…何だって……?私ではこの仮面の言っていることほとんどわからなかった。でも今『お兄ちゃんを殺す』って言ったのはよくわかった。それだけは絶対に無視できない。それだけは絶対許さない」(『天空侵犯』15巻より引用)
大好きな兄への想いが募り、激情していくゆり。果たして「守護天使」を止めることができるのでしょうか。
15巻ではさまざまな「仮面」が登場し、物語が一気に進んでいきます。
16巻ではそれぞれの場所で繰り広げられる熾烈な戦いから、どの場面も目が離せない内容となっています。
まずは、九遠が殺されたということで絶望しているスナイパー仮面から。彼女が死んだと絶望しているスキを突かれ、「ハイバネーション」が起こってしまいます。
ハイバネーションとは、仮面のプログラムのひとつで、人格を奪われ、確実な死をもたらされるもの。
しかしその時、スナイパー仮面の脳内で電話の音が鳴り響いて……。
- 著者
- 出版日
- 2018-04-09
一方守護天使である巫女仮面と大天使の戦いも佳境に入っています。圧倒的に守護天使が強いように見えましたが、実はそれは大天使の作戦。
その証拠に、ゆりと真由子のもとに来た守護天使の仮面が無残に割れてしまいます。大天使は密かに自分のツノで仮面を攻撃していたようなのです。
そこから大天使の圧倒的な力を見せつけられ、万事休すの守護天使でしたが、ディーラー仮面が加勢に加わり……。
16巻ではここからさらにスナイパー仮面と、相川・理火の手に汗握るやりとりや、ゆりの過去、相川の過去などが明かされます。
それぞれの場所での現在の戦い、彼らの心に潜む過去のしがらみなどが入り組み、物語が複雑に加速していきます。
特に今回気になるワードが、「管理者」。それぞれ階級があるようだということ以外、まだ分からないことだらけですが、物語の重要な部分を握る設定でしょう。
ついに相対することになった、相川に洗脳されている状態の理火と、スナイパー仮面。理火は、久しぶりに会えて嬉しいよ、などと軽口を叩きますが、そのあとすぐに敵意をむき出しにします。
しかし、スナイパー仮面もそのまま彼のペースに乗ることはしません。記憶を無くしたと嘘をつき、理火に自分と彼との関係を話してくれと語りかけて……。
- 著者
- 大羽 隆廣
- 出版日
- 2018-07-09
17巻では、スナイパー仮面と理火の知られざる関係が明かされます。さらに何人かの主要キャラの退場もあり、物語が前進していることが感じられます。
しかし、最大の見所は、後半の展開。守護天使であるディーラー仮面と大天使の戦いで、この世界にある強大な力について明かされます。そもそもこの戦いは神を誕生させるためのストーリー。そんな存在をつくり出せるほどの力があるということは、「魔」と呼ばれる神とは正反対の存在をつくってしまう危険性もあるのです。
そして2人の戦いの最中、その「魔」を内に秘めた者が目覚めます。タイトルの意味が明かされた重要な展開が描かれた17巻。ますます盛り上がってきそうな18巻が待ちきれません!
アツい戦闘とちょっとエッチなシーンが見どころの本作。グロい描写もありますが、バトルアクションはむしろ爽快さを感じるかもしれません。また物語にはまだまだ謎が隠されているようで、先が気になる展開が続きます。スマホの漫画アプリで読めるので、ぜひチェックしてみてください。