5分でわかる産業革命!第一次から第四次まで、流れと違いをわかりやすく解説

更新:2018.3.12

18世紀後半におこった第一次革命から、第二次、第三次と人々の生活を大きく変化させてきた「産業革命」。技術革新を進展させ、資本主義体制を支える基軸のひとつとして、「産業資本」という形態を確立しました。この記事では、第一次から第四次までの革命の流れをわかりやすく説明し、さらに理解を深めることのできるおすすめの関連本もご紹介していきます。

ブックカルテ リンク
  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena

産業革命とは?簡単に説明。始まりはイギリスだった

 

第一次から第四次まである産業革命。第一次の発端は、1700年代後半から1800年代前半にかけてイギリスで起こりました。当時人の手でおこなっていた作業を、蒸気機関を動力として機械化し、作業能率を大幅に上昇させることに成功します。

1800年代後半に起こった第二次産業革命の中心は、アメリカとドイツです。電力を用いて、工場での大量生産が可能になったほか、化学技術の革新も進みます。

その後間をあけ、1900年代後半にコンピューターを用いて機械の自動化ができるようになると、これが第三次産業革命と呼ばれるようになりました。

そして近頃よく耳にするのが、第四次産業革命、「インダストリー4.0」です。モノのインターネットと呼ばれるIoTによって世の中の産業構造が変わることを指します。AIによるデータ収集や解析技術が進み、人間からの指示が無くても機械が自ら動く「自律化」を目指す試みです。

では第一次から第四次までの革命の、詳しい内容を見ていきましょう。

第一次産業革命の流れ:蒸気機関の登場で効率アップ!

 

第一次産業革命の先陣を切ったのはイギリスです。当時イギリスでは、度重なる農業革命によって多くの農民が土地を失っていました。そんな彼らが都市部に流入し、労働力が余っていたのです。

一方で資本家たちは、奴隷貿易で利益を得ており、さらなる事業の拡大を図っている状況。海外の植民地も広大にあり、鉄・石炭・綿花などの資源も豊富です。条件は揃っていました。

イギリス国内では、毛織物よりも軽くて管理がしやすい綿織物の需要が増加してきていたため、綿工業の発達に乗り出します。

ジョン=ケイが「飛び杼」という縦糸の間に横糸を簡単に通すことができる機械を開発し、綿布の作業能率が上昇。またハ―グリーヴズが「ジェニー紡績機」を、アークライトが「水力紡績機」を発明して、大量の綿糸の生産も可能になりました。

その後、ニューコメンが発明した「蒸気機関」の改良が進み、これがあらゆる機会の動力となり、生産力が高まります。

原材料と製品の輸送を安価で迅速におこなうために、交通面も進化しました。蒸気船や蒸気機関車が実用化され、海上交通や陸上交通にも新時代をもたらしたのです。

第一次産業革命によってイギリスは「世界の工場」と呼ばれるほどに発展し、世界経済をけん引するようになりました。一方で国内では、都市部への人口集中、低賃金、工場周辺のスラム化、疫病などの問題も生じています。

他の国に革命が伝播するようになったのは、国内での革命がほぼ完了するころ。イギリスが機械輸出を解禁したことがきっかけでした。1830年代にベルギー、フランス、その後アメリカ、ドイツと続きました。

第二次産業革命の流れ:軽工業から重工業へ

 

第一次産業革命との明確な境界線はありませんが、1800年代後半から1900年代前半の革命を指します。アメリカとドイツを中心に、軽工業から重工業への転換が起こりました。

ドイツが、ガソリンエンジンを発明。蒸気機関と比べて小型化が可能で、この技術を応用して自動車や飛行機の実用化が進みます。フォードやGMなどの自動車企業は、材料から完成までの組み立てラインを企業内で統合し、「大量生産」を実現させました。

アメリカのエジソンは電球を改良して、電気を産業化していきます。

この第二次産業革命は多大な資金と設備を必要とし、「個人」よりも「組織」が重要視される時代となりました。

アメリカとドイツが急成長を遂げるなか、「世界の工場」といわれていたイギリスは出遅れます。当時、金本位制で通貨が安定し、さらに植民地からの利潤回収も順調でした。

その一方で、国内はデフレ状態に陥っていたのです。投資をするよりも、後々価値があがるであろうポンドを持っていた方がリスクが少ないと考えられていて、市民が溜め込んだため。国内製造業への投資を遅らせることとなりました。

1800年代末には、アメリカが経済力で世界の首位となり、ドイツもイギリスをしのぐ経済力をもつようになります。

第三次産業革命の流れ:コンピューターの登場

 

頭脳産業時代の到来といわれるのが、1900年代後半から起こった第三次産業革命です。日本の高度経済成長期と同時期で、「デジタル革命」ともいわれています。

コンピューターを利用し、人間の知能に関連する作業を代替することができるようになりました。人間の指示で、生産ラインを自動化することができるようになったのです。

革命のきっかけは、冷戦が終わり、アメリカの軍事技術が民間産業へ転換されたこと。戦時中、GPSや画像処理などの高度な技術をもつ企業は国防省の傘下にありました。彼らが民間産業に参入したことで、やや停滞していたアメリカ産業が復活し、新たな革命がはじまったのです。

とくに成長したのは、appleやGoogle、FacebookなどのIT企業。製造業や流通業などにもITが導入されるようになり、世界は急速にデジタル化していきました。

技術革新だけでなく、企業が求める人材も大きく変化しはじめます。大量の労働力が必要で「協調」が求められていた以前に比べ、生産性が向上したため自らアグレッシブに動くことができる「自律」した人が求められるよう徐々に変化していきました。

第四次産業革命:インダストリー4.0って?

 

「IoT」とは、Internet of Thingsの略称で、「モノのインターネット」とも呼ばれています。すべての「モノ」はインターネットに繋がり、これによって生じるさまざまな産業構造の変化を第四次産業革命というのです。

人工知能の精度をあげて人間が支持を出さずとも、コンピューターが自分で判断して最適な行動をとる社会を目指していて、具体的には、VRや会計ソフトの仕訳ルールにある学習機能などがあげられます。

すべてのモノがインターネットに繋がることで、各国がさまざまな戦略を用いて新たなビジネスモデルを創出しようとしているのです。

第四次産業革命の発端は、2011年にドイツ政府が推進した国家プロジェクトだといえるでしょう。長らく欧州最大の製造立国の地位を守ってきたドイツですが、国内の高い人件費問題に加え、アメリカのIT企業が製造業へ参画してきたことなどに危機感を覚えます。

IoTによって人と設備が協調して動くこと、VRによるオペレーションシステムの改革、ビッグデータやクラウドを活用した管理、消費者ひとりひとりのニーズに応えるマスカスタマイゼーションを目指しています。

これにより、コストダウンや在庫の削減が予想でき、製造業の理想の形が実現できるともいえるでしょう。

第四次産業革命は、現在進行形です。今後新たな仕組みやビジネスモデルが考えられ、実際に私たちの生活に導入されることになります。

産業革命の影響は?

 

1700年代に起きた第一次産業革命のもっとも大きな影響は、第二次革命を生み出したことだといえるでしょう。その後第三次、第四次とシフトしていくことで、人々の生活はガラリと変わっていきます。

いち早く社会の変化を感じ取って革命に乗り出した国々は、経済が発展し、富国強兵を図りました。一方で革命を経験しなかった国の多くは植民地となり、世界経済のなかで長いあいだ隷属的立場と位置づけられるのです。

産業のシステムにも変化が生じました。自然と調和する農耕社会から、工場社会に転換したことで、CO2などの環境問題や都市部への人口集中問題が生じます。人々の生活スタイルが変わり、商品やサービスも増加しました。

都市に出た賃金労働者は自給自足生活ができないため、生活アイテムを買わなければなりません。そのためさまざまな商品が増え、家族単位でおこなわれていたサービスも個人向けに変化していきます。

また機械化が進んだことで女性の社会進出も進みました。

第四次産業革命では、コンピューターが自ら思考することで、さまざまなコストダウンが考えられています。少子高齢化で労働人口の減少が進む日本では、この問題の解決に繋がるかもしれないと期待も高まっているそうです。

社会構造の大きな変化が想定される第四次産業革命への対応力が、いま各国や各企業に試されているのでしょう。

産業革命の基礎を学ぶ

著者
T.S.アシュトン
出版日
1973-07-16

イギリスで起きた第一次産業革命を、基礎から知りたい人におすすめの一冊です。

そもそもどんなことが起こったのか、革命に至るまでにどのような流れがあったのか、その後はどうなったのか……経済的視点と社会的視点の双方で解説してくれているので、わかりやすいでしょう。

産業革命が起こり、労働者は貧困に苦しんだというのが通説ですが、本書では「労働者の生活レベルは向上した」と主張しています。あらためて当時の状況について知ってみるのはいかがでしょうか。

授業では教えてもらえない近現代イギリス学

著者
川北 稔
出版日
2014-03-11

著者の川北稔は、イギリス近世・近代史が専門の歴史学者。世界システムからみた近現代のイギリス経済について記しています。

川北は、産業革命が起きても、イギリスでは経営者が経済を牛耳っていたわけではないと主張しています。結局のところ、伝統的な地主や官僚などが支配階級を占めていたそうなのです。

それが、第一次産業革命で世界経済のトップに立ったイギリスが、その後勢いを落とし第二次革命の際には世界からむしろ遅れてしまっていたことにも繋がります。

本書を読むことは、イギリスの繁栄と衰退を考えるだけでなく、世界経済の動向について考える手助けにもなるでしょう。
 

産業革命から日本経済の発展史を説く

著者
石井 寛治
出版日
2012-12-11

近代日本の産業革命について詳細に記した専門書です。松方正義がおこなったデフレ誘導の財政政策、賃金労働者の増加、製糸や紡績などの軽工業の発達から鉱山などの重工業へ転換していくさまを概説しています。

具体的なエピソードや数値、図表や写真も盛り込んであるため、専門書であるにもかかわらず読みやすいでしょう。「どうやって欧米と対抗するか」という政治的観点から描かれるものは多いですが、あえて産業経済的観点から記しているのもポイントです。

第四次産業革命を乗り越えるカギは?

著者
クラウス・シュワブ
出版日
2016-10-15

著者のクラウス・シュワブは、世界経済フォーラムが毎月開催している「ダボス会議」の創設者。彼が、第四次産業革命によって世界がどのように変化するのか解説しています。
 

さまざまな分野の未来をグローバルな視点で述べるだけでなく、国家ではなく個人レベルで世界構造を根本的に変えることが可能だとしています。技術の進歩の先には、必ずしも幸せが待っているとは限らないと言っているのも面白いところ。

第四次産業革命がまさにいま起きるなかで、ひとりひとりがどう行動するべきなのか、考えるときが来ているのかもしれません。

第一次から第四次までの流れを見ると、この革命に触れることは世界経済に触れることだとわかるでしょう。とくに第四次産業革命は現在進行形であり、ドイツだけでなく、アメリカやイギリス、日本など多くの国が政策を推進させています。いち早く日本が「成功形」を見つけだせればその後の世界での立ち位置も変わるかもしれません。

もっと見る もっと見る