西尾維新のおすすめ作品5選!代表作はアニメ化もされた「物語」シリーズ

更新:2017.3.13

巧みな言語センスから繰り出される独特な世界観。たたみかけるようなセリフ量と独特なセリフ回しは、彼にしか出せないものだと心の底から思わされます。今回はそんな西尾維新のおすすめ作品を5つご紹介いたします。

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狂言回しを体現する男・西尾維新

西尾維新1981年生まれの小説家です。漫画原作者、脚本家としても活躍しています。

西尾維新の作品には数多くの狂言回しが登場しています。作品中語り部の名前は明かされず、「ぼく」とだけ表記され続けているものもあるほどで、主役として話の中心にいるはずなのに、よく考えてみれば「ぼく」の本名だけは分からないといったことが起こりうるのです。

言葉遊びや毒を交えたキャラ同士のコミカルな掛け合いが特徴。たたみかけるようなセリフ量と独特なセリフ回しを自由自在に操り、コミカルとシリアスの境界線を反復横跳びしているかのような切り替えの鮮やかさを見せてくれます。西尾維新の作品に初めて触れた人は少なからずの衝撃を受けるのではないでしょうか。

青春の1ページを怪異とともに『化物語』

本作から始まった「物語」シリーズは青春の中に紛れ込み、日常を侵食してくる怪異とそれに向き合う高校生たちの物語です。

吸血鬼や蟹、蝸牛に猿、蛇、猫などさまざまな怪異との出会いによって彼らの日常は明らかに変化させられてしまいました。いままでの平凡な日常はどこかへ消え、新たな日常がまた始まるのです。

本作品の語り部兼主役である阿良々木暦の頭上から落ちてきたのは同じクラスの戦場ヶ原ひたぎでした。「深窓の令嬢」とも呼ばれている彼女には重大な秘密があったのです。

「体重がない」正確には体重が10分の1程度まで減ってしまっている彼女は紙のように繊細で、自らの弱みを人に見せまいと必死で周囲との距離をとっていました。とても慎重に行動してきたはずの戦場ヶ原でしたが、なんと廊下に落ちていたバナナの皮で滑って階段から落ちてしまったのだというのです。最後の最後で詰めの甘い戦場ヶ原は、阿良々木を脅し、口封じをすることに決めました。

そんなとき、阿良々木はある種の確信をもって戦場ヶ原に伝えます。

「僕なら、お前を助けられるかもしれない」
 

著者
西尾 維新
出版日
2006-11-01


本作の最大の特徴ともいえる要素はキャラ同士のボケとツッコミの応酬です。

「当たり前って・・・あなたのような生物の頭蓋骨に脳みそが入っているというのは、それはそれは、もう奇跡のような出来事なのよ」
「酷い言われようだなおい」
「気にしないで。当然のことを言ったまでよ」

といったヒロインたちから繰り出されるコミカルなボケに対する阿良々木の鋭いツッコミはさながら夫婦漫才のよう。

「銅四十グラム、亜鉛二十五グラム、ニッケル十五グラム、照れ隠し五グラムに悪意九十七キロで、私の暴言は錬成されているわ」
「ほとんど悪意じゃねーかよ!」
「照れ隠しというのは嘘よ」
「一番抜けちゃいけないところが抜けちゃった!」

このようなパロディ(上記は鋼の錬金術師)や版権ネタもあったりして、元ネタがわかる時にはニヤリとさせられるような場面も多くあります。

話が進むにつれて阿良々木のマニアックな嗜好が徐々にエスカレートしていくさまが愉快で、物語の筋とは外れた部分も楽しみになっていきます。

ひとりの女性のために、刀は戦い続ける『刀語』

一振りの刀として鍛えられてきた鑢七花がとがめという女性と出会い、人の心を得るとともに彼女の刀として彼女の目的を完遂するために戦う物語です。

伝説の刀鍛冶「四季崎記紀」は、所持数が多い軍が戦を優位に進められるといわれるほどの刀を千本作っていました。

天下泰平を成し遂げた尾張幕府はそれらの刀で反乱が起こることを恐れ、「刀狩り」を行います。そして988本までは収集することに成功しました。ですが、その残りの12本こそが四季崎の作り上げた究極の刀「完成形変体刀」だったのです。

尾張幕府より「完成形変体刀」の収集を命じられたとがめが協力者を求め七花のもとを訪れます。そして、七花に旅の供をするように言いました。「愛のために」戦えというとがめに対し、はじめは上辺だけの「愛してる」を伝えることが多かったのですが、次第に七花の気持ちは本物になっていき……。
 

著者
西尾 維新
出版日
2007-01-10


一本一本刀にまつわるエピソードがしっかりとつづられており、その刀にかかわってきた人間の心情も浮き彫りとなっています。

しっかりしているように見えて肝心なところの抜けているとがめと、何も考えていないように見えて重要なところではしっかりしている七花というある意味バランスのとれたふたりの掛け合いはどこか間が抜けていて、そこに加わる刀の所有者たちのどこか破綻した人間性もあいまってとても印象的な会話が繰り広げられていきます。

二人は無事に刀を収集し終えることができるのでしょうか。そして、徐々に見えてくるとがめの真の目的とは……。

語り部の狂言回しに居場所はあるのだろうか『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』

本作をはじめとした「戯言」シリーズは、西尾維新のデビュー作です。

「ぼく」は、128台のパソコンを同時に操作することのできる天才の玖渚友につれられ鴉の濡れ羽島にいくことになりました。そこには、数多くの天才が集められており、島の所有者である赤神イリアの退屈しのぎに呼ばれたということでした。

鴉の濡れ羽島は孤島であり、外界から隔離されている、いわば島ごと密室のような状態でした。そこで数週間滞在することとなった玖渚と「ぼく」でしたが、なんとそこで殺人事件が起こってしまうのです。

真相を突き止めようと「ぼく」は動きだしますが、力及ばず第二の被害者が出てしまい……。
 

著者
西尾 維新
出版日
2008-04-15


一巻ごとに事件が解決していき、出てくるキャラクターもがらりと変わります。「ぼく」を取り巻く環境は変化していたとしても特に変わることのない「ぼく」のスタンスにたびたび驚かされ、その人間性の破綻を思い知らされることでしょう。

殺人事件の犯人は一体誰なのか。「ぼく」は真相にたどり着くことができるのでしょうか。

空っぽの少年はヒーローになった『悲鳴伝』

本作をはじめとした「伝説」シリーズは何事にも感動しない空っぽの少年・空々空が「地球撲滅軍」に加入し人類を救うためのヒーローになる物語です。

2012年10月25日午前7時32分に人類は地球の「大いなる悲鳴」によって人口の3分の1が死滅しました。「大いなる悲鳴」は地球からの攻撃であると考えた「地球撲滅軍」は攻撃を受けて生き残った少年・空々空を勧誘します。

地球は「大いなる悲鳴」以前にも「小さな悲鳴」などいろいろな手段で人類への攻撃を繰り返してきました。その攻撃に反抗するための組織、「地球撲滅軍」はさまざまな人間をヒーローともてはやし戦わせてきたのです。

「地球撲滅軍」は「大いなる悲鳴」以前より人類に紛れて存在している「地球陣」の存在を確認しており、空にはその抹殺任務を与えていました。「地球陣」は普通に見ただけでは人類と何ら変わりなく、もともといた人間とすり替わっていることから、地球陣を殺せばその家族を悲しませることになるということに気づきながらも空は淡々と任務をこなしていくのです。
 

著者
西尾 維新
出版日
2012-04-26


何事にも無感動な空は誰のどんな言葉を受けても動じることはありません。そんな彼に感情移入することはとても難しいですが、空なりの悩みがあり、彼の人間性を感じることができます。そのかすかな「にんげんらしさ」のようなものに心を揺さぶられることもあると思います。

地球からの攻撃を止めることは本当に正しいことなのか。「大いなる悲鳴」はまたいつか起こるのか。そして、空は人間らしい感情を持つ日はくるのでしょうか。自らの利益が正しいとは限らないと考えさせられます。

どんな記憶も眠るまでしか持続しない名探偵『掟上今日子の備忘録』

置手紙探偵事務所の所長・掟上今日子(おきてがみきょうこ)は、総白髪で眼鏡をかけた美女で、記憶力はとても優れているのですが、いざ眠ってしまうと、自分の名前、職業を含めたすべての記憶が消えてしまうという忘却探偵でもありました。

そのため、記憶のバックアップの意味もあって、手足や腹に自分の情報や事件の内容がマジックペンで書き、事件解決に必要なら何日でも徹夜するのでした……。

 

著者
西尾 維新
出版日
2014-10-15


眠ると記憶がリセットされてしまうという特殊な病を抱えている天才的な探偵とはいえ、基本的には普通の女性です。西尾作品ながら、特殊でも奇妙でもない「普通のミステリー」となっています。

また、主人公の青年がいくらヒロインに好意を寄せても、眠って目覚めれば初対面に逆戻りしてしまうという切なさが描かれていて、推理ものと恋愛ものの両面が楽しめるシリーズでもあります。

西尾維新も、こんな作品を書くんだなと思いながら、読んでいただきたいです。

西尾維新の作品に出てくるキャラクターたちの名前はとても個性的で、初見では読めないことも多々あります。奇抜な名前に負けず劣らずの個性的なキャラクターたちが織り成す物語はやはり王道からはどこか外れているものが多いです。そんな独特な世界観に溺れてみるのもたまにはいいと思いませんか?

ということで、今回は西尾維新のおすすめ作品を5つご紹介してきました。気になるものがあればぜひ、手に取ってみてください。

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。

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