「清く・正しく・麗しく」をモットーとしたアリス音楽学校。不思議な能力「アリス」を活かした、美しい舞台が魅力の「アリス歌劇団」を目指す少女たちが通います。この記事では、恋と美しい歌劇の世界を描いた『歌劇の国のアリス』の魅力を最終回までご紹介! スマホの漫画アプリで無料で読むことができるので、ぜひチェックしてみてください。
不思議な能力「アリス」を持つ人々が集う、世界最高レベルの「アリス歌劇団」。そこに入団する候補生たちが通うアリス音楽学校に、アリスを持たない一般人枠で入学したのが主人公の星(ひかり)です。
女子校であるアリス音楽学校にわけあって女装して通っているパートナーの遠麻(えま)との恋や、美しい歌劇の世界が描かれています。
前作は、大人気漫画『学園アリス』。「アリス」の能力を持った生徒たちが学園生活を送るお話です。本作の舞台は、「学アリ」の最終回から数ヶ月後となっています。ただ前作を知らなくても十分楽しめるので、ご安心ください。
この記事では、本作の魅力と各巻の見どころをご紹介していきます。ネタバレを含むのでご注意ください。
- 著者
- 樋口橘
- 出版日
- 2016-09-20
アリス歌劇団は、女性が男性を演じる「男装の麗人」が魅力の歌劇団です。入団するために必要な知識や技術、作法を学ぶアリス音楽学校も、当然生徒は女ばかり。
主人公の星は、これまで剣道一筋の生活を送ってきて、歌劇団に必要な演技力や歌唱力などまったくありません。ただ女子にしては高い身長と、剣道で培ってきた凛とした雰囲気がウケたのか、少しずつファンを増やしていきます。
女性ばかりな環境で、外部との接触を一切遮断されているということもあり、生徒の多くが星のような凛々しさのある女性に弱いのです。歌劇団でトップスターとして輝いている男役は文句なしに格好いいですが、彼女のようにまだ完全な男役になりきれず、女性らしさも残しているさまは、頼りがいがあるのにどこか儚げで目を奪われます。
またアリス音楽学校で注目したいのは、「姉妹制度」があること。1年生は妹科、2年生は姉科に所属する2年制の学校なのですが、姉科生が妹科生の面倒をみるためにパートナーを組むしきたりです。
「個人間で本当の姉妹のような愛情と信頼関係をもって『姉』が『妹』を選びお互い承認のもと導き慕い合う関係を『姉妹の絆』というんです」(『歌劇の国のアリス』1巻より引用)
うっすらと百合要素を感じつつ、右も左も分からない下級生に、上級生が指導してくれるというのは心強いことでしょう。規則が厳しく、決まりごともたくさんあり、また妹科生は姉科生に逆らえないというルールもありますが、それでも同じ舞台を目指して高め合える関係性は、読者の目にも輝いて映ります。
この姉妹制度のせいで星はいろいろ大変な事態に陥るので、そちらも見どころです。
『歌劇の国のアリス』だけでも問題なく読むことはできますが、前作である『学園アリス』が好きだった人にとっては、登場するキャラクターの繋がりやアリス学園のその後がわかり、2倍楽しめるようになっています。
まず主人公の安藤星は、前作の主人公・蜜柑の先輩である安藤翼の実の妹です。彼のことを知っていると、普段の翼と、妹の星を前にした時の違いに微笑ましくなる一方で、アリス学園の規則を考え切なくもなってしまいます。
姉妹制度で星の「姉」となった遠麻が、蜜柑の友人である流架の親戚という点にも注目したいですね。見た目の美しさでいえば流架もかなりの美青年ですし、フェロモン系の能力というのも同じ。『学園アリス』を知っていると、「そことそこが繋がるのか」と謎解きのようなワクワク感を味わうことができますよ。
蜜柑・棗・流架といったお馴染みのキャラクターはもちろん、蜜柑たちの元担任・鳴海や、棗の妹・葵など、前作で登場したキャラクターが多く登場します。『学園アリス』の最終回から数ヶ月後の世界で彼女たちがどんな生活を送っているのか垣間見ることができるでしょう。
また、蜜柑が棗たちと離ればなれになっていた時のことなど、前作でもわからなかった謎が明かされているので、まさに『学園アリス』好きにはたまらない内容となっています。
他にも注目したいのが、星の同級生に「今井」という苗字の生徒がいること……。その姿は、蜜柑の親友「今井蛍」にそっくりですが、彼女と蛍には何か繋がりがあるのでしょうか。またアリスではない一般人の彼女が持つ不思議な道具がなんなのか、ぜひ本編を読んで確認してみてください。
主人公や舞台は変わっていますが、『学園アリス』が好きだった方にはぜひ1度読んでいただきたい作品です。
『学園アリス』については以下の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
漫画『学園アリス』キャラの魅力を最終回までネタバレ紹介!【学アリ】
選ばれたエリートしか通うことのできない「アリス学園」を舞台に描かれる本作。元気で裏表のない性格の小学生・蜜柑と、冷静沈着で美少女な蛍が、アリス学園で大暴れ!最初は蜜柑のことを敵対視していたクラスメイトも、彼女の行動力に魅了され、どんどん結束していきます。一生懸命で純粋な彼女たちの行動に、いくつになっても胸を打たれるでしょう。90年代生まれのバイブルをご紹介します。 この記事では、アリス学園でくり広げられる物語のあらすじや本作の魅力、主要なキャラクター、彼らの物語での役割などを、名言とともに紹介していきます。本作はスマホアプリで無料で読むこともできますよ。
「アリス」という不思議な能力を持った人物が集められるアリス学園。そこに入学したきり連絡のとれなくなった兄を求めて、安藤星は「アリス音楽学校」を受験することを決めます。
通常であれば「アリス」を持っている者だけが受けることができるのですが、どうやら今年から一般枠を増やしたよう。学力以外にも、声楽やバレエなどいくつか実技試験があります。従姉妹のサトとともになぜか合格した星は、初めて「アリス」という能力と、「歌劇」の世界に触れることになるのでした。
兄に会いたい一心で学園のことをよく調べていなかった星ですが、入学式で祝辞を述べた2年生の首席・四之宮遠麻の美しい見た目と声に、すぐに魅了されていきます。
- 著者
- 樋口橘
- 出版日
- 2016-09-20
入学する資格に「容姿の美しさ」が挙げられているだけあって、登場するのは美しい人ばかり。なかでも遠麻はずば抜けています。挨拶だけで、星だけでなく新入生全員の心を鷲掴みにしてしまいました。
ある日星は、そんな遠麻が襲われている場面に偶然遭遇します。持ち前の運動神経で撃退した後、遠麻に駆け寄ると、乱れた衣服の隙間から見える胸元には、あるべきものがありませんでした。
なんと、遠麻は実は男性だったのです。持っている「アリス」のせいで命を狙われているらしく、アリス学園から音高へと籍を移し、身を隠すために「女性」として生きているらしいのです。
秘密を知ってしまった星は、遠麻のボディガードたちから退学を求められますが、彼女は断固拒否。ずっと探し求めていた兄との唯一の繋がりなので、当然ですよね。そこで校長がある条件を出しました。1ヶ月間その条件を守り切ることができたら、星を信用できる人物として音高に残留させるというのです。
ここから、星と、彼女を何とか退学させたいボディガードの攻防が始まります。ドタバタ劇がくり広げられるなかで、星と遠麻は急接近することに。遠麻が星だけに見せるあどけない表情や、男らしい表情に注目してみてください。
修学旅行でアリス学園に行くことになった音高の生徒たち。男役の候補は、修学旅行中も終始男装して過ごし、「男装総選挙」として人気投票をおこなうことになりました。
人気投票と実技テストの2つに分けておこなうようで、人気投票で上位5人に入った人が実技テストを受け、観客と審査員の投票で優勝者が決まります。
当然、星もエントリー。演技経験ほぼゼロの彼女にとってはなかなか厳しい課題ですが、校長の気まぐれで突飛な提案により、優勝を逃せない状況に陥ってしまいました。
- 著者
- 樋口橘
- 出版日
- 2017-05-19
星自体はいい子でトラブルを起こすタイプではないのですが、彼女の周りの人たちによっていつもトラブルに巻き込まれてしまいます。しかも今回は音高内の問題だけでなく、遠麻が女装をして音高に通わなければいけなくなった原因も絡んでくるので大変です。
関係者は遠麻がアリス学園を訪れることで、沈静化していた暗殺行為が再び激化するのではないかと危惧していましたが、その懸念が的中。彼の暗殺を目論んでいる腹違いの兄・アルマが、星に近づいてきました。
ただこのアルマ、どうにも悪いことをするのに向いていないようで、真正直な星と接するうちに徐々に心を変えていきます。しまいには、自分で星を誘い出しておいて、自分で元の場所へと帰してあげる始末……。
これを機に意気投合した星とアルマは親しい間柄になりますが、その様子を見つめる遠麻の表情は複雑そうです。星の知らないところで起きたすれ違いがどんな結果をもたらすのか、ドキドキな展開から目が離せません。
人気投票で上位5人に選ばれた星。男装総選挙の最終審査である実技テストの課題は「キスシーン」でした。
これまでキスの経験がない星はいろいろと悩みますが、遠麻とともに自分らしいキスシーンの演出を考えていきます。
そして待ちに待ったテスト当日。星はキスシーンの相手役を遠麻に頼んでいたのに、当の遠麻の姿がありません。彼が命を狙われていることを知っている星は、テストを棄権しようとしますが、その話を聞いていたアルマが引き留めてきました。
- 著者
- 樋口橘
- 出版日
- 2017-12-20
アルマが実の弟である遠麻の命を狙っていたのは、兄からの命令でした。そうまでして彼は、兄の期待に応えたいと思っていたのです。しかし星と出会ったことで、その気持ちが変わっていきます。アルマは遠麻を救うことを決意し、星を舞台に送り出すのでした。
星はひとりで舞台に立つことになります。2人芝居からの急な変更でしたが、持ち前の空気感と、目の前にはいない遠麻を想う気持ちが相まって、見事観客の心を掴むことに成功するのです。
無事に演技を終えた頃、アルマも遠麻を見つけていました。しかし遠麻を狙っていた人々の標的が、この時星へと変わってしまったのです。壇上であいさつする星に襲い掛かったところを助けてくれたのは……アルマでした。これまで封じてきた「アリス」の力を解放します。
最終回では、星のコンテストの結果や、アルマの今後が明らかに。3巻という短い巻数ながら、人と人との繋がりの強さや優しさが溢れたエンディングとなっています。ぜひ最後の1ページまで逃さず見てください。
「アリス」という特殊能力で起こる事件、星と遠麻の恋、そして演劇の素晴らしさと魅力と見どころが詰まった『歌劇の国のアリス』。前作と合わせて読むと2倍楽しいので、ぜひどちらもお楽しみください。