ドラゴンボールファンなら必見のスピンオフ作品『DRAGON BALL外伝 転生したらヤムチャだった件』。ドラゴンボール大好きな高校生が転生したのは、なんとヤムチャだったという設定から起こる、数々の面白エピソード満載の作品です。今回はそんな本作の見所を前中後編ネタバレ紹介します。
- 著者
- ドラゴン画廊・リー
- 出版日
- 2017-11-02
漫画を読む人であれば知らない人はいない名作『DRAGON BALL』。そんな世界に名を馳せる作品を原作としたまさかのスピンオフ作品が、『DRAGON BALL外伝 転生したらヤムチャだった件』です。
『DRAGON BALL』の原作者である鳥山明とは違い、作者はドラゴン画廊・リーですが、その絵柄は原作をリスペクトしたものであり、クオリティも非常に高いものとなっています。原作ではすっかり脇役に収まってしまったヤムチャを、まさかの主人公に添えた作品で、王道のアクション漫画とはまた違った趣があるのです。
主要キャラではなく、ヤラレ役として有名なヤムチャが強くなって前線で活躍するところに、なんとも言えない爽快感がある作品といえるでしょう。
今回は、そんな本作の見所について、前中後編全てに渡ってご紹介していきます。
まず、本作は前中後編の3部構成となっています。それぞれのあらすじについて、簡単にご紹介致します。
前編:ドラゴンボールが大好きな高校生の主人公は、学校帰りに歩道橋の階段から足を踏み外し、そのまま意識を失います。目を覚ますと、そこはなんとドラゴンボールの世界で、自分はヤムチャへと転生していたのでした。
困惑しながらも、このままではストーリー上死んでしまう事を悟った主人公は、悟空とともに修行して強くなることを決心するのでした。
そして、修行を終えたヤムチャは、死ぬ運命にあったサイバイマン戦でも無事に勝利をおさめ、生き延びる事が出来たのです。
中編:ドラゴンボールの数々のエピソードをあらかじめ知っていたヤムチャは、ストーリー上でパワーアップ出来るイベントを全て先回りします。そして、サイヤ人のナッパやベジータとも渡り合う事が出来るようになったのでした。
結果として、誰一人犠牲を出す事もなくベジータ達を撃退する事が出来たヤムチャ達。しかし、その決着の裏ではヤムチャ以外にも転生を繰り返し、ドラゴンボール世界で戦っている人物がいる事が判明します。
果たして、その人物とは一体誰で、何が目的なのでしょうか。
後編:時間は流れて、いよいよドラゴンボール世界の物語はセルゲームに差し掛かります。しかし、その頃ヤムチャはセルゲームには向かわず、ある人物と対峙していました。それは、中編で明らかになっていた、もう1人の転生者です。
そして、その転生者もヤムチャと同じく、ドラゴンボール世界では脇役の人物だったのでした。何度転生してもうまくいかない脇役の人生に嫌気が刺した転生者は、ドラゴンボール知識と自分の力を使い、世界征服を企んでいたのです。
ヤムチャは果たして、そんな転生者を退けることが出来るのでしょうか。
前編のストーリーについては、大筋をあらすじにてご紹介しました。そもそもヤムチャというドラゴンボールの原作においては、イマイチ活躍の場が見当たらないキャラにフォーカスしているのが、本作の魅力といえます。
まず、ヤムチャといえば真っ先に思い当ってしまうのが、サイヤ人襲来の際にサイバイマンに自爆で倒された際の無残な1シーンでしょう。意気揚々と戦いに臨んだにも関わらず、真っ先にやられてしまうネタキャラ、というイメージが、どうしても定着してしまいます。
また、ヤムチャは地球人のなかでもあまり戦闘力が高い方とはいえず、修行もサボリ気味でした。初期にブルマと出会い、しばらくの間は恋人として交際していたことによる気の緩みというのも、原因でしょう。
そんなヤムチャなので、本作の主人公も真っ先にヤムチャがやられるシーンを思い起こしてしまう程です。しかし、だからこそドラゴンボールのストーリーを熟知したヤムチャが、前線で戦える戦士になれる、という設定が光ります。
サイヤ人編ではただやられるだけだったヤムチャが、複数のサイバイマンを相手に倒れず、かつほぼ無傷で勝利。こんなにカッコいいヤムチャが見られるのは、本作だけだといえるでしょう。
また、ヤムチャがパワーアップする出来事について、ドラゴンボールのストーリーに準拠した内容なのも面白いところです。原作の設定をリスペクトし、ここでこうしていれば、ヤムチャでも活躍できたかも、と思わせてくれる辺りが、絶妙なバランスだといえるでしょう。
中編以降のストーリーでも、ヤムチャらしからぬ活躍が期待できるので、3部揃って楽しめる内容となっています。全編コンパクトで読みやすいボリュームとなっていますので、ぜひご一読ください。
中編では引き続き、サイバイマン戦を終えた後のサイヤ人編からスタートです。冒頭では、ヤムチャがなぜ戦闘力10000以上まで強くなることが出来たのかという謎について解説が入ります。
全てのエピソードが、悟空やその他のキャラクターが劇的にパワーアップしたきっかけのイベントなところも、原作リスペクトです。
そして、いよいよベジータ戦にもなると、なんと悟空と共闘してベジータを追い詰める活躍ぶり。しかも、最後にトドメを刺せるチャンスまで巡ってきます。残念ながら、ベジータにまつわる感動話が頭をよぎり、トドメを刺す事が出来ませんでした。
しかし、本来の展開を考えるととんでもない飛躍であるといえるでしょう。そして、中編の最後には転生者として他にもキャラクターが潜んでいることが明らかになります。
ストーリー上でのヤムチャの活躍という点とは別に、転生者が誰かという事を推察するのも、また面白さの1つとして出てきました。まだまだ飽きさせることがありません。
- 著者
- ドラゴン画廊・リー
- 出版日
- 2017-11-02
後編ではストーリー上の時間軸は飛び、セル編まで進みます。しかし、本作はクライマックスに向けて、いよいよもう1人の転生者との対決となります。
転生者の正体が明らかになり、そしてその人物もまた、ドラゴンボール世界ではイマイチ活躍出来ない脇役であることがわかります。世界征服を企んでいるもう1人の転生者を相手取り、ヤムチャの戦いが始まります。
この戦いが実に接戦で、なおかつお互いにドラゴンボールの世界の事を熟知しているというのが面白いです。相手の転生者も原作では有名なやられエピソードがあるのですが、そこは知識でカバーします。そんな相手に対し、ヤムチャが繰り出す起死回生の一手が、また本作のドラゴンボール愛を感じさせる内容で、たまりません。
また、戦闘中の至るところでドラゴンボール原作準拠のポージングなどが盛り込まれています。これもまた、原作リスペクトで、思わずニヤリとしてしまうことでしょう。戦いの決着と、その後の結末についてはぜひご自身でご確認頂きたいと思います。
ですが、読後感は本当にスッキリとしており、素直に面白かったといえる作品です。ドラゴンボールファンならずともぜひチェックして頂きたい内容となっています。