5分でわかる冷戦!原因と、始まりから終結までの流れをわかりやすく解説!

更新:2021.11.30

第二次世界大戦後にアメリカとソ連の間で続いた「冷戦」。武力による直接的な争いではなく、経済や外交などさまざまな分野で対立構造が築かれました。この記事では、いったいどのような戦争だったのか、その概要や始まるきっかけ、終結までの流れなどをわかりやすく解説していきます。あわせておすすめの関連本もご紹介するので、ぜひチェックしてみてください。

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冷戦とは?始まりと原因を簡単に解説

 

「冷たい戦争(Cold War)」の略語である冷戦。アメリカを中心とした資本主義陣営と、ソ連を中心とした共産主義・社会主義陣営の対立構造を指し、第二次世界大戦直後の1945年から、1989年のマルタ会談まで、およそ44年間続きました。

第二次世界大戦が起こる前、アメリカとソ連は目立って対立関係にはありませんでした。双方ともに、敵国はドイツであり日本だったため、お互いを敵視してはいなかったのです。

1945年2月、アメリカ・イギリス・ソ連の3国によって、戦後の国際政治体制に関する話しあいがおこなわれました。いわゆる「ヤルタ会談」です。

メンバーは、アメリカ大統領・ルーズベルト、イギリス首相・チャーチル、ソ連共産党指導者・スターリン。彼らは敗戦が明らかであるドイツと日本への対応を取り決めます。その際ソ連は、ドイツに占領されていたポーランドや、バルト三国など東ヨーロッパに対して力を持とうとしていました。

戦中、特にドイツとの戦いで2500万人以上もの犠牲者を出し、疲弊状態に陥っていたロシアにとって、東ヨーロッパで影響力を持つことには大きな意味があったのです。

これについてアメリカは、ソ連の領土拡大になりはしないか、社会主義国が強大になりはしないか、と危機感を抱くのです。しかしヤルタ会談の結果、ドイツは東西に分割され、東ヨーロッパ諸国にはソ連が駐留して社会主義勢力が拡大していきます。

ちょうど東西ドイツの間で、アメリカを中心とする西側諸国とソ連を中心とする東側諸国とに分かれ、冷戦の体制が整いました。この様子をチャーチルは「鉄のカーテン」と表現しています。

資本主義と社会主義、どちらが世界のリーダーシップをとるのか。武力による争いをするわけではなく、大国同士が直接ぶつかり合うわけではないが理解しあうこともないという状況が続きます。

 

冷戦とベルリンの壁

 

1945年に東西に分かれたドイツ。西ドイツは資本主義国家として経済成長を遂げる一方、東ドイツはソ連の影響を受け社会主義に染まっていきました。経済格差は日ごとに大きくなっていきます。

より良い暮らしを求めて西側へ移ろうとする人が後をたたず、危機感を覚えた東ドイツは、1961年8月に一夜にして「ベルリンの壁」を建設しました。

この壁は冷戦の象徴となります。

 

冷戦終結までの流れ

 

確かにアメリカとソ連は、直接戦ってはいません。ただ当時の世界各国は、まるで見えない力に誘われるかのように、アメリカ側につくのかソ連側につくのか、その姿勢を問われるのです。

朝鮮戦争やベトナム戦争、アフガニスタン紛争、キューバ危機など、実際の戦争に繋がってしまったケースも少なくありません。これらは米ソ冷戦の「代理戦争」とも呼ばれています。

そんななか1985年に、ソ連の共産党書記長にゴルバチョフが就任します。彼は社会主義経済を立て直すための改革「ペレストロイカ」を掲げ、これをきっかけに東ヨーロッパ諸国でも自由化を求める声が高まっていきました。

この動きは東ドイツにも派生し、ついに1989年11月、ベルリンの壁が取り壊されることとなったのです。およそ28年間もの間分断されていたドイツは、東西統一に向けて歩みはじめます。

ベルリンの壁が崩壊した翌月の12月2日、アメリカのブッシュ大統領とソ連のゴルバチョフの書記長の会談が地中海のマルタで実現。冷戦の終結が宣言されました。

 

冷戦後の世界の動き

 

冷戦の終結宣言は、その後の世界に大きな影響を与えました。

まずソ連。さまざまなクーデターが起き、これまで抑え込んでいたバルト三国が独立の動きをみせ、ペレストロイカは頭打ちとなります。1991年12月にソ連が崩壊し、シア連邦が誕生しました。

ソ連が崩壊したことで、世界はアメリカ一強時代に傾くかと思われました。ロシアも資本主義に傾き、両国の関係も穏やかなものとなっていったのです。

しかし2000年代になると、再びロシアが影響力を誇示しはじめます。アメリカの一極支配を警戒し、反米的な中南米諸国や中国、イランなどとの関係を強めようと動いていくのです。

これを「新冷戦」または「第二次冷戦(Second Cold War)」といいます。アメリカとロシアの新しい関係は世界に緊張をもたらすほか、宇宙開発やインターネット技術の躍進など、さまざまな分野における革新の原動力となり、それは現在も続いているといえるでしょう。

そしてもうひとつ、冷戦後の大きな動きとして、「EU」の誕生が挙げられます。第二次世界大戦後、低迷が続いていたヨーロッパ諸国は、統合することで復権を目指しました。

動き自体は戦後すぐはじまっていましたが、発足が実現したのは1993年のこと。2002年に統一通貨「ユーロ」が導入され、新体制で経済復興への道を歩んだのです。

 

日本を含めた冷戦史

著者
["松岡 完", "広瀬 佳一", "竹中 佳彦"]
出版日
2003-06-11

冷戦の歴史を「起源」「展開」「終焉」に分けて詳しく記しています。

いつから始まりいつ終わりを迎えたのか、どんな流れでどんな事件が起こったのか、時間と場所ごとに整理されているので、これ一冊で混迷の時代の全体像を把握することができるでしょう。

また冷戦というとどうしても米ソの関係に注目しがちですが、本作は日本をはじめ東アジアにもスポットを当てていて、さまざまな視点から当時の状況を知ることができる一冊です。

世界に及ぼした影響は

著者
佐々木 卓也
出版日
2011-11-14

冷戦史という膨大な情報が含まれる歴史を、端的にわかりやすくまとめている一冊です。

始まりから終結までを政治的背景などを踏まえて分析していて、これまで何となく「冷戦」という言葉で片付けていたアメリカとソ連、そして世界の関係性を深く理解することができるでしょう。

漫画で読む冷戦

著者
ムロタニ ツネ象
出版日
1994-02-01

歴史は苦手、活字を追いかけていても全然頭に入ってこない、でも理解したい……そのような方におすすめなのが、「学研まんが世界の歴史」シリーズ。複雑な国際情勢をどこまでもわかりやすく描いていて、まず全体像をしっかり理解することができます。

子ども向けの学習本ですが、大人にもおすすめ。戦後の冷戦時代を理解する入門書にうってつけの一冊です。
 

近現代史のなかでも大きな出来事である冷戦。終結はしましたが、収束したとはいえず、いまだその余波は続いています。これからの世界情勢がどうなっていくのかを知るためにも、流れをしっかり理解しておきたいところです。

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