「魔王遭難中!!!」の魅力全巻ネタバレ紹介!最弱魔王の日常w

更新:2020.12.15 作成:2018.4.30

天使との戦いで魔力を大幅に失った魔王が魔力を取りもどすため目をつけたのは人間界。人間の魂で魔力を回復させようと、四天王を集めて人間界を訪れた魔王を待っていたのは、魔法が使えないサバイバル生活でした。

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「魔王遭難中!!!」の魅力全巻ネタバレ紹介!最弱魔王の日常が面白すぎる!

著者
遠田 マリモ
出版日
2017-02-09

大幅に減った魔力を取りもどすため、人間を絶滅させてその魂を回収しようと人間界に行くことにした魔王と四天王。人間界へたどりついた彼らを待っていたのは、魔力を使えない状況での無人島サバイバル生活でした。

今までつちかってきた知識や経験を活かしてサバイバル生活を送る魔王や四天王。魔法が使えないからこそ何もできなくなった魔王の哀愁ただよう姿が魅力的な作品です。

魔王ものは以前から人気がありますが、残虐で恐れられている魔王が、環境の変化などにより、恐ろしさとはかけ離れたギャップのある姿を見せるものが、人気の理由かもしれませんね。

『魔王遭難中!!!〜愉快な仲間たちを添えて〜』の魔王も、当初の残虐性からかけ離れた無力さや情けなさを見せていて、なんともいえない愛らしさがあります。今回はそんな本作の魅力をご紹介いたします。

魔王がただのおっさんに!?情けなくて、かっこいい?

天使をクズと呼んでためらうことなく燃やし、自分の魔力を回復させるためだけに人間を絶滅させようと考えていた魔王。その行いと思考はまさに魔界の王らしく、残酷・無慈悲で恐ろしいものです。

しかし、人間界についた魔王は、その威厳も恐ろしさも失ってしまいます。人間界では魔法を使うことができなかったのです。しかも、たどり着いたのが人間がいた形跡すらない無人島……。

魔王は想像もしていなかった環境に打ちのめされます。魔法が使えない状態なのはみんな同じですし、仲間の実験によって魔王より弱い立場になった部下もいます。ですが、魔力が使えないことで1番打ちひしがれるのは魔王なのです。

魔王が何かしようとするたびに、魔王を慕う部下が止めに入り、結果なにもできない状況になります。自分が役立たずポジションにいるのでなんとかしなければと意気込むものの、どうも精神的に弱まっているようです。

叫び声を聞いてかけつけた先にいた人物が、死んだと思った仲間だと気づくと、叫び泣いて逃げ出す魔王。

「ギャーーッ!!! おばけぇー!!!!」
(『魔王遭難中!!! 〜愉快な仲間達を添えて〜』1巻より引用)

この少し前には、仲間が殺されたと思い復讐しようと闘志を燃やしていたのに、実際、生きていた仲間に出会ったらこの反応。仮にも魔界のトップだった人が、おばけを怖がり泣くというのは情けないですね。

しかし、情けないばかりでは終わりません。まとまらなくなったメンバーたちをまとめ、行く道を示す姿はやはり「王」らしくとてもかっこいいもの。ただ、このときよかれと思った発言で仲間の努力を無駄にし、せっかく落ち着きかけた雰囲気を再び騒がしくしたのも魔王なのでした。

子どもの面倒を見きれず、結局諦めるおじさんのようになっている姿は見ものですよ。

その他の愉快な仲間たちもキャラ立ちがすごい!

魔王と一緒に遭難したのは、魔王軍四天王の4人。最も忠誠心の高い知将バルディア、剛剣士ゼシール、召喚者で唯一の女性のサイス、四天王のなかでは新人育成枠といわれているクリアです。

まずバルディアは、最初の魔界シーン以外ではずっと全裸での登場となります。たまに頭に兜をかぶりますが、首から下は解放的です。そしてそれを隠そうとしません。彼の倫理観は一体どうなっているのでしょうか。

バルディアはゴブリンという種族なのですが、その種族にとっては1番のブサイクだそうで、容姿にコンプレックスを抱いているようでした。きっと彼にとってむき出しの下半身よりも顔を隠す方が重要なんですね。ちなみにゴブリン的観点ではなく、一般的に見たかぎりでは、彼はなかなか整った顔立ちをしているといえますよ。

剛剣士ゼシールは、体は人、顔は獣のような姿で、鍛え上げられた筋肉と凶暴さが特徴の人物です。彼はきっと作中もっとも不幸な立場かもしれませんね。ゼシールはどうやら任務のたびに、バルディアの実験材料にされていたようで、今回もバルディアのモルモットになったよう。

魔界ではその姿だけでも恐ろしかったゼシールですが、人間界では可愛らしい幼女の姿になっていたのです。中身はいかついおっさんのまま、外見だけ体型も性別も変えられたのだとか。元の性格、姿を考えると、想像もできないロリゼシールの姿に、萌えればいいのか同情すればいいのか、読者の気持ちが試されますね。

召喚者サイスは、ロリ化したゼシールを除けば唯一の女性。豊満なボディと露出の多い衣装が魅力的で美しい女性です。魔界で1番の魔力を持ち、種族はサキュバスです。その要素だけで彼女のエロティックさが伝わってきますが、彼女自身は純潔の処女。

どうやら強力な召喚者には純潔が求められるようで、サキュバスとしては少々異質な存在かもしれませんね。魔界では強かった彼女も人間界ではただの非力な女性。それゆえか、初登場時の有能で高圧的な彼女からは想像できない乙女さが、回を追うごとに出てきて、より彼女の魅力を引き立ててくれます。

最後に1番の下っ端となるクリアですが、人間界では彼が最も有能だったのではないでしょうか。人間界に来る前は、他の四天王の圧に押され、物陰に隠れたり、人間界に来ても、他の四天王の険悪さにあわてるなど、少々弱々しさが目立っていたクリア。

性格はなかなか臆病なようですが、もともとゼシールの部隊にいたことから力は非常に強く、また仲間のピンチや魔王の命令には従って戦うなど、かっこいい一面を見せてくれます。一言でいうと、まさに「犬」のような性格の人物ですね。

外見はその「犬」らしい性格にあった見た目で、魔王と合わせてデフォルメ時の表情が可愛らしいキャラクターになります。ぜひ小さく描かれたときの彼らの姿を見てみてください。

疲れた時に読みたいテンポの良さ、ゆるさ。下ネタもくだらなくて、イイ!

本作は非常にテンポがいいのも特徴的です。スピード感があるので、スラスラと読み進めることができます。設定はがっつりファンタジーなのですが、魔法が使えない状態でのサバイバルということで、全体的に空気がゆるんでいるのも読みやすい理由かもしれません。

魔王が意気込んでも失敗して意気消沈する、といったテンションの上がり下がりのタイミングが絶妙で、つい魔王様を応援したい気持ちになります。また、何かとままならない魔王を見て、元気をもらうことも。

弱体化した彼らは日常会話も子どものようなレベルに下がっているようで、作中でも四天王のやりとりを「幼稚園」と表現していますが、わちゃわちゃと落ち着きのない様子が読者側としてはほっこりできていいですね。

出てくる下ネタも下品にならず、子どものようで見ていて笑える面白さがあります。

1巻でウニを食べる話があるのですが、彼らにとっては海もウニも初めて見るもの。もちろん食べかたなどはわかりません。仕方なくウニのトゲを食べていましたが、魔王がウニの上にゼシールを落としたことで、偶然ウニが割れ中身が出てきます。

しかし、魔王はそのウニの身がゼシールの尻についたことから、それをゼシールのウンチだと勘違い。ウニが割れたことに気づいたバルディアがおいしいとさし出したのをみて、まるで父親のようにバルディアを殴ります。

「何 うんこ食ってんだ!!!!」
(『魔王遭難中!!! 〜愉快な仲間たちを添えて〜』1巻より引用)

知将がそんなもの食べるわけないだろう、という思いと、魔王が突然お父さんのように教育的指導をしたことに、つい気が抜け、笑いを誘います。彼らの絶妙なゆるさは、疲れたときにふっと心が軽くなる楽しさがあるので、気軽に魔王ものを読みたいときなどはとてもオススメですよ。

「魔王遭難中!!!」1巻の見どころをネタバレ紹介!

天使たちとの戦いで魔力を大幅に失った魔王は、自身の魔力を取り戻すため、人間を絶滅させることに。魔王軍四天王を連れ、以前より調整を重ねていた転送機で人間界へやってきた魔王ですが、彼が放り出されたのは海の上でした。

なんとか島に流れ着いた魔王に、魔王より先に着いていた四天王の1人バルディアは、島が無人であり、魔法が使えないことを魔王に伝えます。

著者
遠田 マリモ
出版日
2017-02-09

その後、ゼシール、サイス、クリアとバラバラになった仲間を見つけるのですが、最初、ゼシールはあとから合流したサイスとクリアに身分を偽っていました。元部下のクリアや、笑いのネタにしそうなサイスには知られたくなかったのです。

1巻では、必死に自分を偽ろうとするゼシールの姿が見どころになります。作中で、ゼシールが元の姿でいる場面はたった数ページですが、必死に幼女のフリをする姿をみると、元の姿とかけ離れすぎた様子におかしさがとまりません。

中身は戦うことが好きなマッチョのおじさんなのに、「プリンちゃん」という架空の幼女になりきろうしている姿には彼の必死さが見え隠れしますね。彼の正体はバレてしまうのですが、なぜバレてしまったかは、ぜひ読んで確かめてみてください。

また、1巻では押しに弱く情けない魔王をたくさん見ることができます。仲間が合流して拠点製作をする際、サイスとクリアの荷物を回収しに行くグループと、残って拠点を作るグループに分かれるのですが、魔王とクリアが拠点製作グループとして残ることに。

魔法が使えない状態で1番力のあるクリアが、魔王を守るのにも、拠点を作るのにも最適だと判断したバルディアの采配なのですが、クリアは自分を信頼して任せてもらったことが嬉しかったのか、手伝おうとした魔王を「大丈夫」と善意で止めたのです。

そこで押しと勢いに負ける魔王……。弱いというかなんというか、若者の熱気についていけないおじさんのような哀しさが漂います。再び全員集まったところで、今度は自分も加わると意気込むのですが、そのときの不注意が原因で、クリアが集めた拠点を作るための木材が全焼してしまうのです。

その後の魔王の様子といったら「王」の威厳はどこにいったのか、目も当てられない状態に……。仲間の努力を自分の不注意でむだにしてしまったいたたまれなさや悲しさはわかりますが、すねて寝ころがる姿は情けないですね。

情けない魔王が好きな方には1巻がオススメとなります。

「魔王遭難中!!!」2巻の見どころをネタバレ紹介!

2巻では、魔王軍と戦っていた天使たちが登場します。実は、戦いのさなか人間界へ行った魔王たちを、四大天使と呼ばれる天界の最高戦力たちが追ってきていたのです。最初に魔王たちの前に現れ捕らえられた天使・ウリエルは、全てを魔王たちに話しました。

ウリエルの話に集中しているうちにサイスが、天使・ガブリエルに捕まってしまいます。魔法が使えないのは天使も同じですが、男性でもともと筋力のあるガブリエルにとって、こっそり1人をさらうことなど簡単なようです。平和に暮らしていた魔王たちが、また戦うことになりそうです。

著者
遠田 マリモ
出版日
2017-10-06

誰にも気づかれずサイスをさらえるガブリエルの強さを、すぐに理解したバルディアは、サイスを見捨てることを提案します。このあと、とあるガブリエルの行動は非常に「天使」らしく、見どころのひとつといえます。

ガブリエルも戦闘時と通常時にギャップのあるキャラクターなのですが、通常時のゆるさが魔王軍のゆるさと合っているのか、その後の魔王軍と行動をともにすることにした彼は、未だ捕虜あつかいのウリエルと違いすぐに打ち解けるように。

ガブリエルが魔王軍と一緒にいるのにはきちんと理由があるのですが、そこは見捨てられかけたサイスの見せ場となる場面でもあるので、ぜひ読んでみてください。

また、もしかしたら本作の裏主人公なのかもしれない、意外と出番の多いゼシールですが、彼と彼に因縁のある天使・ラファエルとの突然の恋話も見どころになります。ゼシールはラファエルとの戦いでキズを負い、愛剣を折られたことから彼を憎んでいました。

しかし当のラファエルは幼女化したゼシールに一目惚れ。その勢いと絶妙な気持ち悪さがなんともいえない雰囲気をかもし出しています。

ラファエルは「初めて」をくれる相手に弱いらしく、中身が以前戦ったおっさんだと知っても、恋心に火がついたよう。ラファエルが最も強い敵だったので、魔王軍にとっては彼がゼシールを好きになってくれたのは嬉しい誤算でしたね。

天使長・ミカエル以外、敵味方が全員集合し、なんとなく協力体制が見えてきました。そのとき、ゼシールが持ってきた大剣により、魔界に帰る方法が見えました。ゼシールの大剣内に魔界の空気が入っていて、魔界の空気があれば魔法が使えるため、魔界への門が開けるのです。

まだ見つかっていないミカエルは後日あらためて捜索すると誓った魔王。ウリエルはその魔王の申し出を受け入れ、いざ門へ飛びこもうというとき、そのウリエルが転んでしまったのです。走っては間に合わないとウリエルを門へ放りこんだ魔王。彼はたった1人、無人島に取り残されてしまいました。

魔王は雷雨に襲われる無人島で、過去の自分の愚かさを嘆いていました。無人島での生活が彼を変えたのです。2巻はかっこいい魔王が多いですが、最後はかっこいい場面の連続です。

最終回の魔王は、以前の形だけのかっこよさではなく、本当のかっこよさが感じられ、精神的な彼の成長をうかがうことができます。かっこいい魔王が好きな方には2巻がオススメですよ。

果たして魔王は魔界へ帰れるのか、ミカエルはどこにいるのか、最後まで目が離せません。

気持ちのよいテンポと、情けないのにかっこよさもある、絶妙な魔王の存在感が魅力的な本作。気軽に魔王もの、ファンタジーものが読みたいときは、本作がオススメですよ。