2019年2月より、かつてのキャスト・スタッフが再集結したアニメ映画が公開された本作。さらにフランスでは、実写映画も制作されました。そんな連載開始から30年以上経った今尚愛される少年漫画の名作『シティーハンター』。 魅力的な登場人物が多数いることでも知られていますが、今回は主人公のライバルで、人気キャラクターの通称・海坊主に注目していきましょう。そのイカツイ見た目とは裏腹なかわいらしい(?)内面に、思わずギャップ萌え必至です!
本作は1985年から「週刊少年ジャンプ」で連載されていたハードボイルド・アクション・コメディ。2019年現在で完結して30年以上経っていますが、今も人気は絶大です。
テレビアニメ版が有名ですが、実写映画もいくつか制作されています。なんとフランス製作による実写映画の公開が2019年に予定されているとか。ちなみにこちらの作品、今回ご紹介する海坊主の再現度の高さが驚きのクオリティなので、ぜひご確認ください。まるで、漫画から飛び出してきたようです。
また、完全新作の劇場版アニメが、オリジナルキャスト・スタッフ再結集のもと、公開されました。その完成度の高さと変わらぬ面白さで、多くのファンから喜びの声が上がる仕上がりとなっています。
- 著者
- 北条 司
- 出版日
- 2004-01-15
本作には主人公の冴羽獠(さえば りょう)をはじめ、魅力的なキャラクターが多数登場します。なかでも一際目立つのが、獠のライバルの海坊主でしょう。
スキンヘッドにサングラス、いつも変わらないアーミールック(というより野戦服)。時には似合わないエプロンを着けて、喫茶店を経営するという意外な一面も持っています。
彼は一体何者で、どんな男なのか?『シティーハンター』を語るうえで外せない人気キャラ・海坊主について、ご紹介していきましょう。
獠がチャラチャラした優男なら、海坊主は叩き上げの軍人のような男です。ごつごつした厳めしい顔でむっと黙り込んでいて、常にかけているサングラスからは表情が読み取れません。プロフェッショナルな雰囲気を漂わせています。
獠もかなり体格はいい方ですが、海坊主はさらにその上を行く巨漢。186cmの獠より頭1つ分以上大きいので、2メートルは優に超えているでしょう。
愛銃はS&W M629、俗に44マグナムと呼ばれるリボルバー。映画『ダーティハリー』の主人公が使う銃とは同種のモデル違いです。
他にもその巨体を活かして、M60機関銃のような重火器を軽々と手足のように扱います。さらにいえば、ごりごりの見た目に似合わない緻密なトラップの名手でもあるのです。
愛車のランドクルーザーや4WDに重火器を搭載して乗り付ける姿には、凄まじいまでの威圧感とある種の信頼感があります。
海坊主と獠はスイーパー(始末屋)の同業者です。並々ならぬ因縁の相手でもありますが(後述)、個人的な関係は良好。仕事を抜きにすれば悪友のような間柄です。
同業種という立場上、時には獠の依頼者と対立する陣営に付くことも。そうなると凄腕の獠をして相手にしたくない、と言わしめるほどの強敵として立ち塞がります。ただ、味方に付けばこれほど頼もしい男もそうそういません。
- 著者
- 北条 司
- 出版日
- 2004-07-15
そんな彼ですが、もちろん「海坊主」は本名ではありません。昔は「ファルコン」というコードネームで呼ばれていました。ちなみに本名は伊集院隼人(いじゅういん はやと)。
いずれにしても、見た目に反した格好いい二枚目風の名前ということで、獠がからかって「海坊主」と名付けて周知されてしまったのです。
他にも「タコ坊主」や「ゆでダコ」など、散々な呼ばれ方をする場面が作中では何度か登場します。
獠と並ぶ凄腕スイーパーである海坊主。さすがに獠に比べると鈍重なものの、機敏に動いて敵を蜂の巣にし、愛車を豪快に乗り回すシーンが迫力満点に描かれます。
そういった場面が多いので忘れられがちなのですが、実は彼は弱視(後に完全に失明)です。そんなハンデをまったく感じさせず、天才的な感覚で戦っているというのだから驚きます。
彼が視力を失った原因は、実は獠にあります。彼らは過去に深い因縁があり、物語中では、そのことが鍵となる一連の出来事が起こります。
かつて海坊主は、ある中米国家に雇われた外人部隊の傭兵でした。その時に敵対していた反政府ゲリラのなかに、若き日の獠がいたのです。獠はある時仲間に裏切られて、麻薬エンジェル・ダストを投与されました。そして暴走した結果、海坊主の所属していた傭兵部隊を、1人で壊滅させてしまったのでした。
海坊主は惨劇をかろうじて逃れた、唯一の生き残りです。しかし、その時に獠の攻撃で目を負傷したことがきっかけとなって、彼は後に失明してしまったのでした。
このようにハードボイルドな背景を持ち、普段は無愛想な海坊主ですが、意外なことに女性には結構モテます。
「もっこり男」獠とは違って、彼はストイックでナイーブ。女性に対しては、とても紳士的。言い換えればかなりの奥手です。女性に接すると恥ずかしさのあまり真っ赤に赤面するほどの純情の持ち主なのでした。
そんな彼に果敢にアタックをかける女性が、美樹です。戦災孤児だった彼女は海坊主に育てられ、彼によって護身のために戦闘技能を身に付けました。
大人になり傭兵になると言い出した彼女の身を案じた海坊主は、どうにか普通の生活をさせようと戦場から遠ざけたのですが、彼女は紆余曲折を経て日本まで彼を追って来てしまったのでした。
海坊主はそんな彼女に押し切られる形で、ともに喫茶店を切り盛りするように。戦いではあれだけ勇ましい彼が、美樹の前ではたじたじ。それがおかしいやら微笑ましいやら、読んでいて非常に面白いです。
最終的に2人は、美樹の念願が叶ってゴールインしました。
海坊主が営む喫茶店「キャッツアイ」。
何かどこかで聞き覚えのある店名ではないでしょうか。北条司のもう1つの代表作『キャッツ♥アイ』に登場する、同名喫茶店のセルフパロディになっているのです。後に海坊主が雇う従業員・麻生かすみは、レオタードが特徴的な怪盗ということで、かなり狙ってやっています。
ご存じない方に一応補足しておくと、元ネタの喫茶店キャッツアイは、セクシーなレオタードの三姉妹怪盗が表の顔で経営している店なのです。
- 著者
- 北条 司
- 出版日
- 2012-03-19
海坊主が経営しているため防犯性が高く、喫茶キャッツアイは主要人物の憩いの場ともなっています。あの厳つい海坊主が、エプロン姿で普通に店主をやっているところが見所の1つ。彼自らが仕入れもやっており、その姿を見られないようにこそこそと行動している場面も出てきます。
海坊主のそんなところがおかしくもあり、可愛らしくもあり、なんともいえない味があるのです。
そんな海坊主の愛らしさを紹介した<漫画『シティーハンター』の海坊主のギャップ萌えシーン・ベスト3!>の記事もおすすめです。気になる方はぜひご覧ください。
実は、彼が主人公の漫画が存在します。表紙からなんとなくわかると思いますが、パロディ漫画です。しかし、注目していただきたいのが、原作者の北条司が作者に名を連ねていること!
本作では、いい喫茶店のマスターとしての彼を堪能できます。
CITY HUNTER外伝 伊集院隼人氏の平穏ならぬ日常 1 (バンブーコミックス タタン)
時が経ち、喫茶店キャッツアイは「SNS映えするマスターがいる」と連日大賑わい。そして、女子高生から写真で笑顔を強要される海坊主……。
本作では、悩める人々の相談に乗ったり、喫茶店でイベントを開いたり、お客さんのことを親身に考えるマスターとしての彼が楽しめます。
『シティーハンター 』で見せた彼の優しさそのままに、読んでいてほっこりできる内容の本作に癒されてみてはいかがでしょうか。
いかがでしたか?無骨で不器用で、それでいて愛すべき純情男、海坊主への理解が深まったことでしょう。興味が湧いた方は、ぜひともこの機会に原作に触れてみてください。