あなたはSF作品と聞いてどんな物語を思い浮かべますか? さまざまな作品がありますが、今回は漫画『銀河英雄伝説』を紹介します。宇宙を舞台に2つの勢力が戦争をくり広げるなかで、それぞれの陣営に現れた英雄同士の戦いが描かれた小説をコミカライズした作品です。さらに、2019年9月からアニメ映画3部作が順次公開されています。 作画・藤崎竜テイストで表現された本作の魅力をお伝えしていきます!
漫画『銀河英雄伝説』は、『アルスラーン戦記』でも知られる田中芳樹による小説が原作です。過去にアニメやゲーム、漫画などさまざまなメディアに展開してきましたが、2015年に藤崎竜の作画で再び漫画化され、2018年5月現在、10巻まで単行本が発売されています。
- 著者
- 藤崎 竜
- 出版日
- 2016-02-19
基本的なストーリーは原作と同じですが、主人公が軍人になる前から描かれていたり、登場人物にアレンジを加えていたりと、藤崎竜ならではの表現方法が人気。この記事ではそんな本作の魅力を全巻分お伝えしていきます!
『銀河英雄伝説』の原作が気になる方は<小説『銀河英雄伝説』の魅力を全巻ネタバレ紹介!>の記事もあわせてご覧ください。
銀河帝国で暮らす庶民の息子・ジークフリードは、隣の家に引っ越してきた下級貴族の息子・ラインハルトと出会ってすぐに友人となります。ラインハルトと彼の姉・アンネローゼとともに、ジークフリードは幸せな日々を過ごしていました。
ところがある日、アンネローゼが皇帝陛下に見初められ、ラインハルトたちと別れることになりました。さらにラインハルトも父親とともに再び引っ越してしまい、ジークフリートは彼らとの再会を祈りつづけます。
数ヵ月後、その祈りは通じ、ジークフリートのもとにラインハルトが再び現れるのでした。
- 著者
- 藤崎 竜
- 出版日
- 2016-02-19
1巻の見どころは、ラインハルトとジークフリードの友情です。
ジークフリードはラインハルトとアンネローゼの姉弟に出会い、彼らがお互いを思いやる様子に胸を打たれ、2人の騎士となって力になることを胸の内で誓います。その思いから、皇帝に奪われたアンネローゼを取り返すために軍人となってのしあがり、皇帝を倒すことを決意したラインハルトとともに、貴族幼年学校に入学するのです。
学校では、彼らをよく思わない貴族たちとトラブルになりながらも、それを2人で乗りこえていきます。同じ志で結ばれたラインハルトたちの絆の強さが印象に残ることでしょう。
貴族幼年学校を卒業し、軍人となったラインハルトたち。はやく昇進すべく前線を志願し、極寒の惑星カプチェランカに配属されました。
配属先の司令官からあたえられた初任務は敵情視察。建設中だという自由惑星同盟軍の拠点をめざし、ラインハルトたちは吹雪のなかを突き進みます。
ところが、2人の乗る機動装甲車がエネルギー切れを起こしてしまい……。
- 著者
- 藤崎 竜
- 出版日
- 2016-05-19
2巻では、ラインハルトたちが軍人としての第1歩を踏み出します。しかし、さっそくのピンチ!
特殊装甲車が使えなくなったのは、アクシデントではなく人ため的な原因でした。仕組んだのは司令官。銀河帝国のある人物からの命令で、ラインハルトを謀殺しようと装甲車に細工をさせたのでした。
過酷な寒さのなかで状況を打開するチャンスをうかがうラインハルトたち。そこに同盟軍の兵士たちがやってきます。しかしラインハルトはやり過ごそうとせず、敵をたおして燃料や食料を奪おうというのです。
数の多い敵に緻密な策と思い切りのよさで立ち向かっていくラインハルトの、戦の才能を感じさせる戦いぶりに注目です!
銀河帝国と自由惑星同盟をつなぐトンネル「イゼルローン回廊」。その中間に設置された帝国の「イゼルローン要塞」に同盟軍は何度も行く手を阻まれていました。
しかし、諦められない同盟軍は、6度目となる侵攻を試みます。そこには、惑星エル・ファシルで300万人の命を救った英雄と呼ばれるヤン・ウェンリーも参加していました。
一方、むかえ撃つ帝国軍側には、少佐となったラインハルトも参加しており……。
- 著者
- 藤崎 竜
- 出版日
- 2016-08-19
3巻では、ラインハルトのライバルとなるヤン・ウェンリーが参謀として戦地におもむきます。ラインハルトとは対照的に戦いには興味のない彼ですが、才能は抜群です。敵の意図にいちはやく気づくなど、鋭い読みを見せます。
それを買われたヤンは、作戦の立案をまかされることになりました。そして、戦場で勝利を重ねていたラインハルトの艦隊に挑みます。
策と策がぶつかりあう、2人の初対決に興奮してしまうこと間違いなしです!
イゼルローンでの攻防戦でまたしても功績をあげたラインハルト。皇帝から過剰ともいえる褒美を与えられます。このことに貴族たちは嫉妬を隠しきれません。
さらには、皇帝の許可によりアンネローゼのもとを訪ねたラインハルトの前に、女公爵夫人・ベーネミュンデが現れるのでした。
- 著者
- 藤崎 竜
- 出版日
- 2016-11-09
4巻では、ラインハルトに新たな試練が訪れます。
彼は皇帝から領地としての星と、伯爵の地位を与えられました。もちろんラインハルトの実力で勝ちとったものです。しかし、貴族たちは「アンネローゼが皇帝から格別の寵愛を受けているからだ」と、不満や嫉妬をあらわにします。男爵のフレーゲルにいたっては、ラインハルトを陥れようとする動きを見せはじめるのです。
一方、アンネローゼに皇帝の寵愛を奪われたベーネミュンデは、ラインハルトの出世祝いとしてアンネローゼの館を訪れ、ラインハルトに、
「あなたは幼き日に奪われた姉を取り戻そうとしている!
恐れ多くも皇帝陛下の座を簒奪することによって!!」
(『銀河英雄伝説』4巻より引用)
と、ゆさぶりをかけてきます。
さらに貴族の権力争いの影響がラインハルトの戦にも。しつこくからみつく貴族の執念の恐ろしさが感じられることでしょう。
第3次ティアマト戦でも戦果を挙げ、大将にまでのぼりつめたラインハルト。皇帝から彼専用の旗艦・ブリュンヒルトが与えられます。これを気に入ったラインハルトは、次の出撃の時を心待ちにしていました。
そんなある日、ラインハルトのもとに1人の軍人が訪ねてきます。男の名はロイエンタール。彼はピンチになった友を助けるべく、ラインハルトに助けを求めにやってきたのでした。
- 著者
- 藤崎 竜
- 出版日
- 2017-02-17
5巻では、大将となったラインハルトが2つの新しい力を手に入れます。
1つめは、専用の戦艦です。大将以上に与えられるもので、ラインハルトはブリュンヒルトを気に入ります。対面のシーンで見られる、ラインハルトの子供のように無邪気によろこぶ姿が印象的です。
2つめの力は忠臣。ロイエンタールからの懇願にこたえ、フレーゲルに捕らえられた彼の半身ともいえる友・ミッターマイヤーを救ったことで、2人はラインハルトに忠誠を誓います。ジークフリード以外に信頼の置ける者がいなかったラインハルトにとって、大きなできごとといえるでしょう。
新たな力を手に、ラインハルトは次の戦地におもむきます。パワーアップしたラインハルト艦隊の戦いぶりは必見です!
第四次ティアマト戦開幕! ところが、元帥のミュッケンベルガーの参謀となったフレーゲルの謀略が、またもやラインハルト艦隊をピンチに陥れます。
フレーゲルの命令は、「ラインハルト艦隊のみ敵に向かって前進せよ」。実質、殺されに行けといっているのに等しいものだったのです。
- 著者
- 藤崎 竜
- 出版日
- 2017-05-19
6巻ではラインハルトが絶体絶命のピンチをむかえます。
フレーゲルの身勝手すぎる命令に、ラインハルトは激しい怒りをあらわにしながらも従い、本当に敵陣に向かって前進。艦隊は左翼に配置されており、そこから敵陣に向かえば無防備な側面を敵に見せながら進むことを意味していました。
この動きを見た自由惑星同盟軍のヤンは、すぐにラインハルトが味方に殺されそうになっていることを見抜き、その背景にある帝国内の事情まで推し量ります。
そして、ラインハルト艦隊が敵艦隊の目前にさしかかったとき、誰もが予想しなかったことが起こります。その奇跡的な展開に、きっと鳥肌が立つことでしょう!
上級大将となり、退役するミュッケンベルガーに代わって帝国群の総司令官も務めることになったラインハルト。直後に迎えたアスターテ星域会戦では、あいかわらずフレーゲルに足をひっぱられながらも不利な状況をくつがえし、立ちはだかる敵を撃破していきます。
一方、ラインハルト艦隊の攻撃によって総司令官が重傷を負った同盟軍では、次席幕僚であるヤンが代わりに指揮をとることになるのでした。
- 著者
- 藤崎 竜
- 出版日
- 2017-08-18
7巻ではラインハルトとヤンが指揮官という立場ではじめて対決します。
それまでのヤンは、卓越した才能を発揮する場面が何度かありましたが、地位や権限がなく、上官たちには軽んじられていたところがあり、思うような結果にならないという状況が続いていました。
しかし、今回総司令官から指揮権を引き継いだことにより、ヤンはようやく自分が思い描いたとおりに兵を動かすことができるようになります。そして、攻め続けるラインハルトと対峙することに。
実力を発揮して、ラインハルトに挑むヤンの姿は必見です!
同盟軍に新設された第13艦隊。その初代司令官に、ヤンが指名されます。ところが、最初の任務は、なんと難攻不落のイゼルローン要塞の攻略です。
ヤンは奇策でイゼルローン要塞を制圧し、そのまま帝国軍も退け、味方に犠牲を出すことなく要塞を陥落してしまいます。歴史的勝利を挙げたヤンは、同盟の英雄に。
ところが、帰還したヤンの口から出たのは、「退役する」という言葉でした。
- 著者
- 藤崎 竜
- 出版日
- 2017-11-17
8巻の見どころは、ジークフリードの指揮でおこなう反乱の鎮圧作戦です。
またしてもフレーゲルの陰謀により、ジークフリードがラインハルト抜きでの鎮圧を命じられます。ラインハルトではなく彼に失敗をさせ、死なせることがフレーゲルの狙いです。
ラインハルトのサポート役というイメージが強い彼ですが、指揮官としての手腕を発揮します。戦の天才とされるラインハルトのそばにいたことで、彼の考え方を吸収していたのです。
隠れた能力を発揮するジークフリードの姿に、驚かされること間違いなしです。
フレーゲルの謀略を止めたオーベルシュタイン。その見返りとして、ラインハルトは彼の命を救い、参謀として招き入れます。
ほどなくして、ラインハルトはオーベルシュタインからある情報が。それは同盟軍が3000万を超える大規模な戦力を投入して帝国に侵攻しようとしているという情報だったのです。
- 著者
- 藤崎 竜
- 出版日
- 2018-02-19
9巻の見どころは、同盟軍による大規模な帝国侵攻作戦です。
同盟軍はイゼルローン要塞を拠点とし、戦力を送ると、帝国領内の惑星を次々と制圧していきます。しかしこれはオーベルシュタインが考えた罠であり、それにはまった同盟軍は思わぬ形で苦戦を強いられてしまいます。
たまらずヤンたちは撤退を提案しますが、司令部は受け入れようとしません。背景にあるのは自由惑星同盟の政治家たちの選挙対策。そもそもこの侵攻作戦は、ヤンに対抗意識を持つ参謀・フォークという男が政治家たちをそそのかして行われたものだったのです。
戦争の理不尽さに翻弄されるヤンたちの姿に、思わず胸が締めつけられてしまいます。
ラインハルト率いる帝国軍は、撤退を試みる同盟軍を攻め立てていました。そして、ヤンのいる第13艦隊を今度こそ倒そうとします。
しかし、ヤンの機転により第13艦隊は撤退に成功。またもや完全勝利を阻まれたラインハルトは、激しい怒りと悔しさをあらわにするのでした。
- 著者
- 藤崎 竜
- 出版日
- 2018-04-19
10巻では、なんと皇帝が崩御。それをきっかけに、ラインハルトと貴族たちの決戦が始まります。
次の皇帝の座には、直系の男子という理由で幼い子供が担ぎあげられるのですが、話はそこで収まりません。惑星フェザーンの商人が貴族たちをそそのかし、皇帝の座を奪う戦いを起こさせたのです。
ラインハルトはリヒテンラーデに、貴族たちから幼帝を守るようたのまれ、これを承諾。対して、貴族たちは手を結ぶことによって対抗します。
烏合の衆である貴族は怖れるにたりないものの、気がかりがあるとすれば、自由惑星同盟です。内乱状態となるため、同盟軍に隙を突かれる危険性があるのです。
そこで、オーベルシュタインの提案により、驚くべき方法で同盟軍の動きをおさえ、ラインハルトは貴族たちとの戦いに挑みます。
それぞれの思惑がからみ合う緊張感のある展開を、ぜひお楽しみください!
アニメ『銀河英雄伝説Die Neue These』が2020年4月6日からNHK Eテレで放送開始になります。
メインキャストを務めるのは、ラインハルト役の宮野真守、ヤン役の鈴村健一、キルヒアイス役の梅原裕一郎。3人の会話劇も、アニメの見所となるでしょう。
またCSファミリー劇場では、2018年にテレビで放送されたファーストシーズン「邂逅」と、2019年に劇場で公開されたセカンドシーズン「星乱」の計24話を放送します。アニメを全く見たことがない方も、この機会に1から楽しんでみてはいかがでしょうか。
今回はOPとEDが新しくなります。OPテーマは『進撃の巨人』の劇伴音楽も手掛けた澤野弘之のボーカルプロジェクト、SawanoHiroyuki[nZK]の「CRY」 。EDテーマは、ファーストシーズンでもEDを担当したELISAの「光の星」となります。
新しい音楽と作品がどうマッチしているか楽しみですね!
その他の詳細な情報は、アニメ「銀河英雄伝説 Die Neue These」公式サイトでもご覧いただけます。
いかがでしょうか。原作の魅力はそのままに、新たな要素を加えた「銀河英雄伝説」。原作を知っている方も、新しく読み始める方も、ラインハルトたちの活躍を楽しんでください!
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