上橋菜穂子の初心者向けおすすめ作品ランキングトップ4!『鹿の王』など

更新:2021.12.13

2015年に本屋大賞を受賞したファンタジー小説『鹿の王』、その作家である上橋菜穂子をご存知でしょうか。児童文学作家なので、一切触れたことがないという方も多いのでは? 今回は初めて読む人のための作品紹介です。

ブックカルテ リンク

日本が誇るファンタジー小説作家、上橋菜穂子

1962年東京都生まれの児童文学作家、文化人類学の学者でもあります。上橋菜穂子の魅力あるファンタジー作品は、学者としての知識の上で成り立っている世界観とも言えるでしょう。

デビュー作は1989年に刊行された『精霊の木』。その後、1992年『月の森に、カミよ眠れ』で日本児童文学者協会新人賞を受賞し、注目を浴びることに。上橋菜穂子が学者として培ってきた文明論は作品内でも広く活用されており、それが深い世界観を持つファンタジーとなって根強い評価を受け、日本的ファンタジーの作家として世界中からも注目されています。

代表作は1996年に発表された「守り人」シリーズで、同作品はアニメ化、のちにNHK大河ファンタジーとしてドラマ化までされました。一作目である『精霊の守り人』では野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞しています。また、後続の『闇の守り人』で第40回日本児童文学者協会賞を受賞。このシリーズは2002年に巖谷小波文芸賞を受賞しており、その中の一作『神の守り人』にて小学館児童出版文化賞も受賞しました。

4位:謎の伝染病をめぐる、二人の男の物語『鹿の王』

この物語の主人公は二人います。一人は故郷を守るために戦いを続ける中、囚われの身となったヴァンという男。奴隷となり、岩塩鉱で強制労働をさせられる日々を送ることになったのですが、ある日その岩塩鉱を犬の集団が襲い、彼以外の全員が謎の病にかかり死亡してしまいます。一人生き残ったヴァンは、もう一人の生き残りである女の子ユナに出会い、彼女と共に逃亡生活を始めることになる、というのが物語の開始点です。

もう一人はホッサルという名の医者です。彼はヴァンたちを襲った謎の病気の研究をしており、岩塩鉱に生き残りがいると知りその人物を捜索することになります。

この二人を中心に、彼らを取り巻く人々を映しながら進んでいくのが『鹿の王』の物語です。

著者
上橋 菜穂子
出版日
2014-09-24

2015年本屋大賞を受賞した、上橋菜穂子のこの作品はこれまでのファンタジー、児童文学の垣根を超えたスケール大きな話が魅力的です。ファンタジーとしての世界観はさることながら、医学分野の描写もリアリティーにあふれ、圧巻の一言。多種多様な人間、価値観、正義、伝統。大作ファンタジーの見どころを一挙に詰め込んだ一作となっています。

3位:少女と霊狐の物語『狐笛のかなた』

主人公は、人の心が聞こえるという「聞き耳」の力を亡き母から受け継いだ、12歳の少女。ある日、犬に襲われていた子狐を助けた彼女ですが、実はこの狐はこの世と神の世の「あわい」に住む霊狐でした。彼女と狐をかくまったのが、森の屋敷に閉じ込められている少年、小春丸。大人たちの争い、自らの宿命、秘められた過去、それらに翻弄されながらひたむきに生きていく彼らのけなげな恋の物語です。

著者
上橋 菜穂子
出版日
2006-11-28

『月の森に、カミよ眠れ』以来の、舞台設定が日本である作品になります。狐や天狗などの和のテイストがちりばめられた、どこか懐かしい感じのある作品です。霊狐の苦悩や孤独と戦う主人公の想い、それらが絡み合った純愛の物語はまさに心が洗われるような思いがします。愛とは何なのか、それを考えたくなる上橋菜穂子の作品です。

2位:日本で生まれた壮大なるファンタジー、「守り人」シリーズ・「旅人」シリーズ

あらすじの前に、少しこのシリーズの構成について軽くご紹介を。このシリーズはメインとなる二人の人物の視点から物語が作られており、タイトルに「守り人」と入っているものについては用心棒の女性バルサが、「旅人」と入っているものは皇子チャグムの視点で描かれています。「守り人」が終わったから「旅人」、というわけでもなく、それぞれ同じ流れの中で書かれたシリーズになります。二つ合わせて発行順に読むというのもいいですが、時系列に沿って読むのも面白いかもしれません。

この物語は旅の短槍使いのバルサが、幼い皇子チャグムの命を救うことから始まります。命を狙われているチャグムを彼の母から託されたバルサは、彼を守るために体を張って戦い、逃亡劇を続けるというのが、第一巻『精霊の守り人』の物語です。

著者
上橋 菜穂子
出版日
2007-03-28

以降も、様々な運命や敵、王宮の陰謀などが二人を襲うことになります。重厚なファンタジーの世界だからこそできる筋書きの中で、自分を見つめなおすバルサと、歳を重ねながら成長していくチャグムの姿が大きな見所の一つ。守り人シリーズだけで8冊、旅人シリーズ2冊、短編集2冊を加えた上橋菜穂子渾身の大長編作品です。その中で少しずつ、そして大きく変わっていく二人の姿は感慨深いものがありました。

1位:孤高の獣と少女の、美しき物語『獣の奏者』

主人公のエリンは、獣ノ医師である母を持つ10歳の少女。獣ノ医師という職業があることからもわかるように、この物語はたくさんの幻想的な架空生物が重要な役割を果たします。メインとなるのは闘蛇と呼ばれる、戦いの道具として使われるトカゲのような生物、そして人に馴れないと言われる闘蛇の天敵である王獣です。

エリンの母は獣ノ医師として闘蛇の管理をしていましたが、ある日一斉に闘蛇たちが死んでしまったことの罪を着せられ処刑されてしまう、というところから物語はスタートします。天涯孤独となってしまった少女は、山の中で出会った王獣に心奪われ、王獣の医術師になることを決意しますが、そのことから王国の運命を左右する出来事へと巻き込まれていくのでした。

著者
上橋 菜穂子
出版日
2009-08-12

外伝を含め、文庫本全5冊からなるファンタジー長編作品です。運命に翻弄されるエリンを軸とした人と獣の物語が描かれています。「決して人に馴れぬ孤高の獣と、それに向かって竪琴を奏でる少女」というワンシーンが浮かんだことがきっかけで執筆に挑んだという上橋菜穂子のこの作品は、その幻想さに心が震えます。子供らしいエリンの好奇心とのめり込んでいく姿やきっぱりとした考えは子供だけでなく、大人でも好ましいと感じられることでしょう。

いかがでしたか。児童文学、という枠を超えて、幅広い世代から愛される上橋菜穂子のファンタジーの世界に心躍るものがあります。読み応えのある異界の空気を、ぜひ感じてみてください。

  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena
もっと見る もっと見る