『ブルータル 殺人警察官の告白』悪い奴らを殺しまくる漫画の見所を紹介【無料】

更新:2021.11.29

明かに罪があるのにもかかわらず、現行の法では厳罰化が望めないという事例が往々にしてあります。そんな相手を恨み、不幸な目に遭って欲しいとつい思ってしまう事もあるでしょう。『ブルータル 殺人警察官の告白』の主人公は、過激な私刑を執行している警察官です。彼は悪人でしょうか?それともヒーロー? 「トレース 科捜研法医研究員の追想」のスピンオフである本作、ネタバレを交えつつご紹介いたします。 読んでみたい!という方は、スマホアプリで無料で読めるのでぜひチェックしてみてください。

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漫画『ブルータル 殺人警察官の告白』は「トレース」の12年前の物語

『ブルータル 殺人警察官の告白』は、ウェブコミック配信サイト「ゼノン編集部」で連載されている漫画作品。原作を古賀慶、作画を井澤了が担当しています。主人公は警視庁に勤務する警察官の壇浩輝。品行方正で眉目秀麗、父親は元警視総監で自身も捜査一課に所属するキャリア組、出世街道を邁進していました。

壇浩輝の名前におや、と思った方もおられるのではないでしょうか。本作は「月刊コミックゼノン」に連載されている『トレース 科捜研法医研究員の追想』のスピンオフ作品なのです。

「トレース」は、古賀慶の漫画作品。警視庁科学捜査研究所を舞台に、凄惨な過去を持つ法医研究員の主人公、真野礼二が様々な事件を解決しながら、自身の家族が巻き込まれた過去の殺人事件の真相を解き明かしていきます。2019年1月に錦戸亮主演でフジテレビ「月9」枠でドラマ化されており、記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。

著者
古賀慶
出版日
2016-07-20

42歳の人当たりがよい刑事部長というポジションで登場した壇ですが、本作は『トレース』の12~3年前を描いています。物語に深く絡む重要な役割を担っていた壇ですが、本作でも人当たりの良さについて考えたくなるほどの重大な秘密を抱えています。

表向きはキャリア警察官として真面目に職務をこなしていますが、壇には裏の顔が存在しました。実は、刑期を終えても反省が見られない犯人や、人を騙し傷つけても現行の法で裁けない極悪人に死を与えるシリアルキラーだったのです。

「目には目を歯には歯を」方式で、壇が犯罪者に独自の裁きを与えていくのですが、その場面はスカッとするというよりも、あまりに悲惨すぎて犯人が可哀そうになるほど。グロいシーンが多いので、苦手な方は要注意ですが、歪んだ善行を成していく壇のサイコパスっぷりに惹きつけられます。 

 

『トレース 科捜研法医研究員の追想』については以下のの記事で紹介しています。気になる方はあわせてご覧ください。

漫画『トレース 科捜研法医研究員の追想』の魅力を全巻ネタバレ考察!無料!

漫画『トレース 科捜研法医研究員の追想』の魅力を全巻ネタバレ考察!無料!

科捜研で働く、真野礼二。彼を突き動かしているのは、ある悲しい過去だったのでした……。 異色の経歴を持つ作者が描く本格警察漫画『トレース科捜研方位研究員の追想』。科学を武器に真実を突き明かしていく科学捜査官を描いた、科捜研が舞台のサスペンス作品です。2019年1月からは関ジャニ∞の錦戸亮主演で、月9ドラマにもなって話題となりました。今回は、既刊分すべての魅力をご紹介します。 本作はスマホアプリで無料で読むこともできるので、そちらからもどうぞ!

 

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漫画『ブルータル 殺人警察官の告白』のあらすじ、登場人物

壇のとても危険な裏の顔について簡単にご紹介しましたが、どういうことかと気になったのではないでしょうか。ここからは、さらに詳しいあらすじと、主要な登場人物を見ていきましょう。

壇浩輝は警視庁捜査一課に勤務する警察官。キャリアのボンボンと軽くみられていましたが、難事件をいくつも解決した実績を持ち、ベテラン警察官からも一目置かれる存在となっていました。ある日20年前に発生した幼女殺害事件の犯人である元少年が、本を出版するという報道を目にします。

テレビでは号泣し、己の罪に苛まれていた犯人の財前善行でしたが、実際のところ反省はまったくしていません。本の重版が決まり、意気揚々と自身の住むアパートに戻った財前でしたが、気が付くと見知らぬ場所で手足を椅子に縛り付けられていました。目の前には笑顔の青年・壇の姿。彼は笑顔のまま、

 「年間どれだけの人間が行方不明になるか、ご存知ですか?」
(『ブルータル 殺人警察官の告白』1巻より引用)

と淡々と財前に問いかけ、裁きを与えるのでした。

壇は眉目秀麗品行方正、加えて出世間違いなしのキャリア警察官で、休日には自身が所有する山の別荘で陶芸をするという優雅な生活から、女性たちからも注目の的です。しかし、歪んだ正義の執行者として多くの悪人を殺害し、その絶望顔を写真に収めるという驚愕な趣味の持ち主でもあります。表と裏の顔の落差が激しすぎますが、基本的には正義を成したい人ではあるのでしょう。実は絵心がないとか、陶芸の腕はイマイチという可愛い一面もあります。

物語は壇と犯人を中心に進むため、壇の表の顔と接する人の描写は多くはないのですが、間宮涼が、作中で名前まで登場する壇の身近な人物のひとりといえるでしょう。壇の後輩で、正義感の強い女性警察官です。壇のことを尊敬しており、事件の会議や捜査ではサポート役を務めることも。後輩が巻き込まれた事件を壇に相談したことで、壇が断罪をおこなうきっかけを与えてしまいます。

壇がとにかく危険な人物ではありますが、犯人はそれ以上に憤りを覚える人物ばかり。グロさにドン引きしながらも、壇の「善行」を支持してしまいます。次のセクションからは、作中に登場するエピソードの見所をご紹介していきます。

著者
古賀慶
出版日
2019-11-20

見どころエピソード1:ナンパサークルM・O・T

見所エピソード1:ナンパサークルM・O・T
『ブルータル 殺人警察官の告白』1巻より引用

本作に登場する事件を見ると、「現実にあった事件と似ている」と感じる方も多いのではないでしょうか。「ナンパサークルM・O・T」のエピソードも、類似した事件が存在します。事件は有名私大に通う池脇照を中心とした組織が起こし、壇の部下である間宮の大学の後輩、21歳の大学生浜田秦乃が巻き込まれた事件でした。

有名私大の大学生との合コンに参加した浜田は、酒に酔い複数の男たちからレイプされてしまいます。1か月後に間宮に打ち明け、警察に被害届を提出しました。しかし、加害男性である池脇の弁護士を名乗る男、丸山からお見舞金を渡され、被害届を取り下げるよう迫られます。証拠映像という自身がレイプされているときの映像を、同意があったとして警察に証拠として提出すると言われてしまうのでした。

性犯罪については昨今大きな話題となっており、被害者たちは自身の痛みと恐怖と戦いながら犯人を告発しています。池脇のとった手法はそんな被害女性たちの精神を痛めつけ、尊厳を踏みにじる行為であり、断じて許されるものではありません。弁護士を雇い、自身の罪が問われない場所で胡坐をかいている池脇に、壇の容赦ない私刑が下されます。

見所はやはり、壇の断罪が行われる瞬間です。池脇がとにかくゲスなので、特に女性は溜飲が下がるのではないでしょうか。無理やりな性描写もあるので、苦手な方はご注意を。デリケートな問題ではありますが、性犯罪における女性の立場の弱さや、犯人を告発するまでに至れない心理なども垣間見られ、深く考えさせられます。

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見どころエピソード2:爛れたマスコミの正義

悪いことをした人間は責められて当然である。誰しもそう考えがちですが、自分たちの目で見ているものすべてが真実であると、誰が保証してくれるのでしょうか。誰かが実しやかに流した「本当の話」である報道は、全て真実だといえるのか、「爛れた正義」のエピソードは、目にするものを無条件で信じてしまう恐ろしさが感じられます。

杉並区の住宅で、夫婦と子どもの無理心中事件が発生しました。妻と子どもを殺害したとされる夫、鈴木隆は名門女子校で体罰事件を起こしたとして話題となっている教師でした。しかし、実際は鈴木自身が生徒から低学歴を理由に酷いいじめを受けており、我慢の限界を超えての体罰だったのです。

体罰教師として過剰に報道していたマスコミは、今度は生徒が教師におこなういじめについて、過剰に報道を行います。鈴木を自殺に追い込み、いじめの主犯格だった実の娘の生死さえ厭わない鬼塚は、ジャーナリストとして人を裁く快感に酔っていました。

テレビや新聞で報道されることは、全て包み隠さず真実であると、無邪気に信じてはいないでしょうか。物事にはひとつの側面だけではなく、報道は平等でひとかけらの悪意もないものではないのだと、鬼塚を通してあらためて知ることになります。見所は鬼塚をはじめとしたマスコミの本音が垣間見られる場面でしょうか。壇の断罪がソフトなだけに、報道の裏に隠された人間の汚さが浮き彫りにされます。

見どころエピソード3:天誅

見所エピソード3:天誅
『ブルータル 殺人警察官の告白』1巻より引用

男の方が大変、女の方が大変。そんな会話が良くされますが、どちらもそれ相応に大変なものです。しかし、性別を理由にこうあるべきだと主張する人間ほど、はた迷惑で腹立たしく感じることもあります。今までは極悪な犯罪者や公に影響力のある人物が登場しましたが、「天誅」では身近にいる悪人が登場します。

男鹿田雄大は、女性を見下した言動の多い男です。満員電車では赤ちゃんを抱える母親に悪態をつき、会社では美人な後輩にお茶を淹れろと催促します。男鹿田は女性が自身のルールにそぐわない行動をしたとき、「天誅」と称しわざとぶつかって謝罪させるなどの嫌がらせを行っていました。

ある日、電車で泣き止まない赤ちゃんに腹を立てた男鹿田は、母親の抱っこ紐の留め具を外してしまいます。赤ちゃんは無事でしたが、母親はケガをし病院に運ばれました。その後も女性を軽視する発言を続ける男鹿田は、飲みに行った帰りに電車で眠りこけてしまいます。そこに、壇が現れるのでした。

男鹿田は過剰な描写がされているとはいえ、ときには彼のように感じる瞬間もあるでしょう。女性目線で見れば腹立たしい存在ですが、女性側が男性に同じことをしていないとは言い切れません。男鹿田のとった行動に弁護の余地はありませんが、どちらかを下げ続けることの不毛さとみっともなさを客観的に見ることができるのではないでしょうか。

本題はもちろんですが、外せない見所は壇の起床時から出勤までの一幕。朝食はフレンチトーストに自作のカップでコーヒーと意外にシンプル。自炊をしているのにも驚きですが、自転車通勤だったことにも驚かされるでしょう。シャワーシーンはファン必見です。

漫画『ブルータル 殺人警察官の告白』は勧善懲悪!イラッとしたときにおすすめ

著者
古賀慶
出版日
2019-11-20

法で裁かれない各種悪人が、壇の善行として裁かれる物語。スカッとするのかと思いきや、登場する事件や事例が現実に近いこともあり、複雑な感情が渦巻きます。

スカッとしたい方におすすめといきたいところですが、イラっとした時に一呼吸置くときにこそ手に取るべきなのかもしれません。背後に壇がいないとも限りませんから。

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