意外と知らないカンガルーの生態!筋肉、ボクシング、袋の神秘などを解説!

更新:2021.11.14

お腹の袋で赤ちゃんを育て、ぴょんぴょんとジャンプをしながら移動する姿がかわいらしいカンガルー。実はこの袋には、お母さんの体をコントロールする不思議な仕組みがあるんです。この記事では、そんな彼らの生態や種類ごとの特徴、筋肉を使ったボクシングや袋の神秘を解説していきます。あわせておすすめの関連本をご紹介するので、ぜひご覧ください。

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カンガルーの生態は?すごすぎる筋肉や生息地など

 

双前歯目カンガルー科に分類される有袋類で、オーストラリアやニューギニア島などの平原に2~10匹の群れをつくり生息しています。

オスの体長は130~165cm、尾は100~120cm、体重は66~90kgで、メスの大きさは、この半分ほどです。草の芽や葉を主食としていますが、体はとても筋肉質。これは筋肉をつくる「タンパク質」を草から生成できる体質をもっているためです。

大きな後ろ肢は跳躍力に優れていて、移動する際の速さは時速50km以上。長くて太い尾は、移動をする際や直立姿勢の際に使っています。

水の匂いを嗅ぎ分けられるほどの嗅覚をもっているほか、視力と聴力もよく、350m先にいる天敵を見つけることができます。野生での寿命は12~18年で、飼育下では28年ほどです。

カンガルーの種類ごとの特徴

 

カンガルー科にはワラビーやワラルーなども含まれています。そのなかから有名なものをいくつかご紹介しましょう。

・アカカンガルー

有袋類のなかでもっとも大きく、動物園や図鑑でよく見ることができます。体毛の色は、オスは赤褐色やレンガ色で、メスは青灰色です。

オスは干ばつが続くと精子をつくらなくなり、メスは青草が十分に育たないと妊娠しないという特徴があります。そのため野生下では、雨の量で個体数が大きく変わってしまうのです。

・オオカンガルー

オスの体長は最大で2mほど。灰色のやわらかい体毛をもつので、別名「ハイイロカンガルー」とも呼ばれています。

跳躍力が特に優れていて、1回の跳躍距離は8mを越えるそうです。生息地であるオーストラリアでは、個体数管理のために毎年多くの数が捕獲され、肉は食用にされたり、毛皮は革製品の材料として使われたりしています。

・クロカンガルー

上述した2種に並ぶ大型の種類です。体毛は淡い灰色や褐色をしており、腹面は白っぽく、四肢と尾の先は黒くなっています。

日中は日陰で休み、夜に草や低木の葉などを食べる夜行性。成長したオスはカレーに似た強い体臭を発するのが特徴です。

・カオグロキノボリカンガルー

カンガルー科には珍しく、樹上で生活をする種類です。前肢が筋肉質で、爪を使って木に登り、長い尾でバランスを取ります。

小型のクマのような愛らしい見た目が特徴。森林伐採の影響や、食肉用として狩られたことで個体数が減っていて、準絶滅危惧種に指定されています。

・ワラビー

小型種で後ろ肢が小さく、尾も短いのが特徴です。跳躍移動やお腹の袋で赤ちゃんを育てるなど、カンガルーと同じ習性をもちます。体が小さいためペットとして飼うことも可能で、日本でも人気がありますが、ニュージーランドでは害獣として扱われています。

カンガルーの性格は?繁殖期にはボクシングも……!

 

オスが繁殖期にみせるのが「ボクシング」と呼ばれる行動です。 まず肢を硬直させた歩行で敵前へ進み、体をかいたり、舐めたりという仕草をします。

その後まっすぐ立ち上がって前肢を組み合わせ、尾を支柱にして後ろあしで強烈な蹴りをくり出し、相手を地面へ倒すのです。

この闘いはメスを奪い合うほか、獲物や休息場所をめぐっておこなわれることもあり、縄張りそのものを守るためではないと考えられています。

ただ実際の彼らの性格はとても臆病で、天敵が近づくと尾を地面に打ち付けるなどして群れに危険を知らせ、全力疾走で逃げます。

カンガルーの赤ちゃんは超未熟児!袋と繁殖の神秘

 

36日間の妊娠期間を経て誕生する赤ちゃんは、およそ0.8gと超未熟児。しかし生まれたばかりの彼らは、お母さんの体をよじ登り、自らお腹の袋に入るのです。

袋の中でおっぱいを見つけると、1~2ヶ月間は乳頭に吸い付いたまま成長。生後10ヶ月が経ち体重が5kgほどになると、袋では運べなくなるため外に出ます。その後も18ヶ月頃までは母乳を飲んで育ちます。

カンガルーのメスの発情周期は妊娠の影響を受けないので、出産してすぐに交尾が可能です。この時にできた胚は「胚盤胞」といって細胞の段階で成長を止めることができます。これは袋の中の子どもがおっぱいを吸う刺激にお母さんの体が反応して起こるもの。

つまり袋に子どもがいる場合は、妊娠はしても胚盤胞の成長を止めることができ、出産時期を遅らせるのです。

すでに生まれている子どもが袋から出て乳離れをすると、休止していた胚盤胞は成長を再開し、新しい胎児が育つ仕組みになっています。

写真で楽しむ絵本

著者
中野 博美
出版日
2006-10-25

動物園で暮らすカンガルーの暮らしを紹介した写真絵本です。彼らの体のつくりを読者により感じてもらおうと、全ページに文字はありません。モノクロ写真だけを使用しているのが本書の特徴です。

見返しには簡単な解説も載っているので、生態などの基礎知識もしっかり学ぶことができます。絵本でありながら写真集のようでもあり、字の読めないお子さんも大人の方も楽しめる一冊です。

袋の無いお母さんカンガルーがとった行動は?

著者
エミイ ペイン
出版日
1994-08-01

お母さんカンガルーのケイティにはポケットがありません。ほかのお母さんたちのように、かわいい坊やを運んであげることができずに悲しんでいました。

しかし泣いてばかりはいられません。坊やを運ぶにはどうすればよいのかを考え、その方法を探しに行くのです。さてどんな答えにたどりつくのでしょうか。

子どもを愛する気持ちの強さと、困難に立ち向かうお母さんのたくましさに胸が打たれます。「ない」ということにとらわれず、「ではどうすればよいのか」と考えるケイティの前向きな考えに、読者の心も動かされるでしょう。
 

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