好きな後輩の前では素直になれない! ツンデレ加減がたまらない科学部部長・上野さんが、ちょっと変わった発明品を使ってあの手この手で告白しようとする学園ラブコメディが、『上野さんは不器用』。発明品や告白の方法が、「マニアックなエロ」寄りになってしまう上野さんが可愛い作品です。 2018年にはアニメ化もされ、さらに人気が集まる本作。ポップな絵柄で、ラブコメ、ちょいエロ展開を気軽に楽しめます。今回は、そんな本作の魅力と、全巻のおすすめエピソードをネタバレ紹介! ネタバレも含むので、ご自身で読みたい方は、スマホアプリで無料で読むこともできるので、そちらもどうぞ。
常に威張って人を見下すような態度で過ごしていますが、実は後輩で2年生の田中という少年に密かに想いを寄せています。 強気な彼女ですが、彼の前ではなかなか素直になれず、気持ちを伝えることができません。そこで、持ち前の天才的な発明の腕を活かし、毎回おかしな発明品を使って告白を試みます。
たとえば、携帯型ろ過装置「ロッカくん」でろ過した自分のおしっこを飲ませようとしたり、局所的な範囲を不可視空間にする道具を使って、下着を着けていない状態でスカートの中を覗かせようとしたり……。
彼に想いを伝えたい!と考えるあまり斜め上の発想をしてしまう、ちょっとサイコパスじみている彼女が、なんとも可愛いのです。
本作のストーリーは、基本的に一話完結となっています。そのため、ひとつひとつの物語が絶妙なテンポでくり広げられ、主人公の高いテンションと相まって軽快に読み進めることができます。頭をからっぽにしてその独特の世界観にどっぷりと浸れるでしょう。
また本作は、上野さんが毎回おかしな発明品を使って田中に思わせぶりな態度を取るのですが、鈍すぎる彼に最終的にキレてしまう、というお決まりのパターンがあります。
いろいろなことを期待しながらとんでもない行動に出てしまいがちな彼女はもちろん、どんなぶっ飛んだ発明品が出てくるのか楽しみになってきます。
彼女はおかしな使い方をしていますが、発明品はどれも独創的で面白いモノばかり。きっと作者のセンスが、この世界観に大きく影響しているのでしょう。
どうしても田中と接触したい、上野さん。そんな彼女が開発したのが、「ゼロリンシア」です。
一見ただの一輪車のようですが、これは重心をかけて乗ることによってサドルに生命組織を一点集中させ、サドルをデータバンク化し、交互に乗ることによって情報を交換し合うというもの。
簡単にザックリいうと、お互いの股の感触を共有できるというものです。くだらない!しかし、このちょいエロの発想を実現させるために、これを開発させてしまう上野さんは、やはり天才といえるでしょう。
他にも、「平素ロッカー」というヘソに取り付けたセンサーでヘソの挙動を感知できるという発明品では、あまりのくすぐったさに号泣。でも嫌がる姿がちょっとエロくて、なんだか可愛い上野さんなのでした。
田中と接触したいばかりに必死な上野さん。そんなめちゃくちゃインパクト大な彼女に印象を持っていかれがちですが、彼女以外のキャラクターも、まさに個性的。
彼女から、日々変な発明品の被害に合う(ほぼ未遂ですが)田中。上野さんの後輩である心優しい彼ですが、少し、というか、かなり天然な性格のようです。そうでなければ、上野さんからのセクハラまがいの行為をあんなに飄々と回避できるはずがありません。
そんな田中より、さらに後輩の山下も個性的。眼鏡がトレードマークで読書好きな彼女は、いかにも優等生タイプに見えます。しかし、実は口調がキツかったり、すぐに金に釣られるなど意外な一面も持ち合わせている人物です。
さらに上野さんと同学年の北長も注目でしょう。水泳部である彼女は、上野さんから覗き対策として「キルトハイド」というものを開発してもらいます。これで男子の目線も気にならない……と思ったからなのか、なんなのか、理科室でいきなり水着を脱ぎ出してしまうちょっと破天荒な人物です。
他にも新体操部の東川など、まだまだ個性豊かな人物が登場。彼らの動向にも注目です。
今日も科学部の部室を訪れた田中を、部長の上野さんが待ち構えていました。彼女が取り出して見せたのは、携帯型ろ過装置「ロッカくん」。彼女によれば、これを使うと世紀末級のドブ水も、大地の泉レベルに浄化できてしまうといいます。
しかし、彼女が突然差し出してきたのは、ロッカくんでろ過したという彼女のおしっこ。浄化されて「桃色天然水」となったそのおしっこを、なんと彼女は彼に飲めというのです。
やや引いている彼を、サバイバルな場面で確保できる水源はこれだけだと強引な理屈で説き伏せ、なんとかして飲ませようとするのですが……。
お前に飲んでもらいたいからに決まってんだろ!!
(『上野さんは不器用』1巻より引用)
- 著者
- tugeneko
- 出版日
- 2016-09-29
第1話から、いきなり「おしっこを飲め」という名言(迷言?)を言ってくる彼女に、読んでいて度肝を抜かれてしまいます。しかし、この冒頭のシーンだけで彼女のキャラクターの濃さがわかってもらえるのではないでしょうか。
好き=おしっこを飲ませたいという発想がそもそも問題なのですが、そこは素直になれない彼女の不器用さが表れたからこその行動なのです。
どうにかして彼に告白したいけれど、発想が斜め上過ぎて逆に伝わりません。そんな彼女と、普段は強気な彼女に押され気味だけど、鈍すぎてその想いにはまったく気が付かない田中という噛み合わないコンビの掛け合いが、ハイテンションで展開されます。
また科学部には山下というもうひとりの部員(女子生徒)がいますが、彼女はどうやら上野さんの田中に対する気持ちに気付いている様子。しかも彼女は、ろ過されたおしっこも飲んでしまいます。3人のゆるい関係性が楽しめる1巻です。
いつものように科学部の部室である理科室にいる、上野さんと田中。喉が渇いたという彼女に彼は麦茶を差し出します。しかし彼女が「今日はこれ持ってた」と小芝居しながら突然取り出してきたのは、「ガラクたん」という発明品でした。
発明主の彼女曰く、「ガラクたん」はその適度な回転力で銀河に働きかけ、いい塩梅の水を出現させることができるといいます。現れた水を「銀河からきた」と力説する彼女と、いまいち要領を得ない田中。
今日も2人はすれ違っていますが、またしても彼女はその「銀河の水」を強引に彼に飲ませようとしてきます。まずは自分が飲んで見せますが、何か言いたげな表情で彼を見ている彼女の目的とは?
- 著者
- tugeneko
- 出版日
- 2017-04-28
「銀河から来た水」という代物を飲むように言われたとしたら、誰でも引いてしまうのではないかと思うのですが、今回も彼女は発明品を使って田中に強引に迫ってきます。
まずは自分がペットボトルの水を飲み、それを彼にも飲むように言うのですが、今回の目的は「間接キス」。それを銀河の水でやってしまおうというのですから、さすがは彼女といったところです。
しかも、2巻ではその他にも自分の使用済みの二―ソックスを彼に被せようとしたり、相変わらずマニアックともいえる方法で愛を伝えようと一生懸命ですが、彼の方も相変わらずの鈍感ぶり。けれどたまには彼の方から来ることもあり、そんな時の彼女の焦りようがまた可愛らしいです。
また、この巻では水泳部部長・北長さんも登場。彼女も彼女で突然裸になる個性(?)の持ち主で、さらに濃いキャラクターが増えてしまいました。主人公のライバル登場でしょうか?
えっちな気分になるかどうかを聞いてるんだよ?
(『上野さんは不器用』2巻より引用)
田中に向かって「横になれ」と言ったかと思ったら、いきなり彼の顔の上に座ろうとし始めた上野さん。今回彼女が履いていたのは「インビジブルマ」という発明品で、空気層を作り出してどこにでも座れるようになるという代物でした。
その後も、空気椅子のような姿勢でインビジブルマの効果を披露する彼女でしたが、それをなぜ彼の顔の上でやろうとするのかはわかりません。しかもインビジブルマには緊急停止ボタンが付いており、それを押すと空気層がなくなってお尻が自由落下してしまうというのです。つまり、田中の顔の上に。
彼は自分のスカートの中の桃源郷に興味津々だと思い込んでいる彼女ですが、緊急停止ボタンを押した時、またしても彼女の身に悲劇が起こります。
- 著者
- tugeneko
- 出版日
- 2017-10-27
またしても彼女の無茶ぶりと、田中の塩対応で幕を開けた第3巻。他にもスカートをハサミで切らせようとしたり、おへそを押させてアヘ顔を披露したりと、巻を追うごとにだんだんと直接的なボディタッチが増えてきている気がします。
不器用すぎて、もはやセクハラといっても過言ではないレベルのコミュニケーションですが、これに対して動じない田中もなかなかのキャラクターです。しかし今回の彼は、なんと彼女をお姫様抱っこ。いつもは飄々とした彼ですが、時に思ってみなかった行動に出ることがあり、それが原因で真っ赤になってしまう彼女……というパターンも定着してきました。
また、この巻では2組の新キャラクターが登場。1組目は陸上部の部長・西原さん。校舎の3階まで垂直飛びで登れるという人間離れした超運動能力の持ち主ですが、新陳代謝がよすぎて大量の汗をかくことに悩んでいるようです。
そしてもう1組は、田中の双子の妹たちである1年生のみずなと、よもぎです。妹たちは田中と違ってやたらとテンション高め。上野さんの発明品をめぐってケンカし、兄に怒られてしまいます。しかも田中がお兄ちゃんらしい威厳を見せており、上野さんを驚かせます。
2人で科学部の部室にいる、田中と山下。静かだった室内に突然謎の音声が流れてきます。
私は何処にいるでしょうゲームを始める
(『上野さんは不器用』4巻より引用)
なんと上野さんは新開発の装置を使ってどこかに隠れているようで、音声は自立展開型全方位拡声器「空耳さん」から出ているというのです。理科室内にいるという彼女を探し始める田中でしたが、いろいろと探し回ってみても一向に彼女は見つかりません。
そこへ、彼女からネタばらしが。彼女は「マリッチヴェール」という発明品を使って全身を光学迷彩で覆い、認識不可能な超ステルス状態となっていたのでした。得意げな彼女ですが、ここで田中が意外な才能を発揮。その超ステルス状態を見破ってしまい……?
- 著者
- tugeneko
- 出版日
- 2018-05-29
田中のアホ面を見るためだけに作られた、この「マリッチヴェール」。ステルス状態で姿が認識できないのをいいことに、彼の顔を至近距離でじっと見上げる彼女の本当の目的は、おそらくアホ面を見ること以外にあったのではないかと思われます。相変わらず素直になれません。
「斥力ⅡΘ(せきりょくツーシータ)」という靴下のような形状の発明品を使う場面で、田中にしがみつこうとするのはまだ可愛いのですが、4巻では「スケールナイト」という全裸に洋服を投影する装置などというものまで登場。下着もつけずに彼の前に現れる彼女は、強すぎてもはや告白の域を超えているような気も……。
また、この巻でもテニス部部長の南峰さんという新しいキャラクターが登場します。ポニーテールとテニスウェアが可愛い印象ですが、彼女はどうやら男嫌いの様子。
上野さんの作った「リアスコート」という発明品を試してみようとする南峰さんは、突然スコートを脱ぎだしたりして周りを慌てさせます。またしても、『上野さんは不器用』の世界に濃いキャラクターが加わってしまったようです。
ある日の理科室では、そこにはバーテンダーっぽい顔?をしながらシェーカーを振る上野さんの姿が。そして彼女の前でそれをじっと見ながら時を待つ、山下。それを見ながらポカンとする田中。
上野はそんな彼に「ダブルシェルピーチ」なるカクテルをふるまいます。そしてとりあえず座らせると、「例のブツは持ってきたんだろうな」と聞くのです。
そこから、上野さんのいつもの発明品が出てくるのですが、今回はちょっと変態度が高めで……!?
上野さんは不器用 5 (ヤングアニマルコミックス)
2018年12月28日
今回の発明品は、「ハンドリー」。対象物と添加物をシェーカーで混ぜることにより、そもそも対象物にはなかったもの(汚れやにおいなど)を飲み物にしてくれるというものでした。
上野さんが小難しく言ったことを簡単に説明しましたが、まだ分からない方もおられるでしょう。もしくはどう使うかが分からない方も。そこで彼女が優しく実践して教えてくれるのです。
まず、山下が履いていたパンツをシェーカーに入れ、「誘体分離誘発結晶」なるものをそこに投入し、シェイク。
そこで完成するのが、「ストライプマウンテン」のカクテルなのです!
汚い
(『上野さんは不器用』5巻より引用)
一刀両断し、さらに「汚水」と吐き捨てる田中。もちろん女子2人からひどい言葉をぶつけ返されます。もちろん上野さんが狙っていたのは田中の下着なのですが……。
5巻になっても衰えない残念さ、微エロさ。ついついニヤニヤしてしまいます。
相も変わらずおバカな発明を使って田中に近付こうとする上野さん!
「キネシスレット」「アレイベル」「テデスコープ」「キャミソーメン」「スペースニーカー」などなど、とんでもない発明品が今巻でも目白押し!
さらに、巻末には上野さんが科学部に入ったときのお話が……!
- 著者
- tugeneko
- 出版日
- 2019-03-29
ある日、田中が部室にやってくると……部長が少し浮いていた!
この回の発明品は「スペースニーカー」。空間を踏み宙に浮ける、といった代物らしいです。
なかなかコツを掴めず、田中も山下も上手く宙は歩けませんでした。
そこで上野さんが、宙を歩く姿をお手本として見せてくれると言いますが……
今回の装置は頭上をうろつくものであるためしっかりと重ねばきを行なっている
つまり どれだけスカートを覗いてもパンツは見えないからな!
(『上野さんは不器用』6巻より引用)
またしても繰りだされた上野さんのセクハラ発言!しかし、田中は相変わらずの塩対応で……
もう、安定の塩対応が心地良くなってきた最新第6巻!
上野さんの過去が明かされるお話も収録されているので、見逃し厳禁ですよ!!
田中が好きすぎるあまり、ツンデレなのか変態なのかわからない行動に出てしまう上野さんが楽しい『上野さんは不器用』。たとえおかしな行動が多くても、一生懸命好きな気持ちを伝えようとしている彼女が愛おしく思えてしまう作品です。アニメ化も決定しているので、この機会にぜひ読んでみてはいかがでしょうか?