甘酸っぱい青春ラブコメディの主役は人間と、亜人!?異種族間ならではの違いを描きつつ、ポップで可愛らしいノリと絵柄で面白おかしく読ませてくれる楽しい作品『あおはるデミデイズ』。 恋愛展開を描きつつ、ドロドロした重苦しさを感じさせず、むしろ読むと元気にさせてくれる温かい作品です。今回はそんな本作の魅力をネタバレ紹介していきます。
- 著者
- 猫星にゃ~
- 出版日
- 2018-03-01
思春期を迎えた者の体の一部が、異形に変化してしまう症状「思春期症候群(デミ・コンプレックス)」。
この症状により、おとぎ話に出てくるような、妖怪・妖精などを思い起こさせるような身体的特徴を持つ少年少女達が、人間と変わらないように生活する事が当たり前となっていました。
そんな世界のとある学校にて、今日も亜人と人間の少年少女達が、平穏で淡い恋愛模様をくり広げているのでした。
ここからは、本作に登場する各カップルについてご紹介します。まず一組目のカップルは、人間の優くんと、ミノタウロスの亜人、ミノちゃんです。
この2人は幼馴染であり、付き合い自体はとても長いのですが、思春期特有の素直になれない気持ちから、いまいち恋人として意識し合う関係にはなれていません。
ミノちゃんは、ミノタウロスの亜人だけあって、牛らしい角が生えたちょっとふとましい体形の女の子。加えて、立派な体から生み出されるパワーもかなりのものだったりします。
対して、優くんは少し目つきと口が悪く、特にミノちゃんに対しては辛辣な振る舞いが目立つ男子です。しかし、そのあたりの強さは、ほとんどがミノちゃんに対する恋心を隠し、かつ周囲から冷やかされないための照れ隠しによるものでした。
しかし、少し恋愛に疎いミノちゃんは、単に距離を置かれていると考え、優くんの憎まれ口に対し、意地悪を言って返す、といった関係が続いていました。
しかし、そんな2人も作中で少しずつ、お互いの気持ちを素直に吐き出す事が出来るようになり、いつしか幼い頃と同じように会話できるようになるのです。
作中でも相手を恋愛対象として意識しているのは主に優くんの方ですが、無意識に優くんに好意を寄せていくミノちゃんの様子も、また可愛げがあって魅力的だといえるでしょう。
旦那を尻に敷く夫婦のような関係性が楽しく感じられる2人です。
余談ですが、ミノちゃんは作中でもかなり濃いキャラをしており、ワードチョイスも愉快なものが揃っています。実に魅力的なキャラクターですので、ぜひチェックしてみてください。
続いてのカップルは、インキュバスの亜人、帝くんと、かなりインドア派な女の子、有栖川さんのカップルです。
帝くんは、インキュバスの特性によって、目が合った異性を虜にすることが出来る能力を持っています。しかし、帝くんの性格もあって、能力を積極的に使う事はなく、異性に対して奥手なままとなっています。
対して、有栖川さんは上品な見た目の黒髪美人といった外見の女の子です。そのため、周囲からは憧れられつつも、やや距離を置かれていたりします。
しかし、その中身はオタクっぽい趣味をなかなか表に出せず、気兼ねなく自分の趣味を語り合うことが出来る友達を探している、可愛らしい女の子。
そんな2人の関係は、お互いに内向的な趣味が共通しており、実に仲睦まじい友達同士といった様子です。さらに、なぜか有栖川さんには帝くんの魅了が効きません。(理由は作中で明らかになりますが、詳しくは本編をお読みください。)
インキュバスと人間という間柄でありながら、普通の初々しいカップルのような関係である2人は、読んでいてとても可愛らしく感じられます。
作中では最も素直に好き合っているカップルといえるのではないでしょうか。
次のカップルは、人間の松平くんと、狐の亜人の久尾さんの2人です。久尾さんは狐女として、狐の耳と尻尾が生えているのが特徴の亜人です。
彼女の見た目の派手さと、亜人であるということの偏見によって周囲から嫌われており、そのせいであらぬ噂を吹聴されてしまって孤立しているという日常を送っています。
そんな久尾さんに対し、周囲の評判など気にせずにどんどん関わっていくのが松平くんです。彼は、持ち前の実直さと、ド級の鈍さによって、唯一久尾さんに対して偏見を抱かずに接しています。
久尾さんは、そんな松平くんの事を当初煩わしく感じていましたが、あらぬ噂に流されず、自分を擁護してくれる松平くんに好意を抱くようになっていくのです。
この2人は、他のカップルに比べて少し切なくなるエピソードが盛り込まれていますので、少ししんみりしたい時には必読の内容となっています。
最後にご紹介するのは人間の飛鳥くんと、怪鳥の亜人、ひばりちゃんのカップルです。
ひばりちゃんは、アイドルを夢見るちょっとおバカな女の子。ですが、亜人としての特性が邪魔をして、歌声そのものが人間にとって命を奪いかねない音響兵器となってしまうのでした。
そんな彼女に対し、渋々ながらも歌の練習に付き合おうとするのが飛鳥くんです。
彼はひばりちゃんのおバカさ加減に対し終始厳しいツッコミを入れつつも、彼女の想いを尊重して歌の練習に付き合います。どちらかというとカップルというよりはお守りに近い関係性といえるかもしれません。
しかし、少しずつ飛鳥くんの中にも情が生まれてきたようで、徐々にひばりちゃんと離れる瞬間を寂しいと感じるようになっていきます。
今回ご紹介したカップルの中では一番恋愛っぽさが感じられない間柄かもしれませんが、そんな2人だからこそこれから恋愛関係に発展していきそうなワクワク感が得やすいかもしれません。
様々なカップルの愉快な青春物語が楽しい『あおはるデミデイズ』をご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
今回ご紹介した以外にも、まだまだカップルが登場するようで、今後も楽しみな作品といえるでしょう。ぜひ一度ご一読頂ければと思います。