本作の主人公・孫悟空の息子。ヒーローの子供、という異色の立ち位置で生まれた彼は、作中で劇的な変化を遂げました。 実はキレたら最強であることを知ってましたか?調子に乗るのが玉に傷ですが、今回はそんな彼についてご紹介しましょう。
本作の主要人物の1人。第23回天下一武道会で、電撃結婚を果たした主人公・悟空とチチの息子です。初登場は17巻で、当時の年齢はまだ4歳でした。
彼は戦闘好きの父、好戦的なサイヤ人の血筋にも関わらず、幼い頃から一貫して争いごとを嫌う優しいキャラクターです。子供に甘く、教育ママでもあるチチの影響かも知れません。サイヤ人襲来までは武術からは離して育てられました。
- 著者
- 鳥山 明
- 出版日
- 1992-03-01
エイジ757年5月に誕生。成長後は悟空に似た体格に変化します。身長は176cm、体重61kgと髪型以外は瓜二つです。サイヤ人と地球人のハーフなので、血液型は不明。幼少期にはしっぽが生えていましたが、成長してからは見られなくなりました。成長後は頭のいいイケメンに。
混血は強くなるとベジータに言われた彼は、その予言通りに原作本編の終盤で驚異的に強くなりました。本編中で詳しい名称は付けらませんしたが、後年のゲームなどの媒体で最強形態の彼を「アルティメット悟飯」と称した頃から、事実上そのように呼ばれています。
アニメ版、映画版では幼少期、人里離れた場所に住む彼の友達として、ハイヤードラゴンというオリジナルキャラクターが出てきていました。
名前ですが、これは悟空の育ての親・孫悟飯に由来します。
サイヤ人の悟空は、いうまでもなく地球に親はいませんでした。孫悟飯(通称・じっちゃん)が拾って育てたことで、彼は腕白ながらも真っ直ぐな少年に育ったのです。
また彼の武術はじっちゃん仕込み。名の知れた武術家でもあり、亀仙人の1番弟子でもありました。世の中が狭いというより、世界に名だたる拳聖に師事しようとした結果、必然的にそうなったのでしょう。
悟空がじっちゃんと呼び親しみ、尊敬していたほどの存在。我が子に同じ名前を与えた、彼の真心と気持ちが伝わってくるようです。
まあ、悟空のあの性格ですから、思い付かなくて適当に付けただけかも知れませんが。
初登場の彼は、幼少期の悟空そっくりのかわいい男の子でした。当時はツンツン頭ではなく散切りの長髪で、髪型だけは違いました。髪の毛はその後、チチの手でおかっぱ頭になります。
- 著者
- 鳥山 明
- 出版日
- 1992-06-01
邪念がなく、チチが丹念に育てたおかげで筋斗雲に乗れるほど純粋。ただ教育がいきすぎたのか、温厚な性格が徒となってナメック星までは決断力のないヘタレのように描かれました。
ただ普段は臆して力を出さないものの、キレると爆発的に強くなる場面があり、悟空の血を引く確かな素養を感じさせました。
悟飯はサイヤ人襲来編でラディッツの襲撃を受けるまで、肉体的にはともかく精神的には普通の少年と変わりありませんでした。
しかし、ラディッツとの決着で垣間見せた才能を、ピッコロは敏感に見抜いたのです。
- 著者
- 鳥山 明
- 出版日
- 1990-01-01
悟空は死に、地球の戦力は圧倒的に低下。サイヤ人の本隊たるベジータの襲来迫っており、誘致はない状態でした。ピッコロは強引に悟飯を連れ出し、厳しい修行を行います。そんな1年間の修行のなかで、彼はピッコロに懐き、ピッコロも彼との交流で大きく変化したのです。
そしてベジータ達との戦いで、ピッコロは死亡。彼が神と一心同体だったことから、ドラゴンボールも消滅しました。そこで彼は、サイヤ人との戦いで死んだ者達を生き返らせるため、ナメック星人である神の故郷・ナメック星に向かいます(フリーザ編)。
ナメック星のポルンガに頼み、復活したピッコロが窮地に駆け付けたシーンの彼の喜びようは、尋常ではありませんでした。ある意味で、2人の間には親子以上の絆があるのです。
彼がピッコロと同じマントを羽織り、物語中盤まで魔閃光などを主軸に戦う辺りにも、その絆が感じられます。
『ドラゴンボール』には本編の時間軸の他、人造人間編で未来からやってきたトランクスの時間軸があります。
この2つの時間軸は明確に別世界として設定されていて、未来のトランクスがいた世界は悲壮感漂う絶望的な世界となっているのです。
- 著者
- 鳥山 明
- 出版日
- 1992-10-01
そこでは中心人物にして精神的支柱たる悟空は病死し、ドクター・ゲロに設計されていた人造人間17号、18号の手によってベジータやピッコロも殺されていました。クリリンやヤムチャなど、他の戦士も同様です。特にピッコロが死んだのは最悪の展開で、同時に神も消滅したためドラゴンボールも神龍も存在しないのです。
生き残ったのは悟飯と、まだ幼く戦禍を逃れていたベジータの息子・トランクスのみ。
まさに絶望。
悟飯は人造人間に対抗するなかで超サイヤ人に覚醒しますが、力及ばず徐々に追い詰められていきます。トランクスを庇って片腕となっても、最後まで反抗し続けました。彼はトランクスこそが最後の希望になると読み、彼に全てを託し、人造人間達に殺されたです。
このエピソードで悲惨な経験を経たトランクスは、静かな怒りと哀しみで超サイヤ人となり、未来を変えるためにタイムトラベルを決意するようになりました。
未来トランクスの介入で、現代の運命は変化。人造人間との戦いはセルとのバトルに変わっていきました。
- 著者
- 鳥山 明
- 出版日
このセル編で、悟飯はキレることで自身に秘められていた才能に目覚め、その時点で悟空すら出来なかった超サイヤ人2へと進化。最終的に悟空の魂とともに放った必殺技のかめはめ波で、セルとの争いに終止符を打ちました。
この一件と底知れない才能から、本気でキレた場合に最も強いのは彼なのではといわれるようになったのです。
ブウ編で成長して肉体的に完成した彼は、都会の高校に進学して初めて同年代に囲まれます。なるべく目立たないよう過ごそうとするのですが、根っからの正義漢のために悪事に介入することもしばしば。
外見を誤魔化すために超サイヤ人となっていましたが、金色の戦士として有名になり、やがて本格的に変装を始めます。この自警活動時に、後に妻となるビーデルと出会って、天下一武道会に出るまでに良好な関係へと発展しました。
あらためての紹介となりますが、父親は孫悟空です。作中で多大な活躍をする世界的にも有名な主人公。
- 著者
- 鳥山 明
- 出版日
- 1991-01-01
真面目な息子と違い、彼は自由人で、最強の武闘家ながら無職という残念さ。戦うことに関しての才能は誰よりも長けていますが、それ以外のことには無頓着なようにも見えます。
それでも子を想う気持ちは強く、セル編のラストでは死んで魂となって悟飯に寄り添い、親子かめはめ波を実現しました。そして彼の想いを背負った悟飯は、見事セルを倒して見せたのです。
妻であるビーデルは悟飯の高校の同級生で、セル編で衝撃デビューしたミスター・サタンの娘です。
- 著者
- 鳥山 明
- 出版日
- 1993-11-01
実父と違って確かな実力と正義の持ち主。若くして自警活動に勤しみ、悟飯と出会い、後に結婚しました。子供を設けてからは戦うことはなくなります。娘の名前はパン。
基本的に夫婦円満ですが、アニメ版では独自展開としてココアというキャラとの浮気が取り沙汰されました。
作中最強ともいわれる彼ですが、小さい頃からの夢(チチの願望)は学者でした。
終盤にはその念願叶って、立派な学者になります。専門は不明ですが、名実ともに眼鏡の似合うキャラとなりました。
彼は好戦的なサイヤ人、戦い好きな悟空とは対称的なキャラです。バトルメインの『ドラゴンボール』キャラクターのなかでも毛色の違う存在で、その性格は台詞にも大きく反映されていました。その分、印象的な場面も多数あり、そのなかで選りすぐりのベスト5をご紹介したいと思います。
第5位:
「わたしは正義を愛する者、グレートサイヤマンだ!」
(『ドラゴンボール』36巻より引用)
人造人間編までのシリアスな空気を吹き飛ばす、まさかの学園モノ。しかも変身ヒーローのノリ。高校進学した彼は、かのギニュー特戦隊を彷彿とさせる変な趣味で善行をおこない、周囲を沸かせました。
第4位:
「もうゆるさないぞ。
おまえたち…………」
(『ドラゴンボール』34巻より引用)
ついに覚醒。超サイヤ人の壁を越えた超サイヤ人2のパワーで、悟空やベジータを襲っていたセルジュニアを瞬殺しました。
第3位:
「もうとどめを?
ふふ、まだ早いよお父さん。
あんな奴はもっと苦しめてやらなきゃ」
(『ドラゴンボール』35巻より引用)
完全体セルすら上回る超サイヤ人2の力で、彼はセルを圧倒。そのまま倒してしまえばよかったのですが、ここで彼の悪癖が出てしまいます。魔人ブウ編でもそうですが、彼は高揚感からか、あるいは普段の抑圧の反動か、優位に立つと調子に乗る場面が出てくるのです。
Sっ気を出した彼はこの後、手痛い教訓を得ることになります。
第2位:
「ボ……ボクは、ほんとうは戦いたくないんだ……
殺したくないんだよ……
……たとえおまえみたいにひどいヤツでも……」
(『ドラゴンボール』34巻より引用)
好戦的なサイヤ人らしからぬ、あまりにも優しすぎる本音です。超サイヤ人2には未覚醒でしたが、本能的に潜在能力が上回っていると感じたのでしょう。戦う前から勝てるような言動をしてしまい、結果としてセルを煽ってしまいました。
第1位:
「おとうさんを……いじめるな――――っ!!!!!」
(『ドラゴンボール』17巻より引用)
サイヤ人襲来編の尖兵・ラディッツとの決着の場でのこと。感情の発露と力の解放は彼の特徴です。宇宙船に捕らえられていた幼い彼は、父・悟空の窮地に無我夢中で感情と力を爆発させ、ラディッツに痛烈な一撃を与えました。後に開花する才能の片鱗を感じさせる一幕でした。
わざわざいうほどのことではありませんが、皆さんご承知のとおりに『ドラゴンボール』とは孫悟空の物語であり、主人公は悟空でした。しかし、その前提は人造人間編の終盤で崩れます。
彼はセルの道連れになり死亡、復活したセルと決着を着けたのは超サイヤ人2となった悟飯でした。悟空の息子が父親越えを成し遂げたのです。7年後、平和の戻った世界で彼は高校へ進学。この時点で主役は完全に息子へとスイッチしていました。
- 著者
- 鳥山 明
- 出版日
- 1995-06-01
その後、魔人ブウ編が始まります。天下一武道会開催で各地の猛者、あの世から悟空が訪れたところ、魔人復活を狙う一団が現れて事態は急変します。1回戦で超サイヤ人になった悟飯は襲われ、ブウ復活のためのエネルギー吸収の餌食となったのです。
いよいよ事件に巻き込まれた彼らは、大本の元に向かいました。魔導師バビディ、魔王ダーブラ、そして魔人ブウ。頼みの悟空は現世滞在時間が過ぎ、ベジータは力尽きます。残された希望は幼い弟の悟天、ベジータの息子・トランクス、そして悟飯だけでした。
彼は密かに地球に訪れていた界王神に連れられ、パワーアップのために伝説の剣(ゼットソード)を解放、封じられていた老界王神によって潜在能力を限界以上に引き出されました。これがいわゆるアルティメット悟飯です。こうして力を超越したことから、悟飯最強説も根強く語られます。
ブウも途轍もなく強くなっていましたが、彼はその比ではありませんでした。最強と謳われるのも頷ける力でブウを圧倒するのですが……。
いかがでしたか? 主人公と言っても差し支えない、悟飯についておわかり頂けたことと思います。