彼は本作に登場するサイヤ人の男性です。サイヤ人編は、それまで地球規模だった物語を宇宙規模にまで広げた、まさに本編のターニングポイントでした。その先鞭を付けたラディッツはまさにキーパーソン。今回はそんな彼について詳しく見ていきたいと思います。
彼は、17巻から始まる新しい展開、サイヤ人編の到来を告げた敵キャラクターです。スカウターによる戦闘力の数値化、宇宙スケールの戦いなど、物語上はともかく、メタ的には『ドラゴンボール』の後々の展開を決定付けたキーパーソン。
孫悟空の実兄で顔立ちは少し似ていますが、髪型は乱雑な長髪。戦闘服を着用した初のキャラです。
- 著者
- 鳥山 明
- 出版日
- 2003-06-04
彼はベジータの部下で、フリーザ軍の尖兵の1人です。戦闘力はサイバイマン戦のクリリンと同程度。作中では評価が低いですがエリートです。サイヤ人は素質がなければ赤子時代に侵略予定の惑星へ送られるので、そうでない彼には才能があるのだといえます。
尻尾があるため大猿になれるはずですが、本編では出てきませんでした。
初登場シーンでは個人用宇宙船で地球に来訪。現地人をゴミ呼ばわりするなど、早くから残虐な性格が窺えます。悟空を誘き寄せる目的のため、息子の悟飯を拉致することも厭わないクズな性格です。
声優は千葉繁が怪演。『幽☆遊☆白書』の桑原和真役と同じ人とは思えない悪役振りでした。
- 著者
- 鳥山 明
- 出版日
- 2003-10-03
ラディッツは仲間の2人と活動していましたが、次の目標が3人では苦戦しそうな星だと判断し、弟のことを思い出して地球にやって来ました。その弟がカカロット、つまり悟空だったのです。
悟空と彼は実の兄弟(悟飯から見ればラディッツは伯父)。彼らの父親はバーダック、母親はギネです。
サイヤ人はほぼ全滅し、残った唯一の、しかも肉親が対立するというのは皮肉な話。悟空も兄貴と差し違えることになるとは思わなかったでしょう。
戦闘力は、後に登場するサイバイマンより少し上で1500ほどです。ナッパの4000、ベジータの18000に比べれば遥か格下の感が否めません。
それでも登場時のインパクトは絶大で、悟空とピッコロという当時の最強タッグでも、手も足も出ない強敵でした。
その攻撃はいずれも強力。名前も出ず、妨害されて不発となりましたが、必殺技の強力エネルギー波は想像を絶する威力だったことは、疑う余地もありません。
生まれの違いからベジータらはともかく、同じ血筋の下級戦士であるはずの悟空にも勝てない彼。作中の活躍に比して、ヘタレ扱いされる不遇なキャラです。
本来、彼は落ちこぼれではありません。前述しましたが、将来有望な才能だったはずなのです。
サイヤ人には、死の淵から蘇ると強くなる特性があります。悟空が下級戦士出身にも関わらず強すぎるのは、強敵との死闘を経たため。おそらくラディッツはギリギリの戦いをしたことがなく、そのせいで成長しなかったのでしょう。
- 著者
- 鳥山 明
- 出版日
ラディッツとベジータ、そしてナッパは惑星ベジータ消滅にともない、生き残った数少ないサイヤ人のグループです。その血筋と強さからベジータが上官のようなものですが、彼が支配者ではありません。
彼らサイヤ人のグループは、あくまでもフリーザ軍の1部隊に過ぎません。フリーザを頂点とした、ベジータの独立行動部隊と言ったところでしょうか。
サイヤ人は「野菜」から来ているためか、彼らの名前はほとんどが野菜か、野菜を意味する言葉に由来しています。
ラディッツは、ラディッシュから取られました。和名・ハツカダイコン。悟空の本名がカカロット=キャロット=人参であることから、対比として大根となったのでしょう。
本編では不遇な扱いの彼ですが、近年では『銀河パトロール ジャコ』に収録された「DRAGON BALL- 放たれた運命の子供」に幼少期の姿で客演するなど、少しずつ扱いが変わりつつあります。
また『ドラゴンボールZ Sparking! NEO』というゲームには、彼が主人公となる「運命の兄弟編」という話がありました。
- 著者
- 鳥山 明
- 出版日
- 2014-04-04
地球に来た彼がサイバイマンを使ったところ、不良品で自爆され、彼は記憶喪失になります。偶然にも悟空と出会った彼はしばらく生活し、穏やかさを獲得するのですが、やがて記憶が回復して敵対。しかし悟空一家の生活で変化していた彼は、戦いのなかで改心するのです。
本編よりも兄弟の面が強く押し出され、内面が描かれた良エピソードでした。
彼は1度は尻尾を掴まれて窮地に立たされるも、悟空ピッコロを相手に単独で渡り合いました。ところが悟飯という思わぬ伏兵に大ダメージを負わされます。
隙を突かれ、悟空に羽交い締めにされ、もろともにピッコロの魔貫光殺砲で貫かれてとどめを刺されました。
ラディッツは死亡したものの、ただでは死にません。あの世でも大暴れして、最終的に地獄へ送られました。
- 著者
- 鳥山 明
- 出版日
- 1989-05-01
彼は出番こそ短いものの、『ドラゴンボール』のその後の展開を決定付けた重要なキャラクターです。いわば転機。物語が別の段階へ進んだことを思わせる台詞も多くあります。そんな印象深い名言5選をどうぞ。
第5位:
「戦闘力710!!! ちかいぞ!! どこだ!?
なに!? あのガキだ!!!
くそ……故障か……! おどかしやがって!」
(『ドラゴンボール』17巻より引用)
予想以上に高いスカウターの数値に、彼は狼狽します。悟空の反応だと思いましたが、周囲を探したところ、出所は悟飯でした。そのため故障と断じるのですが、そうではなかったことが後にわかります。
第4位:
「オレのほかに生きのこったふたりのサイヤ人は……
さらに戦闘力が上なんだぞ」
(『ドラゴンボール』17巻より引用)
彼は悟空とピッコロ、2人がかりで相手してもなお上を行く実力者でした。足掻く2人に対して、彼は死刑宣告にも等しい事実を突き付けるのです。
第3位:
「くだらん技だな……ただホコリをまきあげるだけか 」
(『ドラゴンボール』17巻より引用)
ピッコロが放った渾身の一撃でも、ラディッツには傷一つ付きませんでした。サイヤ人編のほんの直前まで、悟空と死闘を演じたあのピッコロの攻撃が、です。絶望的な戦力差をまざまざと感じさせました。
第2位:
「教えてやる!
まずキサマはこの星の人間ではない!!
生まれは惑星ベジータ!!
誇り高き全宇宙一の強戦士族サイヤ人だ」
(『ドラゴンボール』17巻より引用)
ラディッツ衝撃の告白。尻尾を持ち、満月の夜に大猿化していた悟空の起源が、この時に初めて明かされました。
第1位:
「戦闘力……たったの5か……ゴミめ……」
(『ドラゴンボール』17巻より引用)
彼といえば、やはりこれ。地球到着後、初めて出会った現地人の農家のおじさんに対し、こう吐き捨てました。非常にインパクトのある場面だったため、使い勝手のよい彼の台詞ともども、何かとネタにされがちです。
いかがでしたか?本編の内外で弱いことがネタにされがちですが、ラディッツも『ドラゴンボール』に欠かせないキャラなのです。