大人から子供まで楽しめる物語として有名な「ジャックと豆の木」は、古くはイギリスで伝承されてきた物語です。アニメ作品として描かれたり、ディズニーアニメの原作ともなっているジャックと豆の木は、イギリスだけではなく、世界中で人気の本となっています。 この記事では、そんなジャックと豆の木の魅力に迫り、ジャックと豆の木のあらすじと結末などを詳しくネタバレ解説していきます。
『ジャックと豆の木』は、イギリスで誕生した童話で、現在では世界中でよく知られた文学の一つです。ジャックと豆の木はもともと語り部によって伝えられてきた伝承物語であるため、特定の作者がいるわけではありません。17世紀頃から様々なかたちで記録されてきました。
もともと、この民話集は大英博物館にあったアングロサクソンの民話を再話したものであると考えられています。
現在知られている物語の原型と言われており、最も有名なのは、1980年に編集された43編の民話集(English Fairy Tales)にジョセフ・ジェイコブスが記述した「Jack and the Beanstalk」です。その他にも、ベンジャミン・タバート版のものもあります。
『ジャックと天空の巨人』という映画にもなったり、ディズニーの作品としてアニメの作品ともなったりしているのをご存知の方も多いでしょう。
このあとは、本作のあらすじをご紹介します。
- 著者
- 出版日
- 2012-09-10
ジャックという男の子と母がまず初めに登場人物として描かれ、父はジャックが小さい頃に雲の上からやってきた巨人(鬼)に食べられてしまいます。
母と2人で暮らしているジャックは、飼育している牛のミルクを絞って、それを売って生計を立てていました。しかし、牛ももう若くなかったために、あまりミルクを出してくれません。
そんなある日、母は牛を手放し、牛を売ってお金にかえるよう、ジャックに町へ行くようにいいました。
町へ行く途中で、ジャックはある男と出会い、その牛と植物の種(魔法の豆)を交換しないかと持ちかけられます。ジャックは喜んで魔法の豆と牛とを交換してしまうのです。
家に帰ったジャックが母に豆と牛を交換したことを言うと、お母さんは怒って豆を窓から外に投げ捨ててしまいます。
次の日、何とその投げ捨てられた豆が成長し、一晩のうちに天まで伸びていました。
そしてジャックは天まで伸びた豆の木を登っていくと、巨人の家を見つけ、そこから様々なものを盗みだしていき……。
・ジャック
物語の主人公。父を巨人に食べられてしまい、母と2人暮らしをしています。
・母
ジャックと一緒に暮らしており、ジャックが魔法の豆と老いた牛を交換したことに怒って、豆を窓から投げ捨ててしまいます。
・父
ジャックが幼い頃に、雲の上からやってきた巨人に食べられてしまいました。
・巨人の妻
ジャックが城を訪ねたときに、人食いの巨人から守ってくれました。
・巨人
空の上に住んでおり、金の卵を産むことができる鶏を飼っています。
ジャックと豆の木は、イギリスの民謡としてよく知られている物語です。かつて『ジャックと豆の木』の伝承があった時代には、庶民は互いに盗みあって生活をしていました。
つまり、ジャックと豆の木は、その当時の庶民たちが行っていた、他人の目をくらますような幻術で盗み、生活する者たちの物語だったという説があるのです!
ジャックは、巨人の家に不法侵入して、何の罪もない巨人かの家から金の卵を産むことができる鶏を奪って家に帰ってしまいます。さらに、ジャックは犯罪をおこなうことによって、裕福になり、母と幸せに暮らすことになるのです。
巨人の妻からしてみれば、命を救ってあげたはずのジャックに、大切な家の財産を奪われ、夫である巨人も殺害されてしまうのですから、ジャックの残酷さが際立ちます。
ジャックのしていることは、とどのつまり凶悪犯罪とも言えてしまうのです。
ジャックと豆の木から得られる教訓には様々なものがあります。一つ代表的な教訓を紹介しましょう。それは、「怖いもの知らずは、時にはすごいことを成し遂げる」ということです。故事成語で言えば、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」というところでしょうか。
ジャックは、牛と豆という常識的には成立しないような交換を行います。大事な牛を得体の知れない豆と交換して母親に怒られてもめげることなく、その先に何かあることを信じて登るのです。
豆の木の上には、巨人が住んでいることをジャックは知っています。なぜなら、幼い頃に巨人に父を食べられてしまっているからです。しかし、そこに巨人がいるということは、もちろん彼自身も食べられてしまう危険性もあります。
そんな状況のなかでも、ジャックは豆の木の上に登って、そこには何があるのかを確かめようとするのです。
このように、何かを得ようと思ったら、恐れることなく、何事にもチャレンジしていくことが大切であるということを、ジャックと豆の木は伝えようとしている物語とも考えられるのです。
そんな怖い一面もあるジャックと豆の木ですが、子供と一緒に楽しむことができる本として有名です。
ジャックと豆の木には、絵本もあるので、子供と一緒に大人も楽しめますし、様々な絵がかかれた絵本は、子どもの想像力を掻き立ててくれることでしょう。
- 著者
- いもと ようこ
- 出版日
- 2012-08-01
販売されている絵本にも作家さんが書いているので、お気に入りの一冊を探せるというのも魅力の一つと言えます。
特にジョン・シェリーの絵本はジャックが豆の木を登っていく描写がこれから新しい世界へ足を踏み入れるのだというワクワク感を感じさせるものとなってます。
また、いもとようこの絵本は、子供が好きそうなシンプルで丸いフォルムが特徴で、大人までをもほっこりとした気持ちにさせてくれる作風でおすすめです。
『ジャックと豆の木』は、ジャックが豆の木を登って、巨人の家から様々なものを盗み出してお金持ちになるという結末です。
初めて豆の木を登ったその日に、ジャックはそっと巨人の部屋に忍び込んで、巨人が持っていた金貨の袋をひとつ担いで、部屋から逃げ出します。忍び足で部屋を後にしたジャックは、急いで豆の木を降り、まんまと巨人の家から金貨がいっぱい入った袋を盗み出すことに成功します。
その後も、ジャックは巨人の家に侵入して様々なものを盗み出していました。
- 著者
- 出版日
- 2012-09-10
そんなある日、ジャックは巨人が持っていたハープを盗み出そうとして、ついに巨人に見つかってしまいます。
巨人から逃げるために、一目散で豆の木を降りたジャックは、巨人が追ってこれないように豆の木を斧で切り倒してしました。ジャックを追っていた巨人は、豆の木から落ちて死んでしまいますが、同時にジャックも天の上まで登ることができた豆の木を失ってしまいます。
しかし、ジャックは巨人の家から盗み出した数々の盗品のおかげで裕福になり、お母さんと幸せに暮らしたというのが結末です。
この人外の者を倒して金銀財宝を手に入れる、という童話の型は、日本の有名な昔話『桃太郎』にも見受けることができますよね。そして『桃太郎』には、実はもとのストーリーでは鬼は悪いことをしていなかったという説があり、それでは物語にならないから悪事をしていた設定を追加された、という見方もできるのです。
『ジャックと豆の木』も、普通に読めば父親の仇を討つためにジャックが立ち向かい、一件落着という見方もできますが、それすらも歴史の中で曲げられた可能性もあるのです。怖いですね〜。