『3×3 EYES(サザンアイズ)』の魅力を最終回、続編までネタバレ紹介

更新:2018.8.9

インド神話の神々のルーツとなった三つ目の妖魔「三只眼吽迦羅(さんじやんうんから)の生き残りのパイと、彼女の扱う秘術「不死の法」によって不死人「无(ウ―)」となった高校生・藤井八雲が、ともに人間になるための冒険を描いた作品。 連載開始は1987年のヤングマガジン増刊誌からですが、人気が高かったたため、第2部以降は本誌に連載されました。

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『3×3 EYES(サザンアイズ)』ってどんな話だっけ?【あらすじ】

主人公・藤井八雲は、ある日、三つ目の妖怪・パイと出会います。彼の父をきっかけにして出会った彼女と、ひょんなことから一緒に旅に出ることになるのです。

それは、人間になるための旅でした。

ここからは、彼らの物語のそれぞれのパートごとのあらすじを簡単に紹介していきます。

著者
高田 裕三
出版日

第一部 聖魔妖撃編(1巻〜2巻)  

東京新宿区で一人暮らしをしている高校生・藤井八雲は、ある日東京をさまよっている少女・パイを助けます。偶然にも彼女は、行方不明になっていた彼の父、民俗学者の藤井一の遺言を持っていました。   

それによると、一はチベットで遭難したとき彼女に助けられました際に、彼女が「三只眼吽迦羅」という妖魔の生き残りであることを知ったとのこと。彼女は人間になることを願っていましたが、その願いを叶えてあげる前に、彼はこの世を去るとこに……。そして、その願いを息子の八雲に託そうとして、彼女に八雲宛ての遺言を託したのでした。  

その時、パイの使い魔であるタクヒが暴走し、八雲が殺されかけます。その際に彼女が不老不死の法を使って、彼の魂を自分と同化させて、彼の肉体を不死身の无(ウー)にしてしまいました。最初はまったく信じなかった彼ですが、真実を目の当たりにし、彼女とともに人間に戻るための方法を探しに香港へ向かうのです。  

聖魔妖撃編では、パイが人間になれるかもしれない手がかりとなる「ニンゲンの像」が登場。一体これはどういったものなのでしょうか。そして彼らは、無事に人間になる(戻る)ことができるのでしょうか。

第二部 聖魔伝説編(3巻〜5巻)  
 

ベナレスとの戦いで記憶を失い行方不明となったパイは、綾小路家に引き取られ「綾小路ぱい」という名の普通の女子高生として暮らしていました。しかしある日、自分の力を狙う妖怪たちに襲われたときに眠っていた力を開放してしまいます。その際八雲によって介抱され、彼女は自分が人間でないことを知りまるのです。    

菱形のあざに仕掛けられた術のために、未だに記憶が戻らない彼女。そんな彼女のために2人は中国へ渡り、三只眼吽迦羅の故郷「聖地」へと向かいます。

しかし、聖地は鬼眼王との戦いで荒れ果ててしまい、三只眼吽迦羅は全滅してしまっていたのです。  ここで起こったこととは……。

第三部 聖魔世紀編(6巻〜11巻)  

再会した2人は、再び冒険に出ることになります。しかし彼らは、三只眼の不死の力を狙う憑魔一族に狙われてしまうのです。

戦いの果てに憑魔一族と和解した彼らは、聖魔石のかけらを発見します。しかし鬼眼王シヴァの幻影によって、三只眼(パイ)は昏睡状態となってしまうのです。パイ救うため、そして三只眼の精神を解放するため、八雲は秘術商人のハーンと、彼女の精神世界へ入ります。

そこで八雲は、人間いあるための人化の法は、三只眼吽迦羅が3人必要であるということを知りるのです。彼らは人間になれないままなのでしょうか。しかも落胆する彼に、さらなる追い打ちが。なんと、心優しかったシヴァが、邪悪な鬼眼王へと変化してしまったのです……。

第四部 聖魔創世編(12巻〜40巻)  

東京では、パイの額に打ち込まれていた化蛇である綾小路葉子が、失っていた化蛇としての記憶を取り戻しつつありました。一時的に暴走するものの八雲の尽力により元の記憶を取り戻し、仲間となります。彼女は、かつてベナレスを封印した魔導士マドゥライの存在を彼らに伝えたのでした。  

マドゥライの末裔がイギリスにいると知った彼らは、マドゥライの末裔と、本人を見つけます。八雲とパイは彼に師事して力をつけていきますが、その最中に鬼眼王の力が弱まり、ベナレスが弱体化をしている事実を知るのです。  

その後東京に現れたベナレスと対峙した八雲は、彼から3人目の三只眼吽迦羅がいるという情報を得ます。しかし、その人物は亜空間に存在しているとのこと。不本意ながら八雲はベナレスと休戦し、亜空間アンダカへ3人目の三只眼吽迦羅を捜索することになるのです。  

アンダカに存在したのは、巨大な球体に変形した无アマラと、その内部に住む神民達。八雲はそこで、アマラの主ウシャスと、その複製体のラートリーと出会います。 

 一方ベナレスは、无アマラが変化した球城アマラを東京に召喚。ラートリーと三只眼を拉致して、ウシャスと八雲を聖地まで誘導させようとします。そこで鬼眼王の封印を解き、人化の法を執りったのです。

果たして彼らの運命は……。

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『3×3 EYES(サザンアイズ)』の登場人物を紹介!

ここからは本作のキャラクターについて、細かくご紹介していきます!

 

  • 藤井八雲 

    糸目が特徴の、本作の主人公。初登場時は16歳の高校生で、性格は明るくお調子者です。パイや仲間たちが危機に陥ったときは命がけで助けようとする、根っからの仲間思い。 

    父親は、民俗学教授・藤井一。八雲が物心ついたときから海外へフィールドワークに出ているような人物で、母親は八雲の幼少時にネグレクトをして家をでてしまうなど、あまり家族に恵まれているとはいいがたい環境で育ちました。

    第1話でパイを助けて保護した後、暴走した彼女の使い魔・タクヒに殺されかけてしまいます。そこでパイの不老不死の法によって、不死の体になることで命を救われるのです。 

    彼はその後、父親の遺言通り彼女を人間にするための旅に出ます。当初は不死身の体になったことに浮かれていた面もありましたが、不死身以外はまるで力がないために、パイの足を引っ張ることも。しかし、やがて武術や獣魔術を学び、徐々に力をつけていくのです。 

     
  • パイ 

    三つ目の妖魔「三只眼吽迦羅」の生き残りで、2つの人格を持つ少女。チベットで1人で暮らしていたところ、遭難した民俗学教授の藤井一を救います。彼女は人間になることを決意しますが、一は志半ばで息絶えたため、彼の思いは東京にいる息子・八雲に託されました。 

    八雲の元を訪れた彼女は、暴走したタクヒに襲われて瀕死の状態になった彼を助けるために、彼を不老不死の无とします。 

    そんな彼女は、天真爛漫で能天気な性格。そして時に敵に同情して命を助けようとするなど、心優しい性格をしています。 当初は片言の日本語と、中国語を交えた喋り方をしていました。八雲のことは好きなのですが、恋人ではなく「ダチンコ」とのこと。これは日本語がよくわからないので、大事な人のことをこう呼ぶのだと思っているためです。 

    食べることがやたら大好きなので「妖怪食っちゃ寝」とも呼ばれています。 

     
  • パールバティ四世 

    パイの第三の目が開いたときに現れる人格。八雲は、普段は彼女を三只眼と呼び、かしこまったときには「パールバティ様」と呼ぶことがあります。一人称は「儂」で、老人のような喋り方をします。パイとは裏腹に傲慢で尊大な性格ですが、本来は繊細な女性です。 

    八雲に好意を抱くパイとは裏腹に、当初は彼に対して厳しい態度をとることが多く、无の役割上彼を「奴隷」とまで言い切っていました。しかし、しだいに彼を信頼するようになります。大食らいのパイに対し、大酒のみで、しかも酒癖が悪いことが特徴です。 

    最強の三只眼であるがゆえにその力は強大で、当初はベナレスの肉体を粉々にするほどの力でした。しかしベナレスがパールバティの強力な光術を防ぐ術を開発し、八雲がパワーをつけるようになると、司令官としてのポジションに就くようになります。 

    名前の「パールバティ」はヒンドゥー教でシヴァの妻の名前であり、そのとおり彼女もシヴァに好意を抱いていました。しかし、やがてパイと同様に、八雲に好意を抱くようになります。 

     
  • ママ(真行寺君江) 

    八雲のバイト先のゲイバーの店主。周囲から「ママ」と呼ばれています。面倒見がよく世話焼き。女装をしているものの口調は男性的で、漢文で書かれた山海経の文章を読むことができ、裏社会に通じるなど、謎の多い人物です。名前の真行寺君江は第三部で明かされましたが、源氏名か本名かは不明。 

    八雲とは幼少期からの知り合いで近所に住んでいました。彼が母親にネグレクトされていたことから、それを見かねて彼の面倒を見ていたので、八雲にとって君江は母親でもあり、父親のような存在でもあるのです。 

     
  • 李 鈴鈴(リー リンリン) 

    初期のころ八雲が勤めていた香港の出版社「妖撃社」の編集長。元は副編集長で、藤井一の知り合い陳 亜栗(チン ヤアリイ)が編集長でしたが、彼が妖術で石になってしまったために行方不明になったことから代理として編集長となりました。 

    八雲とパイが一の遺言を頼りに妖撃社を訪れたことから(最初は陳 亜栗に会う予定でした)彼らと親しくなりますが、当初は妖怪を信じていませんでした。しかし彼らとの出会いで考えをあらためます。 

    拳法や戦闘術に長けているので、経歴に謎の多い人物。金にがめつい面がありますが、基本的には面倒見がよく、八雲に戦術や武術の手ほどきをしていたこともあります。 

    お金にうるさい反面、妖撃社の経営状態はあまりいいとはいえず、オーナーの黄が死んでしまうとすぐに倒産してしまいました。(しかも従業員のほとんどがバイトなので、今でいうところのブラック企業のような面も……) 

    本編で明かされていませんが、実は妖魔の血を引いています。  

     
  • スティーブ龍(スティーブ・ロン)  

    妖撃社の一員で、香港の道士。偶然にニンゲンの像を手に入れたことから三只眼の戦いに巻き込まれることになりますが、その後は八雲の協力者となります。 

    元は生真面目な性格で李とは対立していましたが、妖撃社の一員となってからは彼女のパートナーとなります。その際彼女の影響からか、酒好きで銭ゲバな性格となってしまいました。   

    闇の者との戦いでは八雲の相談役となったり、仲間の道士に呼び掛けて最終決戦に備えたりと、後方支援に力を尽くします。  

    名前がイギリス系なのは本作が連載していた当時、香港は英国領であったためです。(1997年に中国に返還) 

     
  • ハズラット・ハーン 

    パキスタンでさまざまな秘術や秘薬を売買していた秘術商人で、八雲に獣魔の卵を売った張本人。この時八雲に日本人の女の子を紹介してもらうという条件で卵を売りますが、この日本人が「真行寺君江」だったので、彼に恨みを抱くように。しかし、そのことをパイへ復讐を誓う木霊に利用されてしまいます。 

    その後はパイに惚れて、一同に同行し秘術と知識を使ってサポートするようになりますが、その後綾小路に好意を抱ようになります。 

     
  • 綾小路葉子(化蛇(ホウシヲ))

    元は第2部で行方不明となり、記憶を失って綾小路家に引き取られたパイにとりついていたベナレスの配下の妖魔「化蛇」。彼女もまた記憶をなくし、綾小路ぱいとして過ごしていましたが、第2部終盤でベナレスにより自身の正体が明かされました。

    しかし八雲を愛するようになった彼女は、自身の身をかけてベナレスに反旗を翻します。 

    その後は、三只眼の慈悲により記憶操作の術で元の綾小路家に戻され、級友達とともに学校生活を送ることができましたが、再び記憶を取り戻し八雲達の仲間となりました。 

    性格は八雲から第二のパイと言われるほど天真爛漫。しかし幼い一面のあるパイとは違い、彼女は普通の女子高生寄りの性格です。 

    戦闘時には反人反蛇の形態になり、水を操る能力で戦います。ベナレスの配下としてはかなり高位の存在だったよう。山海経に記されている妖魔が由来です。  

     
  • ベナレス 

    強大な力を持つ鬼眼王の无。不死であるだけでなく、屈強な肉体と、一流の術師としての技量を持っています。獣魔術の開発者でもあり百の獣魔を操る最強の无です。普段は屈強な大男で、縦長の赤い瞳を持つ容貌ですが、その正体は巨大な龍神です。

    鬼眼王復活の目的のために闇の者を束ねていました。

    残忍な性格で強敵と戦うことを楽しみとしていますが、そのために戦いを終わらせるのためらってしまう奇妙な詰めの甘さがあります。反旗を翻した化蛇やコネリーの命を奪わず放っておいたりするのは、そのためです。また、成長し自分に比肩する実力を持った八雲を評価する寛大な一面があります。 

    戦い以外にも術開発が趣味で、パールバティの強大な光術を防ぐ獣魔術(事実上101体目の獣魔)を開発しています。 

    名前の由来は、インドの聖地ベナレスからです。 

     
  • 鬼眼王(シヴァ) 

    ヒンズー教の破壊の神・シヴァのルーツとなった三只眼吽迦羅。鬼眼王はニンゲンの像を使い、2人の三只眼吽迦羅の力や人格を取り込むことで、代々強大な力を保っていました。(これが人化の法の正体) 

    しかしシヴァが先代鬼眼王の人化の法の儀式に参加した際、事故で先代鬼眼王の力と人格を取り込んでしまいます。そのためにシヴァは、第二の鬼眼王となってしまいます。そのうえ同族の三只眼吽迦羅を皆殺しにするなど、もっとも残忍な鬼眼王となってしまうのです。

    そのため、パールバティ四世をはじめとした仲間たちによって、聖魔石に封印されてしまいます。  

    元はパールバティ四世の婚約者で、本来は思慮深く優しい男です。

 

 

作品の魅力を徹底解説!アジアを舞台とした妖怪ものにして冒険活劇

 

本作は、80年代後半から90年代にかけて人気を得た妖怪漫画のひとつ。連載開始は1987年で日本にバブルが到来した頃です。青年誌に連載されていましたが、内容は少年誌に連載されているバトル漫画寄りの物でした。 

主人公の八雲と、ヒロインのパイと三只眼は、手塚治虫の漫画『三つ目がとおる』の写楽保助と和登千代子の性別を逆転させたような感じです。物語も『三つ目がとおる』のように古代文明の謎を解き明かすような内容が多いので、本作はこの作品をイメージして作られたのではないでしょうか。

同時期の妖怪漫画である『孔雀王』『幽遊白書』『うしおととら』『GS美神』などとは違い、中国やインドが舞台。妖怪漫画としては、比較的珍しい方に該当します。(密教系オカルト漫画である『孔雀王』にヒンドゥー教の神が出てくるくらい)  

また90年代当時のアジアと日本の関係性も語られており、当時の日本が、アジア諸国にいかなる風に思われていたかも表現されています。 

本作で使用される妖術や能力にはパソコンの概念が取り入れられており、終盤に出てくる破滅の法は電子機器を媒体としています、これは当時発達しつつあった、コンピューターをはじめとした情報通信機器の影響が強く見られる点です。  

八雲が1度死んで特殊な能力を得るというのは、ウルトラマンのイメージからきているよう。獣魔術のモチーフはウルトラセブンのカプセル怪獣がモデルであり、本作の作者・高田裕三氏のウルトラマンへのリスペクトが所々に見られます。 

そんなさまざまな作品をオマージュしていることが感じられる本作ですが、他のバトル漫画とは違い、主人公の八雲は当初不死身であるということ以外、これといった能力がありません。しかし徐々に成長して力をつけながら、仲間と力を合わせて強大な敵に立ち向かっていくというスタイルが、彼の、そして物語の最大の特徴です。そんな彼が最強の敵ベナレスに立ち向かえるほど強くなっていくのも、本作の醍醐味といえるでしょう。  

弱者が強大な力を持つ敵と戦っていくタイプのバトル漫画が好みの方には、ぜひともおすすめしたい作品です。   

また、アクション描写に目がいきがちですが、登場人物たちの優しく温かい人柄も見所の1つ。時に敵に同情して彼らを見逃してしまう八雲やパイ、彼らを信頼して最後まで支えぬく李さんや龍、幼少時から八雲を見守って妖魔になっても彼の理解者でいてくれたママ真行寺君江など、大人たちの温かい人柄も大きな魅力なのです。

彼らの人柄に、何人かのキャラクターの心は救われていきます。しかし、それは基本的には細やかといっていいほどの力です。それでも彼らの力は、時に敵を改心させ、時に味方を奮い立たせ、時に絶望的な戦局のなかでの命綱となったりします。作中でパイが人間に聖なる力があると言っているのは、まさにこのことなのです。 

 一方で、残忍で強大な力を持つ敵キャラクターベナレスや鬼眼王は、力だけで支配しているので最終局面においても裏切りを招いてしまいます。ここで力だけで支配する者と、心で繋がり結束する者の差が浮き彫りになってきます。

また八雲のライバルであるベナレスは、戦いを楽しむあまり好敵手が現れると完全に倒そうとはせず、詰めを誤ってしまう一面が終盤近くで露呈。理由は違いますが、敵に同情して逃してしまう八雲とどこか似ているような気がします。もしかしたらこの2人は、コインの裏表のような関係なのかもしれません。 

 

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結末の見所は?【最終回ネタバレ注意】

復活した鬼眼王は配下である神獣ローカパーラを使い、世界中に人間を魔物に変えるウイルスをばら撒きはじめます。そしてパイのクローンであるカーリーを使って、人化の法を執りおこなおうとしました。 

そんななか、この世界にいるすべての人間の魂を集める術サンハーラを発動。それは鬼眼王が、人間の魂に眠る光を集め、神の頂に到達するための術でした。

終盤近くになると、とうとう世界中の人々を巻き込むほどの戦いが起きてしまいます。本作では王道少年漫画らしい壮大な冒険活劇が描かれてきましたが、最終回は終末論的な危機感と、悲壮感が漂ってくるような内容となってくるのです。

鬼眼王も不完全とはいえ復活し、ベナレスも強大な力を取り戻したために、八雲達はさらなる危機に追い込まれていきます。さらに破滅の法でママ、李、龍など、今まで彼に力を貸してくれた人たちまで変わり果てた姿になってしまうのです。

彼らは鬼眼王に屈することなく、諦めずに戦おうとします。しかし三只眼は、彼らを守るために人化の法によって鬼眼王と一体となる道を選びます。そしてとうとう人間に戻った八雲は、不死ですらなくなってしまうのです。 

3×3 EYES(40)

高田裕三
講談社

 

バトル漫画の最終回の醍醐味とは、敵勢力の強大な力による絶望的な状況と、それに打ち勝つ主人公達の活躍だといえます。本作もまた他の作品同様、主人公たちは諦めずに、残った人々と最後まで力を合わせて戦うのです。

しかし上でも述べたとおり、八雲はそれほど強い力を持った主人公ではありません、そんな彼が大好きなパイを守るために成長し、力を身につけていくことこそが、本作の醍醐味なのです。

そしてもう1つの見所は、弱い力しか持たない彼が、仲間と力を合わせることで強大な敵と戦っていくという点。最終回は、まさにその部分が強調されていきます。

そして終盤近くで仲間の1人アマラは、彼にこう言います。 

「誰も一人では何もできぬものだ。
だが誰しも無力というわけではない。
何かしらの力を持っているのだ。」 
(『3×3EYES(サザンアイズ)』39巻より引用)

強大な力を持つ鬼眼王やベナレスに対し、主人公たちは細やかな力しか持っていません。それでもその力を補い合うことで、とてつもない奇跡を起こすことができる。それがパールバティやシヴァが憧れた、人間の力なのです。

その一方、醜く利己的で恐ろしい闇の一面もあります。サンハーラにより全ての魂と一体となった鬼眼王と、八雲とパイ、そして三只眼は、人間と三只眼吽迦羅の魂の闇の一面を目の当たりにします。それを拒絶する鬼眼王ですが、八雲はそれさえも受け入れました。

たとえ闇でも、人の魂であることに代わりはありません。人の闇すら受け入れられる彼の温かく優しい心こそ、鬼眼王に打ち勝つ唯一の力だったのでしょう。

 

続編『3×3 EYES 幻獣の森の遭難者』はどんな話?

著者
高田 裕三
出版日
2015-06-27

 

八雲達がサンハーラから世界を救って、12年。八雲とパイは夫婦になり、ハズラットも綾小路葉子と結婚してセツという娘が生まれました。

妖撃社は李を社長としてローマ法王と繋がりを持ち、世界中に散らばった獣魔卵の処理をする仕事をしています。八雲はNASAの依頼で、宇宙空間で獣魔の卵を除去する仕事をおこなっていました。

作業が終わったときに、ロシアのスペースシャトルが何者かに襲われていると連絡を受け、彼は防御型の獣魔を使ってシャトルに近づきます。その時、巨大な魔獣を目撃するのです。 

女性の顔に、蛇の体、そして鳥の羽をつけたその怪物の正体は、獣魔の卵を産む女王(クイーン)獣魔エキドナ。 

獣魔を生み出す彼女に獣魔術は通用しません。八雲は地上に落下してしまいます。

 一方日本では、ノルマンテという青年と、甲子美智瑠、工藤千夏、渡部唯華、有村沙雪の4人の少女たちが彼を捕獲するためにパリへ向かっているところでした。  

パリで獣魔の卵が4つも発見されたという情報が入ったため、八雲を含めた一同はそこに向かいます。しかしそんななか、パイとハズラットの娘セツ妖魔にさらわれてしまうのです。妖魔はノルマンテの仲間でした。 

 

続編『3×3 EYES 幻獣の森の遭難者』の登場人物を紹介

ここからは続編の登場人物たちをご紹介していきます!

 

  • ノルマンテ・ウリュプス

    美智瑠達のリーダー格の男。見た目は眼鏡をかけた優男風ですが、その正体はベナレスによって作り出された魔獣グリフィンです。
    しかし獣魔術を作り出し自身が用済みになることを恐れたために、シヴァを自身に合成しようと襲い掛かります。その結果ベナレスに片翼をもがれ、追放されてしまうことに。

     
  • 甲子美智瑠

    ノルマンテと行動をともにする、車椅子の女子高生。多数の亜種獣魔を操ることができます。心臓に持病がありましたが、サンハーラの時にノルマンテにより命を救われます。

     
  • 工藤千夏
    美智瑠と
    行動をともにする女子高生で、性格は活発。美智瑠からもらった亜種獣魔グランドクローと、サラマンダーアームと、ヘルフレイムを操ることができます。

    元は美智瑠と同じ病院に入院をしており、右腕を怪我していました。

     
  • 渡部唯華

    美智瑠と行動をともにする女子高生で、性格は冷静でしっかり者。美智瑠からもらった亜種獣魔ビックフットと、ダークネスを操ることができます。

    元は右足を怪我していました。

     
  • 有村沙雪

    美智瑠と行動をともにする女子高生で、性格は子供っぽい。本当は盲目で、亜種獣魔で視力を補っています。

     
  • ゲゲネイス・ド・ギガンテス

    ノルマンテに協力している妖魔。見た目は眼帯をしたいかつい男で、元は九頭龍将の手下でした。氷結系の術を使います。

     
  • ウコバク

    ゲゲネイスと手を組む下級妖魔。

     
  • 綾小路セツ

    ハズラット・ハーンと、綾小路葉子の娘。性格は明るく、八雲やパイに懐いています。名前の由来は、小泉八雲の妻「節子」からと思われます。

     
  • 舞鬼(ウーカイ)

    一本角で少女の姿をした妖魔。かつて九頭流将の1人でしたが、失態をおかしてしまい、ベナレスに見限られて三只眼側の陣営に就くことに。現在では良き協力者となりました。

 

 

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作品の魅力を徹底解説!新たなる物語のはじまり!舞台はアジアからヨーロッパへ

 

本編の最終回から12年後を舞台とした物語。八雲とパイ、ハズラットと葉子は結婚してハズラット夫妻にはセツという娘が生まれています。 

妖撃社は再建され世界を救ったという功績から、世界各国の重要機関から妖怪退治の依頼が来ていますが、大半は世界各国にちらばった獣魔卵の回収が主な仕事です。

八雲は最終回の戦いの後、三只眼と無事合流。しかし完全な状態で復活したわけではなく、力や感情を無くしてしまったようで、虚無的な性格になっています。そのため不死という肉体を最大限に生かし、宇宙空間や原発など危険な場所での任務を率先しておこなっているようでした。

また12年という歳月のためか、かつてはがむしゃらに戦っていましたが、本作では冷静に状況を見据えて戦うように変化。 

パイは相変わらず元気いっぱいで、セツとも仲良しですが、性格は少し大人っぽくなったようです。(妖怪食っちゃ寝は健在)

今回は舞台がパリに移り、世界観も西洋風。エキドナ、グリフィン、ギガンテスなど妖魔の名前も西洋風です。

また、前作のラストが人間の心の光と闇について語られていたように、本作では甲子美智瑠や、彼女を保護するノルマンテの心の闇と葛藤がテーマになっています。これは本編が世界レベルの壮大な冒険活劇であったのに対して、本作は人間ドラマが重視されているからではないでしょうか。 

 

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『3×3 EYES』の最終回で語られるのは、人の心とは、光も闇も否定しては成り立たないということ。そして、どちらも見つめて受け入れなければならないということです。本作は、人の心を巡る物語でもあるのです。

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