本作は一週間で友人との記憶が消えてしまう藤宮香織と、主人公・長谷祐樹の2人について描かれている青春グラフィティです。冷たいフリをして人を遠ざける藤宮さんですが、長谷君のパワーでいろいろな人と仲良くなっていく様子が描かれていきます。彼女の笑顔に、思わず癒されるはず。 マンガUPにて無料で読むことが出来ますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
高校2年生の長谷君は、同じクラスのいつも1人でいる女の子・藤宮さんと友達になりたいと思っています。
数学係だった彼女と一緒に先生の所にノートを持っていくところから少しずつ接点を持ち、ついに一緒にお昼ご飯を食べる仲にまで発展するのです。
しかし金曜日のお昼ご飯を食べた後、彼女から不意に「もう私に話しかけないで」と告げられてしまいます。月曜日には友達との一週間の楽しかった記憶を忘れてしまうから、と。
それでも一緒に笑ってほしいと彼女に伝える長谷君。そのまっすぐな言葉に心打たれ、彼女は友達になってくれたのでした。
周囲の友人を少しずつ巻き込みながら、彼らの物語はどう成長していくのでしょうか?
- 著者
- 葉月 抹茶
- 出版日
- 2012-06-22
本作の見所といえば、やはり一週間で消えてしまう藤宮さんの友達関係についてです。
日記に書かれていない細かい部分ですれ違ったり、お互いがお互いを思っているのにうまくいかず、ついやきもきしてしまいます。
彼女はみんなと同じように友達が欲しい、普通の女の子でした。しかし一週間で友達の記憶が消えてしまうことから、あえて友達を作ろうとせず、相手を遠ざけていたのです。そんな彼女の気持ちを思うと、読んでいて思わず胸が苦しくなることでしょう。
そんな彼女と友達になろうとする長谷君の気持ちも、また切ないもの。彼は、彼女から毎週忘れられてしまうとわかりながらも、その度に友達になるために努力をします。彼女に忘れられて傷ついても、何回でも話しかけるのです。
毎週忘れられてもくじけない彼のことを、誰もが応援したいと思ってしまうでしょう。
長谷君の仲のよい友達の桐生君と友達になったり、山岸さんのようにフラっと友達になったり、転校生で藤宮さんの幼馴染だった九条君とひと悶着あったりと、変化が激しい本作。
少しずつ友達が増えてくる藤宮さんですが、それと比例するように、感情にも変化が見られます。特に、3巻で長谷君と山岸さんが仲良くしているシーンでモヤっとしてしまう彼女には、読んでいていじらしさを感じてしまうでしょう。
その他に、友人の桐生君と山岸さんの関係も徐々に進展。主人公の2人だけではなく、周りのキャラクターたちも要注目です。
2年生になった長谷君の前に現れた藤宮さん。彼女と友達になりたい彼は、思い切って告白します。
「よかったら俺と友達になってください」
(『一週間フレンズ』1巻から引用)
最初は断られてしまいますが、アタックを続けうちに、だんだんと彼女と仲良くなっていくのです。
しかし、そんななか、一週間で友達の記憶がリセットされてしまうから友達になれないと、彼女から告げられます。落ち込みはしたものの、それでも友達になりたかった彼は、再度彼女に、友達になってほしいと伝えるのです。その結果、彼は友達として認めてもらえることになったのでした。
後半では、自分の友達である桐生君を彼女に紹介し、少しだけ友達の輪が大きくなります。
- 著者
- 葉月 抹茶
- 出版日
- 2012-06-22
本巻の見所は、コロコロと表情を変える藤宮さんです。
いつもクールな表情で席に座っている彼女ですが、それは記憶がリセットされるために友達を作ろうとしなかったため。
人と接する機会を減らすための苦肉の策だったのですが、長谷君と仲良くなるにつれて、本来の彼女らしく笑顔でいる事が多くなったり、記憶を失ってしまったときには泣いてしまったり、さまざまな表情を見ることが出来ます。
途中から加わる男友達・桐生君との出会いや、なぜか彼との出来事だけ記憶が残っている藤宮さんを見てへこむ長谷君など、それぞれの感情がめまぐるしく動いて、読者を飽きさせません。
イチオシのシーンは、やはり2人で街に出かけるシーンでしょう。
ファミレスやカラオケ、ショッピングなどいろいろな場所に出かけたり、クレープを食べたりと、楽しい思い出を共有していきます。しかし、どんなに楽しい思い出も、彼女は忘れてしまうのです。当然、このときの出来事も忘れてしまいました。
ですが記憶がなくなっても、ゆっくり焦らず、また一緒に買い物に出かけようと言ってくれる長谷君の優しさに、心が打たれます。
友達の友達として紹介した桐生君が予想以上に藤宮さんと近い距離になってしまい、クラスメイトからもあの2人は友達だ、というのが認知されている状況に嫉妬してしまう長谷君。
ささいなすれ違いが重なり、2人の距離は出会った頃にまで戻ってしまいます。
また本巻の後半では、藤宮さんの家にお呼ばれすることになり、彼女のお母さんも登場。 その際に、彼女の過去のトラウマについて少しだけ聞く事になります。
また、かなり天然で忘れっぽい山岸さんとの出会いが、彼女の交友関係を少しだけ広げていく事になるのです。
- 著者
- 葉月 抹茶
- 出版日
- 2012-11-22
本巻の見所は、忘れていた記憶から長谷君の名前を呼び起こす、藤宮さんのシーンです。
ささいなすれ違いでケンカしてしまった2人ですが、その帰り道に忘れた記憶を補完する大事な日記帳を落としてしまいます。
長谷君のことも忘れてしまい、彼を不審者だと思って関わらないようにしようと離れていってしまう彼女。しかし彼のフォローにより、大切な事を忘れてしまったんだと気づくのです。
泥だらけになりながら何かを探している彼を見かけ、思わず声をかけてしまう彼女。その一生懸命な姿を見て彼の名前を思い出すシーンは、つい感動してしまいます。
2巻のラストに登場した山岸さんのおかげで少しずつクラスにも馴染んできて、藤宮さんに新しい友達もできました。若干苦手だった桐生君との会話にも慣れるために努力しているようです。
長谷君の誕生日にクッキーを焼いてくれるなど、甲斐甲斐しい様子を見せる藤宮さん。月曜日になっても彼の事をなんとなく覚えていたりと、2人の関係も少しずつですが進んでいるようです。
物語は夏休みに入り、海に花火と楽しい事が満載です(海は風が強くて入れませんでしたが)。また、桐生君と山岸さんの関係も、少しずつ進展していきます。
本巻のラストには、転校生としてやってきた幼馴染・九条一が登場。今後の展開に期待が出来ます。
- 著者
- 葉月 抹茶
- 出版日
- 2013-04-27
本巻の見所ですが、先ほど少し書きましたが、藤宮さんの感情の進展についてです。
数学の追試のために教室で勉強する長谷君と、それを教える彼女。そんな2人のもとに山岸さんが訪れ、彼を借りていってしまいます。
とても些細な出来事なのですが、高校生になって初めてできた友達を取られてしまったのかとモヤモヤしたり、戻ってきてホっとするところに、いじらしさを感じてしまいます。
実はこの時点で彼女に恋愛感情が芽生えているように見受けられますが、実際はどうなのでしょうか?
「これから先もずっと私の友達でいてくれるよね?」
(『一週間フレンズ』3巻から引用)
と伝える彼女。それに対する長谷君の感情は、どういったものなのでしょうか。甘酸っぱい青春ドラマのにおいがします。
少しずつ進展してきたかのように見えた長谷君と藤宮さんの関係ですが、九条君の登場により、長谷君とのこれまでの友達としての記憶が完全に無くなってしまった藤宮さん。
ですが、これまでの記憶がなくなっても彼女の笑顔が見たいため、また一から友達になろうと長谷君は決意します。
そして季節は進み、文化祭が始まります。
これまで文化祭には辛い思いしかなかったという藤宮さんですが、今年の文化祭は楽しんでもらおうと張り切る長谷君を見て、楽しくなるだろうことを確信してつい笑顔になるのです。
また本巻では、桐生君と山岸さんの関係についてもさらなる進展が。山岸さんに求婚?される桐生君ですが、照れてしまい顔を赤くしている貴重なシーンを見ることが出来ます。
- 著者
- 葉月 抹茶
- 出版日
- 2013-11-22
本巻の見所ですが、やはり文化祭でしょう。文化祭として定番の喫茶店、お化け屋敷や巨大迷路などなど、見所は目白押しです。
喫茶店では、なぜか長谷君がパンダの気ぐるみを着ての客引き、藤宮さんはウェイトレス姿になって接客をします。 桐生君は背が高くてイケメンなのでウェイター姿でした。
お化け屋敷では長谷君の怖がりな一面を見たり、それが幸いして2人で手をつなぐ事になったり。
ラストには巨大迷路に迷う2人の、仲睦まじい姿を拝む事が出来ます。
文化祭も終わり、これまでにないほど楽しかったと笑顔になる藤宮さん。ですが、この記憶も忘れてしまうのかと思うと、悲しくて泣いてしまうのです。
彼女を励ます長谷君ですが、これを機に記憶がなくなる原因を解決しようと強く意識することになる、今後に大きく繋がるイベントです。
4巻の続きで、九条君と藤宮さんの小学生時代の話から始まる本巻。嫌な奴ではないが、自分の知らない彼女を知っているというコンプレックスからか、どうしても彼を好きになれない長谷君。
ですが、彼女の増えていく日記帳や、
「この日記の量は私の幸せの量なんだよ!」
(『一週間フレンズ』5巻から引用)
との言葉で気を取り直した彼は九条君と藤宮さんを仲良くさせる決意をするのです。
また修学旅行で行った京都では、それぞれの関係が進展。桐生君と山岸さんのギクシャクした関係も、修学旅行中に少しずつ進展していくのです。
彼女の気持ちを誤解した長谷君の、今後が気になるラストとなっています。
- 著者
- 葉月 抹茶
- 出版日
- 2014-03-22
本巻の見所は、修学旅行と心境の変化です。
修学旅行1日目では、桐生君と山岸さんの2人がいい方向に進展します。しかし2日目では、長谷君と藤宮さんの関係が悪い方向に傾いてしまうのです。
高所恐怖症におびえる九条君を励ましたり、彼に無理強いをする長谷君を止める藤宮さん。それは友達としての意識からの励ましでしたが、自分の知らない過去で繋がっていると感じる長谷君は、どうしてもそこに嫉妬を感じてしまいます。
宿に戻り、2人が一緒にいる姿を見て、さらにモヤモヤが強くなってしまいます。修学旅行から帰ってきても、彼の心には重いモヤがのしかかってしまうのです。
彼女を思うがあまり、衝突してしまうという最悪な状況。果たして、2人の関係は改善できるのでしょうか。
九条君と藤宮さんの一件以降、これからのことについてずっと迷い続けている長谷君。
桐生君にも心配されていますが、本人は大丈夫なつもりでいます。藤宮さんとはこれからも友達だよ、と呟く彼の姿は、桐生君にはどのように映ったのでしょうか?
時間は進み、クリスマス当日。彼女の家でクリスマスパーティをおこなうことになり、修学旅行での5人で集まる事にしました。パーティに参加する前の長谷君の気持ちを表した一言が、次のセリフになります。
「これは……今まで通り友達としてだから大丈夫だよね……」
(『一週間フレンズ』6巻から引用)
これ以上ないほど揺れている気持ちが伝わってきます。
またラストには、九条君の兄も登場。彼女のトラウマの記憶の真相がついに明かされ、物語も佳境です。
- 著者
- 葉月 抹茶
- 出版日
- 2014-07-22
本巻の見所は、まさにクリスマスパーティです。
これまでずっと藤宮さんのためを想って行動してきた長谷君ですが、九条君と彼女のことを思って一歩引き、ただの友達でいることを決意します。
食事中、顔にソースが付いてる事を藤宮さんに指摘され、彼女がそれを拭おうと近づくと、思わず払いのけてしまいます。これまで通りを心がけますが、どうしてもうまく馴染めません。そんな不安定な彼を見て、桐生君も山岸さんもつい気を遣ってしまいます。
そんな状況でしたが、12月1日が藤宮さんの誕生日だと知って、プレゼントを買いに街にくり出すことに。彼女の幸せを想って自分の気持ちに素直になりきれない長谷君ですが、自分の誕生日にクッキーを焼いてくれた彼女への感謝とともに、マフラーをプレゼントするのです。
その後2人きりでケーキを食べるシーンがあるのですが、お互いを思い合っているのにすれ違っているそのさまは、非常にもどかしいものがあります。
そして、九条君から彼女のトラウマの真相を聞いた長谷君は、自分のやるべきことを理解し、また彼女のために走り出す決意をするのでした。男らしい彼に注目です。
一体彼女のトラウマの真相とは何なのでしょう。
桐生君から電話で呼び出されて、その場へ急いで向かう長谷君。そこで待っていたのは、桐生君、九条君、そして藤宮さんでした。
彼女は過去の記憶を思い出したい気持ちと、思い出したくない気持ちで、苦しんでいました。そんな彼女に対し長谷君は、自分の知ってる彼女の過去を全て、彼女に打ち明けることに決めるのでした。
- 著者
- 葉月抹茶
- 出版日
- 2015-04-22
彼女の記憶の鍵を握る、過去。それは、5年前に遡ります。
彼女はある聞きたくない話を聞いてしまい、その場から逃げた際に事故にあってしまったのでした。その時から、友達の記憶が一週間しか残らなくなってしまったのです。
一体彼女の過去とは?そして、彼女の記憶はどうなるのでしょうか。続きはぜひ、ご自身の目でお確かめください。
本作を通して読者は、友達という存在についてあらためて考えることになるはずです。本作のテーマは記憶ではなく、友達という存在についてであるといえるでしょう。
また本作は、個々のキャラクターが非常に感情豊かで、友情と恋愛の感情があまりセリフで語られないことも特徴。表情などで表現されているため、非常に漫画として見ごたえがあります。彼らと通して、高校時代の甘い青春を思い出すのも楽しいでしょう。
ということで青春グラフィティマンガ『一週間フレンズ』でしたがいかがでしたでしょうか。葉月抹茶さんの次回作である『僕が僕であるために。』の巻末に、本作の続編である大学生編が乗っていますので、興味がある方はそちらをチェックするのもよいかも知れません。