2009年に日曜の朝、いわゆるニチアサ枠で放映されていた特撮番組『仮面ライダーW』のコミック版にして、正統続編である『風都探偵』。2022年にはアニメ化も決定しています! 青年誌にて連載している異色作で、かつてのドラマに親しんでいた視聴者はもちろん、まったく知らない方でも楽しめる大人の「ハーフ」ボイルド探偵アクション。この記事ではそんな本作の魅力を存分にご紹介したいと思います。
日本のどこかにあるという架空の地方都市「風都」。悲喜こもごもを風が呼んでくるといわれる、名前通り風多き街です。
一見穏やかな、どこにでもある都市にしか見えませんが、この街の裏側では怪現象が多発していました。ビルが溶け、人が死ぬ――そんなことが珍しくなかったのです。
怪現象の原因は、かつてある組織が実験のために流通させたアイテム「ガイアメモリ」にあります。メモリの使用者が人知を越えた怪物「ドーパント」に変貌し、自身もろとも周囲を破滅させていくのです。いわば街に巣くい、侵食する見えない病魔。
そんな怪事件に人知れず挑む者たちがいました。名前を伏せ、正体を隠す正義のバイク乗り。彼らは誰からともなく、こう呼ばれていました。「仮面ライダー」と。
恐ろしさも感じさせる風都を愛し、この町に住んでいるのが私立探偵、左翔太郎(ひだりしょうたろう)と相棒のフィリップ。実は彼らこそ2人で1人の、仮面ライダーWの正体でした。
翔太郎が構える鳴海探偵事務所には、新顔の美女「ときめ」が舞い込み、風都を巡る一連の事件に新たな局面が訪れようとしています……。
- 著者
- 三条 陸
- 出版日
- 2018-03-30
平成仮面ライダーシリーズのなかでも、根強い人気を誇る『仮面ライダーW』。放送から12年の時を経て、正統続編である『風都探偵』のアニメ化が決まりました。仮面ライダーシリーズがアニメ化されるのは、実はこれが史上初!
アニメ『風都探偵』は仮面ライダー生誕50周年企画の1つとして制作されます。放映開始は2022年8月で、インターネットでは動画配信サービス「U-NEXT」が独占配信を行いますが、同時期にTOKYO MXなどの地上波でも放送される予定です。
声優はメインキャストの6人が発表されました。左翔太郎役の細谷佳正、フィリップ役の内山昂輝、照井竜役の古川慎は2020年のゲーム『KAMEN RIDER memory of heroez』から続投。ときめ役の関根明良、鳴海亜樹子役の小松未可子、万灯雪侍役の小野大輔はアニメ化で新しく配役されましたが、続投の3人も含めて実力派の声優ばかりです。アニメ版でどんな活躍を見られるのか楽しみですね。
アニメ『風都探偵』を手がけるのはスタジオKAI。設立して間もない新しいアニメ制作会社ですが、『ウマ娘 プリティーダービー Season 2』や『スーパーカブ』といったヒット作を送り出しています。
PVでは特撮『仮面ライダーW』を思わせる新規BGMが採用されており、かつての空気を感じさせつつも、『風都探偵』の新しい世界観が表現されています。
アニメ『風都探偵』のPVからは漫画『風都探偵』と同等以上に原点の特撮『仮面ライダーW』へのリスペクトが感じられます。ファンにとって左翔太郎は桐山漣、フィリップは菅田将暉のイメージが根強いと思いますが、アニメ版と見比べてみると『仮面ライダーW』の新しい魅力が発見できるかもしれません。
『仮面ライダーW』からのファンの方も、『風都探偵』からファンになった方も、アニメ版の放映を期待して待ちましょう。
ところで菅田将暉といえば、今や押しも押されもせぬ超人気俳優。漫画や小説原作の実写ドラマでも大活躍していますよね。菅田将暉が実写ドラマで演じた作品について知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。
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菅田将暉は今や、押しも押されもせぬ大人気俳優です。テレビドラマや映画に限らず、CMや音楽活動でも成功を収めている彼は、これまでどのような俳優生活を歩んできたのでしょうか。 今回はそんな彼の詳しいプロフィールをはじめとして、ドラマや映画などの出演作を一挙にご紹介してきます。原作付き作品は、原作の魅力についてもご紹介するので、ぜひ合わせてご覧ください。
アニメ『風都探偵』は2022年8月から10月にかけて、インターネットではU-NEXT独占配信、地上波はTOKYO MXで放送されました。主立ったキャストは一新されていますが、ナレーションとガイアメモリの音声(ガイアウィスパー)を担当した立木文彦のみ続投。
『風都探偵』は漫画だからこそできる、実写ドラマでは不可能(または困難)な設定・展開が積極的に盛り込まれた意欲作ですが、アニメ化はそれらの部分がさらにパワーアップ。
特に顕著なのはアクション面で、ダイナミックなアングルに動きや音声がつき、よりド派手になりました。連続するエピソードのあらすじで捜査情報風の相関図が出てくるのも変わっておらず、ガジェット等の効果音も同じなのでドラマの続きとして見ても違和感がほぼありません。
またストーリー以外においても、第3話で解禁された挿入歌「W-G-X ~W Goes Next~」はドラマ主題歌「W-B-X ~W-Boiled Extreme~」のアレンジ楽曲で、作詞・作曲・歌唱に至るまでオリジナルを踏襲したサプライズが原作ファンを沸かせました。
このように丁寧な作りから原作ドラマファン、漫画からのファン、アニメで初めて見る視聴者どの層からも好評です。
アニメ化の範囲は、『風都探偵』第1巻から第5巻のリアクター・ドーパントとの決着まで。編成の都合で第4巻のパズル・ドーパントのエピソードがまるごとカットされていますが、その他のストーリーの流れはほぼ原作通りでした。原作のエピソード同様、続きを意識させる構成になっており、アニメ『風都探偵』第2期の制作に期待が募ります。
アニメ最終回後のエピソードは第6巻から読めるので、第2期が待ちきれない方は原作漫画で予習しておきましょう。
2024年6月30日、突如として『風都探偵 仮面ライダースカルの肖像』の期間限定劇場公開が発表されました。同時に仮面ライダースカルをメインとしたティーザービジュアルと、特報動画が公開され、スカルこと鳴海荘吉には津田健次郎が声を当てることが判明しています。
2022年のアニメ化以来、原作漫画は好調なもののアニメ『風都探偵』周辺の動きはぱったり途絶えて、アニメ版第2期はいつになのかとファンは痺れを切らしていましたが……。そこへ来てまさかの映画化、しかも人気の高い仮面ライダースカルをフィーチャーしていることが告知され、にわかに注目が集まっています。
ストーリーとしては、第6巻「sの肖像」エピソードの映像化に当たるはずです。翔太郎の回想で語られる『仮面ライダーW』の前日譚、映画『仮面ライダーW ビギンズナイト』に至る過去の経緯と「ビギンズナイト」本編の裏側。W誕生と荘吉の顛末に心打たれるお話です。
劇場版『風都探偵 仮面ライダースカルの肖像』は2024年11月8日から公開予定。発表とほぼ同時に、これまでU-NEXT独占だったアニメ『風都探偵』がAmazon PrimeやNetflixといった、各種サブスクサービスにて解禁されました。
アニメ放送当時見られていなかった人は、ぜひこの機会に視聴してはいかがでしょうか。アニメ化の範囲がちょうど第5巻までなので、『風都探偵 仮面ライダースカルの肖像』のおさらいにもなります。
ちなみにアニメ第2期は未発表ですが、急に仮面ライダースカルの話だけを映像化するのはあまりにも不自然です。ストーリー的に第1期から自然に繋がることから考えても、劇場公開と前後してアニメ『風都探偵』第2期が発表される可能性はかなり高いでしょう。
もし仮に発表がなかったとしても、『風都探偵 仮面ライダースカルの肖像』の評判次第で第2期制作に拍車がかかるのは間違いありません。
スカル=鳴海荘吉と言えばドラマ版で演じた歌手・吉川晃司と切っても切り離せませんが、彼の参加も気になるところ。吉川晃司はアニメ『風都探偵』でもED曲「罪と罰とアングラ」を作曲しているので、おそらくなんらかの形で関わるはずです。「Nobody's Perfect」が挿入歌として採用されるのが理想ですが……。
『風都探偵 仮面ライダースカルの肖像』(以下、「仮面ライダースカルの肖像」)は予定通り2024年11月8日に公開されました。期間限定上映とはいえしっかり劇場用映画として製作されており、レビューサイト「Filmarks(フィルマークス)」では11月2週目公開の映画として最高評価をマークしています。筆者も早々と観賞してきましたが、『風都探偵』はもちろん、『仮面ライダーW』ファンなら絶対に観に行くべきです。
ここから軽く映画の内容に触れて、注目ポイントをご紹介していきます。どうしてもネタバレになってしまうため、映画を観に行く予定がある方、自分で楽しみたい方はこのセクションを飛ばすことをおすすめします。
「仮面ライダースカルの肖像」は単純に「ビギンズナイト」をモチーフにしている原作第6巻の映像化ということ以上に、リメイクや完全版という意味で「本当のビギンズナイト」を描いていると感じました。実際スタッフのインタビューからすると、当時実写で不可能だった表現や盛り込めなかった要素をあまさず実現した結果のようです。
例えば幼い翔太郎の視点で鳴海探偵事務所のあるカモメビリヤード建物の内部が描かれますが、これはロケ地とセット(事務所)の関係でドラマでは不可能な構図。原作漫画でもコマの制限があるので、一続きで描写されるのは「仮面ライダースカルの肖像」が初めて。
そして何よりも素晴らしかったのは、鳴海荘吉と仮面ライダースカルのアクション! どの角度どのカットでも必ず格好いいスカルを映す、という原画マンやアニメーターの執念にも似たこだわりを感じられました。
敵となるタブー・ドーパントも見所。ドラマ版スーツではわかりづらかった頭部の意匠が感情に合わせて動き、妙な色気と生理的嫌悪感を催す気持ち悪さを両立していたのが凄かったです。
ファングジョーカーの活躍シーンの増加もファン必見。当時は設定が固まってない時期の撮影だったことと、原作をなぞるだけだと撤退戦のみで見せ場がなかったことから、アクションが盛り盛りとなっています。知っているのに知らないガイアメモリの登場も……。
さらに感動的だったのは、最高に盛り上がる場面で流れた「Nobody’s Perfect」と「W-B-X ~W-Boiled Extreme~」です! TVアニメ 『風都探偵』では『仮面ライダーW』とは同じようで少し違う続編として、意図的にアレンジBGMなどに留められていましたが、「仮面ライダースカルの肖像」は 『風都探偵』であると同時に「ビギンズナイト」――すなわち『仮面ライダーW』であることから実現したものと思われます。
「Nobody’s Perfect」は事前に予想していたものの、本当に劇場で流れてきた吉川晃司の歌声で思わず目頭が熱くなりました。
残念ながらTVアニメ『風都探偵』第2期の情報はまだ出ていませんが、「仮面ライダースカルの肖像」の出来映えとスタッフの熱意を感じると、物語の続きをいやがうえにも期待してしまいます。本当に素晴らしい映像とストーリーだったので、出来れば上映期間中に「仮面ライダースカルの肖像」を観に行きましょう!
本作はタイトルからは(風都を知っている人を除いて)連想出来ませんが、2009年から2010年にかけてテレビ朝日系列で放送されていた『仮面ライダーW』の公式続編作品です。
『風都探偵』を楽しむうえで『仮面ライダーW』を知っているに越したことはありませんが、まったく知識がなくても楽しむことが出来ます。知らない人にもおすすめする理由は後述するので、今しばらくご辛抱ください。
本作の特徴は、単なるコミカライズやスピンオフのたぐいではなく、完全な続編という点にあります。
1年間の放送で慣れ親しんだ街、風都。そこで暮らす主人公の半熟探偵・翔太郎、魔少年・フィリップ、コメディリリーフの鳴海亜樹子――もとい照井亜樹子、燃える男の照井竜がそのままの姿で出てきます。
それだけではありません。翔太郎に協力する情報屋達、風都イレギュラーズも健在。懐かしの面々が誰1人欠けることなく総登場するのです。
脚本家、クリーチャーデザイン、それらを総括する監修という作品にとって重要なポジションが、原作から丸ごと続投しているので、まったく違和感がありません。
やはり『仮面ライダーW』最終話から地続きの物語である点が、ファンを魅了する本作最大の魅力なのです。
ここからは『風都探偵』単体での魅力をお伝えしましょう。
先述したように本作は『仮面ライダーW』と地続きの物語となっています。しかし、東映公認の続編にも関わらず、世界に誇る人気ブランド「仮面ライダー」の冠が外されているのがキモ。これはひとえに、ブランド力に頼ることなく、中身で勝負するという意気の現れでしょう。
実際、物語の冒頭では探偵モノの伝奇ホラーを匂わせるばかりで、仮面ライダー色はまったくありません。1巻も中盤に差しかかって、ようやく変身するほど払拭は徹底されています。
このようにして風都を舞台にした新しい物語が念入りに構築されているので、原作未見の読者でもストーリーを純粋に楽しむことが出来るのです。また、用語や設定についても説明がきっちり入るので、事前知識がなくても問題ありません。
翔太郎達の新しい敵は、風都で密かに活動する「街」を自称する集団です。そして物語のキーになってくるのが、「ハイドープ」――W本編の黒幕・園咲琉兵衛のように、人間態でも強大な能力が使える過剰適合者。彼らの狙いと秘密とは。
『仮面ライダーW』のオリジナルスタッフが描き出す未知の展開から目が離せません。
- 著者
- 三条 陸
- 出版日
- 2018-03-30
怪事件の駆け込み寺、鳴海探偵事務所に、いつもと変わらず奇妙な依頼者が訪れます。依頼人の坪崎忠太(つぼさきちゅうた)は近頃、風都にある夕凪町に出没するという、「T字路の魔女」を探してほしいと言ってきました。どうやら件の魔女に襲われた依頼者が、彼女に一目惚れしてしまったようですが……?
本作初登場にして、レギュラーキャラとなる謎の美女・ときめ。翔太郎が彼女を追ううちに、頻発するバラバラ殺人の犯人「ロード・ドーパント」の正体は彼女ではないか、という疑いが浮上してきます。そこで当然のように発動する、翔太郎のお節介。
非情なハードボイルドになりきれないハーフボイルド、これこそWの醍醐味です。またドラマ版で見ていた人たちにとっては、まったく違和感なくドラマで見ていたキャラクターたちが登場するので、まさに感動もの。必見です。
果たしてロード・ドーパントの正体は……?満を持して披露されるコミック版初変身も見逃せません。
- 著者
- 三条 陸
- 出版日
- 2018-03-30
壊れたガイアメモリを所持するときめは、記憶を失っていました。翔太郎達は彼女の記憶を取り戻すため、しばらく探偵事務所で助手として身柄を預かることになります。
心機一転、新顔の増えた事務所への最初の依頼は、身辺警護。有名ゲーム会社のクリエイターにして、ゲームイベントの顔でもある森口もな子(風祭メグ)の護衛と、犯人の究明です。事件の真相はライバル会社の妨害か、はたまた逆恨みか……。
2巻では、ハイドープの1人、メガネウラ・ドーパントが登場し、この奇妙奇抜なクリーチャーが翔太郎達を苦しめます。かつての組織に代わって暗躍する「街」との関係性が気になるところです。
そんな2巻の見所は、ファングジョーカーの活躍。フィリップの体で変身する、唯一の形態となっています。その痛快な活躍に注目です。
- 著者
- ["石ノ森 章太郎", "三条 陸", "佐藤 まさき"]
- 出版日
3巻では(W本編まで含めて)一転して、クローズド・サークル(密室もののように、外界との関係が遮断された状況のなかで物事が起こること)で物語が進んでいきます。
フィリップの知的好奇心で風都郊外の山にやって来た翔太郎は、猛吹雪に見舞われます。記憶を頼りに近くの集落を目指した2人は、突然現れた奇妙な洋館に招かれました。
奇妙というのは、洋館でおこなわれていた催しのことです。大地主「鏡野家」によって、花嫁選びの仮面夜会が開かれていたのです。夢かうつつか定かでないまま、2人は新たな事件に巻き込まれていきます……。
Wで初めての、王道ミステリ設定です。Wの雰囲気を忠実に残したまま、ニチアサ枠では絶対に放送出来ない、青年漫画ならではの凄惨な事件が起こっていきます。なかでも、あらゆる意味で映像化不可能なアルコール・ドーパントの狂態は必見です。
ついに巡り会う、「街」のリーダー格であるオーロラ・ドーパント。2人目の仮面ライダーアクセルもいよいよ登場し、ダブル最強のあの姿まで登場して、本格的に動き出す物語は見所が目白押しです。
- 著者
- 出版日
- 2018-10-30
右腕を探してほしい――いつもの鳴海探偵事務所に、奇妙な依頼が舞い込みます。新たな依頼者、菅生伝一郎(すごうでんいちろう)は、精緻な絵を描く漫画家でした。
しかし、鳴かず飛ばずで絶望しかけていた彼は、どこからともなく現れた「右腕だけの怪人」に、現金1億円を対価に、自身の右腕と才能の譲渡を持ちかけられて、それに応じたのです。
当初、翔太郎は、菅生が被害者ではないことから難色を示しますが、右腕とともに失った才能への悔恨と、代価1億円返却が本気と見るや否や、いつものハーフボイルドを発揮するのでした。
裏で暗躍する怪人の名は、パズル・ドーパント。「街」と強い繋がりを持ったハイドープです。他人から奪った能力を自在に操ることが出来、相手に合わせて特性を変化させることが可能。
実写では表現が難しかった彼の特性が漫画ならではの技法で描かれ、人間の弱みにつけこむ彼の恐ろしさが際立ちます。仮面ライダーWの戦闘スタイルに酷似した、これまでにないタイプの強敵。果たして、戦いの行方は?
このエピソードの他にも、探偵業を脇から支える情報屋達、風都イレギュラーズの活躍も見逃せません。彼らの関係性も嬉しいファンサービスといえるでしょう。
そして、破損していたときめのガイアメモリの正体がここで明らかに。「街」のリーダーですら一目置く、そのメモリとは……?徐々に明らかになっていく謎にさらに引き込まれる展開です!
- 著者
- 出版日
- 2019-02-28
ときめが所持していたメモリは、彼女が翔太郎と出会うべくして出会ったことを予感させるものでした。しかし、その意味を考えるより前に、新たな依頼が探偵事務所へ舞い込みます。
下町の機械工場の一流技術者、蘭堂廉太郎(らんどうれんたろう)の失踪。孫娘の依頼で調査を始めた翔太郎達ですが、早々と「街」の関連が濃厚となっていきます。
そんな中、オーロラ・ドーパントこと万灯雪侍(ばんどうゆきじ)の企てで、ときめは1人で「街」の支配地である異次元「裏風都」へと迷い込んでしまうのでした。翔太郎達は表と裏、2つの風都で蘭堂廉太郎と彼に繋がる「街」の痕跡を追うことになります。
今回W達の前に立ち塞がるのはリアクター・ドーパントです。准幹部クラスのハイ・ドープで、Wヒートメタルやアクセルを遥かに凌ぐ莫大な熱エネルギーを操ります。2人がかりのマキシマムドライブの直撃にも耐える強敵です。
ときめは探偵助手として依頼人のために奔走し、目覚ましい成長と活躍を見せてくれるので、ご注目ください。しかしその一方で、彼女に関する謎は深まるばかり。
また、裏風都が主な舞台となることで、万灯のカリスマ性など「街」の内情がうっすらと見えてきます。果たして、ときめは何者で、「街」とどんな関係だったのでしょうか?
巻末ではファンには驚きのリアクター・ドーパントの裏設定が語られるので、こちらも必見です。
- 著者
- ["石ノ森 章太郎", "三条 陸", "佐藤 まさき"]
- 出版日
ガイアメモリやミュージアムのことについて知りたいと願う気持ちに応え、翔太郎は鳴海亜樹子の父・鳴海荘吉やフィリップとの出会いについてときめに話し始めます。
ドーパントが風都に暗躍しはじめたのは、翔太郎が小学生の頃。ドーパントに関わる事件に居合わせた際、荘吉に出会う翔太郎。荘吉の佇まいに惚れ込んだ翔太郎は、探偵の助手にしてほしいと直談判をしに鳴海探偵事務所を訪れます。
何度追い返されても諦めきれない翔太郎の風都を愛する熱い気持ちが荘吉の心を動かし、ついに念願の探偵助手として弟子入りすることに。
第6巻ではWの本編に登場せず、劇場版ではじめて姿を見せた仮面ライダースカルが登場。首にボロボロのスカーフを巻き、帽子を被っているスカル。その姿は昔ながらの仮面ライダーを彷彿とし、大人の渋さを感じさせます。
なかなか一人前として認めてもらえず、焦りを感じはじめる翔太郎。半熟のハーフボイルドを脱却するべく懸命に奔走しますが、翔太郎が下した判断が悲劇を招くことに……。
翔太郎が胸に秘めてきた辛い過去たちは最もWに深く関わる過去エピソードのため、ファンにはたまらないキャラたちがたくさん登場。見どころ盛りだくさんの1冊になっています。
- 著者
- ["石ノ森 章太郎", "三条 陸", "佐藤 まさき"]
- 出版日
ガイアメモリを不正に所持し密売を繰り返す組織を摘発するため、犯人のアジトに踏み込む仮面ライダーアクセルと警察。メモリ使用犯を捕まえはしたものの、照井竜は黒幕ORIGINの正体に辿り着けず落胆します。
ロストドライバーに関する意見が対立し、喧嘩になる翔太郎とフィリップ。そんななか、鳴海探偵事務所に高校生ヤンキーの逢瀬奈々から、親友を探してほしいという奇妙な依頼が舞い込みます。
引き続きORIGINの正体を追い求める照井、調査を進めていくうちに妙なひっかかりを感じ始める翔太郎。
ある日照井の目の前で、首なしドーパントが突如現れ人間を真っ二つに切り裂く事件が発生。照井が追っている事件と、鳴海探偵事務所が請け負った失踪少女の事件が交錯していき……。
照井に異常なまでの執着を見せるスクリーム・ドーパントも事件に深く関わり、能力を読むことがないドーパントやハイ・ドープに苦戦を強いられます。
この巻では翔太郎やフィリップを差し置いて照井の見せ場が多く、照井ファンにはたまらない一冊になっています。
Wではなかなか見られなかった亜樹子と照井の夫婦生活が垣間見れ、照井の新たな一面に思わずドキっとしてしまうかもしれません。
- 著者
- ["石ノ森 章太郎", "三条 陸", "佐藤 まさき"]
- 出版日
夕陽泥棒を捕まえてほしいという依頼が舞い込んだ、鳴海探偵事務所。実際に現地を訪れてみると、夕陽が奇妙な色に変色するという現象が起きて。これは局地的な事象のようで、泊まり込みで調査を進めることにするフィリップ。
依頼人・弁財天源十郎の家に集うベイサイドバッド・ボーイズのメンバーと触れ合ったフィリップは、知識欲がゾクゾクしっぱなし。
現場の分析をフィリップが別方向からの調査を翔太郎が担い、少しずつ事件の真相へと迫っていきます。ベイサイドバッド・ボーイズのメンバーが採掘現場として利用している廃棄場に、トラッシュ・ドーパントが現れる殺人事件が発生。
一連の事件にプラキオサウルス・ドーパントも関わっており、万灯雪侍扮するオーロラ・ドーパントがWの前に現れると、ときめにとある日の記憶が蘇り……。
くず鉄やヘドロ状のもので身体が構成されているトラッシュ・ドーパントは、有機物を腐食させ粘液質を投げつけて攻撃するタイプ。今回Wはサイクロンジョーカーエクストリーム形態で、このドーパントに挑みます。
人としての感情が薄かったフィリップが、初対面の人たちと外泊するという新しい一面を見せる第8巻。仲間や敵以外の人々と熱く語り合うフィリップの姿が、ファンの心をくすぐります。
- 著者
- ["石ノ森 章太郎", "三条 陸", "佐藤 まさき"]
- 出版日
かつて起きたWと白い仮面ライダーの戦いの記憶が断片的に蘇り、風都タワーを訪れるときめ。翔太郎とフィリップには風都タワーの記憶のことだけ話し、ライダー同士の戦いの記憶については伏せてしまいます。
風都で人気のゆるキャラふうとくんのスーツアクター・富士見ナオが襲われ、ふうとくんの着ぐるみが盗まれる事件が発生。事態に気づいたときめが、ふうとくんの着ぐるみを寸でのところで守ります。
しかしナオが足を骨折してしまい、風都タワー感謝祭で行われるふうとくんイベントが開催の危機に。ときめの身体能力を見込んで、ときめにスーツアクターの代打を頼むナオ。
代打役を引き受けたときめは、ふうとくんを演じるための特訓に明け暮れます。ナオを襲った風都タワーのイベント中止を目論むのは、仮面ライダーエターナルに心酔する集団・蒼炎群(せいえんぐん)。
クラブ・ドーパントの力を得た蒼炎群の手から、風都感謝祭を守り抜くべく奔走する翔太郎たち。ときめは滞りなく、ふうとくんを演じきれるのでしょうか?緊迫のふうとくんイベントの幕がいよいよ上がります。
劇場版『仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ』に登場した、最凶の仮面ライダーエターナルに心酔する人々が登場する第9巻。エターナルおなじみのセリフ「地獄を楽しみな!!」も登場し、劇場版のファンも心踊る1冊になっています。
- 著者
- ["石ノ森 章太郎", "三条 陸", "佐藤 まさき"]
- 出版日
鳴海探偵事務所では、ときめに連休を取らせようという話が浮上。そんななか、風都博物館館長の轟響子が依頼を持ってやってきます。
依頼内容は風都博物館の関係者が奇妙な殺人事件に巻き込まれたので、事件の真相を突き止めてほしいというもの。園咲琉兵衛から仮面が届き、東堂幸三がルーク・ランカスターに電話をかけた後、死亡したというのです。
かつて遺跡発掘調査でロンドバレル島を訪れ死仮面を発見した、東堂や園咲を含むL・A・S・Tのメンバー。姿を現したラーフ・ドーパントにルーク・ランカスターの命が奪われ、次々とL・A・S・Tのメンバーが襲われていきます。
ラーフ・ドーパントの正体は、L・A・S・Tのメンバーの中にいるのか⁉事件の裏に隠された園咲の思惑や、どうやってガイアメモリを流布させたのかなど驚愕の事実が次々と明らかになっていきます。
L・A・S・Tの1人・吾妻仁からロンドバレル島での過去エピソードが語られ、ミュージアム誕生秘話や風都に隠された真実が描かれる第10巻。
かつてのラスボス園咲琉兵衛が深く関わっている今回の事件。Wにも登場した轟響子が口にする思いや、地球の本棚で父に関する本を手にするフィリップなど、Wと深くつながるエピソード目白押しの1冊です。
- 著者
- ["石ノ森 章太郎", "三条 陸", "佐藤 まさき"]
- 出版日
忽然と姿を消したときめ。彼女は芸術家を自称する男・出紋大騎によって、電波の届かない無人島に誘拐されていました。ときめはスタッグフォンのライブモードで翔太郎たちにメッセージを送ったものの、無人島があるのは出紋=ディープ・ドーパントの作り出した地下空間内部で、出紋の能力を除けば脱出も侵入も不可能でした。
ときめの居場所が掴めず、八方塞がりとなる鳴海探偵事務所。そこへ「街」の首魁・万灯雪侍が現れ、「街」の裏切り者である出紋からときめを救出するよう依頼してきます。
11巻は犯人の異常性や展開などが、これまでの『風都探偵』とは一線を画す異色のストーリーとなっています。万灯の情報提供で犯人の正体とメモリ特性が早々に判明するも、まったく手出しできないのです。
ガイアメモリ流通組織ミュージアムを後援していた財団X。万灯は財団Xの母体企業の1つカイ・コーポレーションの元CEOで、出紋はその秘書を務めていました。その過去から出紋は万灯と裏風都の秘密、ときめが「魔女」と呼ばれている理由を知っているようですが……。適度に仄めかされる『風都探偵』の核心が、読者をよりストーリーに惹き付けていきます。
ファングメモリの新フォーム、パワーアップしたアクセルの活躍にも注目です。
- 著者
- ["石ノ森 章太郎", "三条 陸", "佐藤 まさき"]
- 出版日
東風大通りに突如現れたシザーズ・ドーパントに対して、偶然居合わせた翔太郎はWサイクロンメタルで応戦。怪人を逃がした翔太郎は捜索の途中、現場付近にある「東風大」こと東風都大学で高校生時代の親友・本条隼人と再会し、多発する切り裂き魔事件について知ります。被害者は東風大H棟、通称「迷路棟」に近づいた者ばかりでした。
増改築と電波を遮断する構造のせいで、文字通り迷宮と化している迷路棟。事件は50年前、東風大で研究していた鬼才ハルバー・ヘルスタイン博士の呪いとも言われますが、果たしてシザーズ・ドーパントとの関係は……?
調査の中で浮かび上がる財団Xの間接的関与。フィリップは財団Xの出資で行われていたヘルスタイン博士の研究を守るため、シザーズ・ドーパントが事件を起こしていると推理します。シザーズ・ドーパントの正体候補は3人。そのうちの1人は本条隼人でした。
相変わらずハーフボイルドな翔太郎。彼と隼人との間にある友情が感動的です。迷路棟を巡る事件には、さらに「街」幹部の少年・千葉秀夫と財団Xのとあるエージェントが関わってきます。
ヘルスタイン博士の研究が死者蘇生(NEVER)や超能力(クオークス)など、他の財団Xの研究に発展した可能性が示唆されており、『仮面ライダーW』ファンが読めば考察が捗るでしょう。
- 著者
- ["石ノ森 章太郎", "三条 陸", "佐藤 まさき"]
- 出版日
風都署超常犯罪捜査課――照井竜の所属するドーパント犯罪専属対策チームですが、実は風都署にはもう1つガイアメモリ関連の部署がありました。照井主導で秘密裏に設立されたガイアメモリ特殊研究施設、通称G研。
G研は押収したメモリの研究・保管を目的とした部署なのですが……。フィリップの要請で照井が押収品を確認しようとしたところ、厳重に保管していたはずのシザーズメモリの紛失が発覚。照井はG研に「街」の内通者がいると考え、翔太郎たちへ密かに内部調査を依頼するのでした。
『仮面ライダーW』および『風都探偵』は、基本的に翔太郎かフィリップの視点で進みます。そのため警察におけるドーパント犯罪の捜査がどう行われているのか不透明でしたが、第13巻ではその点の掘り下げが行われました。
G研は所長の玄道修一郎を含め、5人のメンバーで構成されています。玄道はガイアメモリ撲滅のため、照井と同時期に風都署に着任した男で、いわば照井の同志です。彼だけはG研内に内通者がいるのを知っており、翔太郎らに協力してくれます。
ほかのメンバーはそれぞれ、ガイアメモリ犯罪の被害者や、心ならずも関わってしまった者たちばかりです。照井はあえてガイアメモリを憎む人材をG研メンバーに選出しており、本来裏切りはあり得ないはずでした。
- 著者
- ["石ノ森 章太郎", "三条 陸", "佐藤 まさき"]
- 出版日
メモリを失い、重傷を負ったスクリーム・ドーパントこと五条一葉。ときめは彼女に罪を償わせるべく、密かに身柄を匿いました。ところが目を離した隙に、一葉は逃亡してしまいます。
単独で解決しようとしたときめは自らの行いを悔いて、翔太郎らに事情を説明し、鳴海探偵事務所へ一葉捜索を依頼しました。
一方、万灯は能力をなくした一葉の処遇を決定。矢ノ神夜一(やのがみよいち)という男を「街」の殺し屋に任命し、前任者たる一葉を始末させようとします。
鳴海探偵事務所と「街」、目的は違えど両者が追うのは同じ人物。捜索の鍵となるのは、ガイアメモリ後遺症の激痛を緩和する薬「yoke(ヨーク)」です。果たして翔太郎らの保護が先か、殺し屋の魔の手が先か……。
今巻はいつになく、ときめの成長がクローズアップされるエピソードとなっています。たとえどんな危険人物でも、生きて罪を償わなければいけない。探偵助手としてはまだまだ未熟ながら、理想に燃える意思は、いつの間にか翔太郎と同じくらい強くなっていました。
そんな翔太郎とときめを阻むのが、「街」の死神デス・ドーパント。『MOVIE大戦2010 ビギンズナイト』に登場した偽物ではなく、こちらはまぎれもない本物です。強力かつ狡猾なデス・ドーパントとの死闘は要注目で、改めてW基本形態の汎用性の高さに驚かされます。ファング、エクストリームなどの強化形態と単純な上位・下位互換の関係になってないのが凄いです。
また14巻では、これまで不明だったメモリブレイクの仕組みが明かされるとともに、Wの技名の由来も判明。技名はアクション作品、特撮のお約束としてなあなあで受け入れられていた部分があったのですが、しっかりとした理由が語られます。こうした細かい部分をフォローしてくれるのも『風都探偵』の魅力。
そして物語後半ではついに、あのガイアメモリがベールを脱ぐ瞬間がやってきます。「切り札」たる翔太郎のジョーカーメモリと呼応したドーパントメモリ。いったい誰がどんな形で使用するのか……。驚異の活躍は本編でご覧ください。
- 著者
- ["石ノ森 章太郎", "三条 陸", "佐藤 まさき"]
- 出版日
前回の事件を機に、記憶を取り戻したときめが失踪。失意の翔太郎を慰めるべく、亜樹子を中心とした風都の仲間たちが元気づけようと集結します。風都イレギュラーズの中には、翔太郎の好物である、今はなき名店の味を再現しようと奔走する者も。
そしていつもの面々と懐かしい顔ぶれが、風都の飲食店街「イブクロ横丁」に集まったのですが……。
宴会の翌日、横丁のパティシエが変死しているのが見つかりました。死因は急性餓死。飽食の時代に似つかわしくない、ガイアメモリ関連としか思えない事件です。翔太郎は事件の全貌を掴む前に、再び現れた犯人――ハングリー・ドーパントの餌食になってしまいます。
第15巻は「飢え」から転じて、「満たされない心の隙間」をテーマとしたストーリーとなっています。特定の人への想い、思い出の味、取り返しのつかない後悔。それらは翔太郎だけでなく、他のゲストキャラクターや犯人にすら当てはまります。
いつになくビターな味わいですが、何度でも立ち上がって前を向くのが翔太郎であり、風都の流儀。希望のある最後に救いを感じます。
事件の元凶たるハングリー・ドーパントは、デザイン込みで非常に印象的です。肥満の下半身の上に筋肉質な上半身が浮いており、腹部は空っぽという異形。半径100mの範囲内を無差別で飢餓状態に陥れ、対象を直接視認すれば生命力そのものを奪って衰弱させる恐るべきドーパントでした。特に描写はなかったものの、幹部クラスでもおかしくない強力なメモリ。
シリーズファンとしては、「サム」こと尾藤勇がチョイ役で出てきたのが嬉しいところ。『仮面ライダーW』と地続きなのが改めて実感出来ました。また第3巻以来となる鏡野空也の再登場も見所。Wの正体を知る1人として、今後イレギュラーズ入りするのかも知れません。
- 著者
- ["石ノ森 章太郎", "三条 陸", "佐藤 まさき"]
- 出版日
「クイーンとの仲を取り持って欲しい」――唐突にやってきたエリザベスは、要約するとそういった趣旨の依頼を翔太郎に押しつけました。
クイーンとエリザベスはかつて女子高生、現在は女子大生の情報網を使って翔太郎に協力する名コンビ。ところが最近のクイーンは天才少年配信者「プリンス」とのコラボで注目され、テレビや動画の撮影に引っ張りだことなっていました。
他愛のないすれ違いを正すだけ……のはずでした。クイーンがプリンスや撮影クルーとともに行方不明になるまでは。彼らは「コッパ」と名乗る人物によって連れ去られ、裏風都の一角を舞台としたデスゲームに巻き込まれてしまったのです。
ガイアメモリ犯罪者は欲望に起因するとはいえ、大なり小なり目的があって悪事を行う者が大半でした。しかし今回の黒幕コッパは、自身がファンであるクイーンの苦しむ姿を見たいだけ、という愉快犯の小物。ただ、巻き込まれた撮影クルーらの仲間割れを面白半分で狙うなど、非常にたちが悪いです。
裏風都への転移で発生するX粒子を発見したことで、翔太郎たちはは早い段階で裏風都関係なことを突き止めたものの……行き来する手段がないのですぐに救出へ向かえない状況。
つまりクイーンは孤立無援です。まともに戦えない彼女は知恵と機転で可能な限り戦闘を避け、なんとか逃げ続けますが、とうとう追い詰められ……あわやというところに、まさかの援軍が登場します。
流線型の黒いボディに、体表には幾何学模様が走る戦士。仮面ライダーと見間違えるその姿は、修復されたジョーカーメモリと「街」幹部専用のガイアドライバーrexで変身したジョーカー・ドーパント――ときめでした。
鳴海探偵事務所を離れたときめは、果たして敵か味方か。悲壮感漂う表情からは、彼女なりの覚悟が窺えます。
刻々と迫るコッパの魔の手。時を同じくして無数のロード・ドーパントが大挙して押し寄せてきて、クイーンたちはさらなる窮地に立たされます。翔太郎たちは裏風都に間に合うのか、ときめの動きは……物語全体のうねりを感じさせるエピソードです。
- 著者
- ["石ノ森 章太郎", "三条 陸", "佐藤 まさき"]
- 出版日
すべての記憶を取り戻し、1人戦っていたときめ。彼女は自信の生い立ちや裏風都との繋がり――「ビギンズナイト」を語る覚悟を決めて、翔太郎のもとに戻ってきました。
ときめの口から明かされた真実……彼女の本名は万灯時女(ときめ)といいました。「街」の首魁・万灯雪侍と血の繋がった実の姉であり、双子だったのです。
衝撃の事実はそれだけで終わりません。生得的に優れた遺伝子を持っていた彼女たちは、ある国で実験対象として生まれ育ち、そして財団Xに引き取られたのです。
常に一緒だった2人の運命は数年後、大人に成長してから分かれました。自由を求めて外の世界に飛び出したときめに対して、財団Xのフロント企業であるカイ・コーポレーションのCEOに成り上がった万灯雪侍。
財団Xに不信感を持つときめは、そこから離れようとしない弟と、もう1人の家族を説得しようとしたのですが……。
次から次へと、畳みかけるように明かされる情報の数々。裏風都の成立に、あの仮面ライダーエターナルこと大道克己――映画「運命のガイアメモリ」が、間接的にとはいえ関係しているという展開には特に驚かされました。結果論ではありますが、この件で「ミュージアム」の園咲琉兵衛も「街」の万灯雪侍もWに助けられた形なのが皮肉。
この17巻の発売がWの「ビギンズナイト」を扱う映画「仮面ライダースカルの肖像」と同時期なことも含めて、『風都探偵』のさまざまな要素が『仮面ライダーW』と密接に繋がっているのを感じられて、とてもワクワクさせられます。
新登場のドーパントはシティ・ドーパント。異形の出で立ちに神々しさを感じる凄いデザインです。名前通り街を生み出す能力を持っていますが、それがどのように裏風都誕生に関わってくるのかぜひお楽しみください。
誕生と言えば、ジョーカー・ドーパント誕生秘話も見所。すでに前巻までにときめがジョーカー・ドーパントであることは明らかでしたが、なぜ彼女が五条一葉や矢ノ神夜一のような裏風都の殺し屋(万灯に言わせれば守護神)をしていたのかが、このエピソードではっきりとわかります。
見知った街、風都の見知らぬ物語。ゾクゾクしますよね。見知った街、風都の見知らぬ物語。ゾクゾクしますよね。
漫画『風都探偵』は累計240万部を突破し、アニメ化に続いて舞台『風都探偵 The STAGE』も公演されました。舞台舞台は刃野幹夫役にドラマに引き続いてなだぎ武、ラスボス格・万灯雪侍になんと園咲霧彦役の君沢ユウキがキャスティングされるなど、原作ファンにも嬉しい見所が満載。
『風都探偵』好調の波に乗って、いつか本作をベースに再ドラマ化――という日が来るかも?
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