漫画『黄昏流星群』の神回、名言を57巻までネタバレ紹介!泣ける!面白い!

更新:2018.8.22

本作は「島耕作」シリーズで有名な弘兼憲史が描く、中高年を主人公にしたオムニバスコミックです。2018年10月からはドラマ化もされます。 ビックコミックはもともとサラリーマン層をターゲットとした作品が多いですが、連載当時団塊世代が中高年に達しようとする時期に差し掛かってきた時代背景を受けて、40代以上の男女を主人公とした恋愛漫画を連載することとなりました。 そんな本作で注目の話を、徹底的にご紹介!ネタバレを含みますので、ご注意ください。

  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena

漫画『黄昏流星群』あらすじ、タイトルの意味は?

 

四十歳を超え、多くの大人達は、
死ぬまでにもう一度燃えるような恋をしてみたいと考える。 
それはあたかも黄昏の空に飛び込んでくる流星のように、
最後の輝きとなるかもしれない。 
この熱い気持ちを胸に秘めつつ、落ち着かない日々を送る大人達を我々は……
黄昏流星群と呼ぶ。 
(『黄昏流星群』1巻より引用)

40代は人生において、1つの転換期ともいえます。中年の終わりであり、老年期に緩やかに入っていく。そんな時期です。

そんな時、彼らはもう1度恋をしたいという、切なる願いを抱くようになります。上記の文章、作品タイトルは、まさにそんな彼らの心の内を表したものなのです。 

 

著者
弘兼 憲史
出版日

 

90年代後期から高度経済成長期やバブル、長引く不況を経験してきた団塊世代の人々が、第一線を退くこととなります。彼らは人生の過度期を終え、転換期と老年期に向かいつつあるのです。  

ある者は新しい恋、ある者はかつての恋のやり直し、ある者は何十年ものくすぶっていた想いの内の開放……。その恋の果てに、いかなる悲喜劇が生まれるのでしょうか。 

 

漫画『黄昏流星群』神回1:不惑の星【1巻ネタバレ注意】

 

盛本芳春(52歳)は、芙蓉銀行の富士見台支店長。ある日、自身の子会社へ転勤する羽目になってしまいます。事実上のリストラとなってしまったのです。 

彼はそのことを受け入れようとしますが、妻と子供にはまったく理解されません。それどころか娘の結婚式での体裁が悪いので、その時まで銀行の支店長でいてほしいとまで言われてしまいます。 

 

著者
弘兼 憲史
出版日

 

失意のどん底で、彼はスイスのアルプスへ海外旅行へ赴きました。そこで彼は40代の品のよさそうな女性と出会うのです。やがて彼女と関係を進めていくうちに、娘が己と同じか、年上の男と関係を持っていることを知ってしまいます。 

物語としては典型的な団塊世代、もしくは高度経済成長期のサラリーマンタイプの男。そして娘は、ドライな価値観を持っています。そんな2人がお互いの人生の転換期を迎えようとしているときに、不倫を犯し、泥沼にはまってしまうのです。 

娘の婚約者が鼻持ちならない官僚であることから、父親である森本は、最近の若い子は肩書に弱いと見下します。しかし一方、自身が再び出世の好機をつかんだタイミングで浮気相手に己の子供ができたとわかると、まんまとおよび腰になってしまいます。挙げ句の果てに「堕ろしてくれ」と頼むのです。

娘同様、彼もまた肩書ばかりに拘っていたのでした。 そんななか浮気がばれてしまい、妻から離婚されてしまうことに。 

まさにこの話は、彼のこのセリフがすべて物語っているでしょう。 

「この恋の行方は、わからない。
この恋がいつか穏やかに収束するのか、
それとも波乱に満ちた人生を収束するのか…」
(『黄昏流星群』1巻より引用) 

肩書も何もかも失った主人公。その行動はいかなるものなのでしょうか。

 

漫画『黄昏流星群』神回2:鎌倉星座【2巻ネタバレ注意】

 

栃木県市立博物館勤務の国文みゆき(27歳)は、ある日発見された古代遺跡のかけらを調査していると、それがマケドニアの古代遺跡の一部であることに気づきました。さらなる調査には、ある文献が必要でした。それは、日本にあるかどうかもわからない希少本『アーキテクチャアオブマケドニア』という洋書です。 

彼女は神保町へ赴き、本を探します。すると店員と間違えて、1人の老人に声をかけてしまいました。彼は古書店の客でしたが、ともに本を探してくれることに。 しかし、結局見つかりませんでした。

それをきっかけに、彼女はその老人が住んでいる鎌倉の生家に泊まることになりました。 

 

著者
弘兼 憲史
出版日
1996-12-19

 

彼の名前は、北村。その正体は、著名な建築家です。このことをきっかけに2人は仲良くなり、いつしか恋愛感情が芽生えます。 

「ある本に書いてあったが、男女の年齢を合わせて百になってからが、
本当の愛がはぐくまれる時だってな。」 
(『黄昏流星群』2巻より引用) 

このセリフのとおり、みゆきの年齢は27歳、北村の年齢は73歳。合わせてちょうど100歳です。

みゆきは3人の男と肉体関係を持っており、求婚をせまられている状況でしたが、若い男にはない深い知性と、紳士的な振る舞いに、北村に夢中になっていきます。しかし、やはり歳の差が気になり……。

恋愛に歳の差は関係ないと、よく言いますが、果たして本当にそうなのでしょうか。そして、彼女の下す決断はいかに。

 

漫画『黄昏流星群』神回3:星より密かに【3巻ネタバレ注意】

 

しがないラーメン屋の店主・徳田和夫の店に、ある女性客が現れました、彼はその女性を見て、胸が高まります。彼女は大女優の渚エリカ。彼は若いころから、彼女の大ファンだったのです。 

いつしか彼女は、彼の店に通うようになります。しがないラーメン屋と、大女優。それが2人の関係です。彼女は時に、男を連れてきました。しかし気まぐれで気性の激しい彼女は、男と大喧嘩をしてしまうことも。そんな時でも、徳田は彼女を快く受け入れたのです。 

 

著者
弘兼 憲史
出版日
1997-04-30

 

ある日、彼女が酔っぱらって店に入ってきました。その勢いで、2人はとうとう第一線を超えて仲が深まります。やがて徳田は渚のアイディアで、新しいラーメンを作るのです。キクラゲとザーサイで造った渚ラーメンは、他の客からも高評価。

しかし、そんな時に思わぬ事件が起きるのです。

渚が、付き合っていた男を殺してしまったのです。その男は、かつてラーメン屋で彼女と口論になった男でした。そして徳田は、彼女の身代わりになって罪をかぶる決意をするのです。しかし彼女は、徳田の服役中に別の男と結婚し……。 

本作は立場の違う者同士の恋愛を描いたもので、著者の個人的には1番の傑作にしたい作品です。これが少年漫画だと甘酸っぱい身分差のひと時の恋物語になるのですが、本作では、主人公は女に利用されているだけであり、しかも彼女の身代わりに罪を着せられてしまいます。

それでも自分の元には永遠に来ないような、高値の花の役に立てただけでもうれしかった、と思うのです。悲しく、苦々しい純愛。
 

結果的に渚は、不幸な運命を辿ることとなるのですが、彼女の、そして徳田の行く末はどうなるのでしょうか。

キーとなる設定は、あの時に作った、あの渚ラーメンです。 

 

漫画『黄昏流星群』神回4:星のレストラン【4巻ネタバレ注意】

 

フランス料理店で働く料理人・ヒロミと、その恋人の美奈は、コンビニで1人の老人が金を忘れたために、代金を立て替えてあげました。

2人は老人と知り合いになり、ヒロミは彼に自身のフランス料理をごちそうします。すると老人は、その料理に的確な指摘をするのです。彼の名は立松一平。有名なフランス料理専門の、天才料理人でした。 

 

著者
弘兼 憲史
出版日
1997-10-30

 

やがてヒロミたちは立松について、多くを知るようになります。かつてフランスの店にいたころに、ソフィーという恋人がいたこと。彼女と結婚を決めていたのですが、カキの料理を作ったときに食中毒で死人が出たこと。そのことから、責任をとって店を辞め、日本に戻ったこと……そしてソフィーとはそのまま別れてしまったのでした。 

ある日、美奈は仕事でフランスに行った時、ソフィーの消息を知ります。彼女は、とある企業の社長夫人となっていましたが、美奈の計らいで、立松はソフィーと再会することになることに。

若く才気あふれる料理人と、それを見守り導いていく年老いた、かつての天才料理人の交流。その老人の、苦い半生のなかに宿っている切ない恋愛が見所です。

ちなみに『黄昏流星群』には料理話が多く、本作に登場するフランス料理もとてもおいしそうです。 その点にも、ぜひご注目ください。

 

漫画『黄昏流星群』神回5:聖夜の夜【6巻ネタバレ注意】

 

クリスマスイブのある日のこと、しがないサラリーマンの向井の会社が倒産しました。しかし経済的にはニュースキャスターの妻・優子の収入の方が高いのでなんとかなっています。しかし、そんな2人の仲は、冷え切っていました。その溝にあるのは、この夫婦には、14年前の流産という苦い思い出でした。 

 

著者
弘兼 憲史
出版日
1998-08-29

 

そんななか2人は、公園で1人佇んでいる少年を見かけます。ふと気になり、彼を家に招くことに。少年は、静岡の孤児院から来たと言います。孤児院へ一晩預かると連絡を入れ、3人でささやかなクリスマスパーティがおこなわれました。 

その夜、向井は不思議な夢を見ます。先ほど家に招き入れた少年は、かつて流産してしまった自分たちの子供だという夢です。2人の仲が冷え切っていたので、天国から心配してきたのだと言います。そして己の息子につれられて、東京の空を飛ぶのでした。

その夢のなかで、向井はもう1度夫婦で仲良くやっていくと、かつての子供に約束します。そして翌朝目が覚めると、家に泊めたはずの少年はいなくなっていたのでした。 

果たして、夫婦の仲は変化するのでしょうか。

この話以外でも、本作の世界では子供がきっかけに物語が動いていくというパターンは多いです。ぜひ注目してみてください。 

 

漫画『黄昏流星群』神回6:七夕七年会【8巻ネタバレ注意」】

 

1970年代。貿易会社勤務のサラリーマン・寺坂泰人と、司法浪人生・藤倉澄子のカップルがいました。彼らは寺坂がロンドン勤務になったことと、他に恋人ができたことで別れることとなります。

しかし、澄子はそこである奇妙な提案をします。新聞の伝言板を使って、7年ごとに七夕の日に会うこと、そしてお互いにその時の自分を見せ合い、必ずベットインするのだと。会の名前は「七夕七年会」。 

 

著者
弘兼 憲史
出版日
1999-04-27

 

そして話は、現代に飛びます。寺坂は3回目の七夕日七年会を向かえて、澄子に会いに行きました。しかし、彼女は現れません。代わりに現れたのは、設楽ナツミという20歳の女の子。屈託のない彼女は、男がどうして7年ごとに元恋人の人と会うようになったかを聞きます。 

寺坂は彼女に、七夕七年会の概要をかいつまんで説明しました。すると、彼女はこう言います。

「私、女の立場から言わせてもらうと、
その藤倉さんて女性、あなたのことが好きなんだろうけど、
もうひとつの感情として……
復讐しようとしているんじゃないの?」 
(『黄昏流星群』8巻より引用)

捨てた女と、7年ごと七夕の日に出会う約束をした男。果たして彼女の言うように、彼に対する復讐が目的だったのでしょうか。読み進めていくごとに、澄子の気持ちを感じて苦しくなるこのエピソード。

最後に明かされる、ナツミの意外な正体にも注目です。
 

 

漫画『黄昏流星群』神回7:ソドムの星【9巻ネタバレ注意】

 

新宿のゲイバーに勤める男・滝満夫(45歳)。彼は、オリエンタル総合株式会社人事部部長の野々山と知りあいます。彼は、女性に興味がありませんでした。 直感的に滝は、彼が同性愛者だと見抜き、やがて惹かれあいます。そして、セックスをするのです。 行為の前に、野々山はこう言います。 

 

著者
弘兼 憲史
出版日
1999-08-30

 

「もうひとつお願い出来るなら、
今だけでもいいから化粧を落としてほしい。
男のキミが見たい。」
(『黄昏流星群』第9巻より引用 )

やがて彼は滝のそばにもっといたいと言って、バーテンとしてアルバイトに入ります。自分が同性愛者ということを自覚した野々山は、やがてその道に入り込み、タイで1人の美少年と知り合うようになりました。

しかし暴漢に襲われ、金をすべて奪われてしまうのです。美少年は、暴漢が仕向けた罠だったのでした。

滝は、すべてを無くした野々山の世話をして生きるようになります。やがて2人は、貸し別荘に流星群を見に行くことに。しかし流星とともに、野々山の命は尽きようとしていたのです。

江戸時代では、同性愛が一般に認知されていました。古代ギリシャでもそういったことや、少年愛をテーマにした物語はあります。つまり古代において、同性愛が理解されていた時代があるということです。

しかし、それらの情欲は、時に悲劇的な結末を生みます。

本作の野々山も、また然り。同性愛にのめり込み、やがて破滅に向かっていくのです。しかしそんな彼を、滝は最後まで支えてゆこうと決まるのです。そんな2人の運命は、そして野々山が死にゆく原因とは一体なんのでしょうか。

最後、駆けつけた救急隊員に滝は、彼の「恋人」と伝えます。そのときの隊員の怪訝な表情からは、同性愛者に対する偏見、そして理解されぬ壁の厚さが感じられるはずです。

 

漫画『黄昏流星群』神回8:星の交差点【12巻ネタバレ注意】

 

妻と別れて5年となる池澤はある日、親友から会員制のスワッピング(夫婦を交換してセックスすること)の話を持ち掛けられます。 興味を持った彼は、20代のころ付き合っていた津島麗子を誘い、彼女を妻の代役として、そこの会員となりました。

しかし友達が言うようには楽しめないうえ、乗り気そうだった麗子も、本心では嫌だったようなのです。そして、ふとしたことがきっかけで2人が夫婦でないということがばれてしまい、退会させられてしまうことになったのでした。

 

著者
弘兼 憲史
出版日
2000-09-30

 

スワッピングに乗り気でないのは、なぜなのか。池澤は、自分自身に問いかけます。そして、本心では麗子のことが好きだったということに気がついたのです。彼女もまた、彼のことがずっと好きだったのでした。

不倫話が多い本作。しかし、この話は会員制のスワッピングという妖しい世界が登場するものの、それがきっかけで主人公が己の気持ちに気がつき、ヒロインと結ばれるという、ある意味純愛ものです。まるで学生カップルのようなその様子に、読んでいて思わず赤面してしまうかもしれません。

 

漫画『黄昏流星群』神回9:わが愛しの剣星【15巻ネタバレ注意】

 

宮本武蔵の大ファンである真野あさみは不倫相手に振られ、気を紛らわせるために宮本武蔵ゆかりの地「岡山県英田(あいだ)大原町」に来ていました。

そして彼の墓に来た時、足を滑らせて崖から落ちてしまいます。そしてそのまま寛永9年の江戸時代にタイムスリップしてしまうのです。

 

著者
弘兼 憲史
出版日
2001-12-25

 

その世界をさまよううちに彼女は当時49歳だった宮本武蔵と出会います。

武術の達人で正義感が強く、美術的素養もある武蔵にあさみは心惹かれていき、いつしか2人はとある寺に逗留し暮らすことになります。

いわゆるタイムスリップ物でヒロインはいわゆる「歴女」と言われる歴史好きな女性。それゆえに本作は歴史漫画としての面白さもあり、弘兼憲史の知識の深さを感じさせるような内容です。

例えば、ヒロインが当時の決闘を目撃したとき迫力に恐れをなす場面は印象的。当時の決闘は戦国時代の名残があるため不意打ちや奇襲などの作戦が当たり前にあったそうです。

また、ヒロインと出会う以前から武蔵は美術品的な教養があったのですが、デザイナーとしての一面があるあさみが彼に書画や工芸を教えるというのがも面白いところ。

そんなストーリーは、彼女が無事に現代に戻り武蔵の子供を身ごもることで終わりに近づきます。母ひとり、子ひとりで時が経ったのだと感じられる内容です。そして10年後、ちょっとした残念なオチがあるのもこのエピソードの見所です。

 

漫画『黄昏流星群』神回10:攻撃する運星【24巻ネタバレ】

 

笠原哲矢、51歳。百貨店新宿店消費者センター課長代理。彼は家族に内緒で、サッカーの賭けやパチンコ、馬券で儲けたへそくりを秘密の口座に入金していました。

そんなある日、神楽坂の屋敷へクレームの対応に行った時、錦華(きんか)という芸者と出会います。彼は彼女に夢中になってしまいます。そしてその矢先に彼はロトを当て、4億もの大金を手に入れるのです。

 

著者
弘兼 憲史
出版日
2005-07-29

 

最初の内は高級店で飲み食いしていた彼ですが、すぐに飽きることに。そして彼は錦華と再び出会い、猛烈にアタックするのです。

彼女の通う料亭に出入りするようになり、とうとうホテルにまでたどり着きますが、金を使うしかできない彼は、結局彼女の心をつかむことはなく、徐々に2人は離れていくように。

大金があったら何に使うか。誰もが夢見るテーマですが、本作の主人公は食い気と色気、なんともしょんぼりした使い方。実際こんなものなのでしょうか。

最後に彼が選ぶ生き方とは。自分だったらどう生きるか考えながら、ぜひ読んでみてください。

「人それぞれ居心地のいい空間があるように、
じぶんにとって今のこの状況がいちばん暮らしやすいのかもしれない。」
(『黄昏流星群』24巻より引用)

 

漫画『黄昏流星群』神回11:煌めかざる星【25巻ネタバレ注意】

 

サラリーマンから市長になった男・歌川哲彦は、己の故郷である静岡県桜川市で、環境のシンポジウムにパネラーとして出席することになりました。懐かしさに駆られて、彼は秘書もSPも連れずに、実家帰省気分で故郷に来てしまうのです。

その夜地元の料亭に入った彼は、そこで働いている女性が高校の同級生・村井香織だと気づきます。2人は、かつての恋仲でした。

やがて、体を重ねる関係に発展。そこで彼は、彼女が3度目の結婚で、現在の亭主・羽熊はあまりいい夫ではないことを知ります。彼女は殺意さえ抱いていたのでした。

 

著者
弘兼 憲史
出版日
2005-10-28

 

やがてシンポジウムが開始。来ると約束した村井は来ないようです。不思議に思った歌川が夕刊紙を読むと、なんと彼女が夫を殺したと書かれていたのです。

頭が混乱した彼が事件を調べると、彼女に午前零時のアリバイがないため、容疑者になったのだそう。しかし、その時間は2人がベットをともにしていた時間でした。彼が勇気をもって警察にそのことを伝えますが、村井は自分がやったの一点張り。

果たして彼らはどうなってしまうのでしょうか。そんな彼らの運命がわかる名言を紹介します。

「愛と貧乏と、充実した時間を手に入れることが出来た」
(『黄昏流星群』25巻より引用)

世間から見たら、彼らは不幸せなのかもしれません。しかし本人にとっては、幸せな決断だったのではないでしょうか。具体的な内容はぜひ作品でご覧ください。

全体的に、3巻の「星よりひそかに」とどこかストーリーが似ているよう雰囲気です。こちらは主人公が、地位も名誉も何もかも捨てて、己の愛する女を救おうとしました。

不倫をしてしまった際、それを公の場で白状して誰かを救うというのは、簡単にできることではありません。しかし、それをした結果、何もかも捨てたにも関わらず、歌川も村井もどこか晴れやかです。2人の愛の強さが感じられます。

 

漫画『黄昏流星群』神回12:守護星奇譚【29巻ネタバレ注意】

 

50歳になる三浦は会社では怒鳴られ、家族からは煙たがられる、冴えない日常を送っています。ある時から、彼が隅田川を眺めていると、船に乗った気味の悪い老人を目にするようになりました。

毎日の出勤も億劫になり、気分転換に別の街を歩いてみると、そこには美しい人妻・峰岸がいました。その時から、男の人生にはどこか張りが出てきたようになります。橋の下には相変わらず船に乗った気味の悪い老人がいますが、三浦は彼に笑いかけるまでになったのでした。 

 

著者
弘兼 憲史
出版日
2007-03-30

 

そんななか彼は、峰岸と意外なところで再開します。なんと彼女は、ラブホテルで立ちんぼをしていたのです。そのまま彼女とベットをともにした三浦は、彼女に隅田川にいる老人のことを話しました。なんと三浦は最近、彼に向かって手を振るようにまでなったのです。 

それを聞いた峯岸は、不思議な力について明かします。それは他者が自分にとって敵か味方かがわかるというもの。そんな彼女いわく、その老人は死神なのだといいます。 

社会派にして日常ドラマが多い本作にしては、珍しくホラータッチの作風です。船にいる老人というのは、ギリシャ神話に出てくる冥界の川の渡し守・カロンがモデルかと思われます。 

一見すると女は味方に見えますが、三浦は彼女との不倫でお金を使ってしまうので、途中まで見てるとこの女は悪魔ではないのか?と思ってしまいます。

三浦は彼女の言うとおり、川の老人に掴まれた手を振り払いましたが、果たしてこの行為は正しいのか否か。ぜひご自身の目でお確かめください。

 

漫画『黄昏流星群』神回13:星鵠を射る【33巻ネタバレ注意】

 

元警視庁の小日向が「日本犯罪研究所」に転職して、3か月。彼は、日本の犯罪データのフィールド別データを作る仕事をしていました。そして彼は、1961年6月19日生まれの犯罪者が4人もいることに気づきます。

そんなある日、彼はおでん屋で1人の女性と出会います。そして彼女は、そのまま彼の家に居ついてしまうのです。彼女は1961年生まれの子供の1人、青木美加でした。

彼は彼女の生家を訪ね、彼女の生まれたときの写真を見せてもらうことに。すると、後ろに奇妙な男が映っているのがわかったのです。調べてみると4人の犯罪事件の現場にも、同じ男が映っていました。

 

著者
弘兼 憲史
出版日
2009-01-30

 

そしてある日、小日向は同僚から「悪魔の教唆」という本を見せられます。1691年にスコットランドで起きた事件に関する本で、それは悪魔が実在するという結末だったのです。

やがて、謎の男の正体が徐々に判明してきます。果たして男は何者なのでしょうか。

本作もまた、ホラータッチの話です。データを整理しているうちに奇妙な符号に気がつき、調べていくうちに事件に関わる女と親しくなってしまいます。やがて、その女がとりつかれたように、主人公に襲い掛かってくるのです。

果たして悪魔は存在するのでしょうか。

 

漫画『黄昏流星群』神回14:遊星萌ゆ【35巻ネタバレ注意】

 

資産家の御曹司である大学教授・南原は、子供時代から教育ママの精神的な縛り付けによってがんじがらめの日常を送っていました。そのトラウマから女性恐怖症となり、65歳の現在でも童貞のままです。 

そんなある日彼は、好奇心からメイド喫茶に入ってしまいます。そして、そこで出会ったミューという少女に夢中になってしまうのでした。 

 

著者
弘兼 憲史
出版日
2009-06-30

 

その後南原が自宅のマンションにいると、なんと先ほどメイド喫茶にいたミューがやって来ます。彼が忘れていた手帳を届けに来たのです。 やがて2人は恋仲になり、セックスまでしますが、実は彼女には不良の仲間がいました。結果、彼らはミューと南原の行為を写真に収め、彼を脅迫します。

中年童貞と、メイド喫茶という設定を絡めたエピソード。理知的な大学教授でありながら、メイド喫茶というものを知らないギャップが面白いです。童貞になった経緯が幼少時代のトラウマであることから、主人公は大人になってからもがんじがらめに生かざるを得なかったのかもしれません。 

もしかしたら主人公の問題点は童貞であったことではなく、彼女みたいな友達と接してこれなかった点なのかもしれません。
 

 

漫画『黄昏流星群』神回15:天使に星の砂【40巻ネタバレ注意】

 

25歳の河瀬まみは自分に自信がなく、毎日を鬱屈した思いで生きてきました。生まれてこのかた彼氏もいません。 

しかし、33歳の主任に想いを寄せている彼女。いつしか一夜をともにしたいという思いがありましたが、突然彼のアパートに訪れたときに恋人がいたため、玉砕します。 

 

著者
弘兼 憲史
出版日
2011-06-30

 

そんなこんなで会社にもいづらくなり、やけくそで死を決意し石垣島へ向かう、まみ。その島の1つである竹富島で、星砂を売っている不思議な年寄りと出会います。彼女は主任からもらったワインに大量の薬を入れて飲み干して海へ向かったところ、間一髪のところで老人に助けられたのでした。 

この不思議な年寄りに助けられた彼女は、会社を退職。そのまま竹富島で、この年寄りと一緒に住むことにするのです。 

このエピソードは、『黄昏流星群』屈指の感動作。既読の読者のなかにも、この作品で癒された方がいるのではないでしょうか。

本作のヒロインは、どこか前向きに生きられない、鬱屈とした考えの持ち主で、せっかく恋をしても些細なことで玉砕し、また元の性格に戻ってしまいます。暗い美人より明るいブスという言葉があるように、基本的には気の持ちようでどうにかなると、竹富島の老人は言います。しかし、言葉1つではどうにもならないから困りものです。 

結局彼女を癒したのは、老人と、南の島の美しい自然たち。満点の星には、説教くさい正論など遠くにおよびません。

そして最後には、この老人の意外な正体が明かされます……。

 

漫画『黄昏流星群』神回16:天空の星花【48巻ネタバレ注意】

 

64歳の小説家・岸和田は、女房に逃げられてから掃除をすることも出来ず、家がごみ屋敷となってしまいました。銀座で女をひっかける毎日でしたが、家に連れ込むと、その女も家の有様を見て逃げ出してしまいます。 

編集者のアドバイスもあり、彼は57歳の家政婦を雇うことにしました。彼女の名は戸部すず子。優秀な家政婦であり、家はあっという間にきれいになりました。そして、彼は奇妙な居心地の良さを感じたのです。 

 

著者
弘兼 憲史
出版日

 

しかし彼の妻が突如戻り、再び夫婦の間にいさかいが起きました。とうとう2人は離婚し、家を手放すことに。そして岸和田は家政婦の戸部と、マンションに移り住んだのでした。 

しだいに岸和田にとって、戸部は家政婦以上の存在となっていきます。そんななか、彼女の体に異変が起きるのです。 

本作のほとんどにいえることですが、なかでも本作は泣けるエピソードです。 

岸和田は、本当は誰よりも家庭に飢えていたのではないでしょうか。そんな時に現れた戸部によって居心地のいい家庭の大事さに気づきますが、彼女の体に異常が起こるのです。 
 

実は戸部は糖尿病で、それが原因で左目が見えなくなってしまうのです。出ていこうとした彼女を引き留めるべく取った岸和田の行動、それは花火大会へ行くことでした。 

新潟県長岡市の花火大会で、2人は何を思うのでしょうか。家庭の大事さを説く傑作です。

 

漫画『黄昏流星群』神回17:星光耿耿【50巻ネタバレ注意】

 

俳句が趣味の老婆・水原桜子。彼女は正月の日に、倉持という同じ俳句を趣味とした男に出会います。 やがて彼の開いた俳句の会に呼ばれ、俳句仲間と交流し、いつしか気持ちが若くなっていくように感じるのでした。 

やがて彼女は、倉持と遊園地でデートをします。俳句だけでなく他のことにも通じる知識を持つ彼に、心惹かれていく彼女。そして2人は肉体関係を持ちますが、徐々に俳句仲間と折り合いが悪くなっていくのです。 

 

著者
弘兼 憲史
出版日

 

やがて倉持は亡くなってしまい、水原はこの町に居られなくなりました。そして、八ヶ岳に移り住むことになります。 

このエピソードは、読み終わってみると、倉持という男がどことなく食わせ物のように思えてなりません。俳句仲間の女性たち、しかも水原よりもはるかに若い女性たちからも好意を寄せられているようだし、奥さんがいながら水原には、奥さんとは20年前に別れたと説明するのです。 

結局彼女は、彼にもてあそばれただけなのでしょうか。それとも……。

「耿耿の星。
思うことがあって忘れられない星……
あなたは今、その星になった。」
(『黄昏流星群』50巻より引用)

 

漫画『黄昏流星群』神回18:星田一夫さんの幸福【54巻ネタバレ注意】

 

星田一夫は、製材所に勤めるしがない中年男。しかし、家では女の子が待っています。その正体は5年前に購入した、80万円のラブドール・リカ。2人は仲良く暮らしていましたが、星田は自分が末期の胃ガンであることを知ります。

彼はリカを伴い、海岸へ行きますが、オヤジ狩りに遭遇して彼女を燃やされてしまいました。

 

著者
弘兼 憲史
出版日

 

職場の同僚たちがお見舞いに行くと、彼らは星田が末期の胃がんであったことを知ります。そしてリカそっくりのラブドールを探しますが、それらは売り切れており、今から造るとなると半年はかかるというものでした。

事情を聞いたラブドール店の店長は、リカのモデルになった女の子を紹介します。同僚たちは、その女の子にバイトと称して、星田の前で演技してもらうようにお願いするのです。

目の前に彼女は現れた時、星田は……。

人形に性的な興奮を覚えるというのは、ピグマリオンコンプレックスといわれています。現代でも問題視されていますが、実は人形に性的な興奮を覚えるというのはだいぶ昔からあり、江戸川乱歩も小説のテーマにしていたほどです。(ピグマリオン自体が、ギリシャ神話で石像に恋した男の名前に由来しています)

本作で問題なのは人形自体ではなく、ラブドールで慰めなければやってられないほどの、わびしい人生観の方です。

しかし、主人公に死期が迫ってきたとき、同僚たちが彼のために必死で人形を探しだす姿に思わず感動してしまうでしょう。特に2人の同僚のうち、チャラそうな若者が意外といい奴で驚かされます。

「さようなら星田さん。
最後はいい人生だったね!」
(『黄昏流星群』54巻より引用)

 

漫画『黄昏流星群』神回19:星霊の森【56巻ネタバレ注意】

 

昭和56年、福井県。実家に帰省中の男・松井は怪しげな男に気がつき、追いかけます。しかし突如意識が朦朧とし、倒れこんでしまいました。前にいた男も倒れてしまい、彼は不気味な女に命を吸い取れれてしまうのです。

殺されるところでしたが、このことを決して喋らないという約束を交わすことで、なんとか見逃してもらえました。それは雪女だったのです。

 

黄昏流星群(56)(ビッグコミックス)

弘兼 憲史
小学館

 

やがて東京にある職場に倒れた男の娘が訪ねてきて、彼に父を発見してくれた礼を述べます。

それが縁となり、2017年に2人は結婚。晴れて夫婦となり、息子が生まれ、やがてその息子も成人しました。そんな時、息子が雪山で遭難したという知らせを受けるのです。

現地に赴いた松井は、かつての雪女に自分の息子を救ってくれるように祈ります。しかし息子は助かりはしましたが、同時に松井は自分がすい臓がんに侵されていることを知るのです。

妻とともにガンと向き合いながら、少しずつ死に向かっていく松井。ある日、彼は妻に雪女と出会ったことを話しました。その話をしたまさにその時、彼女に雪女が乗り移っていたことに気づくのです。彼女は松井を監視していましたが、いつしか彼を愛するようになったのでした。そして息子を助けたのも、彼女だったのです。

そして最期の瞬間。彼女が取った行動とは……。

読んでわかるように、本作は民話の「雪女」がモデルになっています。民話は人間の女になりすまし、男と結婚します。しかしある日、男が雪山で自分の父親が雪女に殺された話をすると、自分の妻が雪女そっくりであることに気づくのです。正体を明かした女は約束を破った男を殺そうとしますが、2人の間に生まれた子供の前でそれができず、そのまま消えてしまいます。

怖さと悲しさが入り混じった複雑な感情を抱くような結末ですよね。本作の最後もどこか切ない感じがしますが、男と女が別れてしまう民話とは違うのは、最後まで一緒にいるところ。泣けること請け合いの結末をぜひご覧ください。

 

漫画『黄昏流星群』神回20:妖星奇譚【57巻ネタバレ注意】

 

岡本は一人暮らしをしており、家事はシルバーセンターから派遣された家政婦に任せっきりでした。そんなある日、彼は認知症ではないかと疑い、医者に相談しに行きます。医者は何か趣味を持てば症状が和らぐと言ったので、岡本はあれこれ挑戦しますが、どれもうまくいきません。

そんななかスマホを使って町の中にいる妖精を捕まえるゲーム「妖精キャッチャー」というゲームがあると知り、彼はそれにのめり込むように。そしてそれをやるうちに「貴姫」という和装のお姫様のような妖精をゲットするのですが、近くにいた子供に聞くと、かなりレアで、持っていたら不幸になるという都市伝説まであると言うのです。

 

黄昏流星群

弘兼 憲史
小学館

 

そんな時、いつもの家政婦が亡くなってしまった関係で、新しい家政婦が派遣されます。彼女は、松森貴子というミステリアスな女性。いつしか2人の仲は家政婦と雇い主という立場を超えたものになり、肉体関係を持つまでになります。

一方シルバー人材センターでは、岡本が前の家政婦が亡くなってから利用していないので、気になって彼の元を尋ねるのですが……。

妖精キャッチャーはいうまでもなく、ポケモンGOが元ネタでしょう。ポケモンGOがいかに人気があったかを物語っています。小学生からゲームのことを素直に聞いている岡本の姿は、微笑ましさすら感じますね。

しかしラストは、ややホラーテイストな感じになります。結局貴子という女性は、岡本が見ていた存在の真相を、あなたはどう想像するでしょうか?

 

連載は1995年から現在にまで続く長期の作品ですが、本作の読者のなかには、若いころは理解できなかったけれど、だんだんこの作品が好きになってきたという方も多いのでがないでしょうか。

昔読んでいて離れてしまった方も、ぜひこれを機に読み直してみてください。

もっと見る もっと見る