『3月のライオン昭和異聞 灼熱の時代』が激アツ!全巻ネタバレ紹介【無料】

更新:2021.11.15

若き棋士達による熱い戦いと、彼らの多種多様な人生模様を描いた内容で人気を博している作品『3月のライオン』。今回は、同作に登場する日本将棋連盟の会長・神宮寺崇徳(じんぐうじたかのり)を主人公としたスピンオフ作品『3月のライオン昭和異聞 灼熱の時代』について、全巻ご紹介していきます。 昭和の時代を生きた猛者達。その頂点を目指したぶつかり合いが熱い作品です。また、本作は漫画アプリから無料で読むこともできるので、ネタバレが気になる方はぜひそちらもご利用ください。

ブックカルテ リンク

『3月のライオン昭和異聞 灼熱の時代』1巻の見所をネタバレ紹介!

 

神宮寺崇徳の、名人への軌跡を描く物語が始まる本巻。

冒頭から子供達を相手に熱意たっぷりで語る将棋連盟会長で、第16世名人の神宮寺の姿が描かれています。そして、物語は彼の回想に突入し、40年以上前の昭和の時代を振り返っていく事になるのです。

著者
西川秀明
出版日
2015-09-26

 

時は昭和44年の7月。神宮寺の対局相手である丸藤八段は、待ちぼうけをくらってイラついていました。そこに遅れてやってきた神宮寺は、遅刻のペナルティと、丸藤八段の力強い攻めに屈する事なく、無事に玉将リーグ予選を勝ち抜いたのです。

彼はこの対局よりさらに前、23歳という最速の若さで名人戦に上り詰め、あと一歩で名人というところまでたどり着いた、まさに天才棋士。しかし名人に惨敗し、棋士としてのプライドまでズタズタに引き裂かれてしまった彼は、それから連敗を続け、3年間闇の時代を生きる事になってしまったのです。

そんな彼ですが、やはり自分には将棋しかないという熱い想いと、周囲の人々の献身的な支えによって、無事に棋士会への復帰を成したのでした。

そして次なる相手として、「美しい将棋」を信条としている美崎八段と対局します。彼もまた見た目とは裏腹に、幼少期から病弱だった自分を支えてくれていた家族への想いを胸に名人を目指す、熱い男だったのですが……。

本巻の見所は、神宮寺と美崎との対局時、美崎が見せる執念の場面です。今まさに病に倒れ伏しそうな状態のなか、その身を案じて救急車を呼ぼうとする神宮寺に対し、不戦勝狙いかと啖呵を切る美崎の姿は鬼気迫るものがあります。
 

そんな彼に対し、その意思を組んで対局に戻る神宮寺もまた、棋士としての矜持を感じさせてくれる場面です。

「灼熱の時代」というタイトルに相応しい、熱い一局といえるのではないでしょうか。

マンガParkで無料で読んでみる

『3月のライオン昭和異聞 灼熱の時代』2巻の見所をネタバレ紹介!

 

激戦から続く本巻は、神宮寺が没落するきっかけとなった名人戦での詳細と、第15世名人・田中七郎の生涯を描いたエピソードが中心となっています。

過去に23歳の若さで名人に王手をかけた神宮寺ですが、当時はただ己の実力を過信し、おごり切っていただけの未熟者でした。

そんな彼は名人戦の場にて、田中名人から1勝も得る事が出来ず、完膚なきまでに叩きのめされてしまいます。そして、将棋が好きなら将棋のために死ねるだろうと神宮寺に切腹を命じる名人の圧力に負け、命ばかりは助けてくれとプライドを投げ捨てて泣きわめいたのです。

彼はそんな名人戦での経験から、将棋に向かい合う事がトラウマとなってしまい、3年間まともに対局が出来ませんなかったのですが……。

著者
西川秀明
出版日
2016-03-29

 

一方の田中名人は、幼少期の頃からの人生が語られます。体も小さく華奢だった彼は、貧しかった家の仕事を手伝う事も出来ず、父親からひどい扱いを受けて育ちました。

しかし、幼い頃に兄達から教えられた将棋の魅力に取りつかれ、まさに鬼気迫る勢いでその知識を吸収していくのです。そして、さらに将棋の腕を上げていった彼でしたが、戦時下となり徴兵された後には、地獄のような経験をすることになるのでした。

命からがら戦地から戻ってきた彼の胸にあったのは、将棋と、戦争で死んでいった親兄弟や、戦友達への熱い想いだったのです。

本巻の見所は、この田中名人のエピソードでしょう。将棋界の化け物と恐れられた彼が、その胸に秘める確固たる信念を知る事の出来る内容です。

傍若無人な振る舞いを辞さない彼に対し、共感する事が出来る希少な話といえるでしょう。

『3月のライオン昭和異聞 灼熱の時代』3巻の見所をネタバレ紹介!

 

本巻では兄弟子であり、棋士でありながらテレビに引っ張りだこの、山南が登場します。

彼は「名刀山南」と称される程の切れ味鋭い棋風を持つ指し手ですが、芸能界での活躍を続けるうちに、いつしか将棋への情熱を失ってしまっていたようでした。

しかし、その実はかつての弟弟子である神宮寺に対し、自らが劣っていると感じてしまった事からくる、将棋からの逃避だったのです。

著者
西川秀明
出版日
2016-09-29

 

そんな彼に対し、神宮寺は次戦の相手として指名し、かつての兄弟子越えを狙います。神宮寺に対する恐れから対峙する事を嫌う山南でしたが、妻からの喝を受けて、名刀と恐れられた棋士として凛とした姿で神宮寺の前に姿を現し……。

そんな本巻の見所は、山南に対する妻からの激励シーンです。神宮寺に対し、真正面から向き合おうとしない姿に、妻の良子からくり出されたのは、なんと腹部への鉄拳制裁でした。

なんとも男らしい喝の入れ方ですが、妻として夫の背中をとにかく真っ直ぐに支えて、押し出そうとする良妻ぶりに、胸が熱くさせられます。

マンガParkで無料で読んでみる

『3月のライオン昭和異聞 灼熱の時代』4巻の見所をネタバレ紹介!

本巻でも、神宮寺の進化は続きます。注目は、元真剣師のプロ棋士・花山八段との対局です。

香織と、その娘の留美を連れて縁日にやってきた神宮寺は、そこで花山と出会う事になります。圧倒的な高身長と、人間としての器の大きさを持った花山は、なんと田中名人と同じく、強力な「振り飛車」の使い手でした。

これまでにない強力な振り飛車使いである花山に、田中名人に対する対策を意識せずにはいられない神宮寺。自らの目指す振り飛車対策を模索し続けた先にあったのは……。
 

著者
西川秀明
出版日
2017-03-29

そんな本巻の見所は、神宮寺が花山との対局時に見せた振り飛車対策の答え、「居飛車穴熊」です。穴熊は当時の棋界において邪道とされ、棋士達の間では忌み嫌われていた指し筋でした。しかし勝利にこだわる神宮寺にとっては、まったく問題とはなりません。

そんな勝ちに対してひたむきだった彼の勢いに、花山は敗北。同時に、神宮寺という男に対して一目置くようになるのです。両者の間に確かな信頼関係が築かれたシーンともいえるでしょう。

また、本巻では香織が苦しむ神宮寺に向けて、手作りの弁当を差し入れする事でエールを送る様子も見所。2人の絆に心があたたかくなります。
 

『3月のライオン昭和異聞 灼熱の時代』5巻の見所をネタバレ紹介!

花山との対局も終わり、いよいよ名人への挑戦権を賭けたリーグ戦が迫ります。神宮寺は居飛車穴熊を完成させるため、そしてさらなる田中名人の振り飛車対策に磨きをかけるために、数々の対局をこなし続けていました。

そんななか、花山の計らいによって真剣師の振り飛車・小山が現れます。彼はいわゆる「ヒモ」で、女性の家に転がり込んでは転々と渡り歩くという、どうしようもない生活を送っている人物。

しかし将棋の腕だけはかなりのもので、対振り飛車の相手探しに苦悩していた神宮寺にとっては、渡りに船といったところです。

それなのに、なかなか居飛車穴熊を指さない神宮寺に痺れを切らした小山は、彼に対し挑発を重ね、ついには対局に負けたら香織を貰うという旨の賭けを提案し……。
 

著者
西川秀明
出版日
2017-09-29

そんな本巻の見所ですが、対局シーンではなく、番外編の香織の過去編がおすすめです。

昭和という時代を生き、家の事情から子供を女手一つで育てていく事になった彼女の苦労と、そんな彼女に対する大家夫婦の献身的な支えのエピソードは、とても感動的という他ありません。

思わず目頭が熱くなってしまう展開といえるでしょう。

『3月のライオン昭和異聞 灼熱の時代』6巻の見所をネタバレ紹介!

 

いよいよリーグ戦まで秒読みといったところの6巻。本巻冒頭では小説家の岩崎富子が登場し、飛ぶ鳥を落とす勢いの神宮寺の元へ、取材のために押しかけてきます。

彼女もなかなか強烈な個性を持つ人物ですが、戦争で家族や友人、想い人まで全てを失ったという痛烈な過去を持っています。

そんな彼女が神宮寺の漢ぶりに惚れ込み、そして田中名人の傍若無人ぶりに触れた事から、いつしか神宮寺を支える強力なファンとなっていくのでした。

著者
西川秀明
出版日
2018-03-29

 

さらに時は流れ、いよいよリーグ戦の初戦となります。神宮寺の対局相手は、美形であるはずなのに正体不明で存在感のない謎の棋士・黒田八段です。

彼はA級でも最強と呼ばれる若手棋士で、かつて田中名人にすら冷汗をかかせたほどの実力者で……。

そんな本巻の見所は、黒田が神宮寺と対局するまでを描いたエピソードです。黒田目線から描かれる事で、まるで彼が主人公かのような錯覚を覚えてしまいます。

ですが、ここで彼という男の内面を掘り下げた事で、神宮寺目線に戻った時の、彼の真っ直ぐな心根が感じられ、若手同士の熱いぶつかり合いという実感がより濃く得られます。

まさしく大一番といった熱い一局。必見です。

マンガParkで無料で読んでみる

いかがでしたか?『3月のライオン』のファンでも、そうでない方も楽しめる『3月のライオン昭和異聞 灼熱の時代』。ぜひ将棋の魅力が詰まった本作を、昭和の熱い空気感を感じながら読んでみてはいかがでしょうか。

  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena
もっと見る もっと見る