『屍町アンデッド』の見所を全巻ネタバレ紹介!

更新:2020.12.15 作成:2018.10.14

妹を助けるために、狂気に身をやつして屍を殺し尽くす!謎の奇病によって人が怪物「屍体」に変わってしまうようになった世界で、それぞれの目的のために戦い続ける人々を描いたダークホラーサスペンス、『屍町アンデッド』。 今回は、そんな本作の魅力と見所をご紹介させていただきます。

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『屍町アンデッド』が面白い!【あらすじ】

鹿羽市鹿羽町(しかばねししかばねちょう)にある、薊ヶ丘第一高校(あざみがおかだいいちこうこう)に化学教師として赴任する男・葛城柘榴(かつらぎざくろ)。彼は、奇病によって怪物となってしまった人間「屍体」に変わり果ててしまった妹を匿いながら、彼女を救う手段を見つけるために、この町に逃げ延びてきました。

そんな彼でしたが、赴任して間もなく薊ヶ丘第一高校でも生徒が屍体となってしまった事もあって、屍体化の謎を解くための戦いに身を投じる事となるのです。

数多の死地を潜り抜け、狂気に飲まれてしまった彼は、その謎を解き、妹を救う事が出来るのでしょうか。

屍町アンデッド 1 (マッグガーデンコミックス Beat'sシリーズ)

2016年06月14日
磐秋ハル
マッグガーデン

 

作品の魅力とは?

作品の魅力とは?
出展:『屍町アンデッド』1巻

 

全編に渡っておどろおどろしい雰囲気で描かれる本作ですが、その魅力はなんといっても、その「絶望感」にあるといえるでしょう。そして、その象徴ともいえるのが、主人公である葛城柘榴です。

まず屍体とは、人間がウィルスに感染する事によって変異してしまった怪物であり、生きた人間を襲い、喰らいます。人間にとっては明らかに害ある存在であり、倒すべき敵なのです。

そんななか、葛城は屍体となってしまった妹・小桃(こもも)を救うために、物語の冒頭から屍人と戦っています。屍体となってしまった妹ですが、そんな彼女を生かすためには、普通の人間と同じく食事が必要となるのです。

しかし屍体である彼女には、人間の体を与えるしかなく、葛城はそのために屍体を殺しては、感染していない体の部位をはぎ取り、彼女に与えているのでした。

そんな彼の心は、日に日に怪物と化していく小桃と、彼女を匿いながらの殺戮の日々によって壊れてしまっています。つい先ほどまで普通に会話をしていた自分の生徒が、目の前で屍体となってしまったにも関わらず、彼は一切の躊躇なく、それらを叩き潰す事が出来るのです。

そんな精神的にも一線を越えてしまっている彼の目線を中心に描かれていく物語ですから、もちろん徹頭徹尾ダーティな雰囲気。そして希望がなかなか見えない絶望感に溢れているのです。

しかし、だからこそ、その物語の先にある兄妹の希望を信じて、読み進めてみたくなってしまいます。最後にあるのは、果たしてハッピーエンドなのか、それともバッドエンドなのか……その結末は、ぜひご自身の目でお確かめください。

 

『屍町アンデッド』1巻の見所をネタバレ紹介!

 

屍体という怪物の脅威に脅かされた世界で、狂気渦巻く物語が始まります。

本巻では主人公である葛城の目的と、そんな彼に近付いてくる登場人物達について中心に描かれています。小桃を救うための拠点として、新たに鹿羽町を選んだ葛城でしたが、その新天地でも屍体化という驚異から逃れる事は出来ませんでした。

しかし、元より妹のための食料を探すという目的もあった彼は、屍体化した生徒達を前にしても、顔色一つ変える事なく屍体を殺していくのです。

そんななか、彼が屍体の一部を奪い取る犯行現場を見て、屍体を殺している人物を追っている組織である「箱」の人間、波金(はがね)が現れます。箱は、屍体化現象によって壊滅した地区を隔離、管理し、屍体化を解決するための手段を追い求めている組織。彼らが今後、物語にどのように関わって来るのか注目です。

 

屍町アンデッド 1 (マッグガーデンコミックス Beat'sシリーズ)

2016年06月14日
磐秋ハル
マッグガーデン

 

一方、葛城は自分と同じく屍体を殺しまわっている人物がいる事を知ります。その人物は、同じ学校の教師である谷村だったのでした。

「箱」の人間・波金は、そんな谷村に対し、屍体ワクチンと呼ばれる屍体細胞の死骸を投与。強制的に発症させてしまいます。葛城は、屍体化が進んで避難地域の対象となった薊ヶ丘4丁目から逃げる際、その谷村に小桃を襲われてしまい、怒りに任せて彼を殺害してしまいます。

そして、箱の追手から逃げ延びるとともに、小桃に害を加えられてしまった後悔から、妹への救済の志をさらに確かなものとしたのでした。

そんな本巻の見所は、葛城が、感染してしまった自分の生徒・山中を殺害するシーンです。

すでに殺す事に対して躊躇を抱かなくなってしまった葛城。彼は、屍体となってしまった山中の母親を殺そうとしました。しかし山中は、母親を守るために葛城を突き飛ばし、母親に殺されてしまいます。その際に葛城は、ほんの少しの躊躇いの表情を見せるのです。

すでに壊れてしまった彼のなかに、小桃という家族を想う人間らしさが残っていた事を感じさせる描写といえるかもしれません。

 

 

『屍町アンデッド』2巻の見所をネタバレ紹介!

 

薊ヶ丘4丁目が箱によって隔離されてしまった後、葛城は逃げ延びながら食料を確保する事に手一杯で、情報については手詰まりといった様子でした。

そんな折、彼は鹿羽町の外のテレビ局から来た人間である、漆原(うるしばら)という男と出会います。葛城は謎の大男により小桃を攫われてしまったため、屍人についてのスクープを求める漆原とともに、大男の行方を追う事になりました。

 

著者
磐秋ハル
出版日
2017-01-14

 

そして、その先で出会ったのは、小桃を連れ去った謎の大男・福朗(ふくろう)の屍体化を治そうとする、明らかに子供にしか見えない女性・千田鶴(せんだつる)でした。

彼女は福朗を治す手段を探すために、対組織の老化を抑制する事で、寿命を延ばしていたのです。葛城はそんな彼女に協力を仰ごうと考えますが、彼の思惑など知らない漆原は、屍体化の中心に根差す地獄を全世界に拡散しようと考え、彼らの前から姿を消します。

そして波金も、いよいよ葛城の痕跡を追って、あと一歩でたどり着こうとしているのでした。

そんな本巻の見所は、鶴と出会って葛城が協力を仰ぐシーンでしょう。自分の命と体を引き換えに、小桃への屍体化の抗体を投与するよう求める彼は、涙ぐみながら土下座するという、これまでにないみっともない様子です。

ですが、その提案を鶴が承諾した直後、顔を上げた彼は、まるで感情のない冷たい視線で、鶴をじっと見上げるのでした。

目的のためには手段を選ばないという、彼の怨念染みた決意が感じ取れる一幕。背筋に冷たいものが感じられます。

 

『屍町アンデッド』3巻の見所をネタバレ紹介!

 

漆原が逃走し、協力関係を築くことになった葛城と鶴。福朗も、小桃と同じ病「コデン病」を患っていたのです。その病こそが、屍体化の抗体となり得ると知った葛城は、打算ではなく本意から、鶴への協力をあらためて申し出ます。

そんな彼の様子を見て、人間らしい面が残っている事から、両者はほんの少し打ち解けるのです。

 

屍町アンデッド3 (マッグガーデンコミックス Beat'sシリーズ)

2017年08月12日
磐秋ハル
マッグガーデン

 

しかし気の休まる暇もなく、福朗によって連れ去られていた小桃は自力で脱出。葛城達の前から姿を消してしまいました。

捜索を進めるなか、葛城はその過程で、波金と接触する事になります。小桃が鹿羽町に向かっている事を知った葛城は、波金に連れられる形で、元居た鹿羽町に引き返す事になるのでした。

そこで見たのは、屍体達を管理している箱の正体と、屍体化が完全に進んだ事により、人を襲わなくなった屍体達の姿だったのです。そしてそこには、屍体化について箱の内部で研究を進めており、問題の中心人物である千田灰(せんだかい)がいました。

果たして、彼の目的は何なのでしょうか。そして葛城は、無事に小桃を見つけ出す事が出来るのでしょうか。

そんな本巻の見所は、波金のサイドストーリー。実は彼は、本作における重要人物の1人なのですが、その異常な人間性が特徴的な人物です。

本巻では、そんな彼にフォーカスした内容を描くことで、おおよそ感情移入しづらい彼の背景が見えやすくなっています。そのため、本作における重要なエピソードだといえるでしょう。

 

『屍町アンデッド』最終4巻の見所をネタバレ紹介!

ついに葛城と小桃の旅路に決着がつく、最終巻です。

著者
磐秋ハル
出版日
2018-05-14

これまで多くの謎に包まれていた屍体が生まれた背景と、その実態についてが明らかになります。そして、この事態を引き起こした当事者である千田灰と、その計画の中心人物である波金の思惑についても語られる事になるのです。

この事件で生き残った人物達のその後は、どうなるのでしょうか。そして、葛城と小桃が辿り着く、物語の結末とは……?最後にあるエピローグまで必見です。

葛城と小桃はある異常な状態で当初の目的を果たすことができます。2人は幸せそうですが、読者としては何ともいえない感情にさせられる内容です。本巻の見所は、この衝撃のクライマックスにありますので、ぜひその目でご確認ください。